寒河江 冷香
私は今、隣のクラスの瀬戸世くんと喋っている。
「ねぇ、もう暗いから家まで送ってくれない?」
言った直後自分の顔が熱くなるのを感じる
(やばい、気づかれちゃうかも)
でも彼は緊張しているのか全然顔を合わせてくれなかった。
(やっぱり私のこと覚えてないのかな)
私が中学生1年生だった頃。
私の父が大企業の社長だったということもあり、周りから妬み、嫉妬の目が向けられた。
「良いなぁ金持ちは」
「なんでも買ってもらえるんでしょ?」
「ねぇ、今度皆で遊びに行かない?こいつの金で」
「いいねぇ!」
私は金としてしか見られていなかった。
普段、学校の休み時間では、私が一緒に遊ぼうとすると....
「お嬢様にはちょっとキツいですよぉ」
「そこで観戦してなってw」
っと言って入れてくれないのに金が必要な時だけ誘われる。
誘われて行っても私は一緒に遊ばせてもらえない。
そんな私を助けてくれたのは彼、瀬戸世 海斗だった。
「ダメだろ、自分で金は払おうぜ」
皆が賛成している中、彼だけが反対していた。
「は?いいだろ別に、こいつ金しか価値ないんだから」
「人を物として見るのは良くないと思う」
「めんどくさこいつ」
「もう良いじゃんこいつらほっとこうぜ」
「そうだな」
そうやって私を助けてくれた彼は私を助けるうちにどんどん周りから嫌われていった。
私を守ったせいで嫌われたのだ。
そして彼は人と付き合うことをやめていった。
私は彼が行こうとしている高校を調べ、勉強した。
彼が人と付き合わなくなっている間、私は自分を磨いた。
運動して、髪も綺麗に伸ばし、肌のケアまで頑張った。
いつしか、私は彼に振り向いてもらえるようにと頑張っていた。
しかし、寄ってきたのは....
「ねぇ、俺達付き合わない?」
私達をいじめてきたやつらだった。
こいつらは私が変わってから急に手のひらを返した。
よく話しかけてくるし、無視しても付きまとってくる。
気付いたころには彼との距離がまた広がっていた。
三年生はクラスが離れ、家もわからず、彼に話しかけることができなかった。
「....わかった、送っていくよ」
途中怪しい所もあったけど無事送ってもらうことに。
(勢いで頼んだけどこの後どうしよう....)
後先考えずに頼んだ私は、この後どうしようか頭をなやませるのであった。