363 いつもの最後
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
暫くの間トライラム様に見せ付けるみたいにリーチェとキスを続けていると、生体察知に反応があった。
ゴブトゴさんとの話し合いも終わったし、教会の人払いも終わっちゃったんだろう。
神様にはリーチェとリュートとの愛を誓うためにめっちゃくちゃ見せ付けちゃったけど、他の人が来る前に切り上げるべきだね。
「…………」
「…………」
口を放したあとにお互い軽く抱き合って、静かに幸せの余韻を噛み締める。
これからもよろしくねリーチェ。これからよろしくねリュート。
2人のこと、もう絶対に放したりしないから。
「さぁ帰ろうリーチェ。俺達の大好きなみんなが待ってる、あの家に」
「うんっ! 神様に報告も終わったし、ぼくもみんなの顔が見たくなっちゃったよっ。早く帰ろっ!」
声を弾ませながら俺の左腕に抱きついてくるリーチェ。
俺の腕に伝わる大迫力の感触よりも、俺に甘えるリーチェが愛おしい。
リーチェと密着したまま礼拝堂を出て、愛しのみんなの待つマグエルへと帰還した。
「2人ともおかえりなのっ。さっ、まずはご飯食べよっ」
帰宅すると笑顔のニーナがで迎えてくれた。
どうやら俺が出かけている間に食事の準備は整っているようで、家族のみんなも勢揃いしていた。
お腹いっぱい食べたら、あとは夜までノンストップかなー?
宿の予約も滞りなく完了しましたーっ! と嬉しそうに報告してくるこの金髪巨乳の人、一応教会のシスターなんですよ。信じられますぅ?
ステータスプレートでロックを開閉するあの宿なんだけど、常連客はステータスプレートの情報を宿に登録することが出来るのだ。
なのでもう2桁回数利用している我が家の家族のステータスプレートは漏れなく登録済みで、俺の宿泊予約はムーリでも問題なく済ませられるというわけだ。
自宅のあるマグエルで、ホテル代に金貨数十枚使っているという事実が俺を苛むぜ……!
でも家だと2人っきりで過ごすのは難しいからなぁ。必要経費ですよね?
さぁて。それじゃこのあとのカロリー消費は激しそうだし、みんなの作ってくれた料理をお腹いっぱい食べて英気を養うとしますかねっ。
「あ、ねぇねぇリーチェ」
「ん? なにかなニーナ?」
「これから私たちは予定通り、夜までずーっとダンに愛してもらうことなるんだけど、その間リーチェはどうしてる? 客室で寝てるのー?」
「ぶっ!?」
フラッタを膝に乗せてよしよしなでなでしながら食事していると、我が家のエロ司令官ニーナがいつも通り空気を読まずに爆弾を投下してきた。
いつものことだけど、もうちょっと言い方に配慮してたら嬉しいんだけどなぁ!?
「昨日はなんだか凄くぐっすり眠れたから、今はあんまり眠くはないかな? でも家の中で適当に過ごすつもりだよ。みんなの邪魔もしたくないしさ」
「あ、そのことで私から1つ提案したいんだけど、みんないいかしらぁ?」
おっと、エロ司令官のぶち込んできた爆弾処理に、エロ参謀ティムルが動き出してくれたようだ。
参謀殿が動いてくれたなら安心して任せられる。早速提案とやらを聞かせてくれたまへ。
「いえね、夜までの間、リーチェには今まで通り接してあげて欲しいなって思うのよ。つまり最後の一線を越えずにみんなと一緒にダンに愛して欲しいなーって。ダメ、かしら……?」
「え~? なにもダメなことは無いんだけど、心配があるとしたら俺とリーチェの理性かなぁ? 俺もリーチェも、触れ合っておきながら最後の一線を越えない自信は全く無いんだけど?」
フラッタをよしよしなでなでしながら、止まれる自信が無いことを素直に伝える。
純潔の誓約があっても一線超えそうになった事が何度もある俺とリーチェは、エロに関してはお互いが一番信用出来ないんだよーお姉さん。
「ふふ。それは大丈夫でしょう。旦那様は私達を傷つけかねない事は絶対にしませんからね。口ではどう言っても、ちゃんと止まってくれると思いますよ」
ヴァルゴが信用してくれるのは嬉しいんだけど、俺はヴァルゴほど自分とリーチェを信用できないんだよなぁ。
「ふふふ。妾に触れる手も自信なさげなのじゃ。ダンは可愛いのう」
得意げな笑顔を浮かべて背後の俺を見上げるフラッタ。
どうやら俺の自信の無さが手の動きにも現れてしまっていたようだ。
「心配せずともダンが暴走するようなことは無いと思うがの。そこまで心配なら、もしもの時は妾たちみんなでダンを止めてやると約束してもいいのじゃっ」
俺の手を上から握りながら、笑顔で俺の制止を約束してくれるフラッタ。
この世界一可愛い無双将軍は、いつだって俺の背中を押してくれるんだよなぁ。
「ダンさんのお嫁さんはみんな凄く綺麗ですけど、その中でもフラッタさんとリーチェさん、そしてラトリアさんは別格の美人さんですもんねぇ。ダンさんが止まれるか分からないのも納得ですよぅ」
「そういうムーリも最高に美人だけどねー?」
というか、俺のお嫁さんは全員が最高に可愛くて最高に美人で、その上最高にエロいんだよなーっ。
だけどリーチェの場合はそれに加えて今まで半年以上もお預けを喰らってたって事情もあるから、他のみんな以上に興奮しちゃいそうで暴走しそうなんだよなぁ。
「んー、そんなに心配なら、ダンさんとリーチェさんが一線を越えないように、他のみんなでダンさんをずっと見張っててあげるねっ」
それでも自信なく思い悩む俺に、ターニアが任せなさーいとばかりに提案をしてくれる。
「ええっ。ターニア様の言う通り、リーチェさんと一線を越える隙など与えませんよっ。私たちに任せてくださいっ」
両拳を握りながら、鼻息荒く宣言するラトリア。
「ぼくとしては凄く嬉しいんだけど……。なんだかぼくばっかりが得してないかなぁ?」
みんなから大歓迎されたリーチェが、遠慮がちに口を開く。
「ダンと過ごせることも、みんなと過ごせることも凄く嬉しいんだけど……。みんなの邪魔はしたくないよぅ……」
「邪魔なんてとんでもないですよリーチェさん。私も貴女も同じ男性を愛する、大切な家族なんですから」
申し訳無さそうなリーチェに、意外にもエマが反論する。
エマってラトリアとフラッタ以外にはあまり積極的に交流しないイメージがあるのに、珍しいな?
「むしろ、みんなで過ごしている時にリーチェさんを独りで過ごさせる方が気になってしまいますよ。私達がなんの気兼ねも無くダンさんに愛してもらう為に、どうかリーチェさんも一緒に彼を愛してくれませんか?」
俯くリーチェの手を握り、一緒に俺に愛されて欲しいとお願いするエマ。
うん。エマも積極的になってきてくれて嬉しいんだけど、話してる内容が少々気まずいんだよ?
だけど、普段あまり自己主張しないエマの説得は効果覿面だった。
まだ少し遠慮がちではあったけれど、それでもみんなと共に寝室に行くことを了承してくれたリーチェ。
「よしっ。そうと決まれば早く寝室に行くよダン! 夜までなんて直ぐなんだからねっ。片付けは夜に私達がするから、フラッタを抱っこしてすぐに寝室に行きなさいっ」
エロ司令官ニーナからゴーサインが出た。後は夜までノンストップでみんなとイチャイチャラブラブするだけだ。
リーチェもリュートも夜に全身全霊で愛してあげるけど、夜までは今まで通りリーチェと過ごそう。
そして本番の前に彼女の体を、始めからクライマックスの状態に仕上げておこうじゃないかーっ。
フラッタとニーナを一緒に抱っこして寝室に向かう。
「んっ……。ダンがリーチェに婚姻を宣言したのって、去年の9月だったかな? 半年間、本当にお疲れ様なのーっ」
俺と抱き合ったニーナは、今までの半年間をしみじみと振り返る。
「リーチェと今まで通り過ごすのはこれで最後なのっ。だから目いっぱい楽しんでねっ!」
「……半年、かぁ」
過ごしている間は長くて仕方なかったけど、振り返ってみればあっという間だったね。
今まで通り過ごすのはこれで最後。
これからの俺達とリーチェは、また新しい関係がスタートするんだなぁ。
「リーチェ。ちょっと来てくれる?」
「え? うん。何かなニーナ?」
俺と正面から抱き合ったまま、右手を伸ばしてリーチェを呼ぶニーナ。
近づいたリーチェを俺と一緒に抱きしめてくれる。
「今までありがとうリーチェ。これからよろしくねリュート。ダンも私もみんなも、もう2度貴女を独りになんてさせてあげないのっ」
「……ニーナ。うん、ありがとう。これからもよろしくね……」
リーチェも静かにニーナの背中に腕を回す。
……うん。凄くいいシーンなんだけど、このまま続行するのが少々気まずいんだよ?
なんて思う俺に、思い切りキスをしてくるニーナ。
俺がリーチェを大好きなのと同じくらい、ニーナもリーチェのことが大好きだって?
そんなこと、とっくに知ってるってばぁ。
満足してから、俺とリーチェをそのままティムルに渡すニーナ。
ニーナが作った流れから、ティムルも当然のように俺とリーチェを一緒に抱きしめる。
「あはー……、やっとリーチェと一緒にダンを最後まで愛することが出来るわぁ。今までの分も取り立てていきましょうねっ。私も協力は惜しまないわよーっ」
「あは。ティムルが一緒なら心強いよ。ダンの取り立てがどんどん嵩んじゃって申し訳無いけどっ」
本当に嬉しそうに、ぎゅーっと力いっぱい俺とリーチェを抱きしめるティムル。
本当に取り立ての内容がどんどん増えているのが気になるけど、908年分の取り立てに利息が付いた時点でもう誤差だよ誤差。
出会ってからの1年分くらい追加したって構わないさ。
俺がティムルを愛する間、ティムルは愛おしそうにリーチェの頭に頬ずりしていた。
……この2人って、いつからこんなに仲良くなったんだっけ?
ティムルがエロ参謀として頭角を現し始めた時には、既にリーチェはティムルの言う事に素直に従っていた気がするなぁ。
リーチェを抱きしめながらも俺との時間を過ごしたティムルは、その瞳を少し潤ませながら俺とリーチェをフラッタに元に送り出した。
「以前は泣いているリーチェを慰めるために抱きしめたんだったかのう? でも今度のは歓迎のハグなのじゃー!」
俺とリーチェの2人を、その小さな体で精一杯抱きしめてくれるフラッタ。
「これからは大好きなリーチェと一緒に、大好きなダンに愛してもらえるのじゃ……。こんなに嬉しい事はないのじゃーっ!」
「フラッタはいっつも真っ直ぐだよねぇ。そんなフラッタがぼくも大好きで仕方ないよ」
リーチェと2人でフラッタに甘えるように、フラッタの柔らかいほっぺにすりすりと頬ずりする。
俺がフラッタに救われていたように、リーチェもまたフラッタに救われていたんだね。
俺達に頬ずりされてくすぐったそうに笑う世界一可愛い女の子は、いつだって我が家の縁の下の力持ちだった。
気持ち良さそうな表情を浮かべたフラッタは、俺とリーチェのほっぺに軽いキスを返してから、俺達をヴァルゴに引き渡した。
「英雄譚は偽りでも、貴女が歩いてきた道は偽りなんかじゃありません。旦那様をここまで導いてくれたリーチェは、魔人族が救援を求めた盟友の姿そのものでしたよ」
「……ぼくは本当にダンを導けたのかなぁ? なんだかずーっとダンに抱きしめてもらっていただけのような気がするよ。今ヴァルゴがしてくれてるみたいにさ……」
俺こそちゃんとリーチェのことを抱きしめられていたのか自信無いよ。
自信無いけど、リーチェが抱きしめられていたって感じてくれるなら、こんなに嬉しい事はないね。
ヴァルゴに静かに撫でられながら、彼女のことをいっぱい愛する。
深く大きく息を吐いたあと俺とリーチェが送り出された先は、リーチェとほぼ同サイズであるムーリのおっぱいの中だった。
「ふふ。リーチェさんが建国の英雄なのは分かってたんですけど、ダンさんのせいでなんだか変な仲間意識みたいなものを感じちゃってましたっ」
「あはは。確かにムーリとはセットで弄ばれることが多かったかも?」
「これからも一緒に可愛がってもらいましょうねっ」
「うんうんっ。ダンには責任を取ってもらわなきゃいけないよねぇ?」
……リーチェとムーリって爆乳コンビであると同時に、ナチュラルエロコンビでもある気がするんだよねぇ。
やっぱり根っからエロいからおっぱいが大きくなっちゃうんだろうか? 異性を惹き付ける要素として。
ムーリはひとまず満足したのか俺達を解放し、解放された俺達はすぐにラトリアに捕まえてもらった。
「英雄譚は偽りでも、リーチェさん本人が敬愛すべき人物であることには変わりありませんよ」
「ラトリアのおかげで、今まで以上に剣の腕が上がったって思えるんだ。だからぼくこそ君を尊敬してる」
ラトリアもヴァルゴも、1000年を生きるエルフ族よりも研鑽を積んでいるっていうのが凄いよなぁ。
種族が一丸となって磨いてきた技術は、たった独りで腕を磨くしかなかったリーチェよりも遥か高みに到達できてたんだもん。
「……だけどムーリさんじゃないですけど、私も結構リーチェさんとセットで扱われてるイメージがあるので……。最近はなんだか英雄ってイメージ持てなくなっちゃってました……。済みません……!」
「はは。気にしないで。英雄って思われるよりも、ダンの女だって思われるほうがずっと嬉しいからっ」
幸せそうに意識を飛ばしたラトリアから身を離し、待ち構えていたエマにリーチェと一緒に抱きしめてもらった。
「リーチェさんに比べれば微々たる年月ですけど、他人の為に自分の人生を捧げる気持ち、私も分かるつもりです。そんなリーチェさんと一緒に同じ男性を愛せること、なんだか凄く嬉しく思いますよ……」
「確かにぼくの方が長く生きてるけど、捧げた人生の割合で言えばエマのほうがよっぽど上でしょ。ぼく以上の苦悩と苦労があったと思う。そんなエマに認めてもらえるのって、なんだか凄く嬉しいよ……」
他人に人生を捧げた者同士、2人にはなにかシンパシーを感じる部分があるのかもしれない。
この2人の人生を取り戻させるのは簡単じゃないかもしれないけれど、俺の魂全てを懸けてでも幸せになってもらわないといけないよなぁ。
俺もエマに生涯の愛を誓う。
ずっとキスをしながらエマを愛してあげた後は、リーチェと一緒にターニアの胸に抱きしめてもらった。
「リーチェさんのほうがずーっと年上で、そして建国の英雄だってことは分かってるんだけど……。ニーナと一緒にダンさんのお嫁さんとして紹介されたせいで、なんだかリーチェさんのこともずっと娘みたいに思ってたの。もし嫌だったらごめんね?」
「……あはは。嘘でしょ? ダンはぼくにお母さんまで取り戻してくれるの?」
自分からも腕を回し、ターニアにぎゅっと抱きつくリーチェ。
「ターニア、全然嫌なんかじゃないよ。むしろ嬉しいくらいだよ。こうやって抱きしめられるの、なんだか凄く安心するんだ……」
ラトリアだって母親だったんだけれど、ニーナだけが自分の全てだったターニアの母性って凄まじいと思う。
俺だってニーナだけが自分の全てだと思っていたけど、それでも母親であるターニアには敵わないんじゃないかなって思ってしまうくらいに。
ずっと前にこの世を去ったというリーチェの両親。それ以前に、スペルド王国建国と共に袂を分かってしまった両親。
誰よりも寂しがり屋のリーチェは、ずっと家族に飢えていたんだろうね。
みんなが俺と同じくらいリーチェを大切に思ってくれてるのが凄く嬉しい。
だけど、この状態は流石にちょっと気まずいんだよ?
安心しきった様子でみんなに抱きしめてもらってるリーチェを見ると、みんなに文句も言えないんだけどさ。