541 帰省
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
「ここからは2人の番だよ。ひと晩中可愛がってあげるからね?」
ムーリたちと沢山肌を重ねたあと、アウラとリュートと共に奈落を脱出して、直ぐにエルフェリアに転移する。
リュートの生家まではリュートのポータルで一気に飛べそうだったけれど、リュートとアウラの両方が徒歩で向かう事を望んだので、エルフェリア精霊国の入り口から3人で手を繋いで歩いていく。
道は昼間にライオネルさんに確認済みだし、リュートも恐らく把握している事だろう。
「ここがリーチェお姉ちゃんの生まれ故郷のエルフェリア精霊国かぁ……。ようやく来れたー! って感じだなー」
「姉さんが生きていた頃と比べると、かなり人気が無くなっちゃったけどね。街の外観は当時と変わってないかも」
俺を挟んで会話している2人は、周囲の様子を確認するようにキョロキョロと忙しなく頭を振っている。
現在のエルフの全人口が300人前後という事もあって、エルフェリア精霊国は国とは名ばかりの集落のような規模のコミュニティだと思う。
かつては国土の大部分を森林地帯が占めていて、徒歩で入国しようとする者を阻む広大な迷いの森が広がっていたらしい、んだけど……。
世界樹と繋がっていたエルフェリア精霊国の大森林はマグナトネリコの出現によって魔物化し、ヴァンダライズで世界呪と共に消滅してしまった。
おかげで今のエルフェリアの大部分は、すっかり禿げ上がった不毛の大地となっているそうだ。
幸い居住区画の周囲の森は無事だったので、リュートにはちゃんと懐かしさを感じてもらえているようだ。
「どちらにしても迷いの森を案内することは出来なかったから、エルフェリア観光にはあんまり影響ないかな? 尤も、ここに森林を取り戻そうとしているエルフ族の将来は前途多難だと思うね」
「あはは、リュートだってエルフ族じゃないっ。なんでそんなに他人事みたいに語っちゃってるのよー」
「いやぁ……。他人事みたいって言うか、他人事なんだよね実際……」
今日のアウラはリーチェママを封印して、リュートのことをリュート呼びしている。
2人で本当のリーチェの事を語り合いたいと、リュートの方からリュートと呼んで欲しいと提案したのだ。
「ここで暮らしたのは物心がついてから数年程度で、後はずっとスペルド王国を旅し続けていたんだもん。故郷への思い入れなんてとっくに無くなっちゃったよぉ」
「う~ん……。そう言われちゃうと仕方ないのかもねー。私もパパとの生活が激しすぎて、以前のことなんて殆ど思いだせなくなってきたもん」
「そうそう! ダンと出会ってからはずーっと幸せすぎてさぁ。幸せじゃなかった時のことなんて思い出せなくなっちゃうんだよねー」
ねーっ! と頷き合いながら両側から抱き付いてきてくれる2人。
微妙に歩き難いけど、可愛いので俺からも抱き寄せて2人との密着度を更に上げる。
「可愛い奥さんと娘に恵まれて俺こそ幸せなんだけどね。それでリュート、道はこっちで合ってる?」
「うん。合ってるよ。でも懐かしいなぁ……。昔は母さんや姉さんと手を繋いで歩いたっけ……」
「リュートとリーチェお姉ちゃんが歩いた道なんだね、ここは……」
遠い昔を懐かしむリュートと、リーチェとリュートの過去に思いを馳せるアウラ。
俺達はリュートの記憶を確かめるように、ゆっくりとした足取りで目的地に向かった。
「……ああそうだ。ここだよ。確かにこんな場所だった……」
リュートの案内で暫く歩いて、半分くらい木と一体化した少し広めのツリーハウスに到着する。
彼女の反応的に、どうやらここが目的地で間違いなさそうだ。
リュートは家の前で足を止めて、ただ黙って俺にぎゅっと抱き付いている。
今の彼女の頭の中にはどんな想いが駆け巡っているんだろう。
俺もアウラも言葉を発さずに、黙って目の前のツリーハウスを眺め続けた。
すると暫くして、リュートが静かに俺の腕からすり抜け、1人で家の前の広場に歩を進めた。
「ここはぼくの家の庭でね。よく姉さんに稽古をつけてもらってたんだー……」
「……そっか。リーチェとリュートの思い出の場所なんだね、この庭は」
「うん……。普段忙しくて構ってくれない姉さんが稽古に付き合ってくれるのが嬉しくて、母さんに怒られるまでずっと稽古をせがんだっけ……」
穏やかな笑みを浮かべながら、懐かしそうに呟くリュート。
そんな彼女の言葉を聞いて、あーっ! と何かに納得したような反応を見せるアウラ。
「その話、リーチェお姉ちゃんに聞いたことがあるよっ。ここがリーチェお姉ちゃんの言ってたお庭なんだねぇ……」
「へぇ? 姉さんも家の事を? なんて言ってたの?」
「んっとね。私の妹はまだ12、13の少女の頃から、大きなおっぱいをぶるんぶるんって揺らしながら剣の稽古をせがんでくるのよーって」
「なんで姉さんは毎回ぼくのおっぱいの話しかしてないのさっ!? せめて剣の話もしようよ姉さーーんっ!」
しんみりしていた空気が一変し、リュートの全力ツッコミの声が響き渡る。
初対面のアウラがリュートを認識した時も、褐色の肌と巨大おっぱいが判定の決め手になった気がするなぁ。
「大体姉さんだっておっぱいは小さくなかったからねっ!? おっぱいネタで姉さんにイジられる筋合いは無いんだけどっ!?」
「なぁアウラ。リュートはああ言ってるけど、本当にリーチェお姉ちゃんのおっぱいも大きかったの?」
「えー? リーチェお姉ちゃんのおっぱいはティムルママと同じくらいだったかなー? 大きい方ではあるけど、リュートにはまったく太刀打ちできなかったと思うよ?」
ほうほう。リュートのお姉さんのおっぱいサイズはティムルと同程度、手の平に収まりきらないくらいのサイズですか。
確かに世間一般的に見れば充分巨乳に分類されるサイズですな。大変素晴らしいですね。
でもその区分でいくと、リュートとムーリのおっぱいって超とか爆とかって呼称されちゃうからね……。
お姉さんにおっぱいネタで弄られるのは仕方ないと思うんだよ? 俺もお前のおっぱいには注目しちゃうから気持ちは分かるもん。
「おっぱいの大きさで太刀打ちっていったいなんなのさっ!? っていうかダン! 今の質問はどんな意図があって出てきた言葉なのかなぁっ!?」
「いや、ティムルサイズのおっぱいの持ち主が、稽古の度にぶるんぶるんと弾けるリュートのおっぱいを見せ付けられたら、そりゃあイジワルしたくもなるのかなぁって」
「いったい何処に共感してるのさっ!? そう言えば君も手合わせの度にいっつもいっつも凝視してくるもんねぇっ!?」
いやいや違うんだよリュート。
俺がおっぱいを凝視してるんじゃない。お前のおっぱいが俺の瞳を捕らえて放さないんだよ。
俺はおっぱいの大きさに拘りはない。
まっ平らなニーナのおっぱいも、手から零れるティムルのおっぱいも、この世の全てのサイズのおっぱいを心から愛していると断言できる。
だけどリュートとムーリのおっぱいはさぁ。自己主張が激しすぎるんだよねー。
おっぱいだよーおっぱいだよーってぶるんぶるんと訴えかけてくるから、どうしても注目せざるを得ないって言うかさぁ。
「凝視しても仕方ないじゃん? 世界一美人の姫エルフのおっぱいが揺れてたら、目を奪われない男なんてこの世にいる訳ないからね?」
「な、なんでっ!? 君はぼくの夫なんだよっ!? 今更ぼくのおっぱいが揺れたところで、なんでそんなに凝視するのさっ!?」
「おっぱいが好き過ぎて申し訳ないね。でも大好きなリュートの大好きなおっぱいが揺れてたら、やっぱり今後も凝視しちゃうと思うよ?」
「う~~っ! う~~っ……!」
何か言い返したいけれど、大好きと言われて喜んでいる為反論の言葉が出てこないリュートが真っ赤になって唸っている。
何だコイツ可愛すぎか? よしよしなでなで。
「……ねぇ2人とも~。いい加減中に入ろうよー」
目的地の前でバカップルっぷりを披露する両親を、娘のアウラが呆れたように急かしてくる。
そんなアウラも捕獲して、リュートとアウラのダブル抱っこでリュートの家に足を踏み入れた。
「……流石に家具の類は置いてないね」
家の内部をひと目見たアウラが呟く。
俺も内装を確認したいんだけど、抱っこした2人のおっぱいが顔に密着している為に、今の俺の視界はゼロだ。
柔らかい。最高だ。だけど息が出来ないなぁ?
「…………ただいま」
おっぱいの感触と酸素のどちらを優先するか本気で悩み始めた時に、本当に小さい声でリュートが帰宅の言葉を口にした。
その声を聞いた俺はなんだか無性にリュートを抱き締めたくなってしまい、お姫様抱っこをやめて正面からリュートとアウラを抱き締めた。
「……ねぇダン。もうぼくの家はマグエルのあのお屋敷なんだけれどさ。それでも言わせて欲しいんだ」
「うん。聞いてるよ」
「……ダン。ぼくを家に帰らせてくれて、本当にありがとう……!」
声と体を震わせながら俺を抱きしめてくれるリュート。
そんなリュートが落ち着くまで、アウラと一緒によしよしなでなでし続けた。
俺と出会う前、偽りの英雄に祭り上げられたリュートがたった独りで過ごした、454年もの孤独の日々。
ここはその旅が始まる前の、家族と幸せな時間を過ごした大切な場所なんだ。
リュート本人はあまり拘っていなかったようだけれど、彼女をここに連れてこれて本当に良かった。
「……リュートの家はもう俺の家だけどね? 帰省するのは構わないけど、実家に帰ったりしないでよ?」
「ふふっ。実家に帰る時は愛する夫と可愛い娘と一緒がいいかな。今日みたいにさっ」
「あははっ。私にとってリーチェはママだけど、リュートはもう1人のお姉ちゃんなんだよねー。なんだか随分複雑な家族になっちゃったかもっ」
しかもパパと毎朝毎晩念入りにスキンシップを重ねているわけだからね。複雑ってレベルじゃないな?
リュートとアウラにちゅっちゅっとキスをして、3人で家の中を見て回った。
「家の中は確かに空っぽだけど、掃除はしてくれていたみたいだよー?」
埃の落ちていない室内を確認したリュートが、感心したように呟いた。
よくもまぁ人の住んでいない家を延々と管理し続けてきたもんだよ。エルフ族すげぇな。
「んー……。せっかく2人にきてもらったのに、これじゃ碌にもてなすことも出来ないよぅ。失敗したなぁ……」
「そう? 私はリーチェお姉ちゃんのお家に来ることが出来たってだけで充分だけどなー?」
「ほら、聖域の樹海の近くに別荘があるでしょ? あれって元々ニーナの実家だったんだ。それをあそこまで改装してみんなをもてなしてくれたニーナが、今更ながらに羨ましくなっちゃってさぁ」
……なんか会話の流れが不穏になってきたな?
待って待ってリュート。もう別荘なんて必要無いんだよ?
大体ニーナの家だって、別荘とは名ばかりのエロい事に特化した施設じゃん。
あんな施設を各地に建てるとか、俺ってどれだけスケベなのよ? スケベですけど。
「おいおいリュート。さっき震えるくらい感動してたのに、その家をいきなり改装するとか言うんじゃないの。お前の思い出はいったい何処に行ったんだよ?」
「いやぁ、間取りなんかには懐かしさを覚えるんだけどさぁ。家具も何も無い、ぼく達家族が住んでいた痕跡がまるで残っていない家なんか残しても仕方無いとも思うんだよね……」
「……リュート本人にそう言われてしまうと返す言葉が無いなぁ」
かつて自分が住んでいた家だからこそ、自分達が住んでいた痕跡が一切残っていないことが辛く感じる事だってあるのかもしれない。
ルーナ家を奪還した時、空っぽになった領主邸を見たフラッタも思い切り慄いていたっけ。
「う~ん……。大好きなリュートの好きにしていいよって言いたいところなんだけど、好きにさせたら間違いなくご休憩場所が増えちゃうんだよなぁ……」
「んー? パパ、ご休憩ってなぁに?」
「毎日我が家で行われてる事だよー。ニーナの別荘なんて、如何に快適に途切れなく愛し合えるかを重点を置いて設計されてるでしょ?」
「あー……。寝室が家の中央にあって、各施設から直接出入りできる間取りは斬新だよねー……。あんな別荘がもう1つかぁ……」
俺の言わんとしている事が理解できたらしいアウラが、ウンザリしたように息を吐く。
ご休憩場所がいくつがあったって構わないんだけど、何個も作られたら逆に引いちゃうって言うかさー。何事も程々がいいんだよ?
「……ダメ、かなぁ? ニーナの家とは差別化するからやらせて? お願いだよぅ……!」
だけど翠の両目を涙で滲ませ、ウルウルと上目遣いでおねだりしてくるリュートの前に、俺の理性など無きに等しいんだよなぁ。
涙目上目遣いのリュートにちゅっとキスをする。
「ダメじゃないよ。無理に差別化もしなくていい。リュートの好きにしていいからね。その代わりリュートのことは好きにさせてもらうけど」
「ふふ。そんなのこっちからお願いしたいくらいだよっ。愛するダンに好きにしてもらいたいなぁ……?」
あーもうっ! リュートにえっちなお誘いをされたら断れる訳ないじゃないかっ!
寝具もソファーも何も無いけど、幼いリュートが過ごした家だと思うと興奮せざるを得ないぜっ!
さぁリュート。ここからは夫婦の時間の始まりだよ。
えっちな奥さんのリュートを好き放題させてもらっちゃうんだよーっ!
まぁ夫婦の時間とか言いながら、愛娘の体もひと晩中楽しむつもりなんですけどねっ。




