瀬戸世 海斗
俺、瀬戸世 海斗は先月からこの学校に通うになった陰キャ高校生である。
最初は地元から離れていて尚且つ偏差値が高い高校に合格して高校レビューをして楽しい学園生活をに期待していた。
....そう、期待していたんだ。
しかし、そんな現実は甘くはなかった。
今の俺はクラスの中で孤立している。
なぜ俺がこんなざまになってるかって?
それは今女子達と楽しく会話しているあいつのせいである。
「ねぇ、週末にカラオケいかね?」
「いいねぇ!行こ行こ!」
今教室の真ん中で堂々と女子をカラオケに誘っている男が、俺の学園生活を崩した男、豪炎寺 拓馬である。
こいつは俺が中学生の頃から俺を引き合いに出して自分の方が優れていると周りに見せつけていた。
こいつの親が議員で金持ちで権力があり、イケメンで、学力、運動共に良く、俺が引き合いに出されなくても十分にモテる。
現時点でもう女子にモテモテである。
未だに俺を引き合いに出すのははただ楽しいからだろう。
(もう俺は青春できないのかな....)
そんなネガティブな思考が頭を過ぎる。
1ヶ月の間に大体グループが完成して、同じメンバーで集まっている。
(これじゃあ前と変わってねぇじゃん)
中学生時代、俺はクラスに馴染めずにほとんどを過ごした。
だから青春に憧れを抱いた。
そして俺は青春をする為に必死に勉強してこの高校に合格した。
しかし、拓馬が俺の中学生時代のことを広めたことによって、俺の学園生活は終わった。
クラス中に俺がオタクの陰キャであると言うことが知れ渡っている。
もう決まってしまった俺のイメージはそうそう変わることはない。
もうこうなってしまったのなら逆に絡まれないように影に徹する方が気楽ですらある。
入学当初はよく絡んできた拓馬だったが、俺の反応の薄さが気に入らなかったらしく、最近は絡んでこなくなった。
俺にとっては嬉しい限りである。
帰り道、俺の家は拓馬の家(豪邸)とは逆方向なので特に絡まることも無く帰宅する。
家には誰もいない。
父は仕事が忙しくてあまり家に帰って来ない。
母は専業主婦なので大体家に居るはずなのだが......
[今日はママ友と食べに行ってくるわね]
そんなことが書かれた紙が机に置いてあった。
とりあえず課題を終わらせて夕食を作る(手の凝ったものは作れない)
風呂に入って自室でラノベを読んでいると母が帰って来る。
「おかえりー、父さんは?」
部屋を出て母を出迎える。
「ただいま、父さんはまた残業ですって」
うちは一応裕福な方で父はあまり大きくないが企業の社長をしている。
最近は事業に成功して忙しくしているらしい。
「そういえば海斗そろそろ誕生日よね、何か欲しい物はある?」
俺は特に物欲が無い為、毎年ラノベだったり有名な小説を買ってもらっている。
「また欲しい本探しとくよ」
「今年も本なのねぇ.....」
母が呆れた顔で俺を見て言う。
「別に特に欲しい物無いし、本は好きだし」
「まぁいいわ、10冊ぐらいまでなら好きにして良いわよ」
「ありがとう母さん」
何を買おうかネットを漁ってから眠りについた。