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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
4章 マグエルの外へ1 竜王のカタコンベ
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225 気配遮断

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 竜王のカタコンベを脱出し、ティムル、フラッタ、リーチェがドロップアイテムの売却をしに冒険者ギルドに向かう。


 俺とニーナはそのまま領主邸でみんなを待つ事にした。


 待っているだけでは暇なので、察知スキルが使える俺とニーナで気配遮断を検証してみることにする。



 生体察知を発動中に気配遮断を使用しても、ちゃんと生体察知から反応が消えることが判明した。


 そして使用人の人たちに少し悪戯という名の協力をお願いしてもらったところ、気配遮断を使用した状態でじっとしていると、俺達の姿を視認することはできないっぽい。



 ただし声や衣擦れ、足音などの音までを遮断するには至らない。


 また俺達を見ている状態で気配遮断をされても、姿が消えるようなこともないみたいだ。



「んー。つまり見つかりにくくなるスキルであって、姿を消すスキルってわけじゃないってことでいいのかな?」


「お、ニーナ。分かりやすい例えだね」



 既に俺達を認識している状態だと効果が無いけど、見つかるまでは認識できないっていう、なんか散漫に似たものを思わせる能力だねぇ。


 このスキルがあれば女湯とか覗き放題なんだけど、そもそもこの世界ではお風呂が一般的じゃない。我が家の嫁が入浴する時には大体俺も一緒に入る。


 俺にはあまり使い道のないスキルかもしれないね。勿論暗殺の予定もないし?



「他人に使われると、結構脅威になりそうなスキルなの」



 えっち目的じゃなくても、ようやくステルススキルの危険性に気付いてくれたニーナ。


 真っ先にこっちの反応が欲しかったんだよ?



「仕合わせの暴君のみんなは五感も鋭いし、音が消せないのが幸いだけど……。リーチェみたいに音が消せるエルフがこの職業についちゃうと、脅威だね……」


「んー、どうだろうね。こんな職業に専用のギルドはないだろうし、条件が盗賊と殺人者を上げること。もしかしたら斥候も前提条件かもしれないしなぁ……」



 確かに暗殺者が敵にいた場合、気配遮断を使われるとかなり恐ろしいことにはなりそうだ。


 だけど暗殺者の転職条件が厳しすぎて、この世界で暗殺者の資格を得る難しさの方ばかりに目が向いてしまう。



「犯罪職を上げなきゃいけない時点で、正規の手段でこの職業につくのは無理だよ。俺たち以外に暗殺者につける人が居るとはとても思えないかなぁ」


「う~ん。確かにそうなの。犯罪職になっちゃうと転職できなくなっちゃうって話だし……」



 国レベルでサポートされてない限りは……、って話になっちゃうけどね。



 でもこういうスキルがあると知れたことはかなり大きい。


 知っているのと知らないのとでは、取れる対策が大きく変わってくるのだから。



「でも確かにかなり有用なスキルなのは間違いないね。このスキルでどこまでのことが出来るか、ちょっと検証してみていい?」


「検証? 勿論構わないけど」



 ニーナに了解をもらって、気配遮断を使用しながら音を立てずに領主邸を移動する。



 生体察知で執務室に1つだけ反応があるのは確認済みだ。


 執務室に1人でいるなんて、恐らくはラトリアしかありえないだろう。



 生体察知で室内の人物の反応を観察しながら、音を立てずに扉を開いてニーナと素早く執務室に潜入する。


 室内に居たのはやはりラトリアで、書類を見ながらウンウン唸って、時折手紙などを書いているようだ。



 後ろから覗き込んでみると、ラトリアが読んでいるのは街から上がってきた陳情のリストみたいだなぁ。


 書類の内容が読み取れるほど近くにいるのに、ラトリアほどの達人が俺とニーナに気づけないのだから、相当に強力なスキルだと言える。まさに暗殺用だ。



「ん、んん~~っ……!」



 その時活字疲れでもしたのか、椅子に座ったラトリアが俺の目の前で大きく体を逸らして伸びをする。


 そんな風に真面目に仕事をこなすラトリアに、気配遮断を使って悪戯をしまくった。


 気配遮断は、嫁に悪戯するには最適のスキルのようですね。







「ダンさんっ! 悪戯するのはやめてくださいよーっ!」


「ラトリアってまだトライラムフォロワーに加入してるよね? それじゃ今度はアライアンスに効果が波及するかを検証してみようか」


「悪戯しながら真面目な話するのやめてくださいよぉっ!」



 今度はラトリアも巻き込むつもりで気配遮断を発動する。


 生体察知を発動すると、どうやらラトリアの気配も遮断に成功したっぽいね。



「凄いねそのスキル。アライアンスにまで効果が及ぶんだったら、出来ることが格段に増えるよ? 泥棒とか簡単に出来ちゃうねぇ?」


「そうだねニーナ。どっちかと言うと悪戯の方が興味あるけど」



 お金に困ってないんだから泥棒はしないけど、潜入とかには使えると思う。


 例えば一般開放されていないアウターに忍び込んでみたりとか、ね。



 そしてその時生体察知で、恐らく執務室に向かって来ているであろう反応をキャッチ。


 よしっ! これを利用しない手は無いなっ。



「ラトリア。今すぐお前を愛したいんだ。夜まで我慢できそうもない……」


「えっ、あっ、はいっ! わ、分かりました、ではベッドへ……」



 求愛する俺。それに応えて立ち上がるラトリア。


 その様子を、また何か始まったなー、という感じで観察しているニーナ。



 ニーナってエロ方面には好奇心旺盛なところあるよね?



 執務室を出ていくつもりだったであろうラトリアをドアのすぐ脇の壁に押し付けて、その美しい体を拘束する。



「えっ、ちょっ……! ま、まさかここでぇっ……!?」


「悪いニーナ。ラトリアに気配遮断の説明をしてくれる?」


「え? 別にいいけどなんで私が……って、そういうことかぁ」



 恐らくニーナも生体察知を発動して、俺の希望を汲み取ってくれる。


 うん、そういうことなんだっ! よろしくねニーナっ!



「ラトリア。大切なことだからちゃんと聞いてねー?」


「な、なんなんですかこの状況っ!?」


「この気配遮断ってスキル、音さえ出さなきゃ姿は見られずに済むんだよー。今大事なのは、音も声も出さなきゃ見つからない、ここだけだから。分かった?」



 さっすがニーナ! 俺のやりたいことを完璧に把握してくれてるぅ!



「はぁっ…………」



 俺の悪戯によって、ラトリアが喉から声を発しようとしたその時、ラトリアが声を発するより一瞬早く、執務室のドアがノックされる。



「ラトリア様。お茶の用意ができました」



「~~~~っ!?」



 両手で口を抑え、喉から出かかっていた叫びを必死に堪えるラトリア。



「(ちょっ! ダンさんっ! やめてぇ! そこにエマが居るんですってばっ)」



 小声で叫ぶという器用なことをするラトリア。


 もう1度トントンと執務室の扉がノックされる。



「ラトリア様? 入室しても宜しいでしょうか?」


「(ダ、ダメダメっ! 今取り込み中だから、だめぇーーーっ!)」



 いやラトリアがダメって言えばエマーソンさんも入室できないはずだから、小声じゃなくてちゃんと言ったほうがいいんじゃないの?


 きっと返事をしない方が不審がって確認されちゃうよ? 勿論教えないけどっ!



「ラトリア様? 済みません、失礼させていただきますね」


「(ダっ、ダメ! 入っちゃダメーっ!)」



 ラトリアの無言の叫びも空しく、ガチャリと開かれる執務室の扉。


 先月の礼拝日に見た時には骨と皮しかなかったエマーソンさんが、ニーナと同じくらいに回復した顔で執務室に入室してくる。



「ラトリア様? いらっしゃらないんですか?」



 エマーソンさんが入室してくる。


 ドアの脇にいる俺達に全く気付いた様子も無い。



「んもぅ。少し離れるだけでもちゃんと教えてって言ってあるのにぃ。ラトリア様ったら、ちっとも守ってくださらないんだからーっ!」



 部屋に入ってすぐの場所、つまりは俺達のすぐ傍で両手に腰を当てて少し怒った様子のエマーソンさん。


 その様子を興味深そうに観察し続けるニーナ。



「……でも良かった。やっぱりお転婆なくらいがラトリア様らしいものね」



 エマーソンさんは息を吐きながらも少し笑顔を浮かべて、執務室を退室していった。



 そんな彼女の背中を感心したように見送るニーナ。



「うーん。これは凄いね。例えば街中でも気付かれずにえっちなことが出来るの?」


「理論上は可能だと思うけど、流石にやりたくはないかなぁ」



 ティムルやラトリアの過去は仕方ないけど、俺のモノになったあとは独占したいのよね俺は。



「でもあんなに近くでも気付かないなんて凄いよね。領主邸の使用人ってみんな戦闘力高いと思うし、この感じならお城とかにも潜入出来ちゃったりしてっ!?」


「多分出来ちゃうんだろうねぇ……。ラトリアでさえ気付かなかったわけだしさぁ」



 逆に、敵に使用される場合の危険性が跳ね上がってしまった気がする。


 セキュリティ関係のマジックアイテムってなんか無いのかな?



「後でティムルに聞いて、警備、警戒用のマジックアイテムとか無いか確認しよう。気配遮断の存在はちょっと無視できないよね」



 その後もラトリアに色々しながら執務室で過ごした。


 お茶を入れなおして戻ってきたエマーソンさんの応対は、大変満足した様子のラトリアに代わって俺がすることにした。



 俺が執務室から出てきた事である程度事情を察してくれたエマーソンさんは、お茶を置いた後にタオルやラトリアの着替えを持ってきてくれた。


 流石は領主邸、貴族に雇用されている侍女だ。有能すぎてびっくりするね。

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