579 淫靡
※R18シーンに該当する表現を大幅に(2000字程度)カットしております。
「可能性だよぉっ! ダンさんは可能性の塊なのさーっ!」
椅子に座っている俺の上に跨ったキュールさんが、覆い被さるようにして激しいキスをお見舞いしてくる。
告白していた時は照れ照れしてたくせに、スイッチが入ると豹変するタイプなのかな。
キュールさんが激しく動いてもいいように背中を支えながら、キュールさんが満足するまでキスを楽しむ。
「……っはぁ!」
息継ぎする為に、ようやく口を解放してくれたキュールさん。
我が家の奥さんズは、キスが大好きな人ばかりで大変素晴らしいですね?
俺が背中に添えている両手に体重を預けながら、からかうように口を開くキュール。
「涼しい顔してくれちゃってさぁ。これでもキスには自信があったつもりなんだけどねぇ?」
「自信持ってキュールさん。めっちゃ気持ちよかったから」
「……だからぁ。そうやって平然とされてると、好評なのか不評なのか分からないんだって……」
不満げに言いながら、今度はゆっくりと唇を重ねてくれるキュールさん。
さっきまでの獰猛さは鳴りを顰め、体や首を悩ましげにくねらせながら、ねっとりとした淫らなキスをしてくれる。
なんというか、エロい気分が乗った時のティムルを思わせる雰囲気だ。
「キュールさんってもっとこう、研究馬……研究一筋だと思ってたから、こんなに積極的に迫ってこられるとは思ってなかったよ。いい意味で裏切られちゃったなぁ」
「私ももう28だからね。結婚相手としては歳が行き過ぎているが、遊び相手にするにはちょうどいい年齢なんだよ。誰とでも寝たってわけじゃないけど、それなりに遊んでる方じゃないかな?」
「ふーん? キュールさんってエロいこと好きなんだ?」
「……あまりにも直球過ぎるよダンさん。これじゃムードも何もあったものじゃない」
再度唇を重ねながら、呆れたように肩を竦めるキュールさん。
でもね、ノーリッテの研究所で迫ってきておきながら今更ムードもへったくれも無いんだよ? ちゅー。
「好きかどうかと聞かれれば好きと答えるけどね。数日間部屋に篭りっ放しでの研究はストレスが酷くてさ。そのストレスを発散するために、結構気楽に関係を持ったかもね」
「あー。里の外に出れば超稀少な種族だもんね、魔人族って。妊娠の心配が無いから、誘われた方も気軽に遊んじゃうわけかぁ。これまた合理的だわ」
「合理的……と言われるのは嫌いじゃないけどさぁ。その言われようは流石に複雑だよ?」
抗議するように思い切り唇を押し付けてくるキュールさん。
こういう男に媚びたようなキスは我が家でも珍しいなぁ。
「研究ばかりしていると、たまには衝動の赴くままに獣のように性を貪りたいと思う時があるんだよ。流石に合理的ってだけで体を許したりはしないさ」
「合理的ってのは言葉の綾だよ。気分を害したなら謝るよ。ごめんね?」
「……ん、いやいいけどさ。気楽に遊んでたって言ったのは私のほうだし」
キスと会話を続けながら体をくねらせ、器用にシャツを脱いでいくキュールさん。
ヴァルゴと同じ紫色の肌に、フラッタサイズのおっぱいが目に眩しい。チラ見で凝視しておこう。
「……そんなに私の胸が気になるのかい?」
くっ、残念ながらバレバレだったらしい……!
キスをしつつもおっぱいを凝視していただけだというのに。
「リーチェさんやムーリさんを好き放題しているダンさんには少々物足りないサイズだと思うけど、それでも気になるものかい?」
「サイズを気にする男は二流だよ。おっぱいで気にすべきはいつだって、誰のおっぱいであるかという事だけなんだ」
「……どういうことだかさっぱり分からないけど?」
研究者であるキュールさんに俺の情熱が理解されないなんて悲しいなぁ。
そりゃ俺が特別おっぱい好きなのかもしれないけど、大なり小なり男はみんなおっぱい大好きだと思うんだよ?
俺のおっぱいへの情熱と探求心、その身に思い知らせてあげるねキュールさんっ!
「い、いい加減……。休ませてよぉ……」
「ダメでーす。俺のお嫁さんになるならこのくらいは慣れてもらわなきゃ困るよ?」
ぐったりしながらも、何とか会話できるくらいまで回復したキュールさんの懇願を容赦なく却下する。
俺に嫁いでおきながら休ませてなど片腹痛いわっ。
「大丈夫キュールさん? このあと続き出来る?」
「この人、言動が噛み合ってないよぉ……。そんな心配するなら、休ませてぇ……」
「しょうがないなー。好色家も浸透してないから許してあげるよ、今回だけねっ」
ぐったりしているキュールさんを抱き締め、少しの間休憩してもらう。
このあとに備えて、今はゆっくり休んでね。
「あ……ダメだダンさん……。このままじゃ、このままじゃ寝ちゃいそうだよぉ……」
「げっ。我が家のえっち初体験のキュールさんに無理させすぎた?」
「う~っ……! まさかあれだけでここまで消耗させられるなんてぇ……」
不満を口に出来るくらいには元気は回復したみたいだけど、正直どうしようかな?
別にここでキュールさんを抱かなきゃいけない理由は無いし、みんなと一緒に愛し合っていち早く好色家の転職条件をクリアするっていう手もあるけど……。
「キュールさんが限界なら止めてもいいよ? このまま抱きしめててあげるから、とりあえずひと眠りしとく?」
「ここまでしておいて最後までしないのは無しだよダンさん……。でも私は動けそうもないから……。ダンさんの好きにしてくれるかい……?」
「えっ、いいのっ!? マジで好きにしちゃうけどっ」
「くっ……! 声を弾ませるダンさんに私の本能が警鐘を鳴らしてるけど背に腹は代えられないか……! す、好きにするがいいよっ……!」
肌を重ねる為にその身を差し出すって、100パーセント俺が得してるだけで笑っちゃうね。
でもその決意に免じて、キュールさんのこともいっぱい可愛がってあげよう。
パンツスタイルのキュールさん服を最低限だけ脱がせていく。
これは俺が着衣えっちが好きだという事もあるけど、なにが起こるか分からない場所でキュールさんを全裸にするのがちょっと躊躇われたからだ。
アウターの最深部ではみんなをよく裸に剥いている気がするけど、ここでは考えないものとします。
そして無事に最後の一線を越えた俺とキュールさんだったけど、元々消耗していたキュールさんはぐったりとしていて少し辛そうだった。
「大丈夫キュールさん? 少しこのまま休憩しようか?」
初めて訪れた場所で、俺の問いかけに答える余裕も無いキュールさんの、我慢するようなくぐもった声だけが聞こえてくる。
適当に片付けたこの部屋はなんだか妙に生活観が出て、肌を重ねる俺達に淫靡なムードを演出してくれる。
研究の合間のストレス発散って、こんなエロい雰囲気で肌を重ね合っていたのかな?
「ねぇ、ダンさん……。そのままでいいから何かお話してくれないかい……?」
「ん? 話すのはいいけど、何かって?」
「私が知らない話、何か無いかな……? ダンさんが見つけた未知の何かを聞きながらダンさんに愛されたいんだよ……」
えっち中も知的好奇心を満たしたがるとは、筋金入りの研究馬鹿なんだなぁこの人。
しかし、キュールさんも知らない話かぁ。
何気に色々詳しいこの人が知らない話ってなにがあるかな?
「そうだなぁ……。俺達が踏破したアウターの話でもしようか? 一応国内のアウターは全部制覇しちゃったし」
「ぜ、前人未到の奈落の最深部まで行っちゃったって事かい……。凄まじいね……」
俺におもちゃにされている事も忘れて、各アウターの話に熱心に聞き入るキュールさん。
非戦闘員のキュールさんはあまり積極的にアウターに潜れなかったそうで、思った以上に食いついてくれた。
特に奈落の最深部の巨大な穴の話をした時は大いに興奮してくれた。
「奈落の穴に、終焉の向こう側、かぁ……。本当に大冒険してるね、ダンさん」
「始めはステイルークを飛び出すだけでも大冒険だったんだけどねー。どうしてこうなった? って感じだよ」
「へぇ? そんな初々しいダンさんも見てみたかったなぁ」
刺激に慣れてきたのか、それとも興味の対象が俺に移っただけなのか、すっかり回復した様子のキュールさん。
肌を重ねながらの世間話って、何故か結構興奮致しますね?
「奈落の底も見てみたいけれど、終焉の向こう側も見てみたいねぇ。確かそこって、ガルクーザとの雌雄を決した決戦の舞台だったはずだしさっ」
「……え?」
キュールさんが溢した呟きに、完全に意表を突かれてしまった。
ガルクーザとの決戦の地だって……? あそこが……?
ティムルが戦慄した、終焉の向こうの無の世界。
あそこもまた、ガルクーザとの決戦で生まれたこの世界の歪み……なのだろうか?
ていうか踏破された記録が無いはずの終焉の箱庭の向こう側が決戦の場所って……。
仮にこの話が本当だとして、逆になんでキュールさんはその事実を知りえることが出来たんだ……?
……ヤッバいなぁキュールさん。
まだ婚姻すら結んでいないっていうのに、既にこの人を世界中連れ回したくなってる自分がいるよっ。
※こっそり設定公開。
外見に関する言及があまり無かったキュールですが、どこかの馬鹿に口説かれる程度には容姿が整っております。
ダンも初遭遇時404『面会』の際、キュールの事を『若くて綺麗な女性』と評していたりします。




