表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
7章 家族みんなで冒険譚2 聖域に潜む危機
490/637

490 試行錯誤

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 みんながそれぞれの方向に散っていったのを見届けてから、移動魔法のコンボ転移を使ってリーチェと共にスペルディアに到着した。


 コンボ転移の間に口付けを交わし、リーチェとの甘いキスを楽しんでしまったのはご愛嬌だ。



 2人きりなのでリュート呼びしようか少し迷ったけれど、今は一応仕事中みたいなものなので、リュートとのデートだと認識するのは流石に控えよう。


 そのリーチェが蕩けた顔で腕を組んでくるからデート感が半端じゃないんだけど、みんなが真面目に聖域の調査、攻略をしてくれているんだから流石に自重しよう。



 マリアナ海峡よりも深そうなリーチェの持つ谷間に右腕を飲み込まれたまま、スペルディアにある夢の一夜亭に足を運ぶ。


 カラソルさんは中継都市の方に付きっ切りの状態らしいので、残念ながらここで会うことは出来なかった。



「いつもご利用ありがとうございます。本日はご家族11名様のご予約と、ご友人3名様が初めてのご利用で宜しいですね。ご友人の皆様は別室でお寛ぎいただきたいと」



 フロントで宿泊の打ち合わせを行なう。


 スペルディアのこの宿も何度か利用しているので、家族構成とか色々な個人情報は筒抜けだ。おかげで話が早くて助かる。



「友人も全員女性だけど、間違っても俺達の部屋に案内しちゃダメだからね? 1人は隣国からの賓客だからさ」


「と、なりますと……。ダン様のご家族が隣同士の部屋で5人ずつ、ご友人の部屋は皆さんのご利用予定の部屋から出来るだけ離した方が宜しいですね」


「うんうん。俺は家族の部屋に適当に混ざるからそれでオッケーだよ」


「入浴や食事などのサービスの提供は如何なさいますか?」 


「今回は入浴サービスの体験がメインだから、是非ともお願いするよ。友人の部屋にも同じ水準のサービスをお願いね。あ、でも友人たちは入浴したことってないかもしれないな」


「そこはご安心を。入浴を体験されていない方は今後多くいらっしゃると想定してありますので、初めてのお客様にはしっかりと説明とご案内をさせていただきますから」



 お任せくださいと、自信に満ちた笑顔を浮かべてくれる宿の従業員。これならなんの心配も要らなそうだ。


 ふと思いついて忠告してみたけど、この世界の人がお風呂に馴染みが無い事実なんてこと、俺よりよっぽど分かってるよな。釈迦に説法すぎたわ。



 初めて入浴サービスを利用するお客さんには、客と同性の従業員がしっかりと説明とサポートを行なってくれるらしい。


 ただしトラブルを回避する為に、初回の案内の際には男女は別々に割り振られてしまうみたいだ。



 この宿のメインターゲットである富裕層は入浴の仕方に説明なんて要らないけれど、初めて利用する客には最高の一夜を過ごしてもらうため、可能であれば実際に宿泊をする前に入浴の案内だけ個別で行なう方針のようだ。



 そんなことしてたらお金と人手と時間がいくらあっても足りない気がするけど、案内が必要なのは初回だけだもんな。


 その初回に丁寧なサービスを受けられたらリピーターが誕生するわけだし、長期的に見れば初期費用を惜しまない方が儲かるのかもしれない。



「ダン様が広めてくださった職業浸透の知識に基づいて、会長のカラソルが我々にも職業の浸透を推奨してくれていますからね。今や殆どの従業員が行商人まで得ることが出来ていますし、人手に関してはなんの不安もありませんよ」


「へぇ? 職業浸透を推し進めてるってことは、夢の宿グループの人たちってみんな戦えるの?」


「いえいえ。私のように戦えない者は護衛を雇って浸透を進めさせていただいているんです。その際の護衛の料金や最低限の装備代などを会長が負担してくれているんです」



 なるほど。マグエルで俺とトライラムフォロワーがやっている事をそのままなぞっている感じか。


 初期資金に不安が無ければ将来的なリターンは大きいし、その事実はマグエルで既に証明済みだもんな。



 カラソルさんのことだから、その事実にすぐに気付いて実行したんだろう。



「トライラムフォロワーのみなさんや各種ギルドと連携して、新たな仕事の創出と新規のお客様のご利用を見込んでいるんですよ。最終的に当宿のお客様になってもらうことが狙いですので、護衛の報酬も割増しでお支払いさせていただいております」


「あっはっは。高い報酬で人を集めて、最終的に宿を利用させてその金を回収しちゃうんだ? 流石カラソルさん、誰も困らせずにしっかり自分も稼いじゃうとはねっ」


「いやいや、それって完全にダンがやってることだからね? 自分がやってる時は大したことないよって言うのに、他の人が同じ事をすると絶賛しちゃうんだー?」



 リーチェがぎゅーっと抱き付きながらからかってくる。


 夫をからかう悪い口にちゅっと蓋をして、今晩の利用料金を支払った。



 以前の夢の一夜亭の利用料金は、どの宿も一律12000リーフだった。


 ムーリを初めて愛した時に支払った金額だから、一生間違えない自信がある。



 しかしカラソルさんは景気が上向いた事を感じ取って、1泊18000リーフに値上げしてしまったようだ。


 その分従業員の職業浸透が進んでいる為、サービスは以前よりも遥かに向上しているそうだけど、かなり強気だよなー。



 ……現在客足が遠退いているのは、この値上げも原因なんじゃないのぉ?



 18000リーフの宿泊費用の中にはアーティザンズスウィートの飲み放題や食事し放題の料金も含まれているけど、流石に入浴サービスの費用は追加で支払う必要がある。1部屋につき金貨3枚だ。


 つまりお風呂を利用しようとすると、1泊で金貨5枚近く飛んでいく計算になるわけだ。



 1発光魔玉が1晩で無くなるのだから、去年の秋ごろまでの俺だったら絶対に利用できてないなぁ。



「料金に関しては我々も不安でしたけどね。会長が絶対に大丈夫だと押し切ったんですよ」


「え、カラソルさんの独断で値上げしたんだ……?」


「今のところは客足が遠退いておりますけれど、マグエルの宿などでは新規のお客様が増え始めているということですし、今では従業員一同、今後どうなっていくのかと期待感でいっぱいですね」


「値上げしたことで新規の顧客を獲得するのかぁ……。凄いなぁカラソルさんは」


「いや、だからそれもダンがやってることだからね? 今までの常識なんか知らない、新しい常識ではこのくらいは普通だーって言いながら物凄い報酬を払って、支払ったお金以上の金額を回収してるのはダンだからね?」



 まーた夫をからかう悪い口にはフタをしなきゃ……。



 って、なに言い終わると同時に目を閉じて唇を差し出しているのリーチェ。全部計算づくでやったことなの?


 ならお前の思惑に乗ってやるよぉっ! ちゅっちゅっ。



 このまま夢の一夜亭に居るとやっぱり2人で駆け込みたくなってしまいそうなので、リーチェを引き摺って聖域の樹海に急いで転移したのだった。






「それじゃ世界樹の葉と宿り木の枝を作ってみようか。アウター深層のレアドロップ品らしいし、ひとまず王金貨10枚から始めてみるよ」


「じゃあぼくは逆に、金貨1枚から金額を増やしていってみるね。ティムルとダンのおかげで魔力枯渇の心配も無いからどんどん試そうっ」



 リーチェと肩を並べて座り、2人でアイテム生成スキルを試していく。



 硬貨からのドロップアイテム創造は既に何度か試したことがあるんだけど、スキルでドロップアイテムを生み出す際には硬貨以外の触媒を必要としない代わりに、生み出すドロップアイテムの正確な金額が必要となるので非常に面倒なのだ。


 一般に流通しているアイテムであればアイテム創造の価格を基準にされているから分かりやすいんだけど、アウターエフェクトのドロップアイテムのように流通量の少ないドロップに関しては、流通価格というものが設定されていないので手探りで探っていくしかない。



 もしかしたら組織レガリアには、アイテム生成を検証した資料とかも残されていたのかなぁ……?



「ん、流石に王金貨10枚は多すぎるみたいだ。次は半分かな」


「金貨1枚も安すぎるみたいで話にならないね。ぼくも金貨10枚に増やしてしてみるよ」



 手探りで価値を探らなきゃいけないのは面倒だけど、この世界のスキルの大部分は直感的に色々な情報が把握できる便利システムだ。


 流石に1リーフ単位まで直感で把握するのは難しいけれど、あまりにも適正金額がかけ離れている場合はなんとなく分かるので2人とも極端な金額から試しているのだ。



 スキルの発動に失敗しても触媒となる硬貨が失われるわけではないので、魔力量にさえ余裕があればトライアンドエラーのごり押しでどんなアイテムでも生み出すことが出来てしまうわけだね。


 心配だったのは、俺もリーチェも肝心のドロップアイテムの実物を目にしたことが無いことだったけれど、ドロップアイテムの名称と特徴が分かっているだけでもアイテム生成は発動してくれた。



「んっと、どうやら王金貨2枚から3枚の間くらいみたいだな」


「了解。それじゃぼくが2枚から試していくよ。ダンは3枚目から減らしていってくれる?」



 大体の範囲が特定できたら、次は金貨単位で検証していく。



 金貨単位、1万リーフ単位のズレまではギリギリスキルで認識できるのだが、銀貨と銅貨の金額のズレまではスキルで把握することは難しい。


 なのでそれ以降は100パターンかける100パターンを、リーチェと2人で分担して探っていくしかない。



 運が良ければ、銀貨と銅貨による端数が無い可能性もあるけどね。



「ここまでは余裕なんだよここまでは……。問題はこの先なんだよなぁ……」


「て、適度に休憩を挟みつつ頑張ろうねっ……!」



 必死に俺を激励してくれるリーチェに、お礼のキスをお贈りする。



 ひたすらアイテム生成を繰り返し、世界樹の葉の価値を王金貨2枚、金貨35枚までは特定することが出来た。


 しかし残念ながら金貨までで生成することは出来なかったので、ここから銀貨、銅貨単位の残り1万通りを2人で手分けして探っていくことになる。



「……これって本来は組織単位で試すことだよね。絶対2人でやる作業じゃないよ?」


「まぁまぁリーチェ。そこは娘の為だと思って頑張ろうよ。アウラの為の初めての夫婦共同作業ってことでさ」



 アウラの為、そして夫婦の共同作業と聞いたリーチェが、張り切ってアイテム生成を繰り返す。


 しかし魔力を消費する単調作業が続いて、流石に俺もリーチェも嫌になってくる。



 だけど俺とリーチェのペアが優れているところは、お互いがエロいのでエロいことさえしていればモチベーションが尽きることが無いという点だ。


 度々手を止めてキスしたり、お互いにえっちな悪戯を繰り返しながら、なんとか世界樹の葉の生成に成功した。



「王金貨2枚、金貨35枚、銀貨25枚と銅貨10枚。合計235万2510リーフかぁ……。王金貨クラスのアイテムなのに銅貨まで細かいわ、ったくもう」


「んー……。初めて見たけど普通の葉っぱだね? 鑑定かインベントリが無いとドロップアイテムにすら見えないよ」



 リーチェがマジマジと見詰めている世界樹の葉は、細い茎の両側に丸みを帯びた葉っぱが規則的に並んでいて、外見的にはそこらに生えている雑草にしか見えない。


 少なくとも、世界樹という響きが持つ独特の神秘性みたいなものは一切感じられないな。鑑定スキル必須だわ。



「俺達が使う分は別にして、とりあえず10個ほど用意しようか。いくらエロに積極的なエルフでも、そう短期間にポンポン出産できるわけじゃないんでしょ?」


「う~……、エルフの認識については言い返せない~……!」



 不満げにほっぺたを膨らませるリーチェを宥める為に、ちゅっちゅっと何度もキスを繰り返す。


 そりゃあアイテム生成を試しながら散々エロい悪戯を繰り返したエルフのお姫様が目の前に居ますから、エルフのエロさに対する説得力は爆発してますよ?



「肉体的にはどの種族も一緒だからね。実際の出産は10ヶ月は先の話になるから、今年中に新しいエルフが生まれる事はないはずだよ」


「来年以降は毎年必要になるかもしれないけど、今必要な数はそんなに多くないね。サクッと作っちゃおう」



 ドロップアイテムの価格さえ分かってしまえば話は早い。リーチェと分担して、更に10個ほど世界樹の葉を生成する。



 235万リーフのドロップアイテムを10個も生成してしまったので、その分の金額はエルフ族にキッチリと請求する事にしよう。


 手間賃を考えて、1つ250万リーフで請求しようかな?



 ライオネルさんごめん。一瞬にして多額の借金を背負わせてしまう事になっちゃうよ。


 しかも宿り木の枝の分も請求しなくちゃいけないから、最終的な請求額はまだまだ膨れ上がる予定です?



「宿り木の枝も同じエリアでドロップするアイテムだったらしいから、金額も近いと良いんだけどね。今日中に終わらせて夜にハッスルする為に、もうちょっとがんばろっか」


「言われなくてもがんばるよっ。これが完成したらアウラに世界樹の護りを贈ってあげられるんだからさっ」



 張り切るリーチェに激励のキスを贈り、宿り木の枝の生成を開始する。


 とりあえず試してみたものの、残念ながら235万2510リーフでは無かった模様。ちくしょう。



 ひたすら試行を繰り返し、宿り木の根の価格が139万4300リーフであることを突き止めた俺とリーチェは、細長い葉っぱが茂る細い枝を追加で10本ほど生成した。


 これでライオネルさんに請求する額は、2500万リーフに1500万で4000万リーフに決定だ。ムーリ並の借金王になっちゃったぜ。



 ま、職業浸透が進めば簡単に返せちゃう額のはずだけど。



「世界樹の葉も宿り木の枝も、見た目には普通の植物にしか見えないね? この素材からこんなに美しい腕輪が出来るなんてびっくりするよ……」



 出来上がった2種類のドロップアイテムを並べて、自分の手首の腕輪との違いに戸惑うリーチェ。


 でも素材ならこんなものじゃないの? 宝石だって原石のままだとあんまり美しくないとか言うしさ。



「素材の観察はみんなと合流してからにしよっか。大分時間かかっちゃったからね。恐らくみんなはもう合流してるはずだよ」


「宿り木の枝に銅貨が必要なくて良かったよね……。これで銅貨まで必要だったら、まだまだ終わってなかったよぉ……」


「お疲れ様リーチェ。みんなと合流するまでは抱っこしててあげるから、俺の腕の中でゆっくり休んでてよ」



 リーチェをお姫様抱っこして、目の前の魅惑の山脈に顔を突っ込む。柔らかいよぉ。むにゅむにゅ。


 えっと、みんなの反応はもう集まってるな。俺達も早く合流しないと心配かけちゃうね。



 リーチェのおっぱいが揺れないように自分の顔を押し付けてしっかり固定し、俺は愛する家族を目指して聖域の樹海を疾走したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ