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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
序章 始まりの日々1 呪われた少女
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003 鑑定

「ダン……。村人……」



 俺の体から生み出された情報量の少ない黒いカード、ステータスプレートを目にしたことで、おぼろげではあるが今の状況が理解できてきた。



 どうやら軽い気持ちで異世界に来てしまったらしいこと、そしてステータスプレートを人に見られても問題が無さそうなことだけは分かった。


 変な称号とか、特典で貰ったスキルとか表示されてたらどうしようかと……。



 ってそうだよ! そう言えば鑑定と職業設定を貰ったんだったよ!


 あれってどうやって使うんだ? 詠唱とか必要ならお手上げなんだけど……?



「とりあえずダンは、記憶が戻らないことにはなんともならないな。記憶が戻らなければこのまま他の生存者とステイルークまで同行してもらって、そこで解散って流れかな」



 新たな疑問にまた混乱しかけた俺だったが、青年の呟きに冷や水を浴びせられたような気分にされてしまう。



 生存者……。


 本当に紙一重で、俺は訳も分からず殺されるところだったんだ……。



 自分の言葉に俺が衝撃を受けたのに気付いた青年は、恐らく俺を安心させようとして明るい口調で先の話を説明してくれる。



「今回のフレイムロード襲撃の被害者たちには生活支援金が出るはずだ。大した額じゃないだろうが貰えるモンは貰っとけ」



 生活支援金か……。



 いくら貰えるかは分からないけど、今は恐らく無一文だからな。


 断れる余裕も無いし、ありがたく頂戴しよう。



「支援金は正直ありがたいですよ。ほんと何も分からないし、俺にどんな仕事が出来るのかも分からないし……」


「仕事……。仕事かぁ……。ダンには悪いが、そのトシで村人だとまともな働き口があるかどうか……」



 せっかく明るい口調になってくれたのに、仕事と聞いた青年の口調はまた暗いものに戻ってしまう。


 え、えぇ~……? 村人だと、仕事すら出来ないのぉ……?



「まぁ今は先の事はいいだろ。ダンが犯罪者じゃないことも確認できたし、俺は馬車の見張りに戻るよ」



 仕事の話に答えられなかったのが気まずかったのか、持ち場に戻ると宣言する青年。



 ちょ、不安を煽るだけ煽って放置っすか!?


 そりゃそっちだって仕事中なんだろうけど、流石に酷くないかなぁ!?



「フレイムロードの討伐と開拓村の捜索が終わったら、救出された人たちはステイルークって街で保護されることになる。それまではここで休んでてくれ」



 不穏な情報だけを置いて、青年はそそくさと馬車を出ていった。



 青年から与えられた情報を整理する。



 今俺がいるのは多分異世界の開拓村で、そこがフレイムロードとかいうガイコツ野郎に襲撃を受けて壊滅。


 俺は村の生存者の1人として捜索隊に保護された状態だ。



 被災者である俺は幾許かのお金を受け取ることが出来て、ステイルーク? とかいう街で一旦保護される模様。


 ステータスプレートの情報から俺は犯罪者では無いことが証明されたけれど、代わりに村人であることも発覚し、村での生活に一抹の不安を感じさせられたところ。


 こんな感じか?



 青年の説明に俺は不安を煽られただけなんだけど、その説明のおかげで俺には職業設定ってスキルが与えられていることを思い出せた。


 村人だと働けないのなら、違う職業を設定すればいいんだよ。



 問題は、そのやり方が分からないってことなんだけどねっ……!



「職業設定……。職業設定……」



 口に出してみても特に何も起こらない。


 ステータスプレートを取り出してみても何も変化が無いようだ。



 う~ん。全てのスキルに呪文詠唱が必要だとしたら、呪文を知るにはどうすればいいんだろ?


 これじゃなにも貰えてないのと一緒じゃないか。



 職業設定のことは一旦忘れて、馬車の中を見渡してみる。


 一般的な馬車なんて知らないけど、恐らく大型だと思われるこの馬車には俺以外にも数名の乗客がいる。



 みんな着ている服は煤けていて、泣いてるか震えてるか眠ってる。


 馬車の隅っこでボソボソと呟いている俺なんかに興味は無さそうだ。



 ……興味が無いというか、俺のことなんか気にしている余裕が無いんだろう。



 でも余裕が無いのは俺も同じだ。


 この世界のことなんて何も分からないのに、どうやらまともに働くのも難しい状況。


 ステイルークだっけ? に到着したら多少の支援は受けられるみたいだけど、働けないんじゃ結局は生きていけないだろう。



 あ~、今さら後悔しても遅いんだけど、初回ボーナスはCを選んでおくべきだったよぉ、トホホ……。


 剣と魔法の世界で自分の身ひとつで成り上がることに憧れはあるけど、あんな化け物と戦わないといけないなんて無理ゲー過ぎる。



 戦わずに生きていけそうな商人プレイ。


 今は心の底から憧れるぅ……!


 

 Aを選んで強力な装備品を手に入れたとしても、自分がさっきのガイコツに立ち向かえたとは思えない。


 初回ボーナスはC以外ハズレだったんじゃないのぉ……?



 Bは育成に有利な能力って書いてたけど、育成以前にスタートで詰みそうなんだよなぁ。



「っと、そう言えば鑑定を試してなかったな……」



 青年が不穏なことを言うから、職業設定ばかりに意識がいってしまってたよ。


 鑑定の方だって詠唱は分からないけれど、ステータスプレートを見ながらとりあえず軽い気持ちで。



「鑑定……って、え?」




 ダン

 男 25歳 人間族 村人LV1

 装備




 鑑定と口にした瞬間、ステータスプレートの表示は変わっていないのに、それを持っている俺の右手の上に別の情報が表示される。



 これ、自分自身への鑑定が成功したってことだよな……? 多分。


 ステータスプレートよりも、鑑定で得られる情報のほうが多いのか。レベルの表記もあるし。



 っていうか、レベルってどういう扱いなんだろ?


 やっぱモンスター倒して経験値稼げばいいのかな? レベルを上げたら村人でも強くなれたり?


 でもなんでステータスプレートにはレベルの表記が無いんだろう?



 う~ん。分からないことばかりだよぉ。



 色々と頭を抱えていると、ステータスプレートが消失する。


 職業選択を試していた時に消えた時は驚いたけど、どうやら3分前後でステータスプレートは消えてしまうっぽいのだ。



 任意に消してしまいたい時は、自分の体に差し込めば良かった。


 腕でも胸でも、消そうと思って押し付ければ大丈夫な模様。



 鑑定を止めたいと考えると、情報が表示されなくなった。


 もう1度鑑定、今度は口に出さずに頭で念じるだけにしてみたところ、鑑定はちゃんと表示された。



 どうやら鑑定には詠唱が必要ないっぽい?


 鑑定は魔法じゃないのか、詠唱を必要としない魔法も存在するってことなのか……。


 今は判断材料が少なすぎる。もっと色々検証しよう。



 鑑定を使用したままで馬車の乗客に視線を移しても、情報が表示されない。


 乗客を見ながら改めて鑑定を念じると、名前と性別、年齢と種族、そして職業と装備が表示される。



 どうやら鑑定は、対象を指定しながらその都度発動しなければいけないみたいだ。


 便利なのか面倒なのか、これも現時点では判断出来ないな。



 馬車の乗客の職業を見ると、明らかに小学生くらいの男の子は村人LV7だったけれど、大人で村人の人は1人もいないようだった。


 旅人LV26、商人LV16、戦士LV18、調剤士LV19、狩人LV7、剣士LV16、料理人LV7などなど。


 職業も色々あるらしい。



 というか、あんまり高LVの人居ないのな。


 強くないから救助されて、今ここに避難してると考えるなら当たり前なのか?



「さて、多種多様な職業があるのは分かったけれど……」



 これって実際の業種じゃなくてジョブシステム、だよね?


 そうじゃなきゃ村人とか旅人なんて職業があるとは思えないし、商人なんてざっくりした扱いにはならないはず。



 しかし村人のままではまともに働けないらしいし、なんとか職業を変更できないものだろうか。


 そんなことを思った瞬間に新たな情報が表示された。




 村人LV1

 補正 

 スキル 経験値自動獲得-




 自分の鑑定をしながら職業を変更したいと思った瞬間に表示された情報。


 感覚で分かる。これは職業設定画面だ。



 つまり職業設定は、鑑定を使用した状態からじゃないと使えないってことらしい。なるほどね……。



「ふぅむ……」



 職業設定で村人しか表示されていないのだから、俺は現時点では他の職業に転職することは出来ないってことなんだろうか?


 村人って多分初期職業なんじゃないかな。



 それにしても、経験値自動獲得-?


 マイナスってどうなのよ。まさか経験値が減少するわけじゃないよなぁ……?



 いや、確か初回ボーナスで貰える装備品の性能には+表記がされていた気がする。


 あれが『より効果が高い』という意味であれば、-は効果が低いという意味だろう。



 つまり経験値を自動で獲得できるけどその効果は低いってことか。


 うん。経験値自然減少とかクソスキルすぎるから、流石に無いでしょ。



「う~ん……」



 10歳前後の男の子でLV7じゃあ、村人のこのスキルでLVを上げるのは実質不可能だと思ったほうが良さそうか。


 経験値を得る方法、何とか早めに見つけておきたいな。



 まずはLVの上げ方と転職条件を確認したいところなんだけど、どうやって確認すれば……。


 ってそうか。他の人に職業設定を使ってみれば転職条件は分かるかもしれない。使えるかな?



 村人LV7の男の子を鑑定し、更にそこから職業設定を発動してみる。


 すると期待通りに追加の情報が表示される。



 どうやら鑑定も職業設定も、他人にも問題なく使用できる能力らしいね。




 村人LV7 

 補正

 スキル 経験値自動取得-



 商人LV1 

 補正 幸運上昇-

 スキル 目利き



 戦士LV1

 補正 体力上昇-

 スキル 装備品強度上昇-



 旅人LV1

 補正 持久力上昇-

 スキル インベントリ




 なるほど、補正ってステータス補正のことかぁっ!?


 そして村人は補正の欄が空欄だから、ステータス補正は得られないと。そりゃ冷遇されるわなぁ。



 うーん。この中では旅人のインベントリが死ぬほど気になるなぁ。


 それと体力と持久力が別々に表示されているのはどんな違いがあるんだろう?



 ともかく、こんな小さな子供でも転職可能だということを考えると、村人のLVを上げることが転職の条件なのかもしれないな。


 よし、他の人たちも確認してみよう。





 馬車の中に居る人たちを見て回った結果、大人はみんな村人LV10になっていて、それから今現在の職業についた人が多いようだ。


 全員ぴったりLV10だし、村人の最高レベルはLV10なんだろうか?



 それにしても、結構な年配に見える調剤士の人でも5つ程度しかレベリングが行なわれていないのが気になる。


 職業設定スキルを持たない人たちの転職方法が分からないけれど、少なくともこの世界では頻繁に転職する考え方は無い気がする。



 まだほとんど何も分からないまま、ひと筋射し込んだ光明を頼りにウンウンと悩んでいると、なんだか外が騒がしくなってきた。


 ……まさかあの人たちが負けて、あのガイコツがこっちに向かってるんじゃないだろうな?



「皆さん、お休み中のところ失礼しますっ」



 そんな縁起でもないことを考えていたら、さっき話をした見張りの青年が馬車の中に入ってきた。



「フレイムロードの討伐と村の捜索を行った結果、皆さん以外の生存者は恐らく残っていないだろうと判断されました。よってこの馬車は今からステイルークに出発することになります」



 他に生存者はいないって……。


 俺の後には1人も生存者が見つからなかったのか……。



 馬車を改めて見回しても、10数人程度しか乗客はいない……。


 俺たち以外に生存者は居ないってことは、他の馬車に分乗して保護されてるってこともないのか……。



「途中で何度も休憩を挟みますが、ステイルークまでは2日間の行程を予定しております。基本的に皆さんには馬車に乗ったままでいてもらいますが、なにか要望があれば遠慮なく仰ってください」



 ステイルークという街への到着までは2日間。その間に俺達がするべきことは特に無いと。


 いや、何かしろと言われても出来ることなんて無いんだけどさ……。



「ステイルークに到着後、皆さんの扱いはステイルーク警備隊に引き継がれることになります。では参りましょう」



 説明が終わると青年はそのまま馬車に乗り込み、少しして馬車が動き出した。


 これから2日間かけて、ステイルークという街を目指すことになるのだ。



 ステイルークに到着するまでは守ってもらえるとして、その後はどうすればいいんだろう……?



 たった1体の魔物によって村1つが壊滅する世界。


 そんな世界で俺は生きていくことが出来るんだろうか……。



 先の見えない状況に頭を悩ませていると、俺達の護衛として同乗している槍を持った青年が気安い感じで声をかけてくる。



「ダン。調子はどうだ。記憶のほうはまだ戻らないか?」


「はい。調子の方は悪くありませんけど、記憶の方はどうもさっぱりで……」



 心配してもらって申し訳ないけど、元々無いものが戻るも何もないよね。


 っとそうだ。せっかくなので彼の事も鑑定してみるとしよう。




 フロイ

 男 31歳 獣人族 兵士LV18

 装備 鋼鉄の槍 硬革の軽鎧 鋼鉄のガントレット

    鋼鉄のグリーヴ 水霊のアミュレット




 獣人族? ケモミミも尻尾も無いし、見た目は普通の男性にしか見えないのに、この人って獣人なんだ?



 それと、戦士じゃなくて兵士とはいったい……。


 戦士の派生職なのか、それとも上位職なのかな。



 あ、31歳って、この人って俺より年上だったのか。



 そしてフロイさんを鑑定して、初めて装備が表示された。


 俺や他の避難民が着ているような衣服は装備として認識されないのね。



 装備品と普通の服と、いったい何が違うのかな?


 どうやら明確なさがあるっぽいけど、現時点ではその差が良く分からない。



「財産も無く記憶も無く、その上そのトシで村人ってなぁ厳しいな……。記憶が戻れば変わってくるかもしれねぇけど、ステイルークでの生活は大変かもしれんなぁ」


「そうですね。せめてお金があれば話は違ってくるんでしょうけど」



 見ず知らずの俺のことを本気で心配してくれているフロイ青年。


 口調はぶっきらぼうだが面倒見が良い人のようだ。



 って、鑑定で名前を知っちゃったから、ボロが出る前に名前を聞いておかないと。



「宜しければお名前を伺っても良いですか? こっちはステータスプレートまで見られてるんですし?」



 そのお返しに、こっちは鑑定で個人情報抜いちゃったけどねっ。



 鑑定で情報を盗み見ても、情報を抜かれた相手が気付く事はないらしい。


 個人情報抜き放題だな。自重しなきゃ。



「ん~? まぁこれから2日間ほど同行するわけだしな。名乗っとくか」



 いやいや、名乗るくらいで渋らないでくださいよぉ。



 そう言えばこの人、ステータスプレートも見せてくれなかったっけ。


 意外と情報リテラシー意識の高い人なのかもね。



「俺はフロイ。ステイルーク警備隊所属の獣人族だ」



 たった2日間だが宜しくな、と笑顔を向けてくれるフロイさん。


 被災した俺を励まそうとしてくれているのかもしれない。



「普段はステイルークに常駐してんだが、今回フレイムロード出現の報を受けて急遽討伐隊が結成されてな。警備隊に5年以上所属してる隊員は、全員強制参加させられたってワケだ」



 フロイさんはステイルーク警備隊に所属している兵士なのね。



 5年以上所属している人以外は参加すら許されない現場だったのか、あそこは……。


 あんな化け物がゴロゴロいるような世界とか、ぶっちゃけ冗談じゃないんだけどぉ……?



「フレイムロードを相手取るにゃあ街の警備隊員なんざ実力不足もいいとこだがよ。後方支援部隊として駆りだされたんだよ」



 参加はさせられたけど交戦は許可されてないってことか。


 かなり危険な存在だって認識らしいね、あのフレイムロードとかいうガイコツ野郎は。



「って、後方支援部隊ってことはフロイさんはまたあそこに戻るんですか? そう言えば俺たちの扱いは、ステイルーク警備隊に引き継がれるって……」


「そりゃあな。後方支援部隊として呼ばれて、更にはフレイムロードが討伐済みってんじゃサボるわけにはいかねぇよ。生存者は絶望的だが、調査だったり後始末だったり、色々あんだよ」



 ため息混じりに回答してくれるフロイさん。



 ぶっきらぼうな印象のフロイさんだけど、真面目な人なのだろう。


 俺のことを気にかけてくれてる感じもするしな。



「主力で戦った王国騎士団と、断魔の煌きの連中はひと足先に帰還するだろうけどな。王国の主戦力を後始末に付き合わせるわけにゃいかねぇさ」


「断魔の煌き?」


「ぶははっ! 記憶がねぇんだから仕方ねぇが、断魔の煌きを知らねぇなんざ笑えるなっ!?」



 聴き慣れない単語に思わず聞き返してしまった俺を見て、フロイさんは腹を抱えて爆笑してしまった。


 そのフロイさんの様子を見て、馬車内の空気が少しだけ和らいだ気がする。



 わざとなのか天然なのか分からない人だ。



「我がスペルド王国が誇る最強のパーティ、それが『断魔の煌き』だ。ロード種なんてバケモンとやり合えるパーティなんざ連中くらいのもんだろうよ」


「スペルド王国……」



 今居る場所がスペルド王国で、その中で最強と謳われているのが断魔の煌きって人たちなのね。


 俺の中の黒歴史が疼くようなパーティ名だこと。



 もしかしたら俺を助けてくれたあの人たちのことなのかな?


 あのガイコツと戦えるのがその人たちしか居ないっていうなら、恐らく間違ってないと思う。



 目で追えないほどの身体能力。


 村を壊滅させる相手を圧倒する攻撃魔法。



 うん。この国最強のパーティと言われても納得するしかない。






 ステイルークまでの2日間は、フロイさんや他の乗客となるべく沢山話をして過ごした。



 開拓村で見覚えのない人物だとして他の乗客に少し警戒されたけど、ステータスプレートで犯罪者でない事は証明されているし、記憶を失っていると言うとみんな同情してくれた。


 嘘をつくことにちょっとだけ罪悪感を感じるね。



「アンタも大変だと思うけど、お互いめげずにがんばろうな……」



 先行きの見えない不安の中で、俺との会話で不安を紛らわせている人も居た。


 村を追われ、家も財産も大切な人も失い、それでも生きていかなければいけない開拓村の人たちは、俺なんかよりもずっと深い絶望の中に囚われているのかもしれない。



 道中は何度も魔物に襲撃されたけれど、フロイさんを始めとした護衛の皆さんの腕は確かで、全く危なげなく撃退してくれた。


 というか2日間の行程で20回近く襲撃される魔物とのエンカウント率を知り、フロイさんと魔物たちの戦いを実際に目にしたことで、この世界で生きていく自信がどんどん無くなってしまう。



 俺、運動神経も良いほうじゃないんだけどなぁ……。


 ステータス補正で俺のポンコツっぷりが何処まで補えるか……。



 今後の異世界生活に不安しかないよぉ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 頭が悪い主人公ってのはわかったな。
2021/12/22 16:06 退会済み
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