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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
4章 マグエルの外へ1 竜王のカタコンベ
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214 空中戦

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

「それじゃ行ってくるね」


「無理に急いで帰ってこなくて大丈夫なのっ。ちゃんと寂しくないように抱きしめてあげてねっ」



 3日に1度はムーリとラトリアさんに会いに、マグエルとヴァルハールに出張することになる。



 ちなみにそれぞれ別々の日で、逢瀬の時間はどちらも早朝にしてもらっている。俺達の旅にも、ムーリとラトリアさんの仕事にもなるべく影響を出したくないからね。


 ムーリに会いに行く時はリーチェが、ラトリアさんに会いに行く時にはフラッタが同行する事になっている。



「いってらっしゃいダン。ニーナちゃんと一緒に待ってるわねー」



 ティムルはニーナから離れたくないと、同行を固辞した。


 いや俺もニーナとは離れたくないんですけどぉ?



 でも面白いなぁ。始めに出会ったニーナとティムルが俺を送り出してくれるなんてさ。常にティムルがニーナの傍に居てくれるなら、俺も安心できるし。


 ……って、なんかうちのパーティ、ティムルへの精神的依存度高くない?




「ああっ、お待ちしてました~っ! いっぱい愛してくださいねーっ!?」



 数日振りに再会したムーリが胸に飛び込んでくる。ただいまムーリ。ぎゅー。



 ムーリとはセキュリティの関係上、我が家の寝室で愛し合うことになっている。


 いくら孤児は俺達の子供だと思っているとは言え、エロいムーリは自分の子供にすら見せたくないからなっ!



 ムーリとリーチェ。我が家の嫁の中でも抱き心地満点の2人に包まれるのは、幸せそのものに包まれているような錯覚に陥ってしまう。


 その上リーチェは全身から甘い味がするので、もう完全に夢のような体験だ。



 朝起きてからしか見られない極上の夢。最高ですなぁっ!





「ようこそダンさん。お帰りなさいフラッタ。それでは早速宜しくお願いしますね?」



 流れるような美しい所作で俺の両隣に収まるソクトルーナ母娘。



 ヴァルハールでは基本的にフラッタの部屋を使用している。


 フラッタの部屋でラトリアさんとフラッタの母娘を一緒にというのは、どうしても興奮を禁じえないのだ。



 ムーリとリーチェが爆乳ペアなら、フラッタとラトリアさんは母娘ペアだ。


 どうしてもラトリアさんとフラッタを一緒にとなると、母娘という要素を思い切り堪能したくなってしまうんだよなぁ。



 ラトリアさんと一緒だとフラッタの甘えも増すし、本当最高かよソクトルーナ邸!





「ただいまー。今日の朝食なにー?」


「おかえりなのっ。でももっとゆっくりしてきなさいっていつも言ってるでしょっ」


「あはーっ。ニーナちゃん、それは流石に酷でしょーっ」



 ムーリのこともラトリアさんのことも朝イチで相手したら、朝食はニーナのところに戻って一緒に取っている。



 ……なんかムーリとラトリアさんを都合のいい女みたいに扱ってしまっている気がするけど、この扱いは彼女たちが望んでいる事なんだとちゃんと意識する。


 俺が軽い気持ちで彼女達を愛するような事があったら、それこそが彼女達への冒涜になるのだ。




 そんなこんなで、移動中と聞き込み中以外の全ての時間をみんなを愛する事に捧げながら5日間。スペルディアを目指して移動していると、ちょっとした出来事があった。



 魔物察知は反応してないんだけど、生体察知の反応的に、生き物の集団が生き物に囲まれてるっぽい状況をキャッチする。


 王都も近いし、要人を狙った襲撃とか、もしくは野盗の類いでも出たのかな?



「年明けの時期に野盗が出ることはあまり無いんだけどねぇ……?」



 みんなに相談してみると、おかしいなぁとティムルが首を傾げてしまった。


 野盗が出やすいのって納税のお金を狙って、っていうタイミングだったっけ。もう納税日過ぎちゃったもんね。



「なんにしても緊急事態なら不味いわ。急いで駆けつけた方がいいかも」


「了解。まずは行って確認しようか」


「私のことは置いて、みんな先行して……きゃっ!?」


「大切なティムルお姉さんを置いてく訳ないでしょ?」



 素早くティムルをお姫様抱っこして、反応のあった現場に向かう。





「え? なんだこれ……?」



 30秒もかからず現場に到着すると、なんだか異様な光景が目に飛び込んでくる。



 商隊なのか何台も馬車が止まっていて、それを守るように沢山の人が武器を持って戦っている。そこまでならこの世界では珍しくもないんだけど、戦っている相手が問題だ。


 1体が人間と同じくらいありそうなでかい鳥が、凄まじい群れを成して空中から馬車に襲い掛かっている。



 ええ……? あれで魔物じゃないの、コイツら?



「ストームヴァルチャー!? なんでこんな場所にっ……!」



 異様な光景にちょっとぼうっとしてしまっていた俺の耳に、抱きかかえているティムルから悲鳴のような声が上がる。



「みんなっ! 助けないと危険だわっ! あいつらは大型の魔物の群れすら襲う野生動物よっ!」



 ええ、それって野生動物って言っていい存在なのぉ?



 しかしティムルの警告にみんなすぐに反応して動き出す。


 ニーナとリーチェは走りながら弓を準備している。上空にまだまだいっぱいいるもんな。



「ティムルは馬車周辺で劣勢になってそうな場所に救援に入ってくれ」


「了解。馬車周辺をダガーで遊撃ね」


「俺とフラッタは殲滅担当な。暴れていいぞフラッタ」


「りょーかいっ! ふははははーっ! 腕が鳴るのじゃーーーっ!」



 走りながらもインベントリからバスタードソードを取り出し、笑いながら突撃していく無双将軍。


 これで多分俺が参加しなくても勝利は確定したと思うけど、数が多いからサボってもいられないよなぁ。



 ティムルを下ろしつつ、敏捷性補正を最大限に発揮しながら野生動物の群れに突っ込む。



「青き災害。秘色の脅威。白群の恐怖。碧落より招くは氷塊。汝、撃ち穿つ者よ。ヘイルストーム」



 突っ込んだ後は、空に目掛けてヘイルストームを設置していく。


 ……けど、撃ち出された雹の弾丸はストームヴァルチャーの群れをすり抜けてしまう。



 攻撃魔法が魔物にしか影響しないことをすっかり忘れていた。野生動物にも影響を及ぼせないらしいね。


 範囲魔法で一気に殲滅するのは諦めて、馬車に近い奴から1体ずつ斬り捨てていく。



 HP制が適用されないので、一刀で首を刎ねることが出来るのはちょっと壮快だ。我ながらバイオレンスになっちゃったもんだなぁ。



「青き揺り篭。秘色の檻。汝、凍てつく終焉たる者よ。アイスコフィン」



 馬車周りの敵を殺しきってしまったので、アイスコフィンを足場にして空中戦を開始する。


 フレイムランスとアイスコフィンは物理的に炎と氷を生み出してくれるからな。案の定すり抜けずに足場になってくれた。



 敏捷性補正でアイスコフィンを飛び移りながら、視線の先のストームヴァルチャーを斬り捨てて、空中で足場の無い状況での剣の振り方に慣れていく。


 うん。いいなこれ。今まで経験したことのない戦闘だ。



 空中での姿勢制御は身体操作性補正の訓練にもってこいだし、アイスコフィンで足場を作るのは高速詠唱の練習に最適だ。


 アイスコフィンの落下に人を巻き込まないように落下前に解氷しなきゃならないので、周辺視野と注意を広げることも出来るし、空中戦って面白いなぁ!



 空中戦に慣れてきたらアイスコフィンすら使わずに、でかい図体したストームヴァルチャーに飛び移りながら、1匹1匹首を刈り取っていく。

 

 数百匹はいたであろうストームヴァルチャーの数が数えるほどになって、ようやく勝ち目がないと悟って逃げ始めたみたいだけど、いくらなんでも判断が遅すぎる。


 目に見える最後の1匹を斬り殺すと同時にポータルを詠唱し、ストームヴァルチャーを足場にしてポータルに飛び込む。



 ポータルの先には愛しのニーナが待っていてくれて、満面の笑顔で俺を出迎えてくれるのだ。最高かな?



「あ~も~っ! ダンってばかっこ良すぎるよぅ! こんな人のお嫁さんだなんて、幸せすぎるの~っ!」



 うおおお!? 戻ってきたらニーナがハイパーデレデレモードだ!


 空中戦の練習にもなって、ニーナもデレデレにしてくれるとか、ストームヴァルチャーさん、ありがとーーっ!



「えええ……。ダンは既に僕よりもずっと強くなってるよぉ……? 空を飛んでいる生き物の群れを剣で殺していくって、なんなのさぁ……」



 わーっ!? リーチェもすっごい熱っぽい視線を送ってくれるよぉ!?


 ストームヴァルチャーさんにはトライラム様の次くらいの感謝を捧げておこう!



 ラブラブデレデレモードの2人だけど、流石に人目があるせいでくっついては来ない。残念だけど贅沢は言うまい。


 3人一緒に、まずは近くにいたフラッタと合流する。



「ダン。幸いにも死者はいなかったようなのじゃが、怪我人が非常に多い。重傷者だけでも治療してやってもらえないかのう?」



 優しいフラッタをよしよしなでなでしながら一瞬迷う。


 でもすぐに考え直して、みんなに怪我人を集めてもらう事にした。



 俺が司祭であることがバレると面倒かなって思ったんだけど、思い返してみたら既にテネシスさんにはバラしてあるんだったわ。


 それにトライラム教会とは良い関係を築けている自信もあるし、司祭になった経緯を聞かれたら教会で活動したことがある、で普通に押し通そう。


 修道士を得たのも礼拝日で活動したからだから、嘘は一切言ってないしっ。



 みんなが戻ってくる前に鑑定してみたけど、数百匹のストームヴァルチャーを殺したのに浸透は進んでいなかった。


 野生動物さん……。殺してもメリットが無いとか、災害過ぎるわぁ……。





「よし。治療完了っ! じゃんじゃん持ってきてーっ!」



 ニーナとリーチェの熱っぽい視線のおかげでやる気100倍の俺は、次々に運ばれてくる怪我人をキュアライトで片っ端から治療していく。



 俺の全身の骨が砕けた時もちゃんと完治させてくれたキュアライトさんは、なかなか効果の高い治療手段だと思う。


 欠損さえしていなければ、今のところ全ての怪我を完治させる事が出来ているみたいだな。もしかしたら魔法攻撃力上昇補正が乗ってるんだろうか?



 ヒールライトやキュアライトなどの治療魔法は、手で触れられる範囲にしか効果を及ぼせないし、1度の発動で効果対象は1名だけという不便な点がある。


 だけど手で触れられる範囲内であれば同じパーティメンバーじゃない者にも効果を及ぼせるという、少し例外的な魔法なのだ。



 全体回復系魔法が範囲や距離を無視してメンバー全員に効果を及ぼせるのに対して、パーティという括りを越えて効果を発揮できるけど範囲が狭い単体回復系魔法。


 どっちにも用途があって、全体魔法を覚えたら単体魔法は要ーらないっ、とならないあたりがこの世界らしい。



 しかし、短時間でヘイルストーム1発に加えて、アイスコフィンは何発撃ったかも覚えてない。そんな後すぐに数十人とキュアライトを使ってるけど、魔力枯渇の兆候は一切出ない。


 インパクトノヴァを何発撃っても魔力枯渇しないし、今の俺の魔力補正って凄まじい事になってそうだなぁ。



 いや、ひょっとしたらストームヴァルチャーから魔力吸収をしていたんだろうか?



「ダン。今の人で最後よ。お疲れ様でしたー」



 ティムルがニコニコしながら終了を宣言してくれた。


 考え事をしながら治療活動に専念していたら、どうやら全員を治療し終えたらしい。



「ストームヴァルチャーは商隊の人が引き取っちゃうみたいだから了承したわよ。肉を分けてもらっても、私たちは宿暮らしだからね」


「それで構わないよ。ティムルもお疲れ様。交渉ごとを全部任せっきりにしちゃってごめんね」



 本来ならパーティリーダーの俺がその辺の交渉に出なきゃいけないんだけど、『司祭は貴方だけなんだからダンは治療に専念してね』と言うので甘えさせてもらったのだ。


 本当にティムルお姉さんにはお世話になってるよなぁ。



「お姉さんの交渉も終わったみたいだし、怪我人の治療も終わったことだし、それじゃあさっさと先に進もうか」



 早く次の街に進んで、宿で思いっ切りニーナとリーチェの相手をしないとねーーーーっ!


 とテンション限界突破の俺に対して、ティムルがちょっと困ったような表情を見せた。



「あーっと、それがねぇ……。ちょっとリーチェの方がトラブっちゃってるみたいでねぇ……?」


「え、リーチェが? 珍しいね?」



 どっちかと言うと我が家では常識人の部類に入ると思うんだけどなリーチェって。フラッタがトラブったって言われたら一瞬で納得するんだけど。ごめんフラッタ。


 ティムルの様子だと深刻な感じはしないけど……。俺に伝えたってことは、俺に何とかして欲しいってことだよねきっと。



「リーチェのところに案内してくれる? 事情が分からないとなんとも」


「ええ。悪いけどお願い。こっちよ」



 ティムルに案内してもらって直ぐにリーチェの元に向かうと、なんかリーチェがフラッタくらいの年齢の女の子に手を握られていた。


 ん? どういう状況?



「あのリーチェ様にお会いできただけでも光栄ですのに、まさか助けていただけるなんて! これはもう絶対に私たちには縁があるんですってば! ですからどうか助けていただいたお礼をさせてくださいませっ!」


「だから困るって言ってるでしょ? 僕は今目的があって旅をしている際中なんだってばぁっ!」



 ああ、ひょっとしてリーチェのファンって奴かな?


 実在したんだ……。

 


 でもリーチェもちょっとイライラしてきちゃってるな。さっさと介入しよう。



「リーチェー。さっさと先進むよー?」


「あ、ダン! 助けてよぉ。さっきからこの調子でさぁっ……! 何度も断ってるんだけど、全然話を聞いてくれないんだよぅ……」



 ああ、迷惑なファンってのはどこにでもいるもんだな。振りほどいて離れようにも、手をがっしり握られてるから困ってると。


 でもごめんリーチェ。俺にはそんなことどうでもいいわけですよ。



「虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル」


「「えっ?」」



 我が家へのポータルを開き、少女とリーチェをポータルに押し込んでやる。


 

 これは割と有名なポータルの使い方らしく、他でもないリーチェに教えられたことだったりする。


 パーティメンバー以外に適用されないポータルを上手く使えば、人質なんかも無傷で助け出せる方法なんだよ、とね。


 どれだけ少女ががっちり手を握っていても無駄なのだ。同じパーティ、もしくはアライアンスに加入してない限りは。



「なあああああ!? リーチェ様は!? リーチェ様はどこにーっ!?」



 しっかり掴んでいたはずのリーチェの感触が無くなって少女が戸惑っている隙に、全員に目配せして走り出す。



 付き合ってられるかこんなのに。俺は一刻も早くスペルディアの宿にチェックインしなきゃいけないんだよっ!



「あっ! あいつらっ! あいつらがリーチェ様を連れ去ったのですっ! 追いなさいーっ!」



 ああ? 追ってくるなら容赦しないよ?


 どっちにしても追いつけないとは思うけど、スペルディアでも絡んでくるようなら返り討ちだな。



 俺は当時JSだったフラッタを生涯愛し抜く覚悟をした時に、老若男女の誰とも平等に接すると決めたんだ。


 子供だからとか女だからとか、そんな理由で理不尽に耐えてやるつもりは一切無いからね?

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