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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
5章 王国に潜む悪意1 嵐の前
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301 吐露

※R18シーンに該当する表現を大幅にカットしております。

 ムーリまでを愛し終わって次はラトリアの番なんだけど、ラトリアはなんだか少し緊張した面持ちでなかなかベッドに上がってこない。


 でも俺はラトリアを早く愛してあげたくて仕方が無いので、彼女の手を取ってベッドまで案内してあげた。



 押し倒したラトリアの頭を優しく撫でながら、今更何をそんなに緊張しているのかラトリアに訪ねてみる。



「……だって、2人きりでダンさんに愛してもらうの、初めてなんですもんっ。ダンさんと2人っきりなんだって思ったら、嬉しいやら恥ずかしいやらで妙に緊張しちゃったんですぅ……!」


「……あ~」



 ラトリアとエマって、それぞれ2人きりで相手してあげたことって無かったんだっけ?


 ヴァルゴは……、森の中で押し倒した気がするなぁ……。



「今まで気付かなくてごめんね。これからラトリア1人だけを全力で愛してあげるから、2人でいっぱい気持ち良くなろうか」



 ラトリアも不満に思っていたわけじゃないみたいだけど、これは明らかに俺の失態だろう。


 王国最強と謳われた細い体を力いっぱい抱きしめて、彼女の耳元で愛を囁く。



「これも今まであまり言ってあげてない気がするけど、愛してるよラトリア。いつだってラトリアのことを想ってるからね」



 ラトリアに愛を告げながら、彼女と肌を重ねていく。



「今はいろんな事を忘れて、2人きりの時間を全力で楽しもう。大好きだよラトリア」


「私もぉ……。私も大好きですぅ……。気持ち、気持ちいいよぉ……」



 今日は軽く抱き合いながら、お互いの頭をよしよしと撫でてキスをし続ける。


 口が離れたらお互いに好きだよ、気持ちいいよと頭の中に浮かんだ事をなにも考えずに相手に伝え、そしてまた互いの口で互いの口に蓋をする。



「ダンさんのこと、本当に大好きなんです……。ディアのこともとても大切に想ってくれるダンさん。愛してます……。でも……!」


「……ラトリア?」



 突如ラトリアの雰囲気が変わったのを感じて、彼女の顔を確認する。


 視線の先のラトリアは、驚くほど悲痛な表情を浮かべていた。



「ダンさんと出会うためにはディアが犠牲にならなきゃいけないなんて、そんなの酷すぎます……。ダンさんに愛してもらって心から嬉しいのに、こんなにダンさんに愛してもらうためにはディアを失わなければいけなかったなんて、酷い……、酷いよぉ……!」



 キスでお互いの口に蓋をしたのに、逆にラトリアの心の蓋が開いてしまったようだ。



 ラトリアが本音を吐露するのを止めるわけにはいかないので、しばらくキスはお預けだね。


 震える彼女の体を抱きしめながら、ただ密着して頭を撫で続ける。



「……ダンさんと肌を重ね、心を通わせることが出来た事に後悔はありません。いつだってディアに配慮してくれるダンさんのこと、大好きです」


「うん。俺もゴルディアさんを忘れないラトリアが大好きだよ」


「でもっ……! やっぱり私、ディアに死んで欲しくなかった……。死んで欲しく、なかったよぉ……!」



 俺の腕の中で大粒の涙を零すラトリア。


 これが彼女の隠していた本音なのだとしたら、ようやく俺に甘えてくれているのかもしれないな。



「フラッタもシルヴァも助けてくれて、いつだってディアに配慮して……。そんな優しいダンさんを心から愛しています……。でもやっぱり私、許せない……。ディアを殺したメナスを、絶対に許せないんですよぉ……!」



 ラトリアを初めて愛した日に、彼女の心の内は聞けたと思っていた。


 でもあの日俺に語ってくれたのはゴルディアさんを失った悲しみで。今ラトリアが口にしているのは、今まで決して口にしなかった、ゴルディアさんを殺された怒りだ。



「……そんなの当たり前だよ。ラトリアは大切な人を殺されたんだ。怒りを覚えるのは当然だ」


「ダンさんのことが本当に大好きだけど、だからってディアが死んでしまったこと、絶対に許せるはずがないじゃないですかぁっ……!」


「許さなくていい。許さなくていいんだラトリア。お前の怒りもゴルディアさんへの想いも、なにも間違ってないんだからね」



 もし、メナスの取った行動によって、フラッタとラトリアを愛することが出来たんだとしても。


 その裏でどれ程の人が不幸に落とされてしまったのかと思うと、メナスのやってきた事を肯定する気には微塵もなれない。



 たとえフラッタとラトリアが俺以外の誰かを愛し続ける事になったとしても、2人が幸せなままであったなら、それ以上に大切なことなんてなかったのに。



「ダンさんに愛してもらってる時に、こんなことを言ってごめんなさい……。でも、どうしても抑えられなくって……!」


「謝らなくていいよ。話してくれてありがとうラトリア。抑えなくていいから、今ここで俺に全部話していいんだ」


「……ダンさんに愛してもらえば貰うほど、ダンさんがディアを大切に想ってくれているのが伝わってくるほどに、メナスに対する怒りが抑えられないんですよぉ……!」


「うん。聞いてるよ。だから全部話してラトリア」


「許せない……! メナス以上に、メナスと直接戦えない私の無力が許せないんです……! これからディアの仇と戦うのに、実力不足で皆さんと一緒に戦えない自分の不甲斐なさが、悔しくて悔しくて仕方ないんですよぉ……!」



 俺の全身の骨がミシミシと悲鳴を上げているけれど、怒りに任せたラトリアの抱擁を黙って受け入れる。


 そして涙で滲んだ真っ赤な瞳で俺を見詰めながら、俺に懇願するラトリア。



「ダンさん。色んなことを忘れて、2人の時間を楽しもうって言ってくださいましたよね?」


「……うん。大好きなラトリアとの時間、大切にしたいと思ったんだ」


「お願いです……。今日だけ、今だけでいいですから……。色々な事を忘れられるくらい、激しく私を愛してくれませんか……? 少しだけ……、ダンさんに甘えさせて、ください……」



 俺を見詰める赤い瞳が紫に変化していく。


 竜化が解けるくらい激しく愛してくれと言っているのか。



「……綺麗だよラトリア。こんな素敵な女性を前にしたら、俺だってもう止まれないな」



 失神禁止って決めたけど、愛する女のおねだりを聞かないなんて選択肢は無いよな。



 エマが来る前のほんの短い時間だけだけど、ラトリアの事を全身全霊で愛してあげるよ。


 ラトリア、俺に甘えてくれてありがとう。お前の気持ちに、全力で応えてみせるから。





「ゴルディアさんのこと、忘れたりしなくていいんだよ。ゴルディアさんを一途に思うラトリアのことが好きなんだからね……」



 全身全霊でラトリアを愛した後、気を失いながらも静かに泣き続けるラトリアを安心させたくて、眠る彼女が目を覚ますまで、動かず静かに抱きしめ続けた。






「……甘えてしまって済みません。でも受け止めてくれて嬉しいです。また、2人きりの時だけでいいから、貴方に甘えさせてくれますか……?」



 目覚めたラトリアが不安そうに聞いてくる。



「いつでも大歓迎だよ。王国最強のラトリアだって、夫の腕の中でくらい甘えてくれていいからね」



 俺はみんなに甘えられるのが大好きだから、遠慮なく甘えて欲しいんだよ。


 いつだって甘えてくれて良いんだけど、お前が2人きりの時にしか甘えられないっていうのなら、2人の時に好きなだけ甘えてくれればいいさ。



 約束代わりのキスをすると、ラトリアは柔らかく微笑んだ後にゆっくりとベッドを下りていった。



「ラトリア様、なんだか雰囲気が優しくなっておられました。2人の時間のことは聞けませんけれど、ラトリア様に良い時間を過ごさせてくれてありがとうございます」



 ラトリアと交替でベッドに上がってきたエマが、柔らかく微笑みながら俺に感謝を告げてくる。


 んもー。俺と2人きりでベッドの上にいるのに、エマはいっつもラトリアが最優先なんだからぁ。



 俺が嫉妬深いのは知ってるでしょ?


 もう俺のことしか考えられないくらいに、エマのことをいっぱい愛してあげるからね。覚悟するようにっ。



「ま、待ってダンさん……! 待って待って待ってふわあああああっ……!」



 今まで誰にも触れられなかったエマの体は、異性に愛されるという行為に過剰なまでの反応を見せる。



 フラッタやラトリアを参考にすると、竜人族って種族は元々非常に優れた五感を持った種族なんだと思う。


 けれどエマはそれ以上に気持ちが昂ってしまっているみたいで、男性に愛されるという幸福感が肉体の快楽を大きく押し上げてしまっているみたいだ。



 こんなに愛に飢えていたのに、他人に人生を捧げて生涯を終えようとしていたなんて許さないよ。


 エマが人に尽くしてきた分だけ、俺はお前を愛してあげるからね。



「なんでぇ……。ダンさんにはあんなに素敵な奥様達がいるのにぃ……。ラトリア様やフラッタ様まで愛してくれているのにぃ……。なんで私なんかを、他の皆さんと同じくらいに……、この世界の誰よりも愛してくれるんですかぁ……」


「そんなの決まってる。他のみんなと同じくらい、この世界の誰よりもエマの事を愛しているからだよ」



 他のみんなと同じくらいにエマのことが大切で、世界の誰よりもエマのことが大好きだから。



 エマ。今は俺とお前の2人きりしかいないんだ。


 他のことは全部忘れて、俺だけを見て俺のことだけを考えて、俺の愛を全身で感じて欲しい。



「幸せぇ……、幸せすぎますぅ……。私が誰かに愛して貰える日が来るなんて……」



 愛に飢えたエマの心と体は、もっともっとと俺の愛をねだってくる。


 エマが満足するまで彼女の求めに応じ、幸せそうな彼女が意識を手放さないよう腕の中に閉じ込めておいた。



「この世界の誰より深く女を愛してくれるダンさんに、こんなにも愛してもらえるなんて幸せすぎますよぉ……。そんなダンさんを愛することが出来るのが、こんなにも幸せだなんて……」


「俺もこんなに可愛いエマと愛し合うことが出来て、最高に幸せだよ」



 続きは朝にね、とキスをしてエマを送り出した。



「あははっ。ダンさんに愛された女は、本当に幸せそうな顔になるよねー。それじゃ私のことも、みんなと同じくらい幸せにして欲しいのーっ」



 ノリノリのターニアと正面から抱きついた俺の頭を、ターニアは愛おしそうに撫でてくれた。



「ねぇねぇダンさん。ニーナとティムルに聞いたんだけど、私も上書き、お願いしちゃってもいいかなー?」


「ん? 上書きって?」


「このままダンさんに相手してもらうのも悪くないんだけど、今日はガレルの事を上書きして欲しいなぁって?」


「それは構わないけど、ガレルさんと過ごした日々を否定する気は無いって言ってなかったっけ」


「うん。彼と愛し合った日々を忘れる気も否定する気も無いんだけどね。でもこの前再会したガレルのことは、流石に忘れたいのよぅ……」



 ああ……。あの時のガレルさんは同性の俺から見ても幻滅したからね……。


 でも上書きって、こうして愛するだけじゃ足りないの? 具体的には何をして欲しいのかな?



「ダンさんにガレルと同じように愛してもらって、ガレルより気持ちよくしてもらいたいなぁって。お願いしていいかなぁ?」


「んー、可愛いターニアのおねだりは叶えてあげたいけど、ガレルさんより気持ちよく出来るかは正直自信無いよ?」



 うちの家族全員が恐ろしいほど敏感なだけで、俺が特別上手いってわけでもないからねぇ。


 上書きできるか少し不安な俺に対して、それでも構わないからとターニアはおねだりしてくる。



 ふむ。そこまで言うなら応えないとな。可愛い妻のお願いなんだから。


 気持ちよく出来るか分からないけど、ターニアの想いに応えられるように頑張るよっ。



「ん~っ……。お願いを聞いてくれて、ありがとう、なのぉ……」


「ふふ。お礼を言われちゃうと結構興奮するね。それじゃ期待に沿えるか分からないけど、精一杯可愛がってあげるよ」



 さぁターニア。ご要望は上書きだったよね?


 これから徹底的に上書きしてあげるから、休んでる暇なんてあると思わないでよ?






「はぁ……はぁ……はぁ……んっ、ぁぁ……」



 失神手前の寸止めでずっと俺の相手をしたターニアは、殆ど身動きが取れないくらいに消耗してしまった。


 これだと失神と大差ない気がするけど、ターニアが終わったら後は休むだけだから安心だねっ。




 探索を終えたニーナが寝に戻ってきたので、本日の愛の営みは終了した。


 短い睡眠時間の後には明日の分が開始されるわけですけどね?



「母さんも幸せそうで嬉しいの。ダン、母さんも幸せにしてくれてありがとっ」


「あはーっ。ダンと2人っきりだと愛されてるのが直接伝わってくるのが堪らないわぁ。メナスの件が片付いても、2人きりで過ごす日を定期的に設けて欲しいわねっ」


「はぁ~……。ダンの匂い、落ち着くのじゃぁ……。ダンが感じられないと、妾はもう眠ることすら出来る気がしないの~」


「旦那様に愛されていると、体を愛してもらえているというよりも心を抱きしめられているような、そんな幸せな気持ちでいっぱいになるんですよねぇ」


「分かりますっ! 分かりますよヴァルゴさんっ! ダンさんってすっごくえっちなくせに、私達の事を物凄く大切に想ってくれてるから、えっちな事をされればされるほど愛おしくなっちゃうんですよねぇ……!」



 みんなに包まれながら耳に届く、みんなの幸せそうな声。幸せすぎるぅ。



 みんなの声、みんなの温もり、みんなの匂い。


 もう俺にとっては水や空気と変わらない、あって当たり前で、無くしたら生きていけないものになった。



「ダンさん。今日は甘えちゃってごめんなさい。でも私だって女ですから。好きな男性に甘えるくらいは……、許してくださいね?」


「種族も身分も年齢も関係なく、ただ私を求めてくれることが本当に嬉しいです。私が大切に想う人たちと同じくらいに私自身を大切にしてくれるのが、信じられないくらいに幸せです……!」


「なにが自信無いよぉっ……! 失神寸前まで責め続けられるから、好色家が浸透してるのに死ぬかと思っちゃったのっ……!」



 保護者組もどんどんえっちに積極的になってくれて嬉しいよ。


 みんなに甘えられると、俺も最高に幸せになれるんだ。



 メナスの件が片付いたら、1ヶ月くらいはみんなとずっと寝室に篭りっぱなしの生活がしたいなぁ。


 ……でも、その前にやらなきゃいけないことがあるよね。



「メナスの件が片付いたら、すぐにリーチェの問題も片付けてやる。だからもうちょっとだけ待って欲しい」



 背後のリーチェを振り返って、翠の綺麗な瞳に向かって宣誓する。



「あは。ぼくは450年も王子様が現れるのを待ってたんだもん。ちょっとくらい気にしないよ。でも早く大好きなダンにいっぱい愛されたいし、ダンの事を全身で感じたいなぁ?」


「いやもう俺の方がもう待ちきれないから。すぐにお前のことも可愛がってやる。約束するよリーチェ。愛してる」



 リーチェに誓いのキスをして、そのまま眠りにつく事にする。


 もはやくっついている方が自然に感じる俺達だ。このまま眠ることなんて造作もない。



 全身でみんなの温もりと柔らかさを感じながら意識が落ちていく。


 閉じる瞼に最後に見たのは、俺に向かって微笑むみんなの顔だった。

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