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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
2章 強さを求めて3 孤児と修道女
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139 孤児院建設案

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 夢中でみんなを愛していたら、周囲が少し明るくなって来た気がする。


 明るくなるの遅くなってきたなぁ。冬の到来も近そうだ。



 4人に感謝と挨拶と愛を囁いて、それぞれの唇に触れるだけのお目覚めのキス。


 ニーナ、ティムル、フラッタ、リーチェ。4人とも大好き。いつもありがとう。


 4人を毛布巻きにしてから、寝室を出て朝食を作った。


 

 全員分の朝食を準備したけど、みんなはまだ起きてこない。


 俺は引率があるので、みんなを待たずに先に1人でむしゃむしゃと朝食を食べる。



 うーん。幸せって凄いなぁ。1人でご飯食べてるのに、全然寂しくならない。


 4人の余韻が体を満たしているので、1人だけど独りじゃない。


 

 ニーナだけでも俺には勿体無い女の子なのに、ティムル、フラッタ、リーチェ、ムーリと、最高の女性が嫁に増えていく。


 女性が増えて1人1人を蔑ろにしてしまうかと心配したのに、嫁が増えるほどにみんなの新しい魅力に気付いて、結局もっと好きになってしまう。



 皆がいなかったら俺は、世界を滅ぼしてやるってくらいに落ち込んでいたかもしれない。


 ステイルークを滅ぼして、ドワーフの里を滅ぼして、ヴァルハールの馬鹿どもを皆殺しにして、トライラム教の腐敗聖職者を殺して回って、リーチェを独りにしたこの世界を滅ぼしてやると、外道に堕ちてしまっていたかもしれない。


 俺こそがアウターから出現した世界の脅威、『アウターエフェクト』と呼ばれる災厄に認定されていてもおかしくなかったかもしれない。



 でもみんなのおかげで、幸せで幸せで仕方ない日々を送ることが出来ている。


 あまりに幸せすぎてステイルークの人たちに怒りを維持出来ないし、ドワーフたちに興味も抱けないし、ヴァルハールのことなんて記憶出来ないし、トライラム教会の立派な部分ばかり目に付いちゃうし、この世界は捨てたもんじゃないなって気持ちにさせられてしまう。


 俺の愛するみんなは本当に凄い。彼女達は常に世界を救っているのだから。



 俺のことをいつも力いっぱい全身全霊で愛してくれるみんなのおかげで、俺の体には常に愛が溢れてる。


 あまりにも愛されすぎて、度々溢れてきて色々やりすぎちゃうこともあるので少しは手加減してくれても良いんだけど、とにかくとてもとても強く深く愛してくれている。



 俺1人の体には収まりきらないほどの愛情が常に注がれていて、体中から常に溢れてくる。


 でもこんな素敵な物を溢れさせて無駄にするのは勿体無いから、周りの人たちにもおすそ分けしたくなってくるんだ。



 金持ち喧嘩せずとか、美男美女は性格も良いとか、今なら俺も少し分かる。


 その身に余るほどの幸せを感じている人は、他人に負の感情を抱けないんだ。


 だって誰かを憎むよりも誰かを愛している方が凄く幸せで、ずっとずっと楽だから。



 やってきた子供たちにパンを配って家を出る。


 溢れた分の幸せをコイツらにもおすそ分けする為に、今日も元気にスポットへ出発した。






 6人の戦いはかなり安定してきていて、被弾も相当減ってきた。


 お互いの動きも少しずつ把握できるようになってきていて、明日職業補正を得られれば日当3000リーフくらいまでは余裕で稼げるようになりそうだ。


 俺達の遠征中は1日中スポットに入ってるだろうしね。



 昨日の時点で全員村人の浸透が完了しているので、転職の準備は万端だ。


 泊まり込みの遠征は、6人が全員戦士を経験できる2度目の転職を済ませてから許可するかな?



 ははっ。なんだか俺自身のことよりもワクワクしてくるじゃないかぁ。



「きょ、今日もあれだけで1600リーフだよ……!」


「ダンが魔物を集めてくれるからね。僕達だけで狩りをする場合は、半分くらいの報酬を想定すべきかもね」


「そうだね。インベントリも無いから、もしかしたら始めのうちは何度かマグエルまで往復しないとダメかも」



 ワンダ、コテンが報酬に慄いている間にも、サウザー、ビリー、リオンの3人が冷静な視点で話し合い、ドレッドは1歩引いた視点で全体を見守っている。


 なんかお前ら、熟練の魔物狩りパーティみたいな佇まいなんだけど?



「明日は全員転職の日だから、1日おやすみにしてゆっくり休もう」



 ワンダやコテンからお休みに大して不満が出るかと思ったけれど、転職のほうが楽しみすぎて他の事を考えている余裕が無さそうだな。



「明後日にスポットに入ってみて、職業補正を確かめたら引率は終わり。無理をしないで堅実に稼げば、お前達6人は安定して稼げる魔物狩りになってるはずだよ」


「うん。任せて。絶対無理、させない……!」



 はは。ドレッドっていうストッパーが機能してる限り、このパーティは大きくなっていきそうだ。5年もしたら英雄譚でも出来てたりしてな。



 換金を済ませた後に自宅で訓練していると、ムーリが顔を出してくれた。


 子供たちの前で熱烈な歓迎をするわけにもいかないので、ぎゅーっと抱きしめてよしよしなでなでしながらちょっとだけキスを交わす。



 リーチェとの手合わせを終了した俺はそのままムーリと会話することにして、料理に目覚めたリーチェの方は夕飯作りに取り掛かるようだ。


 ……最近のリーチェは料理できるようになってきたことで、何故かポンコツ度が増してる気がするんだよなぁ。


 既に1人で料理させても問題ないし、実際に味も悪くないんだけど、料理してる時の顔が大体蕩けてる。



 ま、家族にしか見せない表情だし、可愛いからいっか。



「それで、新たな孤児の受け入れなんですけど、出来る限り沢山受け入れて欲しいというのが教会側の要望ですね」



 無償の炊き出しや孤児の受け入れを行なっているトライラム教会としては珍しく、直球で甘えてきたようだ。つまりそれほどまでに教会側に余裕が無いってことなんだろう。



「来年15歳になる子は6名。まずその子達は予定通り全員受け入れたいと思っています。加えて可能ならもう少し……、出来る事なら10~15人くらいは受け入れて欲しいと」



 10~15人。6名も合わせると20人くらいになるね。


 それでも教会側としてはこちら側に遠慮した人数なんだろう。この世界、孤児が多いなぁ。



「んー、教会全体で保護してる孤児ってどのくらいいるのかな? もし仮に孤児全員引き受けるよってなったら、何人くらいの規模になると思う? 大体で良いよ」


「えっと、ちょっと想像もつかないですけど、100や200じゃきかないかもしれません……」



 数年シスターを務めているムーリでも把握してないのか。


 毎年数十人の子供が奴隷落ちしているのに、それでも余裕が生まれないほどに新たに孤児を預かり続けているんだろうなぁ。



「スペルディアの教会本部では、他の街の教会で預かりきれない子供を可能な限り保護しているのですが、それでも多分200人近くいたはずです」



 い、いくら本部とは言え、1ヶ所で200人の孤児を預かってるのは凄まじいなぁ……。


 そりゃ孤児の人頭税を賄うのはどうしたって無理だわ。教会関係者の税金を払ってるのが信じられないレベルだ。



「各街の教会もギリギリで世話しているところばかりでしょうから……。教会全体で保護している孤児の人数は、300~500名くらいにのぼってもおかしくないかと」



 んー、やっぱりトライラム教会は凄いな。そんな人数を自主的に保護してるなんて、ちょっと凄すぎる。



 その保護してる孤児の数を少しでも減らせれば、教会の財政も上向いて、奴隷になる子供も減らせる。


 各街の教会で保護する孤児も今の半数くらいに減らすことが出来れば、教会で人頭税を払えるようになるかもしれない。



 孤児の引き受け、ちょっと真面目に考えてみるかな?



「ティムルーっ。悪いけどちょっとこっちの話に参加してくれるー?」


「はいはーい。なんですかご主人様ー?」



 洗濯物を干していたティムルにおいでおいでして呼び寄せる。


 ムーリとしていた会話をざっと説明して本題に入る。



「ティムルって教会のことを孤児院って言うじゃん? だからいっそ本当に孤児院を作って、教会に併設しちゃうのはどうかと思うんだ」



 マグエルの事ならティムルに聞くのが手っ取り早い。


 ティムルが難色を示すようなら孤児の受け入れも見直す必要が出てくるかもしれない。出来ればそんな事態は回避したいけど。



「費用とか建設関係のルールとか、ティムルから見て何か問題点があるかなぁ?」


「んー。費用的にはうちの稼ぎでしたら余裕かと思いますよ。建物なんて装備品に比べれば安いものですから」



 ……家より装備品のほうが高い世界とはいったい。



「教会は町外れですし、土地に関しては何の問題もないですね。建物の所有者をご主人様かムーリのどちらかにするか迷う程度で、他は問題ないかと思いますよ」



 ルール的には問題なく、資金的にも余裕と。



「心配があるとすれば人手ですね。建物だけ作っても、働き手がいなければ孤児院は機能しません。それにご主人様がどの程度の収容人数を予定しているかでも話は変わってきます」



 問題は現実的に運営していく方法と、想定している規模かぁ。



「え、えぇぇ? ティムルさんも完全に建設する前提で話をしてません……? 孤児院って、そんなに簡単に設立できるものでしたっけぇ……?」



 オロオロしているムーリを見てると、人手に関しては問題ないと思うんだよね。


 教会で保護されてる子供たちって、みんな自主的に教会のお手伝いしてるしさ。新しく受け入れる孤児だって乳幼児しかいないわけでもないでしょ。



「建設費用次第だけど、とりあえず30人を収容できる規模の物を1つ。出来れば俺たちが遠征に行ってる間に建てちゃいたいと思ってるんだ」



 ティムルは特に反対することも無く、静かに頷いてくれる。



「ムーリ、始めの受け入れは6名プラス15人で良い。最大人数受け入れよう。その分の生活費はうちで出すから」


「は、はいっ……! 分かりましたっ。そ、それは分かりましたけど、始めの……、って?」


「うん。来年から毎月5~10名くらいをマグエルで引き受けようと思うんだ」



 いきなり50人も100人も詰め掛けられたらどうしようもないけど、段階的に少しずつ受け入れて行くのであれば負担も軽くなるだろう。


 なので毎月少しずつ引き取る方向性を提示したい。



「慣れない土地で暮らすのは心細いだろうから、なるべく同じ教会出身の孤児や兄弟なんかを引き離さないように、毎月の受け入れに定員人数は設けない」



 ムーリとティムルの反応を見ながら話を続ける。



「孤児院の運営は年長の孤児に率先して手伝ってもらおう。10歳以上の孤児なら問題なく手伝いが出来るはずだ。なんならマグエルに来てから教えたっていいよね」


「うーん。人手はいいとして……、孤児院運営資金を全部ご主人様が負担するんですか? 出せない事はないと思いますけど……、あまりにも負担しすぎでは?」



 ここでティムルが口を挟む。


 心配してくれつつも、ティムルが出せない事はないと評価してくれるのは心強いな。



「ティムルの心配は分かるよ。だけどそこで生きてくるのが孤児へのスポンサー契約なんだよ」



 別にこれを想定していたわけじゃないけど、利用できるものは利用しよう。



「ワンダたちだって、来年からは毎月金貨3枚くらいは払ってくれるようになるんだぜ? これだけでも孤児院の運営費用としては充分過ぎない? 子供が増えれば、恐らく魔物狩り希望者も増えると思うしさ」



 教会で預かっている孤児のみんなはやり方が分からないだけで、いつだって教会の為にお金を稼ごうと必死になっている。


 孤児が増えることで負担が増す? あんなにいい子たちが負担になるだけなんて、そんな馬鹿な話は無いっての。



「……なるほど。まさかここで子供達に魔物狩りをさせた話に繋がるとは思いませんでした」



 うんごめんティムル。俺もたった今思いついたことだから、あんまり感心されると困るんだよ?



「ご主人様なら装備の貸し出しに困ることはありませんし、例えばワンダ君たちだって、武器だけを金貨レンタルに変えるような選択肢もあるわけですか。するともうワンダ君たちだけでも、毎月金貨10枚以上のレンタル料を支払うことになる……」



 あ、なるほど。部分的に装備のグレードを変更するって方法もあるのか。


 確かに武器を優先して更新すれば、それだけ殲滅力が上がって稼ぎが良くなるわけだからな。戦士の補正でHPを確保できれば防具は後回しにするって選択肢も普通にアリか。



「ワンダ君たちもドロップアイテムだけでも黒字なのに、魔玉が光れば全身を金貨レンタルに変えても黒字になってしまう……」



 ティムルが頭の中で算盤を弾いている。



 ……完全にプレゼンだなこれ。


 奴隷にプレゼンする所有者ってなに?



「マグエルの商人も、皮や鋼鉄の装備は売れなくても、それ以上の品質を求める顧客が増えて結局は得をする。そもそも孤児達は安い装備を買うことも出来ないから、商売の邪魔をしているわけでもない……」



 ……いやいや、流石にそんなマグエル全体への影響なんて考慮してないんだよ?


 でもティムルの言う通り、孤児ってどっちにしても装備品を買うお金なんて持ってないから、他の魔物狩りや商店に迷惑をかける心配は無かったかな。



「うん。流石ご主人様。思った以上に上手く回りそうですねっ。1つ懸念があるとすれば……、孤児たちがみんな巣立った後ですかね?」


「ん? 子供達が巣立ったあとって?」


「孤児院用の建物をいっぱい建設しても、下手すると来年1年で孤児の状況は激変しますよね? だからせっかく建てた建物に5年後には誰も住んでない、とかなっちゃいそうで」



 いやいや5年後って。流石にそんな先の話まで俺は面倒見きれないってば。



「孤児院に誰もいないなら良いことじゃん。不幸な孤児がいないならみんな幸せってことでしょ? マグエルの孤児院が最終的に目指すべきはそこでしょうよ」



 用済みになった建物は撤去してもいいし、誰かに貸したり売ったりしてもいいだろう。


 我が家みたいなボロ屋ですら誰かに必要とされることもあるんだ。建物があれば活用してくれる人はきっといるはずだ。



「ふふふ……、あはは、あははははははっ!」


「ム、ムーリっ!? ど、どうしたのっ?」 



 突然笑い出したムーリにびっくりする。



 って、なんで教会の孤児を引き取る計画をめっちゃまじめにしてたのに、当事者であるムーリが爆笑してるのさっ! 笑ってないでちゃんと話に参加してよぉっ!



「あははははっ! 何が、何が『一方的に助ける気は無い』ですかっ! 何が『俺は慈善家じゃない』ですかっ! 嘘つきっ! ダンさんは嘘つきすぎますよぉっ! あはははははっ!」



 腹を抱えて笑うムーリ。


 爆笑する度に巨大な山脈がぶるんぶるんとダイナミックな動きをされていて、大変素晴らしい光景ですね?



「……ご主人様、まーたそんなこと言ってたんですかぁ? 貴方はいっつも一方的に助けてるじゃないですか。いい加減自覚してくださいっ」



 ティムルが、は~やれやれ、みたいな仕草で呆れている。



「孤児院の件は恐らく問題ないでしょう。せっかくムーリもいますから、この後3人で大工のところに相談しに行きましょうか。1度目の受け入れはすぐに始まるそうですから建設も急ぐべきですよね」



 呆れながらもちゃんと話を進めてくれるティムル、有能すぎる。



 さて、それじゃお出かけする流れか。


 と言っても、ムーリがこの状態で出発するわけにはいかないね。



 仕方ないのでムーリの笑いが収まるまで、ぶるんぶるんと揺れるおっぱいの動きを網膜と脳裏にしっかりと焼き付けておこうじゃないかっ。

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