095 リーチェの暴走
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
帰宅した瞬間、体当たりのような勢いで抱きついてきたリーチェに、そのまま唇を奪われてしまった。
12日振りのリーチェ。12日振りの感触に、俺も衝動に任せてリーチェの想いに応える。
職人が浸透したせいかキスの感覚が痺れるように甘い。
リーチェは俺の首に腕を回し、俺はリーチェの背中から後頭部を押さえつける様に抱きしめて、もう放すものかとキスを続ける。庭先で。
「全員まずは荷物を置きましょう。私は簡単な夕食を用意しますから、ティムルは水を多めに汲んできてください。私たちもかなり汚れてますからね」
「はい。今回凄い数の魔物を倒しましたからね。汚れも凄いことになってそうです。水瓶4つ分くらい持ってきておきますね。明日の朝の水汲みはしなくても大丈夫なくらい持ってきます」
俺とリーチェに構わず、今後の簡単な打ち合わせをしているニーナとティムル。
毎度思うんだけど、この2人ってほんと大物だよなぁ……。
「フラッタは装備品のチェックをお願いします。あとご主人様と私達の着替えも用意して欲しいんですけど、衣装棚の配置、分かりますかね?」
「そ、装備品のチェックは了解なのじゃが……。この2人、放っておいて良いのかのぅ……?」
3人が会話している横で、俺とリーチェは抱き合ったままだ。
ずっとずっと我慢して、さぁようやく色々解禁だーっと気が緩まったところへのダイレクトアタック。無理だよ。耐えられないよ。
もう絶対放さない。ちゅーー。
「ご主人様。そのままでいいですから食堂まで移動してもらって良いですか? 夕食が出来るまでは続けてもらって大丈夫ですので」
え、いいの? このままでいいの? ニーナさんからお許しが出た。
よーしリーチェ。食堂まで行くよ。
「ニーナもティムルも、リーチェにダンを独占されたままで良いのか? 妾は……、妾もダンとキスしたいのじゃぁ……」
「フラッタ。今晩は貴女に譲りますから、今はリーチェに譲ってあげなさいね」
んもーっ! フラッタはすぐ俺が喜ぶこと言うんだからぁっ!
そしてニーナ! めっちゃ優しい口調でエロいこと諭さないでくれるっ!?
「私はご主人様がティムルの為にネプトゥコに赴かれた時、フラッタのためにヴァルハールに赴かれた時、たった半日離れ離れになっただけでも気が狂いそうでした」
リーチェとキスを続けながら会話を聞く。
ニーナ、平気そうな顔してたけどやっぱり辛かったのか。
早く呪いを解いて、朝も夜も常にくっついていられる状態にしないとね。その方が俺も嬉しい。
「確かに私たちもご主人様に触れて欲しいですけど、12日間はずっと一緒にいたんです。離れ離れだったリーチェにも譲ってあげなきゃ可哀想ですよ」
「フラッタちゃん。私たちはご主人様の女という意味で先輩なんですからね。後輩に少し配慮してあげてください」
……なんかキスしてる言い訳を女にさせてるみたいだなぁ。
浮気じゃなくて本気だから、もう言い訳なんかしないけどねっ!
ていうか俺の女としての先輩後輩ってなにっ!? パワーワード過ぎるわっ!
「リーチェは今回、本当に可哀想だったんですよ。ご主人様のことが大好きになったタイミングで離れ離れになったわけですからね。落ち着くまで好きにさせてあげてください。ご主人様も楽しそうですし?」
うんっ。楽しいっ! すっごく楽しいよティムルっ!
だけど流石にこのまま玄関先でキスをし続けるのは良くないよな。いくら夜の街外れとは言え、誰が通るか分かったものじゃないし。
キスに熱中しすぎて移動しようとしないリーチェを、抱きかかえるように持ち上げる。
おかげで更に密着度が上がって、むぎゅうううっと押し付けられている大迫力の感触も楽しいっ!
そして持ち上げられてもまったく気にせずキスを続けるリーチェが可愛くて可愛くて仕方ない。
リーチェ、大好きぃ……!
「今晩……。今晩は、妾の番……。うん。なら今晩まで我慢するのじゃ。ダン。今晩はいっぱい可愛がって欲しいのじゃぁ……」
隣りでもじもじしてるフラッタも可愛いよぉっ。そのフラッタへの想いもリーチェにぶつけちゃうよぉ。
大好きぃっ! もうみんな大好きぃっ!
リーチェとキスしたままで前が見えない俺を、ニーナが優しく介助して家の中まで誘導してくれる。
なんなんだよこの家! 天使と女神しかいないの!?
この人たち全員俺のお嫁さんなの!? 嘘でしょ!? 前世の俺ってどれだけ徳を積んだんだよ!
ひょっとして世界の1つや2つ救ったのかなぁ!? ありがとう! ありがとう前世の俺!
「ご主人様、椅子がありますからそのまま腰を下ろして……、はい大丈夫ですね」
ニーナに誘導してもらって食堂の椅子に座ることが出来た。
ここまで1度たりとも一瞬たりとも口を離さない俺とリーチェ。
「それでは私は夕食を用意してきます。それまでどうぞ、ごゆっくりとお楽しみくださいね……? はむっ」
甘やかすような耳元での囁きの最後に、耳たぶを甘噛みして去っていくニーナ。
2人きりの食堂で、飽きもせず唇を重ね続ける俺とリーチェ。
「ダン……。ダン……」
抱きついたままで必死に俺を呼ぶリーチェ。
……俺なんかの何がそんなにいいのかねぇ?
俺だってリーチェのこと大好きなんだからさ。あんまり積極的だと困っちゃうよ?
両手をリーチェの背後に回して震える体をぎゅっと抱きしめ、今度はこちらからリーチェに優しくキスをする。
するとリーチェの体からは安心したように力が抜けていった。
まったく、めちゃくちゃエロい癖にさぁ。まるで親に縋る子供のような反応しちゃってさぁ。
その後夕食が運ばれてくるまで、力の抜けたリーチェと、静かにゆっくりと優しく甘いキスを続けた。
夕食の配膳が整ったころ、落ち着いたリーチェがようやく俺から離れてくれた、
名残惜しいような、助かったような。
「リーチェが暴走してましたので少し不安でしたけど、流石ご主人様ですね。相手が暴走すると冷静になるので安心です」
ねぇニーナ。それって相手が冷静だとこっちが暴走するって言われてるようにしか聞こえないよ?
「リーチェは今日は私とティムルの3人で寝ましょうね。ご主人様を受け入れたのはフラッタが先ですから、順番は守ってもらいますよ」
ニーナによってスケジューリングされる俺の寝室事情。
な、なんだろう? すっごくゾクゾクしちゃうなっ……!?
「明日の夜はリーチェがご主人様と2人きりで過ごすと良いでしょう。ひと晩だけ待ってくださいね?」
「う、うん……。ごめんね、暴走しちゃって。依頼の報告も終わったから、今日からはずっと一緒にいられるからさ。一夜くらい我慢できるさ……」
「いやいや、さっきのリーチェの様子だとあんまり説得力ないですよ?」
マジでそれなっ! マジでティムルの言う通りだったからなリーチェ!
危うく俺が我慢出来ないところだったよっ!?
「……そうですねぇ。そんなご主人様好き好きリーチェに、今夜は貴女と出会う前のご主人様の話を私とニーナちゃんでいっぱい教えてあげましょうっ」
「そ、それは妾も聞きたいのじゃっ! リーチェだけズルいのじゃっ!」
「フラッタには明日の夜にいっぱい聞かせてあげますからね。今夜はご主人様本人に、いっぱい可愛がってもらいなさいね」
ニーナの言葉に全身の血液が沸騰する。
さっきまでリーチェと最高の時間を過ごしたというのに、これからまたフラッタと最高の時間を過ごせというのか……!
可愛がる。もう全身全霊で可愛がっちゃうよっ!
もしもフラッタと俺に何かの因果関係があって、フラッタの意思とは関係なく俺の事を好きになってしまったのだとしても、事ここに至ってはそんなことどうでもいい。
俺がフラッタを大好きで、フラッタも俺の事を好きだと言ってくれている。重要なのはそこだけだ、
重要なのは、フラッタが俺の嫁だということだけだぁっ!
「フラッタ。これからお前のことをいっぱい可愛がってあげたいんだけどさ。遠征帰りで、しかもさっきリーチェとあんなことしちゃって、俺の体がめちゃくちゃ興奮状態なんだよね」
溜まりに溜まってるところに凄まじい先制攻撃だったからね。もう完全に戦闘状態に入っちゃったよ。
「もしかしたらフラッタの事、乱暴に扱っちゃうかもしれない。分かってても止められそうにない。だから最初に謝っとく。乱暴にしてごめん」
「ふふふ。構わぬのじゃ。ダンのしたいこと、全部妾にして欲しいのじゃ」
謝罪する俺に優しく微笑みかけてくれたフラッタ。
かと思ったら突然自信満々の様子で、その小さくて可愛い胸を張って宣言する。
「それに妾は竜人族よ。多少乱暴にされた程度で壊れるほどヤワではないのじゃ。妾の体、隅々まで存分に堪能するが良いのじゃっ」
……フラッタさんさぁ。そんなこと言われたら、最後の理性も決壊しちゃうでしょぉ?
「ご主人様。今晩はフラッタを全力で愛してあげてくださいね。そして明日の日中は、私とティムルを相手してくださいね。私もご主人様に抱かれたくて仕方ありませんから」
「ふふ。ニーナちゃんだけじゃなくて、勿論私もすっごく我慢してるんですからね? いっぱいいっぱい頑張ってくださいね? ご主人様っ」
ええ、なにこれ凄すぎない?
家に帰ってきてからずっとリーチェとくっついて、今晩はフラッタと過ごして、夜が明けたらニーナとティムルの2人を相手にするの?
えっと、最高だけど、俺、死なないかな?
「あ、そ、そう言えば礼拝日! 礼拝日っていつかなっ! ひょっとしたら明日の可能性もあるじゃっ!?」
「ああ、ムーリに確認しておいたよ。礼拝日は明後日さ。明日は気兼ねなく、1日中僕達の相手をして欲しいなぁ?」
必死に考えた言い訳も、先回りでリーチェに潰されてしまっていた模様。
いっ……1日中、この4人を相手する、だと……!
く、くっそぉ! 散々早い早いと言われてたけど、好色家の育成、全然間に合ってないじゃないかぁっ!




