200 足跡
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
フラッタよラトリアさんを愛し続けて、危うく魔力枯渇を起こしかけてしまった。
やはり好色家の職業スキルも魔力によって発揮される能力なんだなぁ。
「ダンー。そろそろ朝食だよー」
ニーナが朝食の準備が整ったことを知らせてくれる。
「おはようニーナ。すぐ行くよ」
流石にこの部屋でラトリアさんを寝かせておくのは忍びないので、隣りの客室に移動させて休ませる。
朝食を食べる前に寝具を全部交換して、使用済みの物は匂いが酷いので外で水につけておく。
なんとかベッドを貫通せずに済んだことだけは安心した。もし床まで垂れてたら、どうしようかと思ったよ!
なんて少しぷんぷんっとしながら後始末をする俺に対して、フラッタのほうは物凄い幸せそうな顔をしているので、あんまり怒ることも出来ないよ!
昨日は全体的に刺激弱めだからね。昨日くらいがフラッタには1番ちょうどいい刺激だったのかもしれない。
ラトリアさんは当然朝食には起きてこれなかったので、みんなとおはようのちゅーを済ませながら朝食を食べる。
そこで俺とフラッタから、昨晩の報告が行われた。
「へぇ~? 竜人族って出産を経験すると、生涯母乳が出続けるの?」
ラトリアさんから母乳が出る事に驚いているニーナ。
竜人族って一応稀少種族扱いだし、母乳に関してはあまり知られていないみたいだ。
「獣人族はそんなことはないはず……、だよね? ムーリ」
「え、ええ。獣人族にはそんなことはないはずですよ。竜人族は出生率の低い種族なので、母体の切り替えが苦手なのかもですねぇ」
なるほど、病気にも弱いらしいし、ホルモン調整が苦手とか? と言っても女性ホルモンとか妊婦の体の仕組みとか全然知らないけど。
エルフも体液がほんのり甘かったりするし、種族特性なのかもしれないなぁ。
そして我が家のエロ参謀ティムルは、ラトリアさんが放ってきた奇襲攻撃にどん引きしている。
「え、ええ……? フ、フラッタちゃんのご両親は、随分仲が良かったみたいねぇ……?」
「そ、そう言えばティムルとご褒美を貰った時、ダンに指で少し触れられたけど……。ダンも興味あるの……?」
やめろエロリーチェ。興味無くはないんだからさぁ。
「ラトリアさんはお仕置きを兼ねて思い切り気持ちよくしまくってあげたから、もしかしたら今日1日は起きれないかもしれないね」
「ああ、あれお仕置きだったんだねぇ。ダンにしては珍しく、ラトリアさんの状態を無視してるなぁって思ったけど」
得心がいったような表情をするニーナ。
ラトリアさん的には大丈夫な確信があったのかもしれないけどね。いきなりやるには、ちょっと宜しくない行為だったと思う。
「母上はお仕置きされても仕方ないと思うのじゃが、そのおかげで妾は最高に幸せだったのじゃあ。幸せすぎて溶けてしまうかと思ったのじゃぁ……」
フラッタさん。蕩けるような笑顔で下腹擦るのやめてもらえます? その中には何も入ってないからね?
「ダン、私にもフラッタと同じことしてくれる?」
ニーナからの素敵過ぎるおねだりに、昨晩の行為が再現可能か検討する。
んー、身体操作性補正を駆使したら、強制的に元栓を締めることは出来たんだよな。ということはやり方次第で、強制的に開くことも……、できるか?
「ちょっと自信無いから約束は出来ないけど、今度試そっか。あ、でも魔力枯渇を起こしかけたから、1日に1人ずつでお願い」
「あはーっ! 寝室で魔力枯渇を起こすって、面白すぎでしょーっ!?」
笑い事じゃないんですってば、ティムルお姉さん。
女性側だって職業補正に守られているなら、貪りすぎるとみんなも魔力枯渇を起こしちゃうってことなんだからぁ。
「みんなとエロエロな日々を送るのは吝かじゃないだけどさ。ラトリアさんの救助で年内の活動はひと段ついたところだし、少しゆっくりさせて欲しいかなぁ」
「父上のことは残念であったが、妾とダンが出会う前に先立たれていたのではどうしようもないのじゃ。妾もいつまでも悲しんでいられぬ。母上は助けてもらえたのだしのぅ」
うん。俺がフラッタと出会う前のことまで悩んでも仕方ない。
俺と関係ないところで内部リークが行われ、俺と関係ないところで竜爵家が不幸に見舞われたんだ。過去に行けるわけじゃないんだから、その悲劇を無かったことにはできない。
俺に出来ることは、その悲劇を食い止める事と、原因を突き止めることだけだ。
「竜爵家の問題も一応は解決したし、今日はゆっくり子供の面倒でも見ようかな」
「それじゃ納税日まではゆっくりしながら子供達の指導を優先しよっかー」
俺の言葉に頷いてくれたニーナが、あっ! と思い出したように聞いてくる。
「そうだダン。子供達の装備、どうしよう? ワンダ達が装備品の材料を持ってくるのは、まだちょっと厳しいんじゃないかな」
あーそうなんだよなぁ。すっかり忘れてたけど、鉄製武器、皮製防具の素材ですら、日帰りでいける範囲ではドロップしないんだよな。
俺達で取りに行ってもいいけど……。年末はお金が足りてないらしいし、別の街から仕入れようかな?
「ムーリに悪戯しながら集めたドロップアイテムって、まぁまぁの売り上げになったよね? あれのお金で各都市から武器と防具を買ってくるよ」
「あー……。あの時は死ぬかと思いましたねぇ……。スポットの最深部で、魔物の方の心配はないのに、危うくえっちな死に方をするところでしたよぉ……」
モジモジしているエロシスタームーリのほっぺに、ちゅっとキスする。
そうやって可愛いところばっかり見せるムーリにも責任があると思うよ?
「それじゃ早速行ってこようかな。これ以上引率を遅らせるとワンダ達にも負担がかかっちゃうから」
「えっと……。あの時の報酬は120万リーフくらいだったから、全員分の装備を揃えるには足りないわね。発光魔玉も500個くらい持ってってくれるかしら?」
ティムルから大量の発光魔玉を渡される。
スポット最深部でほぼ1日中虐殺しても、ドロップアイテムだとそのくらいにしかならないのか。思ったほどの金額じゃないんだなぁ。
……って完全に感覚が麻痺してる。1日で稼いだ額としては充分すぎるってば。俺の初めての収入なんて、確か22リーフだったからね?
朝食後、客室の掃除は自分で済ませる。流石に申し訳なさ過ぎて、みんなには任せられなかったわぁ……。
子供達の指導をみんなに任せて、俺はポータルで装備を買いに各街を巡る事にした。
今日中に子供達の装備を揃えて、明日からワンダ達のスポット引率を開始してあげたいところだ。
一応マグエルの武器屋と防具屋にも寄って、少しだけど入荷していた分を購入しておく。
それから今までの旅を遡るように、フォーベア、アッチン、ステイーダ、そしてステイルークの武器、防具屋にも足を運んだ。
「おお!? アンタ、ナイフを買ってった女好きの避難民の兄ちゃんじゃねぇかっ!」
武器屋の店長さんは俺のこと覚えてたかぁ。覚え方にはツッコミを入れたいところだけどぉ?
「武器屋さんのおかげで最高の女性と過ごしてますよ。あの時のお礼ってわけじゃないけど、今日は大量購入させてくださいね」
この武器屋さんって他の店よりも安いって紹介されたんだけど、鉄製武器くらいしか扱ってないって意味だったんだなぁ。
装備品の価値って、基本的にどこの店でも同じなんだもん。
「おや、アンタ開拓村の難民の1人じゃなかったかい? 顔出さなくなったから、くたばっちまったのかと思ってたよ」
防具屋のお婆さんも俺のことを覚えていた。盾と靴だけ買ってくような奴、そんなにいないかぁ。
「ははっ。たった1年で随分いい装備になっちまってるねぇ? アンタに装備を売ってやった甲斐があったってもんだよ」
「おかげさまで、あの木の盾には何度も命を救われましたよ。あの時言われたように常連ってワケにはいきませんけど、今日は売り上げに貢献しに来ました」
感慨深そうに微笑むお婆さんから、安い防具をありったけ購入する。
各都市を回って、とりあえず50人分前後の武器と防具を揃えることが出来た。
しっかし、本当に装備品高すぎるよなぁ。装備品じゃないと魔物と戦えないのにさぁ。
せっかくステイルークまで戻ってきたので、ゴールさんの奴隷商館にも顔を出しておくか。
「残念ながらまだ呪いは解けてないんだけどねー」
「くくく……。たった1年で解呪出来るとは思っていませんよ」
突然の来訪にもゴールさんは快く歓迎してくれた。
解呪にはまだ成功してないんだけどと報告すると、当たり前だろうと言わんばかりに笑いを零すゴールさん。
「ご自身のポータルでステイルークにお戻りになるとは、ダンさんは随分と強くなられたようです。来年にはダンさんとニーナさんの婚姻契約、結べそうな気がしますなぁ!」
そりゃね。もう1年なんて待たす気もないし、我慢できる気もしない。必ず来年には呪いを解いてみせるよ。
ただ……、ちょーっとだけ、婚姻契約の数が増えちゃったけどぉ?
ゴールさんとの話を終えたら、ラスティさんにも挨拶をしに行くことにした。
ゴールさんにラスティさんも居場所を聞いたところ、なんとラスティさんは冒険者ギルドの職員だったようだ。お役人さんって言ってた気がするけど、アレって冒険者ギルドの職員って意味だったのか……。
さっそく冒険者ギルドに足を運んだんだけど、なんだかラスティさんが気まずそうだったので早々に退散した。ニーナの件で俺に負い目があるんだろうね。
当時はステイルークの人たちに対して怒りを覚えたものだけど、今は支援してもらったことへの感謝しかない。別にこの街の人々がニーナになにかしたわけでもないしね。
最後にステイルーク警備隊の詰め所にも顔を出しておく。
「マジかよ!? まさかダンがこんなに立派になってるたぁ思わなかったぜ!」
「おかげさまでね。フロイさんも元気そうでなによりだよ」
運よくフロイさんと再開できたので挨拶を交わす。
なんだかんだで面倒見のいいフロイさんには本当にお世話になった。この人がいなければ、俺はアッチンに辿り着くことも出来なかっただろうなぁ。
「フロイさん。再会したら1杯奢ってくれるって約束、まだ生きてるかなぁ?」
「げ……」
俺の言葉に露骨に顔を顰めるフロイさん。奢りたくないならあんな約束するんじゃないよ、まったく。
「でもフロイさん。悪いけどあの約束さ。また今度にしてもらっていいかな?」
「あん?」
「次に来る時はニーナと一緒に会いにくるからさ。あの時約束した通り、フロイさんにはちゃんと奢ってもらうからね?」
俺から蒸し返した約束の話に、フロイさんは笑顔を浮かべて力強く頷いてくれるのだった。