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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
2章 強さを求めて1 3人の日々
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075 今日はキスの日

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 朝だ。最早見慣れた天井だ。自宅の寝室。


 ……そう、昨日遠征から帰ってきたんだった。



 今回の遠征は場所も期間も、今までで最も過酷な内容だったハズだけど、今の俺たちには余裕を持って遠征をこなすことが出来たなぁ。

 そして余裕をもって帰還したはずが、まさかその日の夜の寝室でサドンデスが発生するとは夢にも思ってなかった。いやむしろ夢のようだった?


 遠征の最後に死力を尽くした激闘を繰り広げ、甘々でドロドロでメロメロになりながら、いつの間にか意識がなくなってしまったようだ?


 まじで最後にどうやって寝たのか思い出せないぞ?



 昨晩の死闘の行方を記憶から掘り起こそうとウンウン唸っていると、ニーナが動く気配がした。



「あ……、おはようダン。いつも早いねぇ。ちゅー」



 挨拶もそこそこに唇を突き出してくるニーナ。甘えモードかな?


 おはようと挨拶を返してすぐ唇を重ねる。

 すぐに互いの舌を絡ませるけど、いつもと違って激しさがない。やっぱり甘えモードのようだ。



 そこにはいつもの必死さはなく、おねだりでもしているみたいな甘えが伝わる。


 甘えたいのかと思ったら、どうやら甘やかしてくれてるみたいだ。ならば全力で甘やかされようじゃないか。




 そしてニーナとのキスを終えた俺はティムルからもキスをされる。


 いつもの受身のキスじゃなくて、俺の反応を見ながら、俺が気持ち良くなるようにキスしてくるティムル。


 接待? 接待モードなの?



 目を開けるとティムルも目を開けていて、自然と目が合ってしまった。目が合ったティムルは嬉しそうに目を細めながら微笑んでくれた。



「おはようダン。よく眠れたかしら?」


「お、はようティムル……。気持ちよすぎて、逆に意識飛んじゃいそう……」



 前回あまり構えなかった分も込めて、今回2人の事を思い切り甘やかしてあげようって思ってたのに、出鼻を挫かれた。読み切られてカウンターをモロに受けてしまった。


 2人連続の甘やかしを受けて、快楽よりも多幸感で力が入らない。



「ふっふーん。ダンの考えてることなんてお見通しなんだから。私たちよりダンの方が頑張ってるんだから、今日は私たちに甘やかされるといいんだよっ」



 得意げに平らな胸を張るニーナが可愛すぎて、カウンターを受けた衝撃も忘れちゃいそうだよぉ。



「あはっ。いいこと考えちゃった。ティムル。このまま交代でキスをして、ダンを1日寝室に縛り付けちゃわない?」


「あらっ。乗ったわニーナちゃん。どうせ色々な用事は明日に回したって何も問題ないんだから、今日は2人で徹底的にダンをやっつけちゃいましょ」


「ちょ、ちょっと待っておふたりさん? 買出しとか、装備のメンテとか換金とか、やることいっぱいあるでしょ。1日寝室にってンムゥ?」



 喋っている俺の唇に人差し指を当てて、俺の言葉を遮るニーナ。



「余計なこと考えなくていいからね。今日はもうずーっとずーっと、甘やかしてあげるからねぇ?」



 舌なめずりをするニーナの姿に、ゾクリとした戦慄を覚える。


 俺、これからどれだけ甘やかしてもらえるんだろう。怖いくらいに興奮する。



 甘やかしキスの刑が始まってから、もうどれくらい時間が経ってるのかも全然分からない。


 2人の慈しむようなキスで、快楽なんかよりも幸福のほうが人をダメにするんだと、心の底から舌の先まで味わった。


 2人からは俺への好意だけが伝わってくる。



 大好き。愛してる。ありがとう。おつかれさま。



 2人が注ぐ愛情が幸せすぎて、なんだかふわふわと夢心地になってくる。


 え、俺死んでないよな? 生きてる? 幸せすぎて死んでない?



 お腹を空かせた俺達が寝室を出たのは、太陽が1番高い位置を過ぎた後だった。



「死ぬかと思った……。ほんとに死ぬかと思ったよ? 人って幸せすぎると死にそうになるんだね?」


「あは。死んじゃダメだよ? いくら幸せだからって、私たちを置いてかないでね?」


「好きな人に尽くせるって、本当に幸せよねぇ。いくら尽くしても足りなくて困っちゃうわ」



 食事中の2人はめちゃくちゃ上機嫌だった。俺は幸せすぎて上機嫌どころじゃないってばぁ。



 1度も家を出ていないので、未だ奴隷モードになっていない2人を見ると、なんか今日出かけるのが勿体無く感じてくるなぁ。


 余計なこと考えなくていいって言われたし、今日はこのまま1日中家に居ても良いかな? 元々ずっと2人の相手をするつもりではいた訳だし?



「今日はこのまま家の中でのんびりしようか。なんか2人が奴隷モードじゃないの見てて、今から奴隷に戻すの勿体無くなっちゃってさ」


「あはは。普通の人は奴隷解放するのが惜しいって言うんだよ? 奴隷にするのが惜しいなんて言う人、ダンしかいないよ」


「ほんっとおっかしいわよねー。奴隷解放しないと婚姻が結べないからってさぁ? そんなに私たちをお嫁さんにしたいのダンは? 今だって別に変わらないじゃない」



 和やかに笑うニーナとティムル。奴隷として身構えていない2人はこんなにも可愛くて愛おしい。


 変わるってば。てか2人はちゃんと変わってるって。奴隷契約なんて邪魔でしかないよ。



「俺は今の2人のほうが好きなの。今みたいな生活をずっと続けていきたいの。だからそれには奴隷契約が邪魔なんだよねぇ」



 明らかに普段よりも2人の雰囲気が柔らかい。奴隷という意識無しの、本当のニーナとティムル。


 最近はフラッタとリーチェのことばかり考えていたけれど、この自然体の2人だって俺が目指すべき物の1つに違いない。



「さて、食事も済んだなら寝室に戻ろうか。今日はずっとやられっぱなしだったからね。今度は反撃させてもらうよ?」



 2人と手を繋いで寝室へ。


 奴隷だと、この手を繋ぐってのがハードル高いんだよねぇ。



 ベッドに3人並んで座る。勿論中央は俺だ。当たり前だね。


 2人の背後から手を回し、服の中に腕を突っ込み、2人の胸を乱暴に揉みしだく。2人に気持ちよくなってもらおうなんて微塵も思わせない、欲情に任せた動きで2人の体を貪り始める。



「んん、ダン? ちょっといた、ムグゥ!?」



 抗議しに開いたニーナの口を噛み付くようなキスで塞ぐ。


 俺の欲望に任せて、俺の衝動だけで、2人のことなど一切考慮しない、自分勝手な2人への扱い。



 今日の2人のキスはいつもと少し違っていた。だから俺も普段とは違う。


 ニーナとティムルは俺のものだ。俺の女だとマーキングするような扱い。お前は俺の女なんだと刻み込むように乱暴に扱う。



 奴隷である彼女達は、俺がどんな扱いをしてもきっと受け入れてしまう。

 だからこそ奴隷モードが一切発動していなかった今日、2人を乱暴に、モノのように扱うんだ。



 俺を美化しないでくれ。俺を神聖視しないでくれ。俺を正当化しないでくれ。


 俺だって間違う。俺だって出来ないことばかりで、今だって2人に甘えている。



 ニーナとティムルをベッドに押し付けるように乱暴に押し倒し、彼女たちのことなど何も考えずにただ衝動に任せて彼女達に覆い被さる。



 そう、甘えているんだ俺は。2人ならどんな俺でも受け入れてくれると思って、力任せに2人を弄ぶ。


 きっと2人は許してくれる。そんな確証がないと、2人を乱暴に扱うことすら出来ない臆病な男なんだ。






 嵐のような行為が終わって、今俺の頭はニーナの胸に抱きしめられている。


 ……なんで?



「ダンー? 甘えるのは構わないけど、無理はしなくて良いんだよ? ダンは悪ぶることもできないくらいに不器用なんだからね?」



 まるで悪さをした子供を叱るように、優しく怒るニーナの声。


 無理? 無理してたの? 俺って。



「そうそう。ダンに私たちを乱暴に扱うのは無理よ。貴方は欲望を叩き付けたつもりだったかもしれないけど、貴方からは愛情しか伝わってこないわよ」



 呆れたような口調でニーナに同意するティムル。



 2人ならきっと、俺がどんな扱いをしても許してくれる。そう思って乱暴にしたのに。


 ……何で俺が、無理をするなって怒られてんの?



「お前が欲しい。お前は俺のものだ。お前は誰にも渡さないって。ふっふっふー。本当に私達の事が大好きなのね貴方は」



 ニーナと一緒に俺を優しく撫でるティムル。


 そりゃ大好きですよ。じゃなきゃ一生を共にしようなんて思いませんってば。



「ダンは私たちを乱暴に扱えば扱うほど、自分のほうが傷ついちゃう人なの。ごめん、ごめんって思いながら抱いて欲しくないの」



 2人に甘えてたのは認めるけど……。


 俺ってごめんごめんって思いながら、2人を抱いてた、の?



「ダンって本当に自分のこと嫌いだよね。私達がダンに向ける愛情が怖くなったんでしょ。でも残念。私たちに嫌われるのはもう無理だから。貴方がどれ程自分の事を嫌いだとしても、私達はダンのことが大好きだから」



 俺の顔を上げさせ、触れるだけの軽いキス。



「ダンは自分が嫌いで嫌いで仕方ないから、幸せを感じると怖くなっちゃうんだよ。自分が幸せになって良いのか、自分が幸せを受け取って良いのか。自分といることが、本当に2人の幸せになるんだろうか、ってさぁ」



 幸せを感じると怖くなる……? それは分からないけど。


 2人から受け取る愛情が大きすぎて、怖いと思うことはあるかもしれない。



「ダンー? 余計なお世話だからね? 私とティムルの幸せを、貴方が勝手に判断しないで。貴方が絶対に信じてくれなくても、私とティムルはこのままが絶対に幸せなんだから」



 そう言ってキスしてくるニーナ。


 まるで俺の口の中を優しく撫で回すような、またあやすような甘やかしキスだ。



 反撃は失敗。完敗だ。


 ニーナにもティムルにも、俺なんかじゃ敵いそうにない。



「まったくもう。甘やかされるのは好きなのに、甘やかされるのが怖いなんて、難儀な性格してるわねぇ」



 苦笑いを浮かべながらも、まるで母親を思わせるような優しい手付きで俺の頭を撫で続けてくれるティムル。



「ふふ。ごめんねダン。貴方の怖がることはしたくないんだけど、貴方のして欲しいことはやっぱりしてあげたいの。だから……、ね?」



 ニーナが離れていくと同時に、空いた口をティムルに埋められる。



 や、やばい。これやばいんだって。本気で死を覚悟するんだよっ。

 交代で一切の休憩なく甘やかされ続けて、何も考えられなくなるんだってばああ。



 代わる代わる俺にキスしてくる2人。俺に一切の抵抗を許さないその姿勢とは裏腹に、優しくゆっくりと労うように慈しむように、愛情しか伝わってこない大好きのキス。


 ティムルぅっ大好きぃっ! あ、待って行かないで……って、うわぁいニーナ大好きぃっ。



 って死ぬ、これ絶対死ぬぅぅぅ! 幸せすぎて、ニーナとティムルが好きすぎて死んじゃうからぁぁぁっ!

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