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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
8章 新たな王と新たな時代1 色狂いの聖女
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570 ダークホース

※R18シーンに該当する表現を大幅に(2000字程度)カットしております。

「流石にそろそろ起きないとだめかぁ……」



 大好きなシャロから離れたくないんだけど、今日中に済ませるべき用事にも数多く残っている。


 シャロを愛するからこそ寝室から出なければならない。



「キュールさんとも外出の予定があるし……。城に行って正式にシャロの事を貰って、出来れば婚姻も結んであげたいな」


「……私、本当にご主人様のお嫁さんになれるんですか? 夢じゃなく?」


「俺の子供を孕んでおいて、今更離れられると思わないでよシャロ。シャロが嫌だって言っても生涯捕まえて、絶対に放さないからね?」


「その言葉、忘れちゃ嫌ですよ? ご主人様っ」


「もしも言葉は忘れても、可愛いシャロを大好きな気持ちは絶対に忘れないよ」



 改めてシャロを強く抱き締め、その耳元に宣言する。


 えっちに夢中になっちゃうと言葉は忘れちゃうかも知れないからね。でも大好きな気持ちだけはいつまでも変わらないから。



「あは。なら安心ですね。ご主人様、どうか私を常に捕まえておいてくださいませ……」



 安心したように体の力を抜きながら、甘えるようにゆっくり抱き付いてくるシャロ。


 2人の温もりを確かめ合うように正面から抱きしめ合っていると、シャロが思い出したように口を開いた。



「……ご主人様、シャロを愛してくれて本当にありがとうございます。色に狂った情婦で申し訳ありませんが、生涯よろしくお願いしますね」


「ははっ。シャロが色狂いなら俺なんてなんだって話になっちゃうよ。可愛いシャロ。生涯俺と愛し合って、俺の子供を沢山産んでくれたら嬉しいよ」



 でも実際の話なんだけど、シャロが色狂いなら俺はなんなんだって話になるよね。


 俺なんて好色家はおろか……。



「……ちょっと待て。マジかマジかマジかぁっ……!?」


「ご、ご主人様……?」


「あっ、ごめんシャロ。なんでもないよ。ちょっと素敵な事に気付いただけだからねっ!」


「あ……あふぅ……」



 可愛く首を傾げるシャロの頭をよしよしなでなでしてあげると、シャロは安心したように体の力を抜いてリラックスしてくれた。



 ちらりとみんなの方を見ると、ティムルとリーチェは俺と同じ答えに辿り着いたらしく、それぞれニヤニヤしたりはぁはぁしたりしている。


 どっちがどっちの反応かは想像にお任せしますって? はぁはぁ言ってるのがリーチェに決まってます。



 シャロは間違いなく好色家の職を得ている。それは鑑定でも確認出来るから間違いない。


 そしてシャロは心から愛し合った複数の男性、具体的に言えば15人もの男性と同時に関係を持っていた時期があるわけだ。



 コレってつまり、我が家に2人目の艶福家が誕生するって事じゃないのぉ……!?



 いやでも、シャロとは同じパーティを組むか微妙だ。


 今までアンクたちとパーティを組んでいたようだし、そんな彼らも引き取る予定だから、俺達とシャロは同じパーティを組まない可能性が高く、怒涛の全体エロ補正は活かせない可能性が高い。



 しかぁしっ! 艶福家大先生には、性欲増進大効果スキルが与えられているのだぁいっ!



 種族的に脆弱でみんなと同じくらい愛するのが難しいと思われたシャロが、まさかのダークホースだったなんて……!


 今後の我が家の性生活に期待せずにはいられないなぁっ!






「んー。流石に今から私たちの相手をしたら遅くなりすぎちゃうの。今朝は諦めよっか」



 身支度を整えてシャロを抱っこしていると、我が家の司令官ニーナが朝のお勤めの中止を宣言してくる。


 一瞬抗議しかけたんだけど、昨日の全力の搾取を思い出して言葉が出なかった。



「そうね。私たちは昨日数日分搾り取っちゃったわけだし、朝の分くらい諦めましょ。シャロさ……シャロにはショッキングな光景だと思うしねぇ」


「先ほどのシャロの姿を見ると、水を差すのも悪いのじゃ。今は存分にダンを独り占めするが良いのじゃ」


「うわー。みんな大人だなぁ……。ぼくはダンに愛してもらえなくて普通にがっかりしちゃってるよぅ……」


「ふふ。リーチェは2人分愛してもらわねばいけませんから大変ですね?」



 う~ん。残念なような助かったような、我ながら複雑な気持ちだな?


 みんなの事もめちゃくちゃにしてやりたい気持ちも確かにあるんだけど、今はこの可愛いシャロを存分に甘やかしてあげたい気持ちも強いのだ。



 恐らくニーナは、時間よりも俺のこの感情を汲み取ってくれたんだろう。



「遠慮させてごめんねみんな。でもせめておはようのちゅーだけはさせて欲しいな?」



 シャロを抱き締めたまま5人と少しキスを交わして、シャロを抱っこしたまま食堂に下りる。


 どうやらチャールとシーズは外で訓練中らしく、お茶を飲みながらキュールさんが1人で書き物をしていた。



「おはようダンさん。相変わらずの女泣かせだねぇ? 袖にされちゃったかと思ったよ」


「そういう笑えない冗談は勘弁してよ。おはようキュールさん。待たせついでに食事させてもらっていい?」



 キュールさんに断って、シャロを入れた7名で遅めの朝食をいただく。


 適当に用意した……っていうと用意してくれたみんなに悪いけど、庶民的な料理にもシャロは全く抵抗を見せずに、それどころかとても美味しそうに平らげてくれた。



「……不思議ですね。お城の食事も決して嫌いではないのですけど、今日の朝食は今まで食べてきた中で1番美味しい朝食でした」


「シャーロット様……じゃなくてシャロだった。シャロの気持ち、ぼくも良く分かるよ。独りで食べてた食事にも不満なんて無かったのに、今じゃみんなと一緒に食べないなんて考えられないもん」



 いやいや。それってリーチェが食いしん坊なだけじゃん?


 なんてからかってあげると、大きなおっぱいをバルンバルン揺らしてほっぺを膨らませるリーチェ。



 ありがとう、眼福です。



「それで、どうするのかなダンさん? 私はいつでもいけるよ。それはつまり、後回しにされても構わないよって意味だ」


「ん、気を使ってもらって悪いね」



 どうやらキュールさんはシャロのことを知っているらしく、シャロ周りで色々と先に済ませなきゃいけない事があると察してくれたようだ。


 キュールさんとの研究所探索は後回しにしてもいいと言ってくれている。



「あー……。出来れば研究所の資料を見てからの方がいいと思ってたけど、先に整合の魔器を調べてみる? 触心ありで」


「それは魅力的な提案だけど、いいのかい? シャーロット様を妻に迎えるなら、一刻も早く城へ向かうべきだと思うけど?」


「いや。どっちにしても聖域の樹海に行って、今日の分のスレッドドレッドの餌を用意しなきゃいけないからね。だからキュールさんを聖域に送って、調査をしてもらってる間に他の用事を済ませてーって流れがいいかなって思ったんだ」



 今更守人たちがキュールさんを害するとは思ってないし、俺の都合でいつまでもキュールさんを待たせるのは忍びないからな。


 キュールさんは少し迷った後、最終的には整合の魔器の調査を希望した。好奇心に勝てなかった模様。



「それじゃ私たちも、今日は聖域の樹海で手合わせをしましょうか。キュールさんの護衛にもなるし、守人たちになら私達の手合わせを見せても問題ないでしょうしねー」


「……それじゃ俺がキュールさんを送る意味無くない? でもみんながキュールさんの傍に居てくれるなら確かに安心かな」



 ティムルの提案に軽くツッコミを入れつつ同意する。



 あ、でもお姉さんたちだけじゃスレッドドレッドの餌を運搬出来ないから、俺が行かないって選択肢は無いのか。


 多分ティムルはそれに気付いているんだろうけど、ニコニコと素敵な笑顔を返してくれるだけだった。可愛い。



 ということで本日の仕合わせの暴君メンバーは、聖域の樹海で手合わせ兼、キュールさんの護衛をして過ごすらしい。



「いっそお姉さんとリーチェも整合の魔器の調査に参加してみてもいいんじゃない? 2人の能力は調査向きでしょ?」


「ん、そうね……。熱視と触心の違いも詳しく検証したいし、キュールさんが良ければお手伝いさせてもらおうかしら?」


「ほほほほんとかいっ!? いやぁ凄く心強いよっ。熱視と精霊魔法は触心で拾えない情報をキャッチできる可能性が低くないからねっ。私の方からお願いしたいくらいさぁっ!」



 お姉さん組がキュールさんの調査に協力する事が決まって、どうせ手合わせをするならとチャールとシーズも誘って、みんなで聖域の樹海に転移した。



 聖域の樹海に到着すると、たった1日で結構拠点の建設が進んでいる事に驚かされる。


 守人たちの職業浸透数、この世界じゃ断トツに多いんだろうな……。



 整合の魔器の調査を開始する前に、余計なトラブルを回避する意味も込めて建設中の拠点に顔を出す。


 整合の魔器を守護する守人に無断で整合の魔器の調査を始めたら、いくら俺達でも心証を悪くしてしまうだろうしな。



 ちょうどいいところにルドルさんが居たので、レリックアイテムの調査を報告。


 ご自由にどうぞと返されてしまって、ちょっと肩透かしされた気分だ。



 ついでにサークルストラクチャーを20個ほど渡してしまうことにした。



「もう俺が世話を焼く必要も無いと思うから、これは自由に設置してくれていいからね。あえて3等分に出来ない数を渡したから、各部族で話し合って上手いことやって欲しい」


「ええ。ありがとうございます。ディローム、グローグ、ガローブ、全ての者と話し合って、我らにとっての最善を探りたいと思います」



 戦闘力も職業浸透数も断トツの守人たちを俺が世話する意味はもう無い。


 ゼロから拠点を作りなおすことになってしまったけれど、それでも今までよりもずっと豊かに生活してくれるはずだ。



 ルドルさんとの話を終えたら、今度はスレッドドレッドの餌用の木材を取りに行く。


 流石守人と言うべきか、俺が頼んだ仕事を最優先でこなしてくれたらしく、拠点の周辺には製材された山のような木材が積まれていた。



 その量に驚きながらも若干申し訳なさを覚えていると、それに気付いた近くの守人が声をかけてくれた。



「別にダン様の依頼だからという理由だけで優先したわけではありませんぞ?」


「あ、そうなの? 夜の間に用意した量にしては凄い量に思えるけど……」


「かなりの量に見えると思いますが、これでもまだ倒木1本分にも満たない量なのです。つまり、最優先で片付けをしないと土地が空きません」


「あ~……。俺とは無関係に優先したってことね」



 餌として積まれた木材が数メートルくらいの高さの山になってるけど、そもそもの倒木がめちゃくちゃ大きいんだった。


 守人的にもありがたい作業なのね、倒木の解体って。



「こ、これは……。スレッドドレッドたちの餌の心配は無さそうですね。問題は運搬方法ですけど」


「それも一応考えてはいるんだ。ちょっとシャロには刺激が強すぎるかもしれないけど」


「え? きゃっ……?」



 何も言わずに強引にシャロを抱き寄せる。


 シャロって乱暴にされた経験が多そうなのに、強引な行動を取ると凄い可愛い声出すよね?



「こんな量の倒木、人の手で解体も運搬もしてられないからね。今回はちょっとだけズルさせてもらう。造魔、エンシェントヒュドラ!」


「えっ? えっ……? ええええええっ……!?」



 シャロの悲鳴と共に現れる、無数の首を持つ巨大ドラゴンエンシェントヒュドラ。



 あまり造魔スキルのことは広めたくないけれど、家族になる予定のシャロは例外だ。


 キュールさんを通して帝国にも伝わるかもしれないけれど、召喚士のことさえバレなきゃセーフの精神でどんどん活用していこう。



 グルトヴェーダ開拓では竜王ばかりを酷使してしまったからな。


 今回はオールスターで頑張っててもらおうじゃないかぁっ。

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