465 神殿
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
旦那をえっちに煽ってきた股間に悪いラトリアを壁に追い詰めて、動きを封じたラトリアを可愛がる。
その結果ラトリアは立っている事も出来なくなってしまったラトリアが復活するまで、他の皆にえっちなイタズラを繰り返しながらゆっくりと待ったのだった。
「も~っ……! こんなにされちゃったら、我慢出来なくなっちゃうじゃないですかぁ……!」
復活したラトリアは、可愛くほっぺを膨らませて俺に抱き付いてくる。
なぁにラトリア。まだ足りないの?
「これからエマとターニア様の転職を済ませなきゃいけないのにぃ……!」
「俺をからかうのはいいけど、ラトリアはもう少し自分の美貌を自覚しようね? お前みたいな美人に挑発されて我慢できる男なんていないんだからさ」
ラトリアを抱きしめてちゅーっとキスをして、転職前の悪戯タイムを終了した。
皆とまたお団子状態になって歩くこと数分間。
ようやく細い通路を抜けることが出来た。
「あれがフォアーク神殿? 想像していたよりも小さいんだね?」
狭い通路の先は大きく開けた場所で、そこには岩山を削って作られたと思われる小さめの神殿が建っていた。
流石に我が家よりは大きそうだけど、ニーナが建てた別荘よりは小さい建物のように見える。
人類の最重要施設の割には、思ったよりもずっと質素な印象を受けた。
「防衛の為の設備は道中に沢山ありますからね。神殿そのものはさほど大きくないんですよ」
「ラトリア様の仰る通り、神殿を守るための防衛施設は13の門がありますからね。貴族路はそこをショートカットしているというわけです」
フォアーク神殿見学ツアーのガイドを務める双竜の顎の2人が、代わる代わる説明をしてくれる。
こんな美人ガイドさんが案内してくれるツアーとか、金貨を払ってでも参加したくなっちゃうなっ。
「ここまで来るのは転職が目的の人しか居ませんからね。転職魔法陣を変に豪華にしても仕方ないんじゃないですか?」
「そりゃあ転職には影響は無いんだろうけど……。王国の最重要施設の1つってことで、勝手に荘厳な神殿をイメージしちゃってたなぁ」
「あ、ダンさん。この神殿はスペルド王国が建てたものではなくて、もっとずっと古い時代から存在している物です。ですから権威のようなものとは無縁なのではないでしょうか?」
「あ~そっかぁ! フォアーク神殿ってずっと昔からある施設なんだったっけ」
ガルクーザが暴れていた頃には既にフォアーク神殿は存在していたのだから、その後に興されたスペルド王国が建設した施設のはずなかったね。
エマの説明から察するに、フォアーク神殿を守るためにあるという13の門は、転職魔法陣が設置されたタイミングよりも後の時代に建設された設備なのかもしれない。
解説してくれたエマとラトリアに感謝のキスを贈ってから、早速フォアーク神殿に足を踏み入れた。
「うわ。本当に内部はすっきりしてるね?」
神殿の中に入ると、恐らく受付だと思われるカウンターが設置されており、そこに4名ほど別の人間が並んでいる。
調度品や装飾といったものは殆ど見受けられず、転職手続きに必要なものだけが持ち込まれているといった感じだ。
「ここからは身分に関係なく先着順での案内になります。なので私たちも早く並びましょーっ」
「あんまり遅いとニーナたちが心配しちゃうのっ。ほらほらダンさん、並んだ並んだっ」
俺の両側から腕を組んできたラトリアとターニアの母親コンビに連行され、俺達の前に並んでいた4人の後ろに大人しく並ぶ。
両側から伝わってくる母親コンビのおっぱいの感触を堪能しながら待っていると、直ぐに1番前の人が呼び出されて神殿の奥に消えていった。
そしてその人と入れ違いで、神殿の奥から3名ほど姿を現した人たちがいる。
「ねぇねぇラトリア。エマ。今戻ってきた人たちは、3人とも転職を済ませて戻ってきたってことでいいのかな?」
各種職業ギルドでは、トラブル回避の為に転職希望者以外が転職魔方陣に近付く事を許されていなかったはずだ。フォアーク神殿もそれと同じだと考えると、3人全員が転職を済ませて戻ってきたということになる。
けれど超高額なランダム転職を3名全員が同時に利用したと考えるのは、職業浸透の知識が広まっていないこの世界の常識を基準にすると些か矛盾を感じなくもない。
ひょっとして、各種職業ギルドとは違い、フォアーク神殿では転職の立会いが許されているのか?
その辺どうなのよ? ツアーガイド双竜の顎のお2人さん。
「先ほどの3名がどのような判断をしたのかは分かりかねますけど、フォアーク神殿では転職の立会いが認められているんですよー」
「なるほど。一緒に戻ってきたからって、全員が転職を希望したとは限らないのか」
「ですですっ。だからこのままダンさんにくっついたまま、みんな一緒に転職魔法陣まで行けちゃうんですよーっ?」
「それは間違いなく朗報なんだけど、職業ギルドみたいに望まない転職事故が起こってしまったりすることは想定されてないの?」
「これはあくまで私の推測になりますけど、転職を望んでいない人がフォアーク神殿を訪れることってないと思うんですよ。ですから転職事故なんて想定されていないんじゃありませんか?」
「なるほど。ありがとう、分かりやすかったよ」
ユニークジョブなんてものが存在していると思われていて、そのユニークジョブに転職出来る可能性があるのはフォアーク神殿のランダム転職だけだ。
お金に余裕があるパーティなら、全員で転職しようとしてもおかしくないのかも。
魔法使いとか冒険者とか、居なくなったら困る職業を除いたメンバーで一緒に転職するのが普通なのかもしれない。
だから3人だったと考えると微妙に納得がいくしな。
「あっ、そうだ。せっかくだしダンさんも一緒に転職してみるー?」
「俺が? なんで?」
「ダンさんって各種ギルドも利用したことが無いんでしょ? なら折角の機会だし一緒にどうかなって思ったの。職業設定が使えるダンさんならデメリットも無いしさっ」
「なるほど。お試しかぁ……」
ターニアからの思わぬ提案に、ちょっとだけ考え込んでしまう。
ワンダやリオンだって好事家が出てくるはずだし、追加職業がランダム転職でどんな扱いになるのか、確かに検証しておきたい気はするなぁ。
「……だけど、なぁ」
考えすぎだとは思うけど、フォアーク神殿は俺が利用していい施設ではない気がして仕方が無い。
自分にはほぼリスクが無い事を興味本位で検証するのは、この世界に生きる人たちに対して失礼なことのような気がするのだ。
この世界に生きる人たちは高額のお金を払って、短くない期間研鑽し続けて、そしてようやく達成した転職に一喜一憂しているんだ。
そんな全力で生きている皆さんに対して、興味本位でなんのデメリットもなくランダム転職を試してしまうのは、やっぱり違う気がするよな?
「……やめておくよ。人生を賭けて転職をしに来ている人たちに、あまりにも失礼なことだと思うから」
「本当にダンさんは、変なところで真面目ですよねぇ? 他の皆はダンさんのことなんて気にも留めてないと思いますよ?」
「うん。俺もムーリの言う通りだとは思うけど、さ。なんとなくやっちゃいけないことのような気がするんだよ」
「あはっ、りょーかいなのっ。別に転職を強制する気は無いから、ダンさんの思う通りにして欲しいかなっ」
ムーリとターニアにそれぞれキスをして、大人しくターニアとエマだけ転職をお願いすることに決める。
というかターニアー? こんな場所で職業設定の話をするのはご法度だからねー?
今は風を操るリーチェだっていないんだから、俺達の会話は周囲に筒抜けなんだよ?
今後アウラが精霊魔法に慣れてくれば、リーチェ並みの芸当が出来るようになるのかもしれないけどね。
「あ、間もなく私達の番がきそうだねーっ?」
少し退屈そうにしていたアウラが、前方の様子に嬉しそうな声をあげる。
皆とお団子状態で待機していると思ったよりもサクサクと列が進んで、10分もしないうちに俺達が先頭になった。
そう言えば職業ギルドでの転職も、意外なほどあっという間に終わったんだっけ。
「では次にお待ちの方々、どうぞお進みください」
「了解。行こうかみんな」
そして直ぐに俺達の番になり、受付の奥に通される。
受付の後ろに備え付けてあった扉を潜ると、そこは広い大広間になっていて、何度も設置したせいですっかり見慣れてしまった通常の転職魔法陣との違いが分からない魔法陣が地面に刻まれていた。
この世界に唯一のランダム転職魔法陣と言っても、ギルドの固定転職魔法陣とは見分けがつかないな?
魔法陣の外側には3名ほど武装した兵士が立っていて、警備と案内を担当しているようだ。
「転職を希望される方は魔法陣の上に進んでください」
その内の1人がこちらに向かって声をかけてきた。
「……もしも転職を希望されない方がいる場合は、魔方陣に巻き込まれぬよう少し下がってお待ちください」
「分かりました。下がるよー?」
動き出さない俺の動きを見て何かを察した案内の人から、補足のよう案内を受ける。
案内に従ってエマとターニアを送り出し、残った3人を抱きしめながら後ろに下がって、2人の転職を見守る。
「転職を希望されているのは2名ですね。それでは各々、金貨15枚をお収めください」
マ、マジで1人あたり金貨15枚かぁ……。
フォアーク神殿の利用料金が金貨15枚ってこと自体は以前リーチェに聞いた記憶があるけど、各種職業ギルドと違って人数分のお金取られるのかぁ。
そう言えばリーチェが、転職直後の再転職の際は金貨25枚も取られるとか言ってたっけ。
ユニークジョブを探そうにも気軽に利用できる料金じゃないよなぁ。世知辛い。
って、まさかリーチェって金貨25枚払って上で、更にステータスプレートの提示を断る為に金貨10枚を追加で払ってたんじゃ?
その頃にはもう俺が転職費用を出してあげた気はするけど、足りてたのかなぁ……?
そうそう。以前のリーチェと言えば、彼女がフォアーク神殿を利用した時は、転職をする前に利用の手続きをしに出掛けた記憶がある。
けど、今回の俺達はどうして直ぐに利用させてもらえるんだろう?
教えてっ、美人ガイドさーんっ!
「ふっふーん。私とエマは王国貴族ですからねっ。貴族路を利用して神殿を訪れた貴族は優先的に転職させてもらえるんですよっ」
「でもさラトリア。リーチェだって貴族路を利用してるわけでしょ? なのにリーチェは手続きが必要なわけ?」
「ん~、リーチェさんは身分は一応平民ですからね。王家とも懇意にしてましたし、身元もハッキリしていますから貴族路の使用は認められていたのかもしれませんが、利用手続きは平民と同じ手順を辿る必要があったのかもしれません」
詳しくは私も分かりませんと、首を傾げているラトリア。
今までリーチェ以外のエルフって殆ど外に出ていなかっただろうし、エルフって時点で身元は証明されてるようなものなのか?
「……ひょっとしたら、リーチェさんの方から特別扱いを断ったのかもしれませんね」
「リーチェの方から?」
首を傾げる俺に、意外な可能性を呟くムーリ。
面倒であろう転職手続きをあえて受ける理由なんてあるの?
「建国の英雄譚でもリーチェさんは野に下ったという話でしたから。特別扱いされる事を嫌っていたのかもしれません」
「えー? でも貴族路は使ってるんだよ? その理屈なら貴族路も使わなくない?」
「それはダンさんが悪いんですよ、きっとっ」
「へ?」
相変わらず声もおっぱいもぶるんぶるんと弾むリーチェが、からかうような笑顔で俺を責めてくる。
けれど当然心当たりなど全く無い。
むしろ面倒臭い手続きなんてすっ飛ばしちゃえって言いたいんだよ?
「なんでそこで俺が出てくるの? 俺、フォアーク神殿に来たのも今日が初めてなんだけど」
「だって順路を行けば1日かかるんでしょう? 大好きなダンさんと丸1日離れ離れになるなんて、そんなの私だって耐えられないですってばっ」
「あ~……」
楽しげなムーリの言葉に、ちょっとだけバツが悪くなる。
リーチェって遠征帰りに暴走したこともあるし、意外と家族の中では1番の寂しがり屋だもんなぁ。
早く俺のところに帰ってきたいから、普段は断っている特別扱いを曲げてでも貴族路を使ったんじゃないかと言われると、申し訳なくなるくらいに説得力があるわぁ……。
あぁ……。転職を楽しみにしつつも早く帰りたくてソワソワしているリーチェの姿が目に浮かぶよぉ……。
「リュー……リーチェママは独りの時間が長かったんだもんねぇ。大好きなパパと少しも離れたくなさそうにしてるし……。愛されてるね、パパっ!」
「ありがたい事にね。でもそれ以上に俺の方がリーチェの事を愛してるんだけどなっ」
話をしていたら仕合わせの暴君の皆が恋しくなってきた。
その衝動に任せてアウラたち3人を一緒に抱きしめて、4人でエマとターニアの転職を見守る。
転職自体は特に珍しいものでもなく、2人が魔法陣の上に乗り、足元の魔法陣が数十秒間発光して終わりという、各種職業の転職風景と代わり映えしないものだった。
「それではご自身のステータスプレートをご確認ください。転職に満足したら魔法陣から下りていただき、再度転職を希望される方は金貨25枚お支払いいただきますようお願いします」
大丈夫と言って魔法陣を下り、そしてそのまま俺の胸の中に飛び込んでくる2人。
だけど既に3人も抱きしめてるから、流石に定員オーバーなんだよ?
「……転職に満足いったのでしたら速やかにお引取りください。皆様が下がらない限り次の利用者をご案内できませんので」
「おっと、これは失礼」
なんとかして5人全員を同時に抱きしめようとしていたら、案内の兵士に退室を促されてしまった。
だけど相手の言うことも尤もだ。潔く退室して、さっさと帰ってイチャイチャしよう!
俺達が魔法陣のある部屋を出ると、入れ替わりで3人の男女が奥に案内されていった。そして受付には更に、7名ほどの人間が転職を待って並んでいるようだ。
超高額な利用料金の割に、結構引っ切り無しに利用客が訪れるんだなぁ。
この世界って困窮してるイメージが強すぎるんだけど、稼いでる人もやっぱりそれなりにいるんだろうな。
真面目に職業の浸透を進めてれば魔物戦で不覚を取ることは無くなるんだから、真面目に稼げる人たちならいくらでも稼げちゃうんだろうね。
帰りも貴族路からポータルを使って良いそうなので、狭い通路を歩きながらエマとターニアが転職の報告を聞く。
「無事に斥候になれたのっ。早く魔物感知を試してみたいなっ」
「私も飛脚になる事が出来ました。飛脚は敏捷性を非常に高めてくれるそうなので、今度は身体操作性や五感が追いつけなくなってしまいそうですね」
無邪気にはしゃぐターニアと、真剣な口調で補正のバランスについて語るエマ。
ターニアが魔物感知が使えるようになれば、傾国の姫君と双竜の顎の職業浸透は更に加速するはずだ。
エマの懸念である身体操作性と五感を高める為にも、ガンガン魔物を狩ってどんどん皆に敏感になってもらわないとなっ。
これからの寝室ライフに大いなる期待を抱きながら、俺達はフォアーク神殿を後にした。
「おかえりなのーっ。今日は思ったより遅かったんだねー?」
自宅に帰ると玄関でニーナたちが待っていて、食堂に行く前にお帰りのキスをたっぷりとお見舞いされてしまった。
俺も負けじとただいまのキスを繰り出しながら、俺に密着してくる皆に好き勝手に悪戯して楽しんだ。
だけどチャールたちがいるから、あまり過激な事をするわけにはいかないな。残念。
満足行くまで玄関先でイチャイチャしたら、アウラとフラッタを両側に侍らせて夕食タイムがスタートする。
「母さんも斥候になったんだねー。それじゃ最終的には獣戦士まで目指してみるの?」
「う~ん。そこはちょっと悩んでるの。犯罪職を経由しないといけないとなると、ちょっとねぇ……」
素朴なニーナの質問に、微妙な反応を返すターニア。
俺とニーナは世間知らずだったおかげであまり気にせずに済んだけど、この世界で33年間も生きてきたターニアには犯罪職のイメージは悪すぎるかぁ。
「私はイントルーダー戦で足を引っ張らないくらいになれれば充分かな? 仕合わせの暴君のみんなみたいに、イントルーダーを1人で撃破するところまでは目指してないかも?」
「ですねぇ。私も皆さんほど戦えませんから、皆さんの隣りに立つ力じゃなくて、皆さんの居場所を守れるだけの力があれば充分ですかねー?」
ターニアとムーリの『充分』という言葉を、少し羨ましいと感じてしまう。
俺は愛する女性が増えるほどに不安になってしまうから。
みんなのことが大好きで仕方ないから、何が起きても大丈夫なように際限なく力を求めてしまうんだ。
だけどターニアとムーリが家族の居場所を守ってくれているのなら、俺達も安心して何処にだって行けると思う。
帰りを待ってくれている2人の存在が、きっと俺達を守ってくれることだろう。
「家族の背中はムーリとターニアに任せるよ。2人が俺達の帰りを待ってくれているなら、俺達はきっと誰にも負けないと思う。ありがとう」
子供の未来が閉ざされることに絶望していた、失意のムーリはもう居ない。
ニーナが生きている事を願うことしか出来なかった、無力なターニアももう居ない。
かつて不幸と理不尽に対して何も出来なかった2人が、家族を守れるくらいに強くなってくれたんだ。
その事実になんだか胸が熱くなる。
「私なんかいなくったって誰にも負けないくせにっ。ありがとうはこっちのセリフですよーだ」
「ダンさんの隣りは娘に譲るの。だからダンさんの背中くらいは任せて欲しいかなっ」
俺の両頬から伝わる2人の唇の感触に、今夜も絶対に寝かせないぞぉ! と強く決意する。
さぁみんなっ! 早く夕食を済ませて、夫婦の時間を思いっきり楽しんじゃおうねーっ?