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吃音症がVtuberで何が悪い!!!  作者: 木山碧人
第三章 大日本帝国

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第2話 初配信


 伊勢神宮、月に照らされる鳥居前。

 

 背後には大きな木造の橋が架かり、辺りは樹木で囲まれている。

 

『ダンジョン世界で入手した、破邪の指輪じゃとぉ!?』


 橋を渡り、鳥居前に座るのは、ジェノとアザミと鏡。


 事情を説明し、鏡の中にいるツバキは驚きの声をあげている。


「ええ。魔や呪いに結構強いみたいです」


『で、では、鏡に指輪を当てて戻してもらえんか?』


「む、無理です。の、呪いにかかる前、じゃ、ないと……」


『殺生な……。これから、わらわはどう生きていけばいいんじゃ……』


 正直、可哀想でしかなかった。


 彼女はただ、鏡を守ろうとしていただけ。


 一方的な被害者だ。助けられるならなんとかしてあげたい。


「あの、呪いを解く方法はないんですか?」


『あるにはあるが……これを人に頼むのは気が引けるのぅ……』


 どうやら、方法はあるらしい。


 ただ、なんとなくだけど、嫌な予感がした。


「て、手伝います。で、できることなら」


 すると、アザミは責任を感じているのか、率先して尋ねていく。


『……なら、聞かせてもらうが、お前さんたち、ライブ配信の経験はあるかの?』


 ツバキが語り出すのは、予想もしていなかった申し出。


「「は、配信!?」」


 まさかの展開に、今度はこちらが驚きの声をあげる番になっていた。


 ◇◇◇


 伊勢神宮内、ツバキの宿舎。


 三十畳ほどの畳で構成された和風の部屋。


 畳の上にはモニターとデスクトップPCが置かれている。


『呪いを解く方法は一つ。チャンネル登録者を1000万人集めることじゃ!』


 画面に表示されているのは、『伊勢神宮公式チャンネル』だった。


 チャンネル登録者は、2万6324人。目標の数字までは遠く及んでいない。


「本当なんですか。また騙す気なんじゃ……」


 正直、かなり怪しい。説得力がまるで皆無だった。


『八咫鏡は元より、神の機嫌を取るための物。機嫌を損ねたから、罰を受けてこうなった。だからこそ、再び機嫌を取り戻せば、元に戻ると踏んでおる。つまり! 神の機嫌を取るためには、信者が大量に必要なんじゃ!!』


 鏡の中にいるツバキは力説する。


 一応、さっきよりは説得力があった。

 

「……で、でも、1000万人は、お、多過ぎです」


「10万人ぐらいでもなんとかなるんじゃないですか?」


 ただし、やっぱり納得はいかない。


 口数の少ないアザミも不服気味だった。


『わらわは鏡の一部になっておる。神のお告げが聞こえるんじゃよ!』


 怪しい新興宗教の教祖のように、ツバキは語る。


「「……」」


 沈黙が流れる中、アザミと目が合った。


 どちらが何を言ったわけでもなく、互いに頷く。


 こうして、流されるような形で初めてのライブ配信が始まった。


 ◇◇◇


 ぎこちない正座をする男女が、カメラを通して全世界に配信される。


「――というわけで、伊勢神宮をお願いします」


「お、お願いします」


:結局、お前ら誰?

:つまんな

:神様馬鹿にしてませんか?

:神宮を映像で感じることができ、心より感謝します


 この回の最高同時接続数は、29人。


 チャンネル登録者数はマイナス46人を記録。


 何気なく初め、当然のように失敗に終わった配信。


 それが後に大事になるなんて、この時は知る由もなかった。

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