144 慌ただしい出発
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
教会で夕食をご馳走になって、5人で帰宅する。ご馳走って言っても作ったのは自分たちだったけど?
ムーリとも一緒に帰りたいけど、彼女は俺の嫁であると同時に教会では母でもある。毎日独り占めは出来ないよね。
家に帰ってお風呂に入り、寝室でみんなに大好きな気持ちを届け続け、昨日徹夜したので早めに休むもうとした時に、ティムルが、あっ! と声をあげた。
「ね、ねぇダン。私たちの休暇って、本来今日までだったんじゃ……?」
もしかして私達、やっちゃいました? とでも言いたげな顔でティムルが俺に確認してくる。
え、えっと待てよ……? 24日の予定を20日で帰ってきて、その日は就寝したよな?
そして21日目、休暇1日目にお風呂で楽しんで、休暇2日目に教会に話を持っていったんだよな?
あの時、確か礼拝日は4日後ですと言われたから、礼拝日は休暇6日目。修道士の転職は礼拝日の3日後って言ったから、今日は休暇の9日目……。
「うわああマジじゃん! 全く気付かなかったよぉっ!」
お風呂とみんなに溺れすぎたぁっ!
いや別に予定が1日2日ズレたって良いんだけど、みんなに溺れて日にち感覚がすっかり無くなっていたのが大問題じゃんっ!
ずっと前から懸念はしてたけど、ムーリも含めて俺の嫁は全員がエロ過ぎて、マジで日常生活に支障をきたし始めたよぉっ!
「あー……。今回はお風呂とかムーリとか子供達とか大忙しだったもんね。どうするダン? 明日出発しても良いよ?」
ニーナの言葉に、ちょっと考える。
明日の子供達の引率は職業補正さえ確認できれば充分だ。その間にみんなに物資を揃えてもらって、か?
「慌ただしい出発になっちゃうけど、ムーリも昨日あれだけ愛してもらったから大丈夫でしょ。ムーリはこれから忙しくもなっちゃうだろうしね」
ニーナの言う通り、間もなく新しい孤児を迎えるムーリには忙しく慌ただしい日々が待っているはず。俺達以上に寝室に篭っているわけにはいかないのだ。
「えっと、俺抜きで遠征の物資、持ってこれる? ティムル1人じゃ流石にきつくない?」
「そこはぼくのポータルを使おうか。ティムルにダンの荷物を届けてもらえば解決だよ」
あー、なるほどねぇ。リーチェはポータルが使えるんだった。
1か月分の遠征物資はティムルと俺しか持てない量の荷物だけど、逆に言えば俺が持てるならティムルも持てる荷物だ。
ティムルが1度ポータルで俺の分の物資を持ってきて、後からもう半分の物資を持って改めて合流するのね。
子供達の引率はスポットの入り口付近だし、パーティメンバーの所在は感じ取れるから合流も簡単だ。
「っていうか別に明後日出発しても良いんじゃないの? そんな色々工夫して、むりやり明日に出発しなくても……」
「……いや、明日出発すべきだと思うのじゃ。1度予定を変更してしまうと、ズルズルと寝室で過ごしてしまいかねないのじゃぁ……」
ぐぅ! そ、それを言われると、何も言い返せませんねぇっ!
フラッタも赤い顔でモジモジしながら言わないのっ! マジで寝室から出たくなくなっちゃうでしょ!
「それに今の私たちにとっては、出発を遅らせた分は全て最も稼げる最深部での活動日が減ることになっちゃうわ。新しい孤児の受け入れと孤児院の新設でお金も入用になるし、出来れば出発したほうがいいんじゃないかしら」
た、確かにティムルの言う通り、金銭面でも余裕が必要だ……!
それに最深部では職業の浸透が一気に進む。1日の違いが浸透の数に大きく影響してきそうだ。
「準備が少し忙しいけど、今日は寝る日だったしちょうどいいんじゃないかな。こうやって過ごす日々も幸せだけど、ダンには早くぼくを貰って欲しいしぃ……」
ぐあああああっ!
エロ神様のくせにめちゃくちゃ可愛いこと言うんじゃねぇよ、このエロリーチェっ!
「ダン。やっぱり明日出発しよ? 子供たちに女にだらしないところを見せられないでしょ?」
……はい。完全に、完全に俺の負けだよ、ニーナ……。
そうか。24日間の遠征で4日早く戻ってきて、元々6日間の休暇に4日追加されたわけだから休暇は10日間で……。
あれ? やっぱ明日まで休暇じゃね?
「……ねぇねぇ。完全に納得しかけたけど、やっぱり明日まで休暇じゃない? 20日目に帰ってきて明日で10日目だよ?」
「あら。私の勘違いだった? ごめんなさいね。徹夜すると日付の感覚が曖昧になっちゃって……」
大体俺のせいですね。ホントごめんよ。
「んー……。ダン、せっかく出発する流れだったし、やっぱり明日出発しない? 今度の遠征が終わればお休みなんだし」
「え、えぇ? そんなに急いで出発しなくても良くない……?」
1日でも長く、みんなと触れ合っていたいんですけど?
「んっとね。慌ただしい出発を経験しておくのも必要かなって思ったの。マグエルから離れたら、私たちに何が起こるか分からないじゃない?」
思った以上に真面目なニーナの言葉に、エロ思考が急速に萎んでいく。
……なるほどね。これはちょっと真剣に考えるべきか。
旅に出た場合、天候や野盗などの不確定要素で予定通り行動出来ないなんて普通に起こる。それこそマグエルまでの道中だって、予定通り進めないことは何度もあったからな。
今の俺たちなら野盗程度は正面から撃退できるけど、俺は単体で村を滅ぼした魔物にだって遭遇したことがある。
今の俺たちが逃げなきゃいけないほどの魔物なんてそうそういないだろうけれど、それでもそんな化け物に遭う可能性はゼロじゃない。
そして俺は年内のうちに、竜化したフラッタを越える実力者と相対する可能性もあるんだ。
なら少しでも強くなっておきたい。たとえそれがたった1日分でも、だ。
「うん。ニーナの言い分も尤もだ。せっかく出発する流れになったんだから、明日出発しちゃおう」
金銭的な心配が無くなったことでちょっと浮かれちゃってたかな。
俺が解決すべき問題はまだ何1つ解決してないっていうのに、寝室に篭ってる場合じゃなかったね。
「だけどニーナ。遠征から帰ってきたら、1ヶ月間はみんなを堪能させてもらうからね?」
「ふっふーん。ダンこそ覚悟してよねっ。スポットの中で魔物が出ない場所、見つけちゃったんだから、ねぇ……?」
ニーナが妖しく微笑む。
ダメだ。やっぱりニーナには敵いそうもないや。
明日起きればまた長期間のお預けかぁ。ならせめて今夜は、みんなのことを抱きしめて眠らせてくれよぅ。
大好きだよみんな。でもみんなが大好きだからこそ、やっぱり少しでも強くならなきゃダメだよなぁ……。
あ~、さっさとリーチェの問題を解決して、みんなとどこまでもエロいだけの日々を送りたいよぅ。
いつも通り1番に目覚めた俺は、全員とおはようのちゅーを済ませたあと、1人でさっさと寝室を出て食材を使い切るべく朝食作りに勤しむ。
出発前に教会に顔を出して、ムーリとも挨拶しておかないとな。
朝食を作り終えたら寝室の4人に先に出ることを告げ、ワンダたちと合流する。
だけど今回はワンダ達だけでスポットまで移動してもらい、俺はポータルで後から合流する事にさせてもらった。
これは勿論ムーリとのボディランゲージの時間のためだ。
1秒でも惜しいので、ご近所さんのトライラム教会にポータルで移動してしまった。
「えっ!? 皆さん、今日発たれるんですかっ!?」
教会にいたムーリに出発を告げる。
驚いた拍子にムーリのおっぱいが、ぶるんっと揺れる。
ああ、もうこの動きを凝視していいなんて、幸せだ……。
「うん。急遽決まってね。だからムーリに会いに来たんだ」
「暫く会えなくなるのは寂しいですけど……。わ、わざわざ私に会いに来てくれるなんて、嬉しすぎますぅ……」
赤面しつつ両手を頬に当ててくねくねするムーリ。
それ以前ティムルもやってたけど、ムーリがやるとおっぱいが肘に挟まれて大変なことになってるよ?
まぁいい。今は目で楽しんでいる場合じゃない。楽しむべきはムーリの肉体だ。
1歩踏み込んで、くねくねムーリの手首を掴む。
「ダ、ダンさん……?」
「これから1ヶ月くらいムーリに会えないからね。俺も寂しいけど、ムーリだって寂しいと思う。だから今からムーリをいっぱい可愛がってあげるからね」
「えっ!? 今からって……、ええっ!?」
戸惑うムーリの手を引いて、シスター室に連れ込む。
生活感の無いムーリの私室だけど、ベッドさえあれば充分だ。フラッタとリーチェにも、ベッドだけの地下室で散々エロいことしてやったしな。
「いってきますのちゅーだ。ムーリ、俺で満たしてあげるからね」
「ままま、待って!? 待ってくだ、んんっ……!」
慌てるムーリの口を、自分の口で塞いでしまう。
ダメだよ騒いじゃ。子供たちに聞こえちゃうからね。
朝の教会。子供達はもう起きている時間。いつもと違うベッド。自分の家ではないムーリの私室。
普段と異なるシチュエーションにめちゃくちゃ興奮する。
大きな音を出して子供にバレたらダメ。そんな特別ルールが設けられた事で、俺の魂が激しく燃え上がっているっ!
好きだよムーリ。愛してるよ。ありがとう。一緒にいてあげられなくてごめん。
色々な気持ちを全身全霊で、1つ残らずムーリに伝え続けた。
……そろそろ子供たちがスポットに到着する頃かな。
名残惜しいけれど、ムーリを解放する。
うん。やりすぎたね。最近いっつもやりすぎてるね。
息も絶え絶えのムーリの体を丁寧にタオルで拭いて、服を着せて毛布で包んだ。
「少しの間、寂しい想いをさせてごめんね。待っててね。俺のムーリ」
額と唇に触れるだけの軽いキスをする。
「い、いってらっしゃいぃぃ……。大好きなダンさんのこと、ここで待ってますからぁ……」
待ってる、かぁ。
常に一緒にいるのも捨てがたいけど、待っててもらうのも捨てがたいなぁ。
「うん。俺の……、俺達の帰る場所はここだよ。愛するムーリのところに、ちゃんとみんなで無事に帰ってくるからね。いってくるよ」
耳元に俺の気持ちを伝えながら、最後に少しだけ頭を撫でてシスター室を後にした。
急いでポータルで転移し、直ぐにスポットに侵入する。
スポットの中では既に子供たちが普通に魔物と戦っていた。でしょうね、うん。
そしてどうやら俺の物資も既に届けられているようだ。でしょうね、うん。
村人6人で戦っても安定していた子供達は、職業補正を得たことで全く危なげなく戦っていた。
男の子には遅い遅いと怒られたけど、コテンとリオンにはもっとゆっくりして来いと怒られた。
うん、ムーリ。全部バレてるよ。
というかティムルが女の子には全部バラしていったそうだよ。
子供たちが帰ったら質問責めにされそうだけど、無力な俺には君を救い出す事は出来そうもないよ……。
「魔物狩りと休みのペースは任せるよ。ただ常に万全で挑んで欲しい。俺たちが遠征から戻るまでは必ず日帰りして、ムーリを安心させてやってくれよな」
「シスターのことは私たちに任せてっ」
「でも帰ってきたら、またいっぱい抱きしめてあげてねっ」
……女の子って、女の子ってぇ。
まぁいいや。ムーリは俺以外にも愛されてるってだけの話だ。
「多分日が発つほどに魔物狩りが楽になっていくはずだ。だから休みの日程には拘らなくてもいい。ただ必ず万全を期すこと。それだけ守ってれば、お前らはすぐに俺なんか追い越しちゃうさ」
引率は無事に今日で卒業だな。
お前らの英雄譚が聞ける日を楽しみにしてるよ。
危なげなく戦う子供たちの姿に安堵していると、ほどなくニーナたちが合流してきた。
さぁ、俺達も負けてられないぞぉ。
みんなで気合を入れなおして、年内最後のスポット遠征を開始したのだった。




