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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
4章 マグエルの外へ3 奈落の底で待ち受ける者
270/637

270 造魔

「それじゃちょっと行ってくるのっ!」



 ニーナがシルヴァやティムル達と一緒に、アナザーポータルで転移していく。



 シルヴァに聞きたい事は山ほどあったけど、今は全員ここから無事に助け出すことの方が重要だ。


 それに一刻も早く、ラトリアにもシルヴァの無事を知らせてあげたいからな。頼んだよみんな。



「それじゃフラッタとリーチェは女性に聞き取りをお願いね。男の俺が聞き難い話題だし」


「了解なのじゃっ! 誰1人見捨てはせんのじゃっ!」


「同性のぼくたちでもちょっと気まずい質問だけどねぇ……。異性のダンよりはマシなんだろうけど」



 貴女は出産経験がありますか? お子さんはどの子ですか? なんて聞けませんっ!


 セクハラなんてもんじゃないよっ! いやセクハラってわけでもないのか? どうなんだろうなぁ?



「それじゃ野郎共はどんどんヴァルハールに送っちゃおうね~?」



 残っていても出来ることがない男性竜人族は、アライアンスに参加してもらってどんどんヴァルハールに送り出していく。





「あ、ああっ! ステータスプレートが取り出せました……! 私の、私の子供ですっ……!」


「うむっ! 出産回数と子供の数を正確に憶えておる者は、子供が見つかったら直ぐにヴァルハールに行くのじゃっ」



 女性竜人族も子供との照会が済み次第、子供と一緒にヴァルハールに転送していく。



 母親の方も自分の子供が分からない状態だったので、1人1人地道に調査を続ける。


 そうしてなんとか全ての住人をヴァルハールに送り届けることが出来た時には、既に日付も変わっていた。



 中継地点に生体反応が無くなったのを確認してから、ヴァルハール側に合流する。



「ここなら安全なはずです。入り口は竜爵家邸の中ですし、施設自体の強度も広さも十分ですから」



 合流したエマに、救助した竜人族の避難場所に案内してもらう。



 するとなんと、ヴァルハールに送り届けられた竜人族たちは領主邸の地下訓練場に匿われる事になったらしい。


 地下訓練場、まさかの大活躍である。



「……寝具も何も無い硬い床の上なのに、みんな泥のように眠ってるね」


「ええ、先ほど食事も振舞いましたから気が緩んだのでしょう。ひとまずはこのままにしておきましょう」



 エアコントローラーを提供して、少しでも快適に休んでもらえるように配慮する。



 どうやら劣悪な生活環境化にあったらしい彼らは、食事の後はみんな泥のように眠ってしまった。



 ……これじゃ詳しい話を聞けそうもないな。


 竜人族たちには、まず体力を回復してもらわないとどうしようもないね。



「……シルヴァから話を聞くのも無理か。仕方ない」



 疲弊した竜人族の中でもシルヴァの消耗は一段と激しく、なんとかラトリアと再会を果たした後は、糸が切れたように気を失ってしまったらしい。


 精神的にも肉体的にも激しく消耗しているので、まずは休息が必要なのだそうだ。



「ラトリア様にお会いするのは我慢してあげてくださいね? 今のラトリア様、情緒が安定していませんから」


「それはそれで興味があるんだけど、まぁ了解だよ。大人しくしておくね」



 シルヴァと再会できたラトリアは、概ねの予想通りポンコツ化したみたいだ。


 だけどティムルとエマを補佐につけたおかげで、なんとか上手く立ち回ってくれたらしい。



 ラトリア、シルヴァ、フラッタには家族水入らずで過ごしてもらおうね。


 笑顔のエマをよしよしなでなでして、彼女の頑張りを労った。




 その後はうちのメンバーで、不足している物資や食料を各地から買い付けたりして受け入れ準備に協力した。




「みんな、とりあえずお疲れ様だよー」



 まだ夜明け前の暗さが残る食堂で軽い食事を取りつつ、みんなと今後の相談をする。



「中継地点での生体反応は残っていなかったし、少なくとも生存者は全員助け出すことが出来たと思う」


「うん。目視でも確認したし風にも聞いてみたからね。生存者は全員助けられたはずだよ」



 リーチェが太鼓判を押してくれるなら安心だな。



 子供達と母親を引き合わせている時に可能な限り調査・捜索をしたけど、奈落の中で他の人間を見つけることはできなかった。


 恐らくは全員救出できたはずだ。これは朗報と言っていいだろう。



「それでね? シルヴァも含め、彼らには少し休息が必要みたいだから、その間に俺達はもう1度奈落に潜って職業浸透を進めようと思ってるんだ」



 ラトリアの支配に始まり、フラッタの強制隷属化、大量の奴隷の襲撃と、竜人族周りは精神支配・精神操作系の案件が多すぎる。


 さっさと魔物使いを浸透させて従属魔法を進化させておかないと、な~んか安心できないんだよねぇ……。



「エマに魔法使い、探索魔法士、冒険者の3つを浸透してもらって、探索者にまでなってもらうのが目標かな。ここまで浸透すればラトリアと2人で竜王のカタコンベに潜れるからね」


「……了解です。本音を言わせてもらえるなら、出来ればラトリア様とシルヴァ様のお傍に居たい所ですけれど」



 エマは、せめてシルヴァが目を覚ますまではヴァルハールに留まりたいと思っていたようだ。



「だけどラトリア様も落ち着かれたようですし、シルヴァ様にもお休みが必要ですし……。私も今のうちにできることをやるべきですね」



 しかしすぐに思い返して、王国最強の双竜姫ラトリアがついている以上シルヴァの心配は要らないと、俺の申し出を受け入れてくれた。



「それに、今回は皆さんの移動魔法に本当に助けられましたからね。私も使用できるようになるならありがたいです」



 移動魔法と探索魔法の有用性をこれでもかと見せ付けられた直後の為か、職業浸透に乗り気のエマ。


 救出に成功した全員の容態は落ち着いているし、このままヴァルハールで待っているだけじゃ時間が勿体無いよな。



「それじゃ、今日の職業浸透の進捗を共有しよう」



 現在の職業浸透状況は、俺が魔物使いLV68に魔王LV7、勇者LV7。


 ニーナの殺人者はLV78で、ティムルの魔導師LV96。フラッタの斥候は転職したてなのでLV1だ。



 ……やはり、あの場所にいた魔物たちからは経験値が得られていないようだ。迷惑すぎる。



 リーチェの斥候は、恐らくまだ浸透していないだろう。ヴァルゴは聖騎士LV34まで浸透が進んでいる。


 エマは現在行商人LV4なので、少し無理してでも浸透を進めて、明日以降はラトリアとシルヴァの元にいさせてやりたいところだ。



「魔導師の浸透が終わったら、私は察知スキルよりも移動魔法の習得を優先するわ。冒険者と探索者が済んでから射手になろうと思う」


「私もティムルと同じく、移動魔法の習得を優先させてください。今回移動魔法が使えなくて、あまりお役に立てなかったのが申し訳なくて……!」



 ティムルもヴァルゴも真面目すぎるよ。そんなこと気にしなくてもいいのに。


 だけど2人の希望は聞き届けたよ。明日から移動魔法の習得を目指そうね。



 次はムーリとターニアさんのパーティ、傾国の姫君の予定だけど……。



「ヴァルハールも落ち着いたみたいですし、私とターニアさんはマグエルに戻りますね。手伝いが必要でしたらまた来ますので」


「ヴァルハールじゃあ獣人族の私とムーリちゃんが手伝いをしても、面倒事が増えるだけって感じだったからねぇ。私達は大人しくマグエルで待ってるからねー」


「うん。2人ともお疲れ様だったよ。送っていくからゆっくり休んでね」



 朝食の後、欠伸をしているターニアさんとムーリをマグエルに送っていく。


 すっかり明るくなっちゃったけど、寝てないんだから無理しちゃだめだよ? ぎゅー。



「みんなも寝なくて大丈夫? 不調があったら遠慮せず言ってね?」


「うむ。職業補正のおかげで眠気も無いのじゃっ。体調は万全と言っていいのじゃーっ」



 最年少のフラッタが寝不足が感じていないなら、このまま動いても平気かな?



 俺たちはシルヴァとヴァルハールのことを大張り切りのラトリアに任せて、竜人族がいた場所の調査と7階層の探索のために、再度奈落に転移した。





「そんなに期待していたわけじゃないけど、やっぱり何も残ってないかぁ……」



 みんなで6つ目の中継地点を改めて調査しなおしたけれど、この場所を仕切っていた存在の手がかりみたいなものは一切見つからない。


 シルヴァたちの回復待ちだなぁ。



「んもーっ! ほんっとうに用心深い相手だねー! 奴隷と魔物を好き勝手に操れるから、自分が関わるのは最小限に抑えてる感じなのかなー?」


「門の外に馬車があるけど……。小分けにした物資を移動魔法を使ってここまで運んで、それを奴隷に運ばせたのかしらねぇ?」



 可愛く怒っているニーナと、馬車の運用方法に思いを馳せるティムルを抱き寄せ、2人一緒によしよしなでなで。



 ティムルが指摘した通り、竜人族が捕まっていた場所には馬車が用意されていた。


 馬車には移動魔法が適用されないはずなのに、アウター内で馬車を何に使っていたんだろうな?



 そもそもここには馬なんかいないのに、何に馬車を曳かせていたんだろ?



「魔物も奴隷も意のままに操れるのなら、移動魔法が無くても物資の運搬は出来なくもないわね。馬の代わりに魔物に馬車を引かせればいいんだから」



 おお? 魔物に馬車を引かせるのってロマンあるなっ!



 この世界は移動魔法が充実してるから、乗り物の必要性をあまり感じないんだよなぁ。行商をする予定もないしさぁ。



 魔物使いで魔物を従属させられるなら、開拓村からステイルークに行く馬車と、侵食の森に行く馬車みたいなのを作ってみるのはいいかもしれない。


 冒険者が現れるまで森に入るだけでも一苦労だろうし、伐採した森の資材を運搬するのは移動魔法じゃ難しいもんね。



「この場所のことは、兄上や他の竜人族に聞いたほうが早そうなのじゃ。奴隷契約を結ばされていたとは言え、彼らには意識も記憶もあったのじゃからの」



 フラッタの雰囲気が少し柔らかくなっている気がするなぁ?


 ゴルディアさんのことは仕方ないけれど、ラトリアとシルヴァを助けられた事で、フラッタの悩みは完全に解消された形になるもんな。



「フラッタの言う通り、敵の正体が掴める可能性もあるからね。いざ相対した時に力が足りないんじゃ話にならない。早速先に進もう」




 フラッタとは反対に、リーチェは少し気負い気味に感じる。



 フラッタたちを陥れた相手というのは、スペルド王国の深い場所まで根を張っている相手だ。


 リーチェには王族の知り合いもいるのだろうから、真実を知るのが少し恐ろしいのかもなぁ。



「ダン様を傍で拝見させていただいていて、どれだけ技術を磨いても、それだけでは解決出来ない問題の多さを痛感しております。こんな体たらくで、守人たちは何を守れるというのか……!」


「……ヴァルゴは気にしすぎだよ。お前もちゃんと強くなってるってば」


「いえ、今のままでは私こそが皆様の足を引っ張ってしまう事になりかねません……! 私も職業の浸透を急がねばなりませんね……!」



 いやいやヴァルゴさんや。お前が足を引っ張ってるなんて思ってる奴、誰1人居ないからねー?



「ダンさんに救っていただいたソクトルーナ家を護りぬくために、私に必要な力を磨かせてください。もうラトリア様もシルヴァ様も、危険な目に遭わせるわけには参りませんっ!」


 

 ヴァルゴに続いて、エマもやる気満々だ。


 戦闘職だけに偏る危険性も理解したみたいだし、積極的に色々な職業を浸透させていこう。



 今回助けた竜人族にも、戦闘職に拘らない職業選択をしてもらいたいところだ。



「ここにはもう何も無さそうだし先に進もう。少なくとも最深部までは行ってみようね」



 敵に繋がる手がかりも、新たな生存者も見つからなかったので、調査を切り上げて先に進む。


 気合充分なみんなと一緒に、7階層へと足を踏み入れた。





「……探索しても、面白みがないアウターだなぁ」



 7階層に足を踏み入れても、外見的には全く変化がないようだ。



 さて。竜人族の解放は終わったので、ここからは虱潰しに調査する必要も無いだろう。


 道中の魔物を倒しながら、一直線に次の中継地点を目指して進んで行くとしようね。





「アウターのほうは変化が乏しいけど、魔物のほうは結構変わるなぁ」



 襲いかかってくる魔物は、大型爬虫類とか人獣とかが増えてきた。


 不死族の魔物も増え始め、なんだか地獄の底に向かっているような気分になってくる。



 LVも100~150くらいで、かなり強力な魔物が出現するようになってきたようだ。


 うちのメンバーには瞬殺されてますけどねぇ……?




「う~ん。こればっかりは仕方ないかなぁ……?」



 うちのメンバーと比較してみると、どうしてもエマの火力が見劣りしてしまうね。



 エマの得物は聖銀のロングソードで、ティムルがいなければ普通に最高水準の武器なんだけど……。


 うちのメンバーの場合、神鉄武器が下位に含まれる頭のおかしい装備水準だからな。



 マギエフェクターと鼓舞、アニマライザーの重ねがけで充分な火力にはなってるようなので、武器の更新は考えていないけどさ。




「お姉さーん! 魔導師の浸透終わったよーっ」



 真っ先に浸透が終わったのは、ティムルの魔導師。



 これでインパクトノヴァの使い手が5名になったわけだ。


 敵がどれだけアウターエフェクトを繰り出してきても、問題ない戦力になってきたんじゃないかなぁ?



「それじゃまずは冒険者をお願い。察知スキルや治療魔法も覚えたいけど、まずは1つ1つ終わらせなきゃねっ」


「おっけーい。でも時間はいくらでもあるんだから、なんにも焦らなくていいからねー?」



 ティムルは一生俺の傍に捕まえておく予定ですからっ。


 でも、行商人として国中を回っていたティムルがポータルを使えるようになる意味って、俺が思っているよりも大きいのかなぁ?




 冒険者LV1

 補正 体力上昇 持久力上昇 敏捷性上昇-

 スキル インベントリ ポータル




 続いてエマの行商人、そしてニーナの殺人者が浸透を終える。


 殺人者を終えた事で、ニーナは無事に暗殺者に転職可能になってくれた。



「んー、私が気配遮断してダンに悪戯しても、あんまり意味無いかなぁ?」


「へ? ニーナからの悪戯なんて最高すぎるけど?」


「えっと。ダンって悪戯するの好きだけど、されるのも大好きなんだよねー? 悪戯しがいが無いよぅ」




 そんなこと言わずにいっぱい悪戯していいからねニーナ! 待ってるからねっ!?



 ニーナは暗殺者、エマは先に魔法使いを浸透してもらう。


 魔法使いは最大LV30だから浸透しやすいし、攻撃魔法を覚える影響は物凄く大きいからね。




 暗殺者LV1

 補正 体力上昇+ 魔力上昇+ 持久力上昇+ 敏捷性上昇+

    身体操作性上昇+ 五感上昇+ 幸運上昇+ 装備品強度上昇+

 スキル 全体気配遮断 対人攻撃力上昇+



 魔法使いLV1

 補正 魔力上昇-

 スキル 初級攻撃魔法




 出現する魔物が強力な為、最大LVが30と50の職業浸透がどんどん進んでいく。



 7つ目の中継地点に到達する前にティムルは冒険者を浸透させて探索者に、エマは魔法使いと探索魔法士の2つをアッサリ浸透させて、冒険者になることが出来た。




 探索者LV1

 補正 体力上昇+ 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇

    全体装備品強度上昇- 全体魔法耐性

 スキル インベントリ アナザーポータル



 探索魔法士LV50

 補正 魔力上昇 魔法攻撃力上昇-

 スキル 探索魔法




 流石にエマの冒険者を今日中に浸透しきるのは難しそうだけど、探索魔法が使えるなら竜王のカタコンベに潜るのは難しくない。


 ラトリアやシルヴァのサポートをする能力は、充分に備わったと言えるんじゃないかな。





「どうやら無事に浸透してくれたみたいだな……」



 そして、俺の魔物使いもLV100を迎えて、無事浸透したようだ。


 従属魔法が融合して、適用範囲が人間のみから魔物にまで拡張されたのが感覚で理解できる。



 うん。敵が奴隷商人のルートを浸透させているのは間違いないね。


 魔物に適用される従属魔法。これだけでも完璧な証拠だと言ってもいい。



 極めつけに、魔物使いを浸透させた事で現れた職業もキナ臭すぎるんだよね。




 召喚士LV1

 補正 魔力上昇+ 魔力上昇 魔法攻撃力上昇+ 魔法攻撃力上昇

 スキル 造魔




 ……スキル、『造魔』。


 早速召喚士をセットして、スキルの詳細を確認する。



「なるほど……。厄介なスキルみたいだなぁ……?」



 造魔スキルは名前の通り、術者の魔力を元にして魔物を作り出すスキルのようだ。



 生み出す数に制限は無く、生み出した魔物は自分の意思で操れるようになる。


 しかし同じ魔物を同時に2体存在させることは不可能で、自分が1度でも倒した事のある魔物でなければ生み出すことは出来ないらしい。



 魔物を生み出す際には、生み出す魔物の強さに対応した魔力が必要で、魔力が足りなければ魔物を生み出すことは出来ない。


 生み出した魔物は召喚士が自由に消すことも出来るけれど、新たに生み出す場合はもう1度魔力を支払う必要がある、かぁ。



「う~ん……」



 敵は恐らく召喚士の造魔を使ってアウターエフェクトを操っているんだと思うけれど……。


 だとすると思った以上に危険な相手ってことにならないかなぁ?



 少なくとも相手は10体を超えるアウターエフェクトを自力で撃破している実力の持ち主で、その分職業浸透も進んでいるはずだ。


 俺よりも職業浸透が進んでいる人間がこの世界に居るとは思えないけれど、決して油断できる相手ではなさそうだ。





「みんなおつかれさまー。それじゃ浸透状況を報告するよー」



 召喚士をセットしたものの、それから直ぐに7つ眼の中継地点に到着してしまったので、本日の探索を終了する。



 7つ目の中継地点到達時点で、俺は召喚士LV6、魔王と勇者が仲良くLV29に。


 ニーナは暗殺者LV48、ティムルは探索者LV16、フラッタは斥候LV71、ヴァルゴは聖騎士LV81にまで浸透が進んでくれた。


 この浸透具合だと、リーチェの斥候ってLV100になってるんじゃないかなぁ?



 エマの冒険者はLV11になっているので、これ以上浸透を進める場合はラトリアと一緒に戦うと良いだろう。


 俺達との共闘は一旦お終いだ。お疲れ様だよーっ。




「……さてと、帰る前に造魔スキルを試しとこうかな」



 このスキルで魔物を創造できるのであれば、アウターエフェクトをいくら倒しても敵の戦力を削ったことにはならないのが厄介すぎるね。



「みんな。恐らく俺達が追っている敵の職業が見つかったから、帰る前に試してみたいんだ」


「て、敵の職業!? それっていったい……!」


「まぁまぁリーチェ。百聞は一見に如かずってね。今から魔物を呼び出してみるけど、俺のスキルに因るものだから安心してね」



 造魔スキルに使用する魔力は、自分以外からも引っ張ってこられるらしい。


 ゴルディアさんの遺体と装備品を捧げることで、マインドロードが生み出されたのはこれで確定したね。



 さて、敵がマインドロードを自前で生み出せなかったのかどうかは不明だけど、俺はどこまでの魔物を生み出せるのかなぁ?



「造魔、発動……!」



 自分の魔力を捧げて、全力で魔造スキルを使用する。


 俺が戦った事のある最強の魔物なんて、間違いなくあいつに決まってる。



 敵がアウターエフェクトを自前の魔力で生み出せるのかは分からないけれど、少なくともこいつは生み出せやしないだろっ!



「ぐ……! ぐぉぉぉ……! こ、これはきっつい……!」



 体内の魔力がごっそり持っていかれ、もう少しで魔力枯渇を起こしかけてしまった。


 ……が、どうやら造魔には成功したみたいだね。



「「「え、えええええええ!?」」」



 俺の背後から這い出てきた魔物を見て、みんなの絶叫がこだまする。


 事前に説明をしてあったので武器こそ構えなかったけれど、リラックスしていた状態から一気に臨戦態勢になってしまったようだ。



 みんなが驚くのも、警戒するのも無理はないよね。


 造魔スキルの試運転によって、俺の魔力の殆どを使用して発動した黒い魔法陣の中から、白骨化した黒き竜王がその身を表したのだから。

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