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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
8章 新たな王と新たな時代1 色狂いの聖女
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577 鏡

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

「さぁシャロ。そろそろ移動しなきゃ」



 シャロの幸せな姿を見たいという愛妾たちの願いに応えて、シャロの15人の愛妾の前でシャロとのイチャイチャラブラブを目いっぱい堪能する。


 心から愛した女性が目の前で他の男に抱いているというのに、愛妾たちの瞳は何処までも穏やかだった。



「奴隷とはいえ城門前に人を待たせてるんでしょ?」


「え~? シャロはこのままずーっとご主人様といたいです。ダメ、ですか……?」


「可愛いシャロのおねだりは聞いてあげたいんだけど……。参ったなぁ、可愛すぎるよシャロ」


「はぁぁぁ……。大好きなご主人様に可愛いって言ってもらえるの、大好きです……」



 仮面を脱いだシャロがメロメロになりすぎてしまって離してくれなくなってしまった。


 ひとまず周囲の愛妾たちからシャロのおっぱいを隠す為に両腕でぎゅっと抱きしめて、シャロとの甘いひと時の余韻を楽しむ。



「あはっ。ご主人様ったらまだまだ余裕そうですね? これは好色家だけじゃ説明がつきませんよ~?」


「これ以上はシャロに負担がかかっちゃうよ。シャロ、いい子だから自分の限界以上におねだりするのは程々にしてくれる?」


「そこでダメって言わないご主人様、大好きーっ!」



 ニコニコ笑顔のシャロと、お互いのほっぺにキスの交換をする。


 ちょいちょい口にもキスをしたがるんだけど、会話も続けたいらしく、ちょっとだけもどかしそうにしているシャロ。



 完全に周囲の状況を忘れて俺のことしか見てないな。


 シャロのことだから、意識して情報を制限してるのかもしれない。



「こんなシャーロット様、今まで1度も見たことがありませんよ……」



 始めは泣いたり穏やかに見守ったりと、それぞれ色んな反応を見せつつも喜んでいたシャロの元愛妾たちも、色狂いの仮面の下に隠れていた可愛すぎる素のシャロの反応に困惑し始めたようだ。


 それでも決して壁際から近づいて来ないのは感心するね。



「ダン様にシャーロット様を託したのは間違いではなかったようですが……。ダン様と私たちで、いったい何が違ったというんでしょう?」



 スランと呼ばれる、シャロの最も古い愛妾が俺に問いかけてくる。


 会話が長引くほど俺と過ごす時間も長引くからか、2人きりの空気に割って入ったスランに嬉しそうな笑顔を向けるシャロ。



「俺に様付けは要らないよー。俺はシャロの夫であって、アンタたちの所有者じゃないんだから」


「ではダンさんと。ダンさんとシャーロット様は以前から見知った仲だったみたいですが、それにしたってたったひと晩でシャーロット様をここまで変えるなんて……。私たちとダンさんって、いったい何が違ったのですか?」


「……俺とアンタらの違いはたった1つだよ」



 一旦言葉を切ってシャロを見ると、またしても嬉しそうな笑顔でうんうんと頷いてくれていた。


 今まで自分自身すら騙し通してきたシャロは、俺が自分のことを理解してくれていると感じるのが好きなのかもしれない。



「アンタらは色女のシャーロットの誘いに応じ、俺は応じなかった。俺達の違いはそれだけだよ」



 正解のご褒美と言わんばかりに、シャロが思い切りキスをしてきてくれる。


 いやもう最高に気持ち良いんだけど、好意が真っ直ぐで幼くて、まるで家族に迎えたばかりの頃のフラッタみたいだなぁ。よしよしなでなで。



「え、ええ……? シャーロット様の誘いに応じなかったからって……。なんでそれだけで?」


「昨日から暇さえあればお仕置きと称してシャーロット様を弄んでいたダンさんが誘いに乗っていないというのも、微妙に納得がいきませんよ? 出来ればもう少し詳しく教えてもらえますか」



 いやいやアンクよ。お仕置きと称してって言うかマジでお仕置きだからね?


 てめちゃくちゃ楽しかったのは否定しないけど。



 というかお仕置きをしたあとでさえ俺はシャロとの肉体関係を断ってたの、お前だって見てたじゃんかぁ。



「それだけって言うけど、その一点こそがシャロにとっては重要だったんだよ? だってシャロ、本当は色事なんて全然好きじゃなかったんだもん」


「…………は?」


「男から望まれるままに色女を演じていただけで、シャロ自身は色事なんて望んでいなかったんだ。だからその一線を越えるかどうかっていうのは、アンタらが想像している以上に重要な点なんだよ」



 先ほどクズの部屋で説明した事を改めて口にする。


 あの最低の下種野郎は仕方ないにしても、シャロを心から愛したこの人たちですら騙し通すんだからシャロは本当に凄いよ。



「ま、待ってください! 私たちは皆シャーロット様に命じられてシャーロット様を慰めさせていただいていたんですよ!? 色事がお好きでないなら、どうしてそんなことを命じられたのです!?」


「それはどっかの馬鹿の目を逸らす為だよー。飽きたと言われたことへの意趣返しだった可能性もあるけどねー」



 説明しながらちゅっちゅっとキスの雨を降らせると、くすぐったそうに笑ってくれるシャロ。


 こんな姿を見せられたら、えっちが好きじゃないなんて言われても信じられないだろうなぁ。



「男に弄ばれたその日から、シャロは色女の仮面を被って自分自身を守ったんだ。素のシャロの情緒は12歳の少女の時に止まってしまったと言っていい」



 弄ばれても平気な自分、弄ばれたことを楽しんでいる仮面を被り、本当の自分の1番大切な本音を隠して守り通したんだ。


 だけど仮面を被っている事を自覚していたら仮面の意味が無くなってしまうから、シャロは自分の本当の想いを自身の奥深くに封印しちゃったんだよね。



「シャロは本当に頭がいいから、女性としての自分の魅力に自覚があったんだ。だからね? シャロは魅力的な自分の誘いを断ってくれる男をずっと待っていたんだよ」


「そん……な……!? シャーロット様が色事を楽しんでいらっしゃるのは本当だとばかり……」


「シャロと心から通じ合う為には、色女のシャーロットとは決して肌を重ねちゃいけなかったんだ。奴隷として買われたアンタたちにはそもそもの拒否権は無かったかもしれないけどさ」



 正直な話、俺だってこんな魅力的なシャロに買われて相手をしろと言われたら断るのは絶対に無理だろう。


 スペルディア王家の人間として半分くらい敵対視していたからこそ拒否できただけで、下手をすればシャロを原因に寝返る男がいてもおかしくないほどにシャロは魅力的な女性なのだ。



 傾国の美女というのは、まさしくシャロみたいな女性のことを言うんだろうなぁ。



「素晴らしいですご主人様っ。私自身ですら自覚の無い事を、そこまで正確に把握されているとはっ」


「大好きなシャロのことで頭がいっぱいだからねー。でもシャロが自覚していないのは仕方ないんだよ。その自覚があったら色女の仮面の効果が無くなっちゃうから」


「ですね。色事が好きじゃない自分を隠したいと自覚していては、色女を演じても素の自分を守りきれませんから」



 俺の言葉にシャロ自身がうんうんと同意を示してくれる。


 元々かなり頭が良かったんだろうけれど、男に弄ばれて常に命の危機を感じていた環境のせいで、シャロの思考能力は一層研ぎ澄まされていったのだろう。



「そんなシャロが税金を着服するのってちょっと不思議に感じていたんだけど、シャロが自分自身すら騙していたと考えると納得するんだよ。多分シャロは素の自分を忘れる為に、自分の想像力を無意識にかつ意図的に止めてしまったんじゃないかな」


「……はい。私が手をつけた税金の裏に、どのような人たちがどのような思いを持って携わっていたのか、ご主人様に言われるまで全く考えた事がありませんでしたよ。知識としては頭に入っていたはずですのにね……」


「あの件に関しては俺も悪かったよ。何も知らずにシャロを責めたりすべきじゃなかった。シャロとあの馬鹿が国庫に手をつけたからといって追加の徴収があったわけでもなかったのに、つい感情的になっちゃったんだ。本当にごめん」



 トライラム教会の人たちが税金で苦しむ姿を見て、絶望の日々を過ごしていたコットンを見て、俺の都合だけで一方的にシャロを責めてしまった。


 そりゃあシャロのしていた着服行為は犯罪には違いないけれど、この世界の王族スペルディア家の振る舞いとしては、特に問題があったわけでもなかったっていうのにな。



「あの時はカッとなっちゃったけど、冷静になればシャロが不幸にしてしまった人間なんて誰も居なかったと気付いたんだ。手をつけたお金ももう完済済みみたいだし、シャロが気に病むことなんて何もないからね?」


「それを言うなら、ご主人様こそ気を病む必要は無いでしょう? まったくご主人様ったら、何でもかんでも背負ってしまわれるのですから……」



 2人で謝罪しあって、お互いを慰めるようにゆっくりと唇を重ね合う。


 慰め合うって言うか、励まし合っているような感じかもしれないけど。




「……どうして、どうしてダンさんだけがそこまでシャーロット様の本質に近づけたのでしょう?」


「……むー?」


「だってダンさん。昨日まではシャーロット様のこと、何もご存知無かったのでしょう? なのにたった1日でシャーロット様本人すら自覚が無いことまで把握してしまわれるなんて、いったいどうやって……!?」


「……ん~」



 シャロとしつこくキスをしながら、スランの問いかけに思考を巡らす。



 どうやってって言われると、本当に自分でも分からないだよなー……。


 だって昨日の俺って、ひたすらシャロの乳首を苛め倒したあとにプロポーズしただけだし?



「……うちの参謀殿が言うにはさ。俺って鏡みたいなものらしいんだよ」


「鏡、ですか?」



 スランに答えた筈なのに、目の前のシャロが首を傾げている。


 その瞳にはエロいことをしている最中なのに情欲の色は薄く、俺の事を理解しようとする鋭利な洞察力だけが感じられた。



「以前から我が家の司令官は、俺の中身が空っぽだってよく言ってたんだ。俺って本当に家族のことしか考えてないんだってさ。今もこうして大好きな可愛いシャロのことで頭がいっぱいになってるみたいにね」


「んふー。シャロの頭も心も体の中も、ご主人様でいっぱいですよっ」



 俺の言葉を理解しようと思考を巡らせながらも、合間合間に俺の喜ぶ言葉を返してくれるシャロ。


 そうだねとシャロにキスをして、彼女をぎゅーっと抱きしめながら続きを話す。



「司令官の言葉を考察したうちのエロ参謀殿がさぁ。女は俺を愛することで、俺を通して自分自身と向き合っているんだって言うんだよ。俺を愛してくれることで、みんなは自分自身も愛してあげる事が出来るんだって言うんだ」


「ご主人様を通して、自分自身を愛している……?」


「俺はただみんなが大好きなだけで、大好きなみんなを愛しているだけのつもりなんだけどねー? みんなはいつも、俺を愛した分の愛情がより大きくなって戻ってくる、なーんて言うんだよー」



 俺はただみんなのことが大好きで、大好きなみんなのことを少しでも気持ちよくしたくて、みんなの事だけを考えて、全身全霊でみんなを愛しているだけなんだけどねー。



 多分俺の洞察力が優れているんじゃなくって、みんなが勝手に俺を通して自分を見詰め直しているだけなんだろうな。


 その時の思考が、肌を重ねている俺にも伝わってくるってだけで。



「なんか俺って、女性から見ると甘えやすいらしいんだ。俺自身は良く分からないんだけどね」


「あ、それには心から同意します。ご主人様、シャロをどこまでも甘やかしてくださいますからっ」


「シャロを甘やかすのは、可愛いシャロのことを俺が甘やかしたいからだよ。で、それも参謀殿が分析してね。中身が空っぽの俺は女性に求める物が何も無いから、女性は安心して素の自分でいられるんだってさ」


「ご主人様は、女性に何も求めない……」


「俺はみんなに嫌われたら生きていけないと思ってるんだけどねー?」


「…………っ」



 質問してきたはずのスランはなぜか息を飲んで黙り込み、そのまま壁際に下がってしまった。


 なので俺は、このままシャロと会話を続けることにする。



「参謀殿が言うには、俺は家族からの愛さえも自分から求めることが出来ないんだってさ。ひたすら愛を受け取って、愛を返すことしか出来ていないんだって」


「受け取って、返すだけ? だから、鏡……」


「これは極論だけど、俺はみんなが笑っててくれれば、みんなが俺以外の男を愛したとしても気にしないらしいんだよ?」



 流石にそれは言いすぎだと思うけどねぇ?


 大好きなみんなが俺以外の男と愛し合うなんて、想像するだけでも腸捻転が発症しそうなくらいに腸捻れ返るんだけど?



「奪われ続けた私を救ってくれた貴方は、奪われるものすら何もないほどに壊れてしまっているのですね……!」



 俺の話を聞いたシャロはおねだりを止めて、ただ俺を静かに抱きしめてくれた。



 でもねシャロ。何も気にしなくていいんだよ?


 空っぽになるまで壊れたおかげで、こうしてシャロと出会うことが出来たんだから。







 ようやくシャロの私室を出る事に成功した俺は、とりあえず奴隷全員を1度アルフェッカに連れ帰り、そこでペネトレイターたちに戦闘の指導をしてもらう事にして丸投げした。


 新王即位式が終わるまでの休暇の間はペネトレイターたちにみっちり扱き上げてもらって、それが終わったら奈落と終焉の箱庭に派遣する予定だ。



 スレッドドレッドの管理はシャロの最も信頼している者たち、シャロの元愛妾15人に一任してしまう事にして、聖域に戻る前に彼らを飼育小屋に送り届ける。


 いくら受け入れることを決めたとは言え、俺の愛する可愛いシャロとお前らを一緒にさせたくないんだぁいっ!



「自分からはなにも求められないから、妻の目が他に向かないように環境を整えているのですか? ご主人様は不器用でいらっしゃいますね」



 そんな俺を呆れたように笑いながら、スレッドドレッドの飼育に関する引継ぎと指導の為、飼育小屋にシャロを置いていく。



 ……って、これじゃ意味無いじゃんっ!?


 でもキュールさんとの約束を果たして来いと言われたら、全く反論出来ないよぉ……。



 笑顔で送り出してくれるシャロを置いて、独りがっくりと肩を落としながら聖域に戻る。


 するとニーナたちはなぜか奈落に行ってしまったようで、キュールさんが1人で俺を待っていた。



「私の護衛は集落の皆さんが買って出てくれてね。整合の魔器の調査も進まなかったから、ニーナさんたちやチャールたちにこれ以上付き合ってもらうのが悪くってさ」



 どうやら整合の魔器に触心を試してみたところ、触心に用いられる魔力を吸い取られてしまい、情報の吸出しが出来なかったらしい。


 熱視と精霊魔法でも新たな情報は見つけられなかったという事で、みんなはキュールさんを残して奈落に向かったそうだ。



 昨日手合わせ出来なかったから張り切ってるのかな?


 でもみんなで手合わせするならここでやったっていいだろうに、何で態々奈落に行ったんだろ?



「私はいつでも行けるけど、ダンさんの都合はいいのかい?」


「大丈夫だよ。妻を迎えに行かなきゃいけないし、さっさと行って……って、行く前に呼び出しておくか。造魔、タイニーコロッサス!」



 城に行っている間にすっかり魔力も回復したので、出発前に6体のタイニーコロッサスを召喚しておく。


 イントルーダーとしては小柄なタイニーコロッサスだけど、4メートルクラスの人型なので、出来ることは色々とあるだろう。



「……そんなに簡単にイントルーダーを呼び出さないでもらえるかな? 戦えない私は、コイツらと同じ場所に立っているだけでも辛いんだよ」


「そこは勘弁してよ。魔力が回復したタイミングで呼び出していかないと、いつまで経っても聖域の樹海が片付かないからさ。まぁ辛いなら直ぐに離れよう」



 青い顔で不満を口にするキュールさんの手を取って、アナザーポータルで聖域の樹海を脱出する。



 今更だけど、樹海が壊滅したのにアウターの広さに変化は無いっぽいな?


 本当に木の部分はアウターとは見做されておらず、フィールド型アウターの聖域の樹海とは別判定だったようだ。



「それじゃ早速案内させてもらうよ。『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル』」



 即座にキュールさんがポータルを発動し、転移口が出現する。


 この先がノーリッテの個人研究所か。防衛システムとか無いといいなぁ。



 なんて考えているうちにとっとと転移していったキュールさんの背中を追うように、慌ててポータルに足を踏み入れた。




「えーと、とりあえず危険は無さそう……かな?」



 ポータルの先は、ちょうどスレッドドレッドの飼育場所のような、森深い場所が人為的に拓かれたような場所だった。



 目の前には個人宅というには少し大きめのログハウスが建っていて、家の周りは広い庭のように整地されている。


 囲いのような物は無いけれど、家の周囲は木々が生い茂っていて暗くなっており、簡単に人が訪れそうな場所には見えなかった。



「……あ」



 警戒しながら近付くと、丸太小屋の前に血に塗れた襤褸切れが落ちていることに気付いた。


 襤褸切れは良く見るとシャツのようで、右腕の先が綺麗に断たれていた。



 ……これってもしかしなくても、ノーリッテがあの時着ていた服だろうか?



「さぁてダンさん。時間も限られているし、私も興味津々なので早速調査と言いたいところなのだけど……」



 俺が襤褸切れに気を取られている間に、キュールさんが小屋の前に進んで行く。


 警戒している俺と違って、この場に来た事のあるキュールさんには危険が無いって分かっているのかな?



「……1つ、ダンさんにお願いがあるんだ」


「お願い?」



 俺に背を向けたまま、けれど小屋への侵入を阻むように小屋の入り口に立ち塞がるキュールさん。


 お願いを聞いてくれないと、ここは通してあげないよってこと?



「無茶な話であることは承知のうえでお願いするんだけどさ……」



 ……あ、なんだこれ。なんか今デジャブったぞぉ?


 以前もこんなことを誰かに言われたこと無かったか? アレは確か、ヴァルゴを迎えた直後に竜爵邸で……。



「ダンさんっ! 私のことも貰ってもらえないかなっ……!?」


「…………」



 紫の顔を真っ赤にして振り返り、振り返った勢いで俺の顔も見ずに愛を告白するキュールさん。


 決死の覚悟で告白してくれたキュールさんには申し訳ないけど、マジかぁ……って想いが強すぎて反応が遅れてしまう。



「もも勿論っ、ニーナさんを始め、ダンさんの奥さん全員に許可は取ってあるよっ!?」


「……だろうねぇ」



 ……これあれだ。完全にエマを貰った時の再現だわ。


 ニーナたちもグルってことは、わざと俺とキュールさんを2人っきりにしやがったなぁ……?



 でも、なんでいきなりこんなタイミングで愛を告白されたんだろう? シャロの時以上に心当たりが無いんだけど?


 しっかし、突然女性から愛を告げられる事に慣れ始めている自分が、ちょっとだけ恐ろしく感じるねぇ……。

 狙っていたわけではありませんが、ピッタリと色狂いの聖女編終了です。次話からは8章第2節をお楽しみください。

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