338 神殺しの先へ
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
今日の戦いの報告が終わったら、なんだかみんなが凄く嬉しそうに笑顔を浮かべてくれた。
みんなの笑顔のおかげで、メナスを取り逃がした事を落ち込んでいる暇なんてないくらいに幸せな気分になることが出来た。
あーもう、本当にみんなは魅力的過ぎて困っちゃうなぁ!
こんな魅力的なみんなを守るためには、もっと力をつけなきゃいけないよね。2度と今回みたいな失態を晒すわけにはいかないよ。
みんなの笑顔を魂に焼き付けながらメナスとの戦いを振り返る。
今回の戦いで思ったことは、絶空のチャージ中に攻撃が出来ないのはかなりの隙になってしまうということだ。
絶空をチャージし始めたら攻撃できなくなってしまうので、魔力吸収も魔法妨害も活かせなくなってしまう。大幅な戦力ダウンだった。
でも逆に考えて、絶空のチャージ中にも魔力吸収が行えたら……?
事実上、無限に魔力をチャージする事が可能になるんじゃないだろうか?
「ねぇねぇお姉さん。片手剣を1本作ってくれないかな? 俺のサブウェポン用にさ」
「え? ええ、勿論ダンのお願いなら喜んで用意させてもらっちゃうけど、どうして突然そんなことを言い出したのかは教えてくれるかしら? このタイミングで言い出したんだから、メナスとの戦いで何か思う事があったんでしょ?」
ティムルお姉さんに隠し事をするつもりなんて全く無い。なんだって答えちゃうよっ。
メナス戦で、絶空のチャージ中は魔力吸収も魔力妨害も一切機能しなくなってしまって、そこで出来る大きな隙が凄く気になったこと。
魔力吸収を行いながら絶空をチャージすれば、理論上は無限に絶空へ魔力を込め続けることが出来るんじゃないかと思い至ったこと。
もしも断空が使えていれば、アポリトボルボロスの回復魔法もぶった切ることが出来たんじゃないかと思ったことを告げる。
もしかしたらフューリーコロッサスの魔迅も断空で妨害できたのかな?
対人戦ではウェポンスキルは機能しないから、ヴァルゴの魔迅では検証のしようがないんだよねぇ。
「む、無限チャージからの絶空なんて恐ろしいもの、良く考え付くわねぇ……。まぁそれは置いといても、今回私とリーチェの相手も回復持ちだったし、それを妨害する意味で断空は確かに有用か……」
フラッタの相手だった魔物は魔法に頼らない超速再生能力持ちだったみたいなので、そいつには断空を使ってもあまり意味は無かったと思うけどね。
あ、でも発情と催淫はある程度阻害出来たのかなぁ?
「でもダン。双剣なんて扱えるの? ……って、ラトリアと手合わせしてるダンならもう扱えるのかしら?」
「うん。実際に扱ってみないと分からないけれどね」
でもラトリアという最高の先生がいるんだから、双剣術を教わるのに不安は無いかな。
「……ティムル。済まぬが妾にも剣をひと振り用意してもらえぬかのぅ?」
なんて思ってると、俺とティムルの話を聞いたフラッタが会話に参加してくる。
「ドラゴンイーターに何の不満もありはせぬが、ダンの話を聞いていて、魔力吸収と魔法妨害の2つはやはり必要に感じるのじゃ。ブレスの放てる妾に絶空はあまり必要ないように思うが、魔法を両断できる断空は妾も使えるようになっておくべきじゃろう」
ニーナに続いて俺にしがみ付いてきたフラッタが、その行為とは裏腹に物凄く真面目な理由で新武器の製作をティムルに依頼している。
それ自体は別に良いんだけど、ドラゴンイーターが既に巨大なバスタードソードだっていうのに、更に両手剣を追加して二刀流する気なのフラッタ? 無双将軍が極まってない?
俺の腕の中にすっぽり収まる可愛い無双将軍の頭を撫でながらみんなの反応を待ってみるけれど、他のみんなは特に武器の追加は希望していないみたいだ。
ニーナとティムルは既に二刀流だし、リーチェは弓のほうがメインウェポンだから別の武器を同時に扱うのは難しい。
ヴァルゴは槍以外に興味無しと清々しい反応だ。
ラトリアとエマは装備を更新したそうな、とてもウズウズした顔をしているけれど、それでも結局見送る事にするらしい。
「私は重銀……、ダマスカス製の武器を持っていますし、エマもミスリル製の武器を持っていますからね。アウターエフェクト相手ならミスリルで充分事足りるでしょう。これ以上の武器はイントルーダー級の相手と戦える実力が身に付いてから、改めて検討させてください」
「私もラトリア様も、必ずやイントルーダーと戦える力を身に付けて見せます。でもその力が付かないうちに装備だけ良い物にしてしまうと装備に甘えてしまいそうなので……。済みません」
2人の実力なら重銀以上の武器を持つ資格も充分あると思うけれど、もっと腕を磨いてから改めてっていう考え方も凄く共感出来る。
前向きな2人はとても素敵で魅力的だけど、研鑽の為に寝室を共にする時間が少し削られてしまいそうで寂しい。
ムーリとターニアも、まずは既製品の最高品質の装備品を目指すそうだ。
「っていうか、いくらスポットが比較的浅くて安全なアウターとは言え、最深部に鋼鉄装備で突貫しちゃうとか正気を疑っちゃうのっ。私とムーリちゃんは2人きりだし、ちゃーんと地に足を付けて成長していこうねっ」
「ええ、自分でも魔物狩りを始めてみて、当時のダンさんとニーナさんがどれほど無茶をしていたのかが嫌ってほど分かるんですよぅ……。お2人にはティムルさん、フラッタさん、リーチェさんがついていたってことはあると思いますけど」
んー。マグエルに着いてからはそんなに無茶をしていたつもりは無いんだけどなぁ。
むしろかなり慎重に魔物狩りをしていた気がするよ?
ティムルが加入しフラッタを迎え、そしてリーチェがパーティに参加したことでどんどん成長が加速していったのは間違いないけどね。
「おっけー! ダンとフラッタちゃんに剣をひと振りずつ用意すればいいのねっ」
「うん。よろしく頼むよお姉さん」
「よろしくなのじゃーっ!」
「まっかせなさーいっ! それじゃ2人とも。希望の素材とかスキルとか教えてくれるかしらぁ?」
みんなでワイワイしながら俺とフラッタの武器を話し合う。
俺もフラッタも基本的には剣1本で戦うつもりで、サブウェポンはあくまでサブ、控え扱いだ。
なので俺は片手でも扱いやすいであろうショートソードを選び、フラッタもバスタードソードではなくロングソードを選択した。
……人間族さんの脆弱さがとてもよく現れている比較ですね!
俺のショートソードの素材はカラミティホーンを選択。
出来れば災厄のデーモンスピアに始めから付与されたスキルが欲しいんだよねー。
一方でフラッタは火竜宝玉を試してみるらしい。
「2人ともそれでいいのね? それじゃ早速作りましょ。満足いく物じゃなければ、何度だって作ってあげるからねーっ!」
そして碧眼になった女神ティムルが武器を作ってくれて、スキル付与まで終わらせた完成品がこちらです。
神鉄のショートソード
魔法妨害+ 魔力吸収+ 魔力吸収 魔力吸収- 断空
フレイムドラゴンブレード
竜火葬炎 魔法妨害+ 魔力吸収+ 魔力吸収 断空
自分で言うのもなんだけど、あまりの尖りっぷりに笑ってしまうな。
カラミティホーンを使用した神鉄のショートソードには、狙い通り魔法妨害+と魔力吸収+が始めから付与されていた。
これは災厄のデーモンスピアと同じスキル構成だ。
カラミティホーンで付与できる特別なウェポンスキルが無いのか、それともこれを期待してティムルにお願いしたからこうなったのかは判断のしようがないかな。
無駄にもう1つ作っても仕方ないし。
火竜宝玉を使用して製作された真っ赤な刀身のロングソードである、フレイムドラゴンブレード。
天火というウェポンスキルが付与されていたので、例によって合成したら竜火葬炎というウェポンスキルが完成した。
天火も竜火葬炎も試していないので、性能はまだ不明だ。
天火は試す間もなく融合させちゃったけど、融合前より弱体化することはありえないだろう。きっと?
「はぁ~……。まさか竜宝玉からも神鉄武器を作らせてもらえるなんて幸せすぎぃ……! んもぅダンったら、お姉さんのこと幸せにしすぎなのよーっ! フラッタちゃんもありがとーっ!」
「ほほう。赤い刀身がなんとも美しい剣なのじゃ。ティムル、心から感謝するのじゃーっ!」
俺に抱きついているフラッタにティムルが抱きついて、俺に抱きついたままティムルにお礼を言うフラッタ。
我が家らしいカオスな状況だなぁ。
俺に抱きついたままティムルにお礼を言うフラッタを、フラッタに抱きついたティムルごと抱きしめる。
ちょっとなに言ってるのか分からないっすね?
「フラッタはどうして火竜宝玉にしたの? 迷わず決めたように見えたけど」
「そんなのダンとお揃いだからに決まっているのじゃーっ! ダンの武器には炎系のウェポンスキルである焦天劫火が付与されておるからの。妾も火属性にしたかったのじゃっ」
「ああもう、なんで武器を作った話でそんな可愛いこと言うんだよぉ! これだからフラッタはぁ!」
フラッタをよしよしなでなでしてあげたいけど、みんなを抱きしめているから両手は塞がっている。
ならばよしよしなでなでの代わりにと、フラッタの柔らかいほっぺたにちゅっちゅっと何度もキスをする。
「あははっ、ダン、くすぐったいのじゃあっ」
「可愛いの権化かよお前はーっ!? ダメだ、もう我慢出来ないって、お風呂行こうお風呂! 用意してるって言ってたよね!?」
「ふふ。勿論用意してありますよ旦那様。私達一同、旦那様に愛していただく準備に手抜かりはございませんからっ」
そしてティムルの後ろから更に抱きついてくるヴァルゴ。
可愛い! じゃなくて服が邪魔だよ! 準備出来てるなら早く浴室に行かなきゃ!
キスをしながらみんなを脱がせていると、お姉さんから提案をされる。
「ダン。お風呂ではニーナちゃんとターニアさんを沢山可愛がってくれるかしら? 私達はいっぱいご褒美をもらえたけど、頑張った2人にはまだご褒美をあげてないでしょ?」
「えっーーー!? 2人を可愛がることには何の異論も無いけど、お風呂では他のみんなは可愛がっちゃダメなのっーー!?」
「あはーっ! そんなわけないでしょっ。ダンの好き放題しちゃっていいわよぉ? でも多分今日1番頑張ったのはこの2人だと思うから、ダンから2人を沢山労ってくれないかしら」
ニーナとターニアが今日1番頑張った。
そんなティムルの言葉に、衝動的にニーナとターニアを抱きしめる。
メナスと対峙してイントルーダー3体を相手にした俺よりも、自分を弄んだ相手と対峙したティムルよりも、俺以外の男に快楽を呼び起こされたフラッタよりも、国王を斃したリーチェよりも、大量に人を殺したヴァルゴよりも……。
この2人は今日、誰よりも頑張って、誰よりも傷つき疲弊しているんだ。
敵と戦った俺達と違って、かつて心から愛した相手と戦い、そして討たねばならなかった2人。
2人がどれだけ傷付いてしまったのかは想像も出来ないけれど……。せめて抱きしめてあげたいと思った。
「優しいダン。だけど私と母さんの背負うべきものまで貴方が背負わなくったっていいんだよ?」
俺の腕の中でもぞもぞと上を向いて、ちゅっと触れるだけのキスをしてくれるニーナ。
「父さんと戦うのは辛くて、確かにティムルの言う通り疲れちゃったけど……。ダンがこうして抱き締めてくれていれば私達はそれだけで幸せなんだからね?」
ニーナに続いてターニアも、ちゅっと唇を当ててくる。
「流石にちょっと疲れちゃったから、ダンさんにいっぱい労ってもらって、じっくり可愛がってもらって欲しいと思ってるの。父を……、夫を殺した私達を受け入れて、肯定してくれるかな?」
2人の唇にお返しにちゅっちゅっとキスをしてからターニアに答える。
「2人が生きて帰ってきてくれて最高に幸せだよ。俺のために愛する人と戦ってくれて、愛する人を斃してでも無事に帰ってきてくれて本当に嬉しい……」
盗賊を殺めた俺に、自分の為に人を殺してくれてありがとうとニーナは言ってくれた。
父と夫を手にかけてしまった2人に感謝の言葉は伝えられないけど、ならせめて俺の気持ちは素直に伝えてあげなきゃと思った。
「父を、夫を討ってでも俺を選んでくれた2人のこと、本当に愛しく、そして誇りに思ってるよ……」
さ、想いを言葉で伝えるのはここまでだよ。
ここからは全身全霊で俺の想いを届けてあげるね。
ニーナとターニアを抱き締めて浴槽に入り、1人ずつゆっくりと肌を重ねていく。
正面から抱き合ったニーナが、俺に優しく微笑んでくれる。
「ダンと初めて出会ったあの日、私はもう選んでたの。ダンに愛される事が私の全てで、ダンを愛し抜くのが私の道なんだって。でもね、父さんと戦うの、やっぱりすっごく辛かったんだ。ダンが注いでくれるものが空っぽになっちゃうくらいに辛かったの」
ここで一旦言葉を切ったニーナは、甘えるような媚びるような口調で俺に愛をせがんでくる。
「……だから空っぽの私に、いっぱいいっぱいダンの想いを届けてくれる?」
「お安いご用だよニーナ。俺の想いなんて、全部ニーナに明け渡しちゃうよ」
ニーナに求められるままに、世界で1番大切な女性と愛し合った。
「はぁぁ……。幸せぇ……」
「大好きなニーナと愛し合えることが何よりも幸せだよ。俺のために辛い選択をさせてしまってごめん。でも無事に帰って来てくれてありがとう。うん、ありがとうね……」
感謝を伝えながら、ゆっくりニーナとキスをする。
俺と唇を合わせたニーナは自分で身を離し、すぐにターニアが俺の相手をしてくれる。
「……望めば世界中の女だって好き勝手に出来るでしょうに、本当にダンさんは私達のことしか見てないよねー」
「目の前に可愛いターニアと魅力的なおっぱいがあるのに、他になにを見ろって言うのさ?」
「ダンさんと抱き合いながら言うことじゃないけど、ガレルも私たちから目を逸らしさえしなければ、3人で幸せに暮らしていれたはずなのになぁ……」
いいんだよターニア。
せっかく裸で触れ合ってるんだから、思ったことは口にしていいんだ。
2人を想う気持ちに従い、ニーナとターニアの母娘を交互に愛していく。
2人と暫く愛し合った後は、口も挟まず黙っていてくれたみんなのことも抱き締める。
みんなは俺とニーナ、ターニアの会話を邪魔しないように、声を殺して俺を受け入れてくれた。
本当に、うちの家族はみんな仲が良くて嬉しいよ。
みんな、いつもありがとう。みんなみんな大好きだよ。