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※R18シーンに該当する表現をカットしております。
「ステータスプレートの認証だけ変えて、俺達で貰っちゃわない? この建物」
放置されたノーリッテの研究所に訪れた俺とキュールは、研究資料を移動するよりもこの研究所自体を貰ってしまう事を思いついた。
けれどキュールが片付け出来ない以上、実際に研究所を管理するのはチャールとシーズになりそうだからなぁ。
あの2人の居ないところでこれ以上話を進めるわけにはいかないか。
「この研究所ごと貰っちゃうかもしれないんだから、資料の移動はまたの機会にしようか。二度手間になっちゃうから」
「だね。一応ここの資料の殆どは頭に入ってるし、読んだ事が無い資料を探すのも時間がかかりそうだ。今日は引き上げよう」
キュールに抜粋してもらったマジックアイテムの資料は仕舞わずにひとまとめにしておいて、俺が適当に読み漁った資料は元に戻しておく。
……だからキュールさぁ。人が片付けをする度にそうギョッとした顔をするなっての。
出したら仕舞うは基本だからね? 特に必要書類の管理は整ってないと、実作業にも影響するんだからさぁ。
「あっとそうだ。一応この建物のステータスプレート認証を確認しよう。場合によっては回収、もしくは破壊しておかないと」
もうノーリッテもゼノンも死んでいるのは間違いないけれど、キュールがレガリアを脱退した後にここを訪れた別の人物がいる可能性はゼロじゃないからな。
建物を頂戴しようと思って再訪したら締め出されましたー、は間抜けすぎるでしょ。
「キュール。防犯用のマジックアイテムが設置してある場所は分かる? 我が家と同じで、建物の中心付近に設置してあるのかな?」
「うん。見たことがあるから案内出来るよ。もしも登録者があの2人だけだった場合は、登録者情報が消滅してるはずだ」
「そうなったらそのまま上書きできるのかな? だったらラッキーだね」
1人で歩みだそうとするキュールの手を握って、照れる彼女と一緒に資料室を出る。
ステータス認証と言えば、いい加減我が家の認証システムも新しくしないといけないんだよなぁ。
ターニア以降に迎えた家族は、自宅の鍵を開けられない状態なんだもん……。みんな常に俺と一緒にいるけどさ。
資料室も建物の中心付近にあった為、セキュリティマジックアイテムの設置場所にはすぐに到着した。
「……うん。やっぱりステータスプレートが未登録の状態になってるみたいだね」
触心を使ってマジックアイテムの情報を読み取るキュール。
なんで態々触心を使ったかというと、本来このマジックアイテムはステータスプレートを登録していない者が情報を閲覧することが出来ないからだそうだ。
分かりやすく言うとハッキングしてるわけね?
この世界にインターネットがあったら無双しそうですわ。
ちなみに施錠中だとこのマジックアイテムに触れるだけで吹き飛ばされてしまうそうなので、取り扱いには注意するようにと改めて釘を差されてしまった。
施錠していなければ防犯システムも作動しないらしいので、以前俺達がスポットに遠征していた時に教会の子供達に触られていたとしても、ムーリが鍵を開けていてくれたおかげで問題なかったらしい。
危ない危ない。知らずに子供達を危険な目に遭わせなくて良かった……。
「オッケーダンさん。このまま私達のプレートを上書きできそうだ。早速登録しちゃう?」
「そりゃしない手は無いでしょ。キュールが知らない相手が追加登録されてなくて良かったよ」
「いや、どうやらここのリジェクトヴェールは2人までしか登録出来ないようだね。完全にあの2人で使用することを想定されて建てられた建物みたいだ」
「リジェクトヴェールって?」
「……このマジックアイテムのことだよ? 自分の家にも設置してあるのに名前も知らなかったのかい?」
やれやれと肩を竦めるキュール。
いやぁ済みませんね。我が家のリジェクトヴェールは俺達が入居する前から設置されてたもので。
「登録上限人数が2人は使いにくすぎるな。後から増やすことって出来ないの?」
「残念だけど上限人数を追加するのは無理なんだ。マジックアイテムを作成した時にしか設定できないんだよ」
「つまり新しいリジェクトヴェールを用意する必要があるってことか。我が家にも新しいリジェクトヴェールが必要だし、あとでまとめて作っちゃおう」
忘れずに自分たちのステータスプレートを登録し、今日のところは研究所を後にする。
空を見上げると、まだ日没には早い時間のようだ。
「そう言えばキュール。お前ってレガリアの資料を殆ど読み尽くしたって言ってたよね? それってここの研究所にある資料に全部目を通したってこと? それとも他の場所の資料も目を通した?」
「他の場所の資料にも目を通したよ? それがどうかした?」
「ってことはさ。キュールのポータルがあれば、王国中のレガリアの拠点、改めて潰して回れるんじゃない?」
「…………あ。たっ、確かに私は王国中のレガリアの拠点を回って……!」
「勿論キュールが回った施設がレガリアの全ての拠点ってわけでないだろうけど……。歴史的資料とか暗躍していた証拠集めも兼ねて、1度全部回ってみたほうがいいかもね」
「そ、そうだね……。建国の英雄譚の真実はレガリアにしか残ってないと思うし、ノーリッテとゼノンが死んだ今、誰かが回収して保護しないと失われてしまいかねない。そうなったら歴史的損失だ」
「もしも実行するなら電光石火で一気に全ての施設を回る必要があるだろうから、みんなも交えて相談しようか。ベッドの上でね」
「ベッドの上でって……。いったいみんなとナニを交えるつもりなんだか……」
おーっとぉ? キュールは下ネタもいける口かなっ?
せっかくなので思い切り下ネタを振ってみたいけど、話を振るのはまた今度だっ!
研究所に間違いなく施錠して、シャロを迎えにスレッドドレッドの巣穴に転移した。
「あら? 随分と早かったですねご主人様。そんなに私に会いたかったんですか?」
「会いたかったって言うか、離れたくなかったんだよーっ!」
どうやらスレッドドレッドの飼育に関する引継ぎは終わっていたようで、外に椅子とテーブルを出して全員で和やかにお茶を楽しんでいたらしいシャロたち。
仕方ないですねぇと言いながら両手を広げて立ち上がったシャロを、キュールと一緒に抱きしめる。
「……ふむ? 私を迎えたばかりですのに、キュールさんもお迎えしてしまったのですか?」
何も言わなくても一瞬で俺の事情を察するシャロと、お互いの情報を交換する。
実はスレッドドレッド飼育の引継ぎなんてほとんど無くて、俺が転移してからずっとお茶していたらしいシャロ。
頭の良いスレッドドレッドの飼育にはあまり注意点のようなものは無く、今回のように不測の事態に陥った時に対応できる能力こそが求められているそうだ。
「えー? じゃあなんで引継ぎなんて嘘まで吐いてこの場に残ったんだよぉ」
「ご主人様を愛しているのとは少し違いますが、それでもこの子たちも愛している事には変わりませんから。なんて、ご主人様なら言わなくてもご存知でしょうに」
15人の愛妾たちは、愛を捧げて幸せにしてきた人たちだ。
もしかしたらシャロにとって息子とか弟みたいな感覚なのかもしれないな。俺に向けてくれるのとは別の愛情を注いであげたいわけだね。
「ふふ。シャロを独占すると言いながら、ちゃーんとシャロの大切なものを大切にしてくださるご主人様が大好きですっ」
くぅ……! シャロが可愛すぎて文句も言えないぜぇ……!
半日も離れていないのにメロメロにされながら、シャロと離れていた時のことを報告する。
「同じ日にご主人様と婚姻を……。つまり私たちは同期という事ですね。頑張りましょうキュールさん」
「頑張るってナニをっ!? 同期の妻とか聞いたことがないから普通に接して欲しいかなぁっ!?」
キュールに慎ましく頭を下げながらも、俺にこっそり悪戯してくるシャロ。
どうやら既に頑張る気満々のようですね?
「シャロ。もうお茶会は終わりでいいの? まだ日没までには時間があるけど」
「構いませんよ。この子たちとはこれからもずっと一緒ですし、所有権が城から離れた以上不測の事態は起こらないと思いますから。そ、れ、にぃ……」
俺への悪戯を継続しながら、ゆっくりとした動作で俺の耳元に移動するシャロ。
「ご主人様もやる気満々みたいですしぃ。シャロももう我慢の限界なんですぅ……。早くご主人様に可愛がって欲しいなぁ……?」
甘く淫らにおねだりの言葉を囁くシャロ。
なんかこの人、色狂いの仮面を脱ぎ捨てた後のほうが数千倍エロいんですけど?
キュールとシャロを正面から抱き寄せて、移動する前に愛妾たちにも声をかけておく。
「分かってると思うけど、犯罪奴隷は移動魔法を覚えちゃダメだからね? でも移動魔法の利用を禁止されてるわけじゃないから、街に行くのは自由にしていいよ。職業浸透も進めて欲しいしね」
「ええ。我々の扱いもシャーロット様に説明を受けておりますのでご安心を。私たちの不手際でシャーロット様の幸せに水を差すようなことは決して致しません」
「ぶっぶーっ。残念だけどその答えじゃ足りませーん」
「は?」
自分の言葉を否定されるとは思っていなかったらしいスランが、意表を突かれて困惑の表情を浮かべている。
けど俺の可愛いシャロに愛されてきたくせに、シャロの幸せを願う程度で許されると思うんじゃねぇぞぉ?
「俺の最高に可愛いシャロより素敵な女性を見つけるのは容易じゃないと思うけどさ。これからお前らは色んなところに行って色んな人たちと出会って、いつかお前たちにも家庭を持って欲しいと思ってるよ」
「ど、奴隷の私たちが、家庭って……!」
「別に奴隷の子供が奴隷になるわけじゃないし、気にしない女性だって探せば居るんじゃない?」
そんな女性が本当にいるかどうかは知らないけどねー。
もしも居なければ、奴隷ってハンデを覆すほどのいい男になってもらえばいいさ。
「シャロに救われたお前たちがシャロと居た時以上に幸せになること。それが1番シャロが喜ぶことだと忘れないでね? シャロの幸せを見守るだけで満足してたら許さないから」
「……肝に銘じておきます」
神妙に俺に頷いた後、スランは1歩前に出て、未だ俺に抱き締められたままのシャロの前に立った。
毎回愛妾とシャロの真剣なやり取りを俺が台無しにしている気がしないでもないな?
「シャーロット様。貴女が幸せになった以上に、私たちも幸せになってみせます。ですからシャーロット様も私たちに負けないくらい幸せになってくれないと困りますよ?」
「素晴らしいですよスラン。では勝負といきましょうか。私達の一生をかけた大勝負です」
スランに話し掛けながらもずっと俺に抱きついたまま、シャロが流し目だけをスランに向ける。
これはきっとシャロが彼らに見せ続けてきた、色女としてのシャロの姿なんだろう。
「既にこの世界の誰よりも幸せな私を超えるのは簡単じゃありませんよ? でも愛する貴方達ならきっと出来ると信じます。みんな、全員で勝負ですからね?」
「「「はいっ! 受けて立ちますシャーロット様!」」」
「宜しい。それでこそ私が愛した、そして生涯愛する男たちです」
決意を瞳に宿したかつての愛妾たちに見送られ、俺と一緒に転移するシャロ。
彼らに気付かれないようにこっそりと彼らを見たシャロの表情は母性に溢れ、彼らを心から愛し、信頼しきっているのが伝わってくるようだった。
……そんな流れからここに転移して来たのは、ちょーっとだけ気が引けるかなー?
「あら? こちらは何処でしょう?」
「えっ? ダンさん、なんで研究所に戻ってきたんだい?」
俺が発動したポータルの転移先は、かつてのノーリッテの研究所だった。
そう、俺はシャロを拾って、研究所にとんぼ返りしてきたのだ。
「ここはキュールと一緒に調査した研究所だよシャロ。そしてキュール。なんの為に戻ってきたかなんて、ナニの為に決まってるじゃないかぁ!」
「きゃっ?」
「うわわっ!?」
察知スキルを発動しつつ、研究所前で2人を押し倒す。
ここ自体は拓かれた場所とは言え、恐らく山深い場所にあるであろう研究所の前は芝生のようになっており、寝転んでも背中に負担はかからないだろう。
「シャロもまだ好色家が浸透しきってないし、キュールは好色家の転職条件すら満たしてないからね。帰る前に条件を満たして、今晩から全員で楽しもうねー?」
「こ、好色家の転職条件って……。ま、まさか屋外でするのっ!?」
「ふふ。先日巣穴の前でも沢山愛してくれましたし、外でされるのが好きなんですか? 今度も沢山可愛がってくださいね、ご主人様っ」
くっくっく。学者としてちょっとインモラルな生活に慣れた感じのキュールよ。
えっちには慣れているようだが、インドア派のお前が野外でえっちしたことは無かろうよーっ!
お前の初めて、旦那の俺がしっかり貰ってあげるからねーっ! 2人とも大好きぃっ!




