468 ハブられ疑惑
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
報告を終えたヴァルゴを優しく徹底的に可愛がって、甘くて幸せな夢に浸らせてあげる。
意識を失ったヴァルゴをベッドに休ませ、俺はエマの体を抱きしめた。
「他のみんなはお休み中だから、今はエマだけの俺だよ。俺もエマを独り占めするから、エマも俺を独り占めにしてくれたら嬉しいな」
「私の……私だけのダンさん……! 大好きなダンさんを、今だけは私が独り占めにしてもいいんだ……!」
感極まったように全力で俺に抱き付いてくるエマ。
ふむ。ティムルやフラッタに比べると、全力の中にも手加減を残してくれている感じのハグで、ただただ気持ちいいな。
エマを抱きしめている右手を少し伸ばして、エマの後頭部を優しく撫でて指で髪を梳いてあげる。
獣人族のニーナはふわふわの髪質で、ドワーフのティムルは1本1本が太くてしっかりした髪質なのに対し、竜人族であるフラッタやエマの髪質はサラサラとしていて、まるで絹のような肌触りだ。
エマの髪の手触りを確かめるように頭を撫でて、抱き寄せたエマの顔中に軽いキスを繰り返す。
「今日のエマ、凄くかっこよかったよ。ラトリアの剣の隙を埋めるような見事な立ち回りだった。そんな凛々しいエマの姿に改めて惚れ直しちゃったよ」
「そ、そんなっ……。私なんて皆さんに比べれば全然っ……」
「かっこよかったし綺麗だったよエマ。こんなに素敵なエマを独り占めできるなんて幸せ過ぎるよ。愛してるよエマ。大好きだ」
もう絶対に放さないからねとぎゅっと抱きしめる。
キスで口から愛情を伝え、耳元で愛を囁き愛情を伝え、俺の全部で愛情を伝えていく。
「こんなに素敵なエマが、竜人族だと年寄り扱いされちゃうなんて信じられないなぁ。いくら愛しても足りないくらいにエマは魅力的なのにね?」
「う、う~……! ダンさんが嘘を言っていないのは分かってるんです。分かってるんですけどぉ……! 褒め言葉を素直に受け取れるほど、私はもう若くないんですったらぁ……!」
赤面して恥ずかしそうに首を振るエマにキスをして、潤んだ彼女の瞳を正面から見詰める。
素直に受け取れないと言いながらも、最高に嬉しそうな様子のエマが愛おしい。
「照れるエマも可愛いよ。でもエマ、俺の言葉は素直に受け取ったほうが良いと思うよ? だって俺、エマが受け取るまで永遠にエマに愛を囁ける自信があるからね」
「あ、あう~……。素直に受け取れないのに、受け取れないのに幸せすぎて死んじゃいそうですよぉ……!」
「死んじゃダメだよエマ? まだまだもっともっと幸せにしてあげないといけないんだから」
エマにキスを繰り返しながら、ゆっくりと彼女を愛していく。
羞恥心から顔を隠そうとするエマの両手を拘束し、恥ずかしさと気持ちよさに歪むエマの顔を目と記憶に焼き付ける。
こんなに可愛いエマの顔を見ないなんてとんでもないっ!
このまま朝までひと晩中、可愛いエマの顔を目に焼き付けてあげるからねー。
「ん~……。おはようなの~……」
「おはようニーナ」
エマをひと晩中愛でていたら、始めに眠ったニーナが目を覚ましたようだ。
エマの体を静かに解放し、目覚めたニーナと朝のイチャイチャタイムを開始する。
「ニーナ。悪いけど今日もゴブトゴさんのところに行ってきてくれる? 用事が済んだらこっちに合流していいからさ」
「ふっふっふー。お願いを聞いてほしかったら、もっともーっと気持ちよくして欲しいのっ」
「ニーナのおねだり、しかと聞き届けたよぉっ!」
お願いを聞いてもらうためにいっぱいえっちしなきゃいけないなんて、もうどっちがどっちのお願いを聞いているのか分からないなっ。
ニーナのおねだりですっかり興奮した俺は、朝っぱらからみんなを思い切り可愛がってしまったのだった。みんな大好きぃっ!
全員との一戦を終えてまったりしていると、そう言えばとニーナが問いかけてくる。
「それでダン。ゴブトゴさんにはどんな用事で会いに行けばいいの? さっき聞きそびれちゃったの」
「さっき言いそびれたのはニーナがえっちにおねだりしてきたからでしょー?」
えっちでごめんねと笑うニーナに、これからも同じ感じでお願いしますと抱き締め合う。
少しの間ぎゅーっと抱き締めあって満足してから、落ち着いて話の続きを口にする。
「終焉の箱庭の探索が終わったら、今度は聖域の樹海とトライラム教会の旧本部施設の調査をする予定なんだけどさ。興味があるならキュールさんも一緒にどうですかって伝えて欲しいんだ」
「キュールさんを呼ぶの? あの人って多分全然戦えないと思うんだけど、私たちに同行させるのはきついんじゃない? 私達の移動速度についてくるのも難しいと思うの」
「それは分かってるんだけど、歴史学者のキュールさんからしたら、聖域の樹海の調査も教会の旧本部施設の調査も興味をそそられるイベントだと思うんだよね。だから誘ってみようかなってさ」
とか言ってみたものの、勿論打算もあっての提案だ。
歴史学者としてこの世界に残っている資料を読み漁ってきたキュールさんなら、俺達に気付けない情報を読み取れるかもしれないからね。
この世界の真実に迫る為には、キュールさんの協力は絶対に必要だと思うんだ。
「俺達にこれ以上の戦力は必要ないから、キュールさん1人護衛するくらい訳ないさ。ダメかな?」
「ううん。私も問題ないとは思ってるの。ただ家族じゃない人を誘うダンが少し珍しいと思ったんだ」
なるほど。ニーナの言う通りかもしれないな。
色んな事を色んな人に丸投げするのは得意だけど、家族以外の人をパーティに同行させるのは確かに珍しかったかもしれない。
「レガリアに残されていた資料にすら目を通したというキュールさんの知識を無視するのはちょっと勿体無いでしょ? せっかく知り合ったんだし、協力できるところは協力し合おうかなってさ」
「あ~。それならアウラの資料も見せてあげたほうがいいのかな? あれは歴史とはまた別の話になっちゃうかもだけど」
「ん~……。アウラに関しての情報開示は悩むねぇ……」
安易には明かせない情報だけど、ノーリッテとも直接会っていたっぽいキュールさんの知識は魅力的だ。
ある程度のリスクは飲み込んででも協力体制は維持しておきたいんだよなぁ。
ニーナを解放して身支度を整えてもらっている間に今度はティムルとリーチェを抱き寄せて、ニーナとは別の話を2人に持ちかける。
「これはあまり緊急性のある話じゃないだけど、なるべく早いうちに魔力回復効果のあるポーションかマジックアイテムを開発しようと思ってるんだ。だから2人にも協力して欲しい」
「アウラの為に……ってことよね? だけど装備品やスキル付与じゃダメなの?」
「装備品はベッドの上じゃつけてないでしょー? それにスキルには即効性が無いから、緊急時には役に立ちにくいよ」
「ん~……。ダンが居れば何の問題も無いと思うんだけど……。君はまだ不安なの?」
ティムルと俺の会話に、首を傾げながら参加してくるリーチェ。
首を傾げるリーチェの頬にキスを落としながら、彼女の疑問に答えていく。
「アウラってエルフの特性も引き継いでいるんだから、俺の死後も1000年生きることが出来るんだよ? 俺の死後のことも考えて、今のうちに対策しておきたいんだよっ」
「ん~、私もパパ以外の人を受け入れたくはないなぁ」
最高に可愛い事を言いながら、身支度を整えたアウラが俺の胸に飛び込んでくる。
ティムルとリーチェを抱き寄せた状態の俺は、愛娘の抱擁を黙って甘んじることしか出来ない。
そのままアウラは全身を俺に擦りつけながら、ティムルとリーチェにおねだりする。
「リーチェママ、ティムルママ。お願いしていい? 私はもうパパのものだからさっ」
「勿論いいに決まってるわよアウラ。ダン以外の男になんて指1本触れさせてやらないんだからっ」
「……ダンの死後の話かぁ。あまり現実感が無い話だけど、ぼくとアウラは真剣に向き合わないといけない問題でもあるんだよねぇ」
「当然まだまだ死んでやる気はないけどな。でも早い段階で対策を講じていれば、その後はなんの憂いも無くエロいことが出来そうだしさ。協力宜しくね」
2人に軽く頭を下げながらアウラともキスをする。
心配しないでアウラ。えっちなパパとママたちが、直ぐに解決法を見つけて見せるからね。
身支度を整えて寝室を出ると、チャールとシーズは既に出かけた後のようだ。
家族だけでゆっくりと朝食を済ませ、俺達はようやく終焉の箱庭の探索を再開した。
「昨日集めた素材で作ったんだ。今日からこれを使ってねアウラ」
火力不足気味のアウラにブルーメタルメイスを作って、みんなの戦い振りを楽しみながらアウターブレイクの訓練に勤しむ。
ムーリが騎士に、アウラが兵士になったおかげで全体補正上昇スキルが累積して効果を発揮して、昨日よりも全員の動きが明らかに早くなっている。
荷運び人になったらラトリアだけはあまり変化が無いけれど、飛脚になったエマは戦えば戦うほどに動きを加速させていて頼もしい限りだ。
……しっかし、アウラの職業浸透が俺の想定よりもかなり遅い気がするんだよなぁ。
全種族の特性を引き継いでいるアウラなら、人間族の経験値上昇効果を引き継いでいるはずなんだけど、どうも取得経験値が増加している様子が見られない。
これってもしかして、アウラは人間族の種族特性を引き継いでいないってことじゃないんだろうか?
獣化、竜化、熱視、魔技、精霊魔法までアウラが操れるのは確認済みだ。だからカイメンが嘘をついていたとは考えにくい。
ならば何故人間族の種族特性だけハブられる結果になってしまったのか……。
それはきっと、人間族に種族特性があることが知られていないせいなんだろう。
人間族の種族特性は職業浸透面において絶大なアドバンテージを得られる強力なものばかりなんだけど、鑑定持ちでもなければその強力さに気付くことは絶対に出来ない。
だから人間族の種族特性は一般には存在しない事になっていて、レガリアですら人間族の種族特性に気付いていなかった節があるからなぁ。
全ての種族の特性を併せ持つ、究極の生命体を目指して創造されたアウラ。
そんな究極の存在に、種族特性さえ定かではない人間族の魔力を混ぜ込むのに抵抗でもあったんだろうか?
もしもアウラに人間族の種族特性が引き継がれていなかったとしても、アウラが困る事は特に無いだろう。
経験値増加特性は鑑定があっても効果が分かりにくいし、好事家なんかも浸透があるこの世界では大したアドバンテージではないのだ。
アウラの中に人間族が混ざっていなかったとしても、それほど不自然な話では無いような気がする。
雑魚種族である人間族さんの魔力を持たなかったとしても、戦力面ではとくにデメリットは存在しないように思える。
アウラに人間族の魔力が込められていなかった場合に大きく変わってくるのは、アウラと俺の間に子供が出来るのか否か、この一点のみだろう。
他のみんなとも子供を作ることが出来ないので、アウラ1人だけと子供が作れるようになったら色々修羅場ってしまう気がする。
だけど種族的な問題で初めから妊娠が不可能であったのなら、誰も悲しませずに済むだろう。
アウラとも子供が作れない。
この事実に俺は安心半分残念半分という、思ったよりも複雑な感情を抱えてしまっている。
例外なく子供が作れなくて安堵している一方で、中身10歳の合法ロリ少女に子供を産んでもらうというのは、内心かなりクるものがあった。
「パパー! このメイスすっごいよ!? 昨日よりも魔物が強いのに、昨日より楽に魔物が倒せちゃうのっ!」
興奮して無邪気にはしゃぐアウラをよしよしなでなでする。
アウラとも子供が作れないのはやっぱり残念だけど、気にせず今まで通り過ごそう。
「パパー? 撫でられるのは好きだけど、みんなに置いていかれちゃうよー?」
「みんなが俺達を置いていっちゃう訳ないでしょ? まったくアウラは可愛いなぁもう」
俺の変態思考は忘れて、ただ目の前で首を傾げるアウラを全身全霊で愛することだけを考えよう。
娘であり恋人でもあるアウラを、ただ愛する女性として生涯愛し抜くと決意するのだった。