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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
5章 王国に潜む悪意1 嵐の前
293/637

293 ウェポンスキルの価値

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 各キャラクターの装備情報が羅列されます。閲覧するデバイスによっては非常に読み辛くなっている可能性があります。ご理解ください。

 みんなが寝ている間に、1人で夜なべして作った装備品はこんな感じになった。




 ダン


 神鉄のロングソード

 焦天劫火 装備品強度上昇+ 魔法妨害+ 魔力吸収+ 無し


 ドラゴンサークレット

 物理耐性 魔法耐性 物理防御力上昇 魔法防御力上昇 体力上昇+


 神速の風鎧

 物理耐性 魔法耐性 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 身体操作性上昇+


 ドラゴングローブ

 物理耐性 魔法耐性 物理防御力上昇 魔法防御力上昇 体力上昇+


 フラッシュブーツ

 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 身体操作性上昇+ 幸運上昇+ 魔力上昇+


 封神のアミュレット

 物理耐性+ 魔法耐性+ 全状態異常耐性+ 魔力自動回復+ 魔力消費軽減+




 ニーナ


 呪物の短剣

 ランダム状態異常付与+ 貫通+ 魔力吸収+ 無し 無し


 アサシンダガー

 貫通+ 物理攻撃力上昇+ 魔法妨害+ 無し 無し


 神護の髪飾り

 精神異常耐性+ 魔法耐性+ 物理耐性 魔力消費軽減+ 魔力自動回復+


 神速の風鎧

 物理耐性 魔法耐性 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 身体操作性上昇+


 ドラゴングローブ

 物理耐性 魔法耐性 物理防御力上昇 魔法防御力上昇 体力上昇+


 フラッシュブーツ

 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 身体操作性上昇+ 幸運上昇+ 無し


 魔除けのネックレス 

 魔法耐性 全状態異常耐性+ 詠唱短縮+




 ティムル


 オリハルコンダガー           

 叫喚静刻 物理攻撃上昇 体力吸収+ 魔力吸収+ 無し    


 オリハルコンダガー

 ランダム状態異常付与+ 魔法妨害+ 貫通+ 装備品強度上昇 無し


 神護の髪飾り

 精神異常耐性+ 魔法耐性+ 物理耐性 魔力消費軽減 魔力自動回復+


 月影の衣装

 物理耐性- 魔法耐性- 敏捷性上昇+ 身体操作性上昇+ 空蝉


 ドラゴングローブ

 物理耐性 魔法耐性 物理防御力上昇 魔法防御力上昇 体力上昇+


 フラッシュブーツ

 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 身体操作性上昇+ 幸運上昇+ 無し


 混沌のアミュレット

 物理耐性+ 魔法耐性+ 体力自動回復+ 全状態異常耐性+ 詠唱短縮+




 フラッタ


 ドラゴンイーター

 対竜族攻撃力上昇+ 物理攻撃力上昇+ 貫通+ 体力吸収+ 剛震撃


 ドラゴンサークレット

 物理耐性 魔法耐性 物理防御力上昇 魔法防御力上昇 体力上昇+


 ドラゴンプレートメイル

 物理耐性+ 魔法耐性+ 物理防御力上昇+ 魔法防御力上昇+ 体力上昇+


 ドラゴンガントレット

 物理耐性+ 魔法耐性+ 物理防御力上昇+ 魔法防御力上昇+ 体力上昇+


 飛竜の靴               

 敏捷性上昇+ 持久力上昇+ 幸運上昇+


 竜珠の護り

 魔力消費軽減+ 精神異常耐性+ 病気耐性+ 魔力自動回復+ 全状態異常耐性+




 ヴァルゴ


 災厄のデーモンスピア

 魔法妨害+ 魔力吸収+ 通穿牙 槍円舞 貫通+


 竜の神結い紐

 物理耐性+ 魔法耐性+ 物理防御力上昇+ 魔法防御力上昇+ 精神異常耐性+


 天魔の巫女装束

 精神異常耐性+ 魔力自動回復+ 魔法耐性+ 持久力上昇+ 敏捷性上昇+


 護命の白手甲

 物理耐性 魔法耐性 体力自動回復+ 魔力自動回復+ 魔力上昇+


 疾風の草履

 敏捷性上昇+ 身体操作性上昇+ 空蝉 五感上昇+ 持久力上昇+


 流星の腕輪

 敏捷性上昇+ 身体操作性上昇+ 五感上昇+ 幸運上昇+ 全状態異常耐性+




 ラトリア用アクセサリー


 火竜の護り

 物理攻撃力上昇+ 体力自動回復+ 持久力上昇+ 全状態異常耐性+




 エマ用アクセサリー


 海竜のペンダント

 物理防御力上昇+ 魔法防御力上昇+ 体力自動回復+ 全状態異常耐性+




 ターニア用アクセサリー


 力の腕輪

 物理攻撃力上昇+ 体力自動回復+ 全状態異常耐性+




 ムーリ用アクセサリー


 ラビットシンボル

 幸運上昇+ 魔力自動回復+ 全状態異常耐性+




 可能な限りスキル枠を埋めて、既に付与されていたスキルを大効果にアップグレードした感じだね。


 ニーナやティムルのフラッシュブーツの空き枠に何を付与するかは確認し忘れてたので、今回は空けたままにしておいた。



 俺のフラッシュブーツには魔力補正を付与。


 この世界では、魔力さえ枯渇しなければ出来る事は多いからね。最大MPを伸ばすことにしたのだ。



「ふ~。これで想定外の事故が減る確率はかなり下がってくれたかな?」



 全員分の装備品に、全状態異常耐性の大効果スキルを付与できてしまったのが笑えるよ。



 付与術士6人に加えて、勇者の職業スキルも滅茶苦茶効果を発揮しているようだ。


 小・中効果のスキルジュエルもボロボロ落ちてくれたから、まだまだ余ってるくらいなんだよねー。



 それにしてもエマの海流のペンダントって、スキル枠が4つあったんだね。びっくりしたよ。


 ルーナ家かヴェルナ家か分からないけれど、孤児出身のエマに随分奮発したもんだ。


 スキル枠が4つあるという事は、竜爵家の令嬢であるフラッタの履いている飛竜の靴よりも、単純な品質で言えば上だということになるんだよ?



「う~、ちょっと疲れたなぁ。これなら今日は眠れそうだ」



 さてと、これ以上は俺1人で出来る事は無いよな?


 

 それじゃくっついて寝ているニーナとフラッタの間に潜り込んで、今日のところはおやすみなさーい。






「…………どうしてこうなった?」



 翌朝、目覚めたみんなといつも通りイチャイチャエロエロしながら装備品をお返ししたところ、現在ベッドの上に正座させられております。



 あ、あれ~? 怒られるとは思ってなかったんだけどなぁ~……?



「ダ~ン~? どうしてオリハルコンダガーのスキルが変わっちゃってるのかしらぁ? 咆哮はどこに行ったのか、詳しく説明してもらうわよぉ~!?」



 ティムルが血走った目で詰め寄ってくる。


 生産関係になるとティムルは目の色が変わるなぁ。熱視だけに?



 詰め寄ってきたティムルを抱きしめて、とりあえず唇を重ねておいた。



「貴方、私達が寝ている間にまたなんかやったんでしょーっ!? 洗いざらい全部話しなさーいっ!」


「なんかねー。咆哮を融合させたら、叫喚静刻ってスキルに進化しちゃったみたいでさー」


「みたいでさー、じゃないわよーーーっ! そこ、サラッと流さずちゃんと説明しなさいったらぁっ!」


「ごめんねティムル。付与したばかりだから、叫喚静刻がどんな効果のスキルなのかは説明できないんだ」


「誰がスキルの説明を求めてるって言ったのよっ!? 貴方分かっててからかってるでしょー!? んもーっ!」



 いやいや、からかってるわけじゃないんだけどさぁ。


 はぐらかす度にお姉さんが押し付けるようにキスをしてきてくれるから、ちょっとだけ焦らしたくなっちゃうんですよー。ティムル大好きー。



「咆哮のスキルジュエルなんて無かったじゃないっ! 咆哮って神鉄武器に付与されたスキルなのよ!? 名匠でもないダンが、どうやって咆哮を融合させたのかを説明しろって言ってるのーーーっ!」



 思い切り叫んだ後に、まるで噛み付くようにキスしてくるティムル。


 ああもうこのまま押し倒して宿に篭りたいところだけど、今日はシュパイン商会にも顔を出さなきゃいけないんだったぁ。くそぅ。



 ティムルが満足するまでキスしてから、改めて昨晩の事をみんなに説明した。



「スキルジュエルが自作できる、ですって……!? それに、名匠じゃなくてもアウターエフェクトの素材を扱える……?」


「名匠のスキルはあくまで()()()()()()()だからね。レシピを用いない生産スキル発動には問題ないんじゃないかな?」



 名匠の職業スキルはあくまでレシピの解放であって、上位生産スキルの開放ではないのだ。


 レシピを用いないと完成品が分からないから、レシピ無しでオリジナルのアイテムを生産するのは現実的じゃないとは思うけど。



「ただしレシピ無しのアイテム作成は魔力消費がかなり重かったし、生産スキルの消費が軽いっぽいドワーフ以外にはやっぱり厳しいと思うよ」


「あっさり大量に成功させてる人がなに言ってるのよ、もうっ」



 ぷんぷんと頬を膨らませながらも、ちゅっちゅっと何度もキスしてくれるティムル。


 ぷんぷんしてるお姉さんも最高に可愛いよーっ。ちゅっちゅっ。



 エルフ族がマジックアイテム作成が得意だと言われているのは、魔力制御が得意なことの他に、魔法職を浸透させやすいことも関係していそうだ。


 魔法職の浸透を進めて最大魔力量を増やしていけば、ドワーフ以外の種族でもなんとかなる感じだったからな。



 他ならぬ俺自身が、膨大な魔力でごり押しできるって証明しちゃったもんねー。



「武器を素材にスキルジュエルを作成すると、その武器のウェポンスキルが作成可能……? そんな話、聞いたことも無いよ……」


「ヒントは上級レシピだったな。ダマスカスとオリハルコンの素材に完成品の武器を用いるって知ったから辿り着けた解答だと思う」


「そもそもスキルジュエルを自作してる時点で意味が分からないんだけど……、でもそれが事実だとしたら……。ウェポンスキルの価値、暴落しちゃうねっ……!」


「……ああ。見る影も無いほどにな」



 慄くリーチェに頷いてみせる。


 スキル付与は付与術士がいないと無理だけど、スキルジュエルの生産はアイテム職人さえいれば出来るとなると、スキルジュエルの稀少性は全く無くなってしまうだろう。



 だけど価値を暴落させるわけじゃない。これは本来の適正価格にするだけの話なのだ。


 相対的に見て今より価値が下がるのは仕方ないけど、今のウェポンスキルが高騰しすぎてるんだよねぇ。



 俺が初めてウェポンスキルを見たのは、ステイルークとステイーダの間の野営地だった。


 俺に槍円舞を見せてくれた槍使いは、鋼鉄の槍なんて低品質の武器に威力の低い周囲攻撃なんていう、魔法使いになれたら2度と使わないようなウェポンスキルをつけただけで、王金貨の価値でもおかしくないとか言ってたからな。


 こんなの、価値と効果が全く釣り合ってないじゃないか。



「今まで500以上もスキルジュエルを拾っておるのに、ウェポンスキルは数えるほどしか拾えていなかったからのぅ。言われてみれば確かに、釣り合いが取れていない気がするのじゃ」



 ふむふむと何度も頷きながらフラッタが同意してくれる。



 一般の魔物狩りから見れば、確かに魔法使いだってなろうと思ってもなれない稀少な職業かもしれない。


 けれどそれは、魔法使いの情報が制限されているせいなのだ。


 魔法使いの転職条件である魔力枯渇のことさえ知っていれば、魔法使いになることはそこまでハードルが高くないはずだ。



 初級攻撃魔法以下の性能しかないウェポンスキルでさえもほとんどドロップしないのは、やっぱり異常すぎたんだよ。


 性能の低いウェポンスキルのスキルジュエルは、手軽に入手できてないとおかしかったんだよ。



「スキルジュエル同士の合成が出来るのもありがたいのう。装備品のスキル枠が空いていなくともスキルの融合が可能になる意味合いは大きいのじゃ」



 フラッタの言う通り、スキル合成を装備品を介さないで可能になった意味合いも非常に大きい。



 今のところ1度付与したスキルを抽出、削除する方法は見つかっていないからね。


 装備品にスキルを付与して合成していくよりも、予め合成したスキルを装備品に付与する流れの方が、スキル付与のトラブルを格段に減らすことが出来るだろう。



「やったねっ! ダガー系のウェポンスキルが全然拾えなくて困ってたのっ! これで私の武器にもウェポンスキルを付与出来るのーっ」「



 スキルジュエル作成とスキルジュエル合成の考察をするみんなと違って、ダガーのウェポンスキルが入手できた事を単純に喜ぶニーナ。


 けれどやっぱりニーナも直ぐに表情を引き締めて、みんなとは違う方向性から懸念を溢した。



「……ただ、装備品の流通量が足りてない現状だと、この事実を公表するのは迷うねー。なまじ手軽に試せるだけにトラブルを引き寄せちゃいそうなのー」


「あー……。そこまで考えてなかったけど、言われてみれば……」



 確かにニーナの言う通り、これはセンシティブな案件かもしれない。


 俺達と違って、王国の付与術士はLV100に到達していないっぽいから、ただでさえ少ない装備品が更に無駄に消費されて、装備品の流通量が減ってしまう可能性がある。


 ウェポンスキルを付与した武器なんて、鋼鉄の槍ですら王金貨に届く可能性があるのだから、みんな挙ってスキル付与に挑戦してもおかしくないもんな。



 ……ああ、だから付与術士の条件には、スキルジュエルを作成できるアイテム職人が入ってなかったりするのかな?


 未熟な付与術士が無駄にスキルジュエルを消失させて、装備品の流通量が減ってしまわないように、みたいな。



「ええ……。そんなに貴重な物を、加入したばかりの私にポンポン付与してくださっていたのですか……?」


「気にしなくていいよ。ヴァルゴの場合は偶然タイミングが良かっただけだから」


「気にするなと言われましてもぉ……。槍自体も世界最高品質だと言いますし、なんだか恐縮してしまいますよぉ……」



 使い手も世界最高峰だから、槍もスキルも喜んでるって。



 それにヴァルゴももう俺のお嫁さんだしね。遠慮なんかしないで欲しいな。


 出会ってから過ごした時間の長さよりも、お互いの関係性の方を重視したいのよ俺は。



「はぁ~…………。皆さんといると本当に、今までの常識が音を立てて崩壊していきますよぉ……」



 今までの常識の世界では世界最強と言われていたラトリアが、長い長い溜め息を吐いている。


 かと思えば直ぐに顔を輝かせ始めたぞ?



「でも、これは職人の育成が楽しみになってきますねっ。私の剣にもウェポンスキルを付与できる日が来るかもしれませんっ」


「ヴァルハールで保護した竜人たちの中からも、一定数は職人を育ててあげたほうが良さそうですね。ラトリア様。シルヴァ様にも事情を説明して、保護した者たちの中から希望者を募りましょう」



 ソワソワし始めるラトリアとエマ。


 ちょうど、まだ何者でもない竜人族が沢山いるんだもんね。活用しない手はない。



「ねぇねぇダンさんっ! そんなに手軽なら、私の槍にもウェポンスキルを付与してもらえないかなーっ!?」


「勿論いいよターニア。武器と素材を用意してくれるなら、俺が直々に付与してあげるからね」


「やったーっ! ウェポンスキル付き武器なんて、呪われる前にも持ったことないのーっ!」



 ありがとうありがとうと、俺に何度もキスをしてくれるターニア。可愛いなぁもう。



 しっかし、獣爵家の令嬢ですらウェポンスキルを持ったことが無いなんてなぁ。


 希少性高すぎだよ。大した性能でもないのにさぁ。



「……そんなに手軽に入手できるなら、将来的には子供達でもウェポンスキルを活用できるように? 勿論付与するのは簡単では無いのでしょうけれど、それでも可能性は……」



 ムーリが真剣な顔でブツブツと囁いている。



 付与するのは俺達がやってもいいけどね。トライラムフォロワーの分くらいなら。


 でもせっかくサウザーが職人を極めようとしているんだし、自分たちでやらせた方が楽しいかな?



「この事実は恐らくメナスも知らないだろうから、メナスを倒して装備職人が増えるまでは公表を控えよう。シルヴァにも守秘義務を徹底させて欲しい」


「分かりました。ではメナスの撃退に成功するまではシルヴァにも伏せておく事にします。職人の育成にも時間が必要ですからね」



 ラトリアがシルヴァにも秘密にしておくと言った流れで、今回のことは家族以外には漏らさない事にした。


 今までの常識を覆しかねない大スキャンダルなので、秘密を知った人間に危険が及ぶかもしれないからね。



「俺はこれからシュパイン商会に行くけど、その後に魔人族の集落に寄って、装備品の素材を回収してくるよ」



 守人の集落には思い切り装備をばら撒いたんだから、俺達の都合で素材を回収させてもらう。

 

 ……守人の人たちは文句1つ言わずに差し出してくれそうだけど?



 余った素材を武器として返却する事で、回収した素材の対価とさせてもらおう。



「ラトリアとエマも張り切るのはいいけど、竜王のカタコンベでは装備品の素材はドロップしないから気をつけてね? 職人を育てることには問題ないけどさ」


「あ~っ、そうでしたぁ……! 竜王のカタコンベでは装備品の素材は得られないんでしたねぇ……」


「開拓村を拠点に侵食の……、聖域の樹海で素材を集めてもいいかもしれないね、将来的な話になるけどさ」



 開拓村、ヴァルハール、聖域の樹海が線で繋がっていく。


 なんかそんなつもりは全く無かったのに、今まで進めてきたことが噛み合ってきた気がするなぁ。



 いや違うか。この世界のシステムは元々噛み合うように作られていたんだ。


 なのにそれが失われたり忘れられたりして、あるいは誰かが意図的に寸断して、本来あるべき流れを止めていたんだ。



 この世界を創ったのがトライラム様か他の神様なのかは知らないけど、神様はきっと人間たちの味方だったんだろう。


 神様は人間の味方だけど、人間は人間の敵だったんだろうね。


 人間同士の悪意と思惑によって、神様の用意したであろうシステムが上手く回らなくなっていってしまったんだ。



 まるで、人の悪意によって善意が全て空回っていた、かつてのトライラム教会みたいだねぇ……。



「まずはダマスカス以下の全武器でウェポンスキルを試作してみて、適当な武器に付与して性能を確認しよう。俺達の武器に付与するのは性能をちゃんと見極めてからだ」


「うんうん。私のダガーなんてアウターレアだもん。スキル選びを間違えるわけにはいかないもんねっ」



 武器から生み出されるウェポンスキルを把握し、スキルの性能を調査して、更には合成も試していかないとな。


 俺とティムルの神鉄武器はまだしも、他のみんなはアウターレア製の武器だ。スキルの選択はミスれない。



 そういう意味では、フラッタのドラゴンイーターとヴァルゴの災厄のデーモンスピアはちょっと失敗したなぁって思わないでもない。


 武器からスキルだけを抜くってことが出来れば良かったんだけど、どうやら無理っぽいし。



 ウェポンスキルを作れるなんて知らなかったんだから、今更後悔しても仕方ないんだけどね。



「ターニアもアナザーポータルを使用できるようになったわけだし、装備素材がドロップしたら俺たちに回してくれる? 選別はこっちでやるからさ」


「了解なのっ。ダンさん達と一緒ならお金に困ることも無いし、欲しい素材は全部持っていって構わないのっ」


「ですですっ。素材も私のことも、ぜーんぶ貰ってくださいねっ」



 声とおっぱいを弾ませたムーリが、弾んだおっぱいを俺に押し付けてきてくれる。柔らかい。



「ああそうだ。メナスを倒したらシュパイン商会に協力してもらってさ、王国中に一気にウェポンスキルのスキルジュエルを流通させてみない?」


「え、ええ~……!? お、面白そうだけど説明が難しそうねぇ……」


「ウェポンスキルを独占できたら、カリュモード商会なんて吹き飛ばせちゃうでしょ? それに装備品の流通量を調整するにも、シュパイン商会に協力してもらえたら助かるなぁって」


「はぁ~、了解……。この前キャリア様にドヤ顔でダンの事を語っちゃったけど、未だに私も堪ったものじゃないわよぉ……」



 頭を抱えながらも俺の首に手を回して、抱き付きながらキスをしてくれるティムル。


 生産系のことになると積極的になってくれるティムルが可愛い。



 さっきまでの貪るようなキスではなく、ゆっくりと交わす甘い口付け。


 んもー、こんなに大好きって伝えてくれなくたって、ティムルが俺の事を大好きなことなんてとっくに知ってるってばぁ。


 俺がティムルを大好きな事だって知ってるでしょぉ? ちゅっちゅっ。



 俺とティムルを羨ましそうに見ているみんなのことも、勿論大好きだよ。


 部屋を出る前に、このままもうちょっとだけみんなで一緒に過ごそうね。

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