146 それぞれがナンバーワン
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
ここがスポットの中であることも忘れてひたすらにニーナと愛を確かめ合っていると、いつの間にかかなりの時間が経過してしまっていたようだ。
「ニーナ。ダン。そろそろ交代だよー」
リーチェが衝立の中に顔を出して、他の2人を起こさないように小声で交替を教えてくれる。
俺とニーナがめろめろになってるのに、本当に同じ衝立の中でティムルもフラッタも普通に寝てるんだからびっくりするね。
ごめんねニーナ。甘えちゃって。ニーナに大好きって伝えたくて仕方ないんだよ。
「ニーナ……。大好きぃ……。愛してるぅ……!」
ニーナを俺でいっぱいにしたい。他の不純物は全部取り除いて、ニーナを俺だけでいっぱいにしたい。
呪いなんて不純物、邪魔で邪魔で仕方ない。絶対に取り除いてやるからな……!
少しだけ余韻に浸ってから、お互いの身を解放した。
「ニーナ。いっつもいっつも甘えさせてくれてありがとう。大好きだよ」
「心も体もダンでいっぱいで、本当に幸せなのっ。私もダンを大好きだし、ダンを大好きな私のことも好きなんだっ」
ニーナが自分のことを好きと言った瞬間、なぜか俺はこの世界で過ごした日々の全てが報われた気がした。
ずっと自分のことが嫌いで、自分の存在をずっと負担だと苦しんでいたニーナが……!
……はは。せっかくニーナが俺のことを好きって言ってくれたのに。
ニーナが自分自身を好きって言ってくれた方が嬉しいなんて、俺どうかしてるなっ。
どうかしすぎて、ニーナの顔が滲んでまともに見れないよ?
「ダンのことが大好きだし、私のことも大好き。そしてダンのことを一緒に愛せるみんなのことも大好きなの。だからみんなのことも私と同じくらい愛してあげてね?」
俺を胸に抱きながら、優しく頭を撫でてくれるニーナ。
うん。俺ももうみんなのことだって大好きだから。
誰かを愛することが他の誰かを傷つけることだなんて、絶対に思わないよ。
「それじゃティムル。あとはお願いね」
ニーナが声をかけるまで、俺はティムルが目を覚ましている事にも気付かなかった。
「ダン。私に甘えるのと同じくらい、ティムルにも甘えてあげてね?」
最後に俺の額にキスをして、俺の頭を解放するニーナ。
ニーナの感触を寂しいなんて思う暇も無く、ティムルに抱きしめられた。
「不思議よねぇ。我ながら本当に不思議で仕方ないわぁ」
「ティムル……?」
「女なんて1人の男を取り合って、いがみ合って憎しみ合うのが普通だと思ってた。でもダンとニーナちゃんが愛し合っていると、なんだか私も嬉しくなっちゃうのよねぇ」
胸に抱いた俺の頭を撫でながら、ティムルは本当に嬉しそうに微笑んでいる。
「……俺も不思議だよ。複数人の女性を愛することが誠実に思えるなんてさ」
ティムルの胸を抜け出して、彼女の口にキスをする。
「ティムルのおかげで、俺はみんなを愛していいんだって思えたんだよ。みんな全員を本気で愛していいんだって、ティムルが教えてくれたんだ」
俺とニーナの2人を、いつも導いてくれたティムル。
お前のせいで我が家の風紀は乱れまくりだけど、それでもずっと感謝してる。むしろそれこそ感謝してる。
でもここでニーナの言葉が頭をよぎる。
私と同じくらい愛してあげてと。私と同じくらい甘えてあげてと。
ティムルの体を両手で抱きしめ、その動きを妨害する。
ニーナと同じくらい甘えていいなら、ただ俺の想いを受け止めてくれるだけでいいんだ。俺に何かを与えようなんて思わないで、ただ俺の想いを受け取って欲しい。
今ティムルに伝えるべきは快感じゃない。伝えるべきは俺の想い。俺の本音。
ティムルに伝えるのはティムルにしか抱いていない、彼女にだけの俺の感謝だ。
ティムル。アッチンで出会ってからずっと俺とニーナを見守ってくれて、導いてくれてありがとう。ニーナは俺の全てだけど、お前がいなきゃ護りきれなかった。
ありがとうティムル。俺と一緒にニーナを守ってくれて本当にありがとう。
ニーナは同じように愛して欲しいって言ってたけど、やっぱりみんな同じには扱えないよ。
みんな別々で、みんな大切で、みんなが俺の1番なんだから。
ニーナがこの世界で俺の1番大切な女性なら、ティムルは俺が1番尊敬している女性なんだよ。
お前がいなかったらムーリもフラッタもリーチェも、きっと俺とは縁を繋げなかったと思う。
俺とニーナの世界を広げてくれたお前には、世界一感謝してるんだ。ニーナに注いだ想いとは違うけど、きっと大きさは一緒だと思うから。
いつもありがとうティムル。
あとエロ方面でのご指導にも心よりお礼申し上げます、エロ教官殿。
「ダン、ティムル。もうすぐ時間だよ」
ティムルに感謝を伝えていると、見張りのニーナが時間を知らせてくれた。
彼女を解放する前に最後にもう1度、ティムルに俺の感謝の想いを届けた。
「ティムル。いつもありがとう。大好きだよ。お前だってちゃんと俺の1番の女だよ」
「に、ニーナちゃんって、いつも、こんなのを、全部……、受け止めてたのぉ……? ダンに1番って言ってもらえたのは、嬉しいけどぉ、う、受け止めきれる、かしらぁ……?」
頑張れティムル。そんなのお構いなしに愛してやるからな。
肩で息をしているティムルをよしよしなでなでしていると、フラッタが傍によってきて隣にちょこんと座ってくれた。
「なんだか稽古の時のダンみたいじゃのう。妾のこともいっぱい可愛がって欲しいのじゃっ」
ティムルを解放して、すぐに可愛いフラッタと繋がる。
可愛がって欲しいだってぇ? こんなに可愛いフラッタを可愛がらないほうが難しいんだよぉっ。
「大好きぃ……。ダン、大好きなのじゃぁ……」
「うん。俺もフラッタのことが大好きだよ」
可愛い。ただひたすらに可愛い。もうこいつ、世界一可愛いとしか思えない。
というか美貌的な意味で、俺じゃなくても誰もが世界一可愛いって言うだろ、フラッタのことは。
兄シルヴァの事件や竜爵家の異変に心を痛めているけれど、それでも他の3人と比べて挫折を経験したことのないフラッタは、本当に素直で愛しくて可愛いの塊だ。
大好きと伝えれば大好きと返ってきて、愛してると伝えれば愛してると返ってくる。
不純物一切無しの100%の好意しか含まれていないフラッタには、100%の好意以外に伝えるものなんかなにもない。
初めて会った時からなんだか目が離せなくて、自分達の生活でめいっぱいだった俺とニーナを瞬く間に魅了しやがってぇ。
呪われてるニーナも、男に弄ばれたティムルも、重い事情を抱えるリーチェも、フラッタと一緒にいるともう可愛いしか考えられなくなっちゃうんだよぉっ。
こんな可愛いフラッタが、世界一可愛いフラッタが俺のお嫁さんなんて幸せすぎるんだよぉ。
可愛い。大好き。幸せ。
なにをしても可愛い。もうフラッタには可愛い以外の感情を抱けないよぉ。
こんな可愛いフラッタに不純物を混ぜ込むわけにはいかないよなぁ。
素直で可愛く明るいフラッタに、陰の部分なんか要らないよなぁ。
フラッタがなにも喪わない為に……、やっぱり竜爵家に行くしかないよなぁ。
この世界はどうやら美人が嫌いみたいだからね。きっとこの世界の運命の女神は、容姿にコンプレックスでも持ってるんだろうなぁ。
フラッタがこの世界にイジワルされないように、俺が生涯守ってみせるからね。
「ダン。フラッタちゃん。間もなく時間だからね?」
エロティムルから時報をお届けされた。
最後に最高に可愛いフラッタを力いっぱい抱きしめる。
「はぁぁ。フラッタ。可愛い。可愛すぎるよお前ぇ……。大好きだよぉ。本当に大好きだよ。可愛い可愛い俺のフラッタぁ……」
「妾も好きぃ……。優しいダンが大好きなのじゃぁ……。ダンが大好きなことしか考えられないのじゃぁ……」
俺もフラッタのこと、可愛いと大好きしか考えられないよ。
まったく、日に日に可愛くなりやがってぇ。
「ダン。ぼくのことはダンの好きにしていいからね……?」
フラッタを抱きしめている俺の耳元で、エロス大明神からの神託が囁かれる。
エロ神様のお導きに従って可愛いの塊のフラッタを解放し、エロスの塊リーチェに後ろから抱きつく。
好きにしていいだとぉっ! なら好きにさせていただきますっ!
世界一可愛いフラッタを相手した後に、世界一エロいリーチェを相手にしなくてはならないなんてっ! 好色家よっ! 限界を超えるのは今だぁぁぁっ!
キスで口を塞がれながら、それでももっとと口にするリーチェ。
何なのお前? エロ過ぎなんだけど。
顔も体も極上の女。なのに性格まで極上のエロの塊。
身分はエルフのお姫様。自身は英雄。その腕前も超一流。
何なのお前。最高すぎるだろ。その上俺への依存度が下手すりゃニーナ以上ってのがやばい。
ニーナよりも俺に依存していて、ティムルよりもエロに積極的で、フラッタと同じくらい可愛いってなんなんだお前は。エロの完璧超人か?
感度も最高。リアクションも最高。更に味まで最高とか。
こんなリーチェにぶつけるのは俺の性欲。もうエロ過ぎて収まりがつかない。リーチェにはエロいことをしたくてしたくて仕方ない。
そしてエロいことをした分だけ最高の反応だけが返ってくる。
最高だ。お前最高にエロいよ。この体を最後まで味わえないなんて、残念なような恐ろしいような。
エロ大魔神。エロ大魔王。エロスのラスボス、リーチェ・トル・エルフェリア。
リーチェを好き放題出来ることが最高に幸せだ。
だけどリーチェと愛し合えないことが最高に不幸だ。
誰よりもエロスを感じるこの体に、最後の一線だけが許されない。
こんなに想い合っているのに、こんなにエロい体なのに、最後までしてあげられなくてごめん。
多分俺もリーチェも、こんなこと考えていると思う。
こんなにエロいリーチェが、こんなに俺を求めてくれるリーチェが、ただそれだけが許されていないなんて絶対に許さない。
リーチェを全て愛する為なら、運命だって神様だって、世界だって滅ぼしてやる。
涙を流しながら肌を重ねる姿なんて、絶対に許さない。
リーチェと笑顔で愛し合うために、やっぱり旅は必要だ。
せっかく竜爵家のトラブルに巻き込まれそうなんだ。だったらいっそ行くところまで行って、この国の中枢まで迫ってみるのもいいかもしれない。
流石に建国の英雄の情報がこんなにも曖昧であやふやのわけがない。スペルディアの王族とエルフの国の王族は、必ず何かを知っているはずだ。
そう言えば、シルヴァにはエルフの協力者がいる疑惑があったなぁ?
まずは年末、竜爵家の異常を確認してニーナの呪いを解いたら本格的に追うことになるだろう。シルヴァの行方と、彼が起こした事件の真相を。
「ダン。リーチェ。間もなく時間なのじゃ」
フラッタのお知らせを受けて、最後に思い切り俺の想いをリーチェにぶつける。
リーチェお前エロ過ぎなんだよぉぉぉぉっ! 大好きだぁぁぁ!




