548 お休み
※R18シーンに該当する表現を大幅(2000字程度)カットしております。
リーチェにはまだ本人すら知らない秘密がありそうだ。
そんな風に緊張感漂う情報共有は、最終的に家族みんなリーチェの事が大好きだという結論に落ち着いた。
みんなは泣いているリーチェと寝ているアウラを代わる代わる抱き締めたり撫でたりしている。
リーチェの相手をみんなに任せた俺は、皆の相手を一生懸命こなしたのだった。
「あ、そう言えば教会施設の調査は延期になりそうだよ」
エルフェリアに行く前にムーリに聞いた伝言を思い出し、家族が揃っているこの場で改めて共有しておく。
恐らくムーリ自身に聞いてるとは思うけど、自分でも言及しておけば確実で安心だ。
「それでさ。ムーリたちとラトリアたちの職業浸透は進めるとして、仕合わせの暴君メンバーはまた休暇に入ろうかなって思うんだよね」
「あはーっ。お姉さん、休暇は歓迎なんだけどぉ……。アウラたちに魔物狩りをさせておきながら私たちだけ休むのは、ちょーっとだけ気が引けちゃうわねぇ?」
みんなを可愛がりながら明日以降の予定を相談する。
するとティムルがちょっとだけ難色を示した。
「勿論アウラたちとも一緒に休暇を楽しもうと思ってるよ。家族みんなで楽しくえっちな休暇を過ごしたいからねー」
「職業浸透を進めながら休暇も取るの? どういうことかしらぁ?」
「単純な話だよ。魔物狩りの時間を短縮して、アウラたちともエロい事をいっぱいしようと思ってるんだ」
「ちょっとダン。職業浸透を進めなきゃいけないのに、魔物狩りの時間を短くしてどうするの……って、そっか! アウラたちが今いるのは奈落だったわね……!」
「ご明察だよお姉さん。アウラたちはもう3階層を突破してるからね。5人の実力なら3日もあれば最深部に侵入できると思うんだ」
奈落の最深部は、俺達も職業浸透で大分お世話になった超効率のレベリングフィールドだ。
俺達よりも職業浸透の遅いアウラたちでも、半日もあれば職業の浸透が進むと期待できる。
どうせ俺が同行しないと1日1回しか職業設定してあげられないからな。
奈落の最深部に潜れるのであれば、上限LV100の上級職でも半日も居れば浸透が終わるだろ。
「最深部にさえ到達できれば、魔導師を浸透させてる人が4人もいるんだから余裕で殲滅が可能でしょ? 午前中に魔物狩りをしてもらって、1日1つペースで浸透を進めてもらう感じを予定してるんだ」
「私たちほどの浸透速度は見込めなくても、あそこで半日も戦ってれば余裕で浸透が終わるわよね……。了解よダン。それならお姉さんも休暇に大賛成だわーっ」
お姉さんが賛成してくれるなら何の憂いも無いな。
他のみんなも異論なさそうだ。
それじゃあ休暇で決まりかなと思い始めたとき、リーチェを抱きしめているヴァルゴが提案してくれる。
「アウラたちに気が引けるのでしたら、アウラたちの探索中は奈落の中継地点辺りで手合わせでもして過ごしましょうか? 私たちが腕を上げるには、もう互いと手合わせをするしかないでしょうし」
「ぼくもヴァルゴに賛成だよ。娘が頑張ってる時にダンと愛し合うのはちょっと気が引けちゃうし、ヴェノムクイーンみたいな存在もいるからね。ぼくらもまだまだ腕を上げなきゃ」
ようやく泣き止んだリーチェが、決意を新たにやる気を漲らせている。
ふむふむ。それじゃ傾国の姫君と双竜の顎は午前中に奈落で職業浸透を済ませ、俺達仕合わせの暴君メンバーはその間手合わせしまくる感じでいいのかな?
「というか、皆さんは職業浸透を進めなくて良いんですか? 確か竜騎士などの種族専用職業って、どこまでも上限無く鍛えられると聞いていますけど……」
「へえ? よく知ってるねラトリア。その通りだよ。竜爵家には竜騎士の情報が結構詳細に伝わってるんだねー」
「ええ。魔物を狩れば狩るほど強くなると伝わってるんです。鑑定の使える皆さんなら、もっと詳細な情報も分かるんでしょうけど」
ラトリアのドヤ顔にほっこりする。
っていうか、鑑定スキル無しで種族専用職業にレベル上限が無い事を知るのって、普通に無理じゃないのか?
脳筋竜爵家のことだから、魔物狩りと手合わせを交互に繰り返して、その浸透具合を検証したりしたんだろうか……?
「確かに種族専用職はどこまでも加護が強まっていくんだけど、俺達仕合わせの暴君の場合は、これ以上加護を得る意味って殆ど無いんだよ。だからこれ以上職業浸透を進める気が無いんだよねー」
「職業の加護を得る意味が無いって……。そんなことあり得るんですか?」
「うん。大体だけど30職も浸透が進んじゃうと、もう自分に累積している職業の加護って扱い切れてないんだよ。だから俺達は職業浸透を進めるより、浸透した祝福と加護をより引き出して上手く扱う訓練こそが重要なんだ」
「み、皆さんですら扱いきれないほどの祝福と加護の力ですかぁ……。想像できませんねぇ……」
想像できないとか言ってるラトリアも、既に職業浸透数は20を超えている。
出会った頃のリーチェを越える職業浸透数なのだから、もうラトリアの敏捷補正なんかも過剰に累積してるだろうなぁ。
「それじゃ休暇の予定も決まったことだし、この予定は究明の道標の3人にも共有しておこうか。それとアウラが起きたら、今日のうちに少しでも奈落の探索を進めておいてね」
「「「はーい」」」
今日はもう午前中がほぼ潰れちゃうから、休暇は明日から消化する事にしよう。
ニーナもフラッタもムーリもヴァルゴも全く離れてくれる気が無さそうなので、今日はもう全員を順番に愛してあげるしかないかなぁ?
早くお姉さんもリーチェもおいで。
エマとターニアも、たぁっくさん可愛がってあげるからねーっ
アウラが起きるまで全員を何度も可愛がり、目覚めたアウラのこともしっかりと可愛がる。
腰砕けのアウラたちを奈落に送り出したあと、究明の道標の3人にも休暇の予定を伝えるべく、マグエルの家に転移した。
どうやらチャールとシーズは庭で手合わせをしていて、それを見ながらキュールさんが資料作りをしているようだった。
「あ、ちょっと待ってダン」
「ん? なぁにニーナ」
3人に声をかける前に、気配遮断を発動したニーナに声をかけられる。
何ゆえに気配遮断?
「チャールたちへの連絡はダンだけで充分だよね? 私たちみんなで立ち会う必要は無いでしょー?」
「へ? そりゃあ休暇の話を伝えるだけだから、俺1人でも充分だと思うけど?」
「言質は取ったのっ! それじゃみんな、こんなのはどうかなーっ?」
はしゃぐニーナの提案に、大喜びで乗っかるみんな。
うん。気配遮断ってエロに最適なスキルだってこと、忘れていたんだよ……。
ニーナの作戦決行が決まったので、俺に拒否権は無い。
何よりエロ系大作戦を拒否する気は毛頭ないので、ニーナの指示に従ってチャールたちに声をかけた。
「お疲れさん。3人ともちょっといいかなー?」
「お? ダンが1人とは珍しいな? ニーナたちはどうしたんだよ?」
「今回はシーズたちに連絡しに来ただけだからね。俺1人で会いに来たんだ」
シーズの反応で、声をかけた俺以外の気配遮断効果は失われていない事が確認できた。
エマにすら気付かれない気配遮断スキルにこの3人が気付くのは無理だよなぁ。
「会いに来たって言うか、ここはダンさんの家なんだけどね。まぁいい、連絡ってなんだい?」
「ここじゃなんだから家に入ろうキュールさん。お茶くらい出すからさ。2人も休憩がてら付き合ってくれる?」
「ん、了解だよー。ダンの連絡も普通に気になるしねっ」
ニーナの指示通りに3人を我が家に招き、食堂に案内してお茶を淹れる。
その間もずっと気配を遮断したみんなが、3人にばれないように俺の体を弄ってくる。
お茶請けとお茶を用意し、3人と向き合うように着席したところで本番がスタートだ。
「け、今朝家族で話し合ったんだけど、新王の即位式が終わるまで休暇にしようと思ってるんだ」
「休暇? お休みするんだー?」
首を傾げるチャールの前で、姿を消した家族みんなに悪戯されるというこのシチュエーション……!
最早字面だけでも興奮してくるシチュエーションを思い付いたニーナの天才性に慄きを隠せない……!
「トライラム教会から連絡があってね。即位式が終わるまで旧本部施設の調査は待って欲しいみたいなんだよ。こっちも聖域の樹海の調査がひと段落したし、ちょうどいい機会かなってさ」
「うんうん了解。私たちとしても特に問題ないよー。むしろ溜まってきた資料作りを消化できてありがたいくらいかな」
「でもよ。別にそんなの俺達に連絡しなくて良くないか? ダンたちが勝手に休んでくれても俺たちには影響無い気がするんだけど」
うおおっ! シーズ、質問してこないでぇ……!
長引けば長引いただけ、この天国のような地獄が延々とぉ……!
「旧本部施設には3人も連れていく予定だったしね。ちゃんと予定は共有するよ」
「ふむ。真面目なことだね。ちなみに休暇中、ダンさん達は何をしているのかな?」
「今までと変わらないよ。家族で仲良く過ごすつもり。でも職業浸透の時間を減らして、その分家族で過ごす時間を増やしたいんだ」
「どこかに出かける予定は無いのかい? 他のアウターを探索したりとか」
「今のところその予定は無いねー。基本はマグエルでみんなとデートして過ごそうって思ってる。キュールさんたちもマグエルにいるみたいだしね」
みんなから伝わってくる感触に必死に耐えながら、究明の道標と会話していく。
両耳にはフラッタとニーナからの愛の告白がずーっと囁かれているし、俺の両手はがっちり固定されているからお茶も飲めないし、なんなんだろうねこの状態。
「休暇については了解だよー。でもそれだけで私たちを家に招いてお茶をご馳走してくれたの? これなら家の前で話してくれても良くない?」
「チャールとシーズが訓練してたから、休憩がてらにお茶でもって思ってね。他意は無いよ」
実際はニーナの指示なんですけどね?
君達の眼の前でエロいことをするために家に招いたんだよー、なんて流石に言えないんですよ。
「あっ、じゃあダン。ちょっと聞きたい事があるんだよ。もし時間があるんだったら少し話を聞いてくれないかなっ」
シィィィィズ! お前、もしかしてこの状況見えてんじゃないだろうな!?
ニーナが最高の笑みで話を聞けと指示してくるんだけど!? この快楽地獄が長引いてしまうぅぅぅ!
「構わないよ。こっちの用件は済んだからね。なんでも言ってよ」
「ほんとかっ!? ありがたいよっ! 俺達じゃ浸透した職業が少なすぎて、資料作りががなかなか進なくってさぁ!」
「あはっ。シーズったら完全に恋する乙女の目をしてるのっ。将来はシーズも一緒にダンに悪戯してるかもしれないねっ」
「ふぅむ。そうなったらちょっとだけ羨んでしまいそうなのじゃ。ダンとの子供を生せるなど、これ以上ないほどに羨ましいからのぅ」
だーっ! 好色家姉妹うっさいっ!
ただでさえ全身エロスで塗れている状態なのに、変なこと言ってシーズを意識させるようなこと言わないでぇ!
「ふぅぅぅ……。旦那様、楽しい時間になりそうですねぇ……?」
うなじに吐息を噴きかけながら、妖艶に問いかけてくるヴァルゴ。
ヤ、ヤバい。全員のエロスイッチが全開に解放されている!
こ、この状態で発射は禁止って、完全に拷問過ぎるんだよーっ!?




