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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
新たな王と新たな時代2 亡霊と王
594/637

594 負の遺産

※R18シーンに該当する表現を大幅に(2000字程度)カットしております。

「どうシャロ? ちょっとは落ち着いたー? このあともみんなでして貰うんだから、別に落ち着いてなくても平気なんだけどねーっ」


「ありがとうございましたニーナさん。本音を言えばご主人様とはいくら肌を重ねても足りないくらいですけど、おかげで少し落ち着きました」



 お互い体を洗いながら、ニーナとシャロがにこやかに談笑している。



 お城でたっぷり楽しんだ俺とリーチェとシャロの3人は、そのあとまっすぐ帰宅した。


 服を着たまま激しく愛し合ったせいで汚れてしまっていたシャロとリーチには気配遮断したまま玄関先で服を脱いでもらい、お風呂に直行したのだった。



「あはーっ。王女であるリーチェとシャロを家の前で裸にさせるって……。ダンがやってることも変態そのものじゃないのー?」


「やめてよティムルー。俺だって自覚があるんだからさー……」


「あははっ。ダンに可愛がってもらってから城内を歩くの、すっごく胸がすぅっとしたよーっ!」


「私たちの姿は誰にも認識されなかったようですけど、それでも驚くほど胸がすく思いでしたね。かつて肌を重ねた男性の前を通った時など、本当に興奮してしまいましたよぉ……!」



 なんでも、2人は本当に数え切れないほど城内では言い寄られた事があり、シャロに至ってはそれに逐一応えていたようだけど、本人たちは本当に煩わしくて仕方なかったそうで、気配遮断で姿を隠しながらでもいいから意趣返しがしたかったのだそうだ。


 俺達の動作音や匂いはリーチェが風で遮断してくれていたから万全の状態だったけれど、それでも人前を通る時は最高にスリリングだったし、2人は俺のものだと見せびらかしながら歩いているみたいな優越感で脳味噌が溶けそうだったよ。



「あはーっ。エルフのお姫様も人間族のお姫様も、既に完全に篭絡済みなんじゃないのーっ。そりゃあ外野から見たら魔法や職業スキルを疑っちゃうわよねーっ」


「旦那様が1番不思議そうな顔をされていますからねぇ。私たちから言わせれば、私たちが旦那様に惹かれるのは当然過ぎる話だと言いますのに」


「ちょっとバツが悪いけど、それでもみんなに好きって言われるのは凄く嬉しいよ」



 あまりにも自然に好きだと伝えてくれるヴァルゴに感謝の気持ちを込めて、たっぷりとよしよしなでなでを決行する。


 お風呂でもちもちになったみんなとも改めて愛し合って、楽しいバスタイムは終わりを告げた。



 お風呂から上がった後は寝室に直行し、リーチェとムーリのおっぱい布団の上に寝転がり、ニーナとティムルを抱き締める。


 そこで休憩も兼ねて、昨日みんなに伝え忘れたことを改めて報告する。



「レガリアの残党狩り?」


「うん。キュールとシャロにそれぞれ話を聞いた感じ、2人の協力があれば壊滅とまではいかないまでもかなりの拠点を潰せそうなんだよねー」



 本当は昨日告げるべき話だったのに、シーズの頭突きからプリンセスセットが続いて、とても他の事にリソースを割く余裕など無かった。



 だけどもしも残党狩りを実行するなら、みんなの協力は不可欠だ。


 俺達は組織レガリアの全容を知らないのだから、モタモタして拠点を移動でもされたらそれだけで追いかける事ができなくなる。



 ノーリッテとゼノンという指導者を失ったレガリアに大した力は残っていないと思うけれど、作戦を決行したなら電光石火で分かっている拠点を制圧しきらなければならない。


 ちょうどノーリッテがスペルド王国全土で起こした同時多発テロを、レガリアに対して行なうみたいなものだな。



「シャロとキュールさん……いえ、キュールの案内で各拠点を潰し、レガリアに保管されている資料を強奪するのね? 拠点の数にもよるけど、人手が足りない場合はまたペネトレイターに協力してもらえばいいのか……。成功率も危険性も問題ない範囲じゃないかしらぁ?」


「ティムルにそう言ってもらえると安心するよ。あいつ等って潜伏が基本だから戦闘力はさほど高くないと思うし、みんななら楽勝だと思うんだ」


「んー。確かに私たちなら楽勝だと思うけど、それって態々私たちがやることなのー?」



 我が家の参謀ティムルには作戦内容に及第点をもらえたけれど、司令官ニーナには作戦実行の意義を問われてしまった。



「ダンは忘れてるかも知れないけど、今って休暇中なんだよ? なのにダンったら毎日毎日すっごく忙しそうにしてるの」


「忘れてないし、忙しいのは不本意なんだけどねーっ!? ま、忙しくしたおかげでシャロとキュールを迎えられたと思えば、忙しくした甲斐もあったけど」


「うんうん。2人を家族に迎え入れてからダンもすっごく楽しそうにしてるじゃない? だからせっかくの休暇なんだからさ、2人ともっともっとえっちな事をして休暇を満喫するのーっ! とはならないのー?」



 俺の腕の中から俺を見詰めるニーナの瞳には問い詰めているような印象はなく、俺の好きにしてもいいけど組織レガリアの壊滅なんか今更なんの意味があるのかと、単純に疑問に思っているようだ。



 今回に関しては危険性もほぼ無いし、誰かが現在進行形で不幸になっているという情報も無い。


 だからニーナの目には、俺が積極的に残党狩りを計画しているのが少し意外に映ったのかもしれない。



 ニーナのつぶらな瞳を見詰めて、ニーナの瞳の中の俺と向き合い、自分自身の心と向き合う。



「……多分俺、組織レガリアのことが邪魔に感じているんだと思う」


「それはダンだけじゃなく、ここにいるみんなが思ってることだと思うの。だからその先を聞かせてくれる?」


「その先……。俺はどうしてあの組織を壊滅させたいのか……」



 ぶっちゃけ組織レガリアはもう死に体だと思う。


 指導者は喪われ、組織の象徴だった神器もレリックアイテムも失い、組織の存在も殆ど明るみに出てしまった。



 いくら古くて巨大な組織と言っても、この状態では出来る事は殆ど無いだろう。


 時間と共に勝手に衰退し、自然消滅していくのは間違いない。



 なら俺は、どうしてあえてこのタイミングであの組織を壊滅させようとしているのか……。



「……これから訪れる新しい時代にはさ。過去の亡霊なんか必要ないんだよ」



 そうだ。俺は新王の即位と共に訪れるこれからの時代を、笑顔と幸せに溢れた幸福な時代にしたいんだ。


 そこに過去の過ちの象徴のような、レガリアという過去の亡霊なんかにいつまで居座られるわけにはいかないね。



「新王2人が築く新たな時代に、他人の足を引っ張るのが大好きなレガリアなんかを残しておきたくないんだ。偽りの英雄譚は暴かれ、アルフェッカは再建され、各種族がまた手を取り合って生きられる時代を、過去の亡霊、邪神の残した呪いなんかに邪魔されたくないんだよ」


「なるほど。単純に私たちを阻む存在って意味じゃなくって、これから来る新たな時代にあんな負の遺産を残しておきたくないってことだねー」



 取り留めの無い俺の呟きを、ニーナが分かりやすく要約してくれる。



 そうだ。あんな奴等を残しておいても百害あって一利無しだ。


 だからこの機会にお引取り願おうって話だね。



「具体的な作戦はゆっくり考えるとして、旧開拓村から始まった俺とレガリアの因縁、この機会にすっぱり断ち切らせてもらいたいんだ。だから力を貸して欲しい」


「……そうだね。その件が無ければ私たちは出会えなかったけれど、それをレガリアに感謝するのは間違ってるの。ダンも子作りに積極的になってくれたし、私もつまらない感傷はポイーってするのっ」


「そこで子作りの話に繋げられたら台無しなんだよーーーっ!?」



 話の雰囲気の逆側を突いてくるフラッタと違って、ニーナは真面目なトーンのままでエロい話をぶっ込んでくるから困るんだよぉーっ!


 ニーナの中では、エロい話も真面目な話の1つとして認識されてるのかもしれないけどさぁ。



 ニーナの額にちゅっとキスして、そして出来うる限りの真剣な表情を作って宣言する。



「あんな奴らに関係なく、旧開拓村の悲劇が無くても俺は必ずニーナを見つけていたって、今ここで誓わせて貰うよ」


「え?」


「ティムルもフラッタもリーチェもヴァルゴもムーリもエマも、アウラもシャロもキュールも貰ってたって断言する。だからあの時の惨劇に、多くの人たちの悲しみに感謝なんか抱かなくていいんだよ」



 あの惨劇があったから、ノーリッテに犠牲にされた人たちがいたからみんなと出会えたなんて、悲劇に感謝するようなことはもう止めだ。


 みんなが巻き込まれた不幸に関係なく俺はみんなを愛し、ノーリッテの犠牲になった人たちが死なずに済んだとしてもみんなと出会っていたと、魂の芯から断言しよう。



「あはっ。だからそのけじめとしてレガリアを潰すんだねっ? ダンの心の負の遺産もこの機会にお掃除しちゃうのっ。よーし、みんながんばろーっ」


「「「はーいっ」」」



 ニーナが、みんなが複雑な思いを抱かなくて済むようにと宣言したつもりだったのに、どうやら俺の心にこそ蟠りが残っていたようだ。



 そう、俺がみんなの鏡なら、みんなだって俺の鏡なんだ。


 みんなの為にすることが、みんなを愛することが結局は自分自身を愛することに繋がっていく。



 俺自身こそがあの惨劇を受け入れ、そして乗り越えていくために。


 そろそろ過去の亡霊どもには、完全に退場してもらうとしよう。

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