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【全年齢版】異世界イチャラブ冒険譚  作者: りっち
2章 強さを求めて3 孤児と修道女
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138 ぐりぐり

※R18シーンに該当する表現をカットしております。

 子供達の転職予定日は礼拝日の3日後の予定だ。


 礼拝日は昨日だったんだから、転職予定日は明後日ということになる。時間的な余裕はあまり無いな。



 先に魔物狩りを始めている4人は、もう村人の浸透は済んでいる。


 リオンとビリーも恐らく明後日には余裕で……、下手すると今日中に村人の浸透が終わるはずだ。


 当時育成していた時は気にしていなかったけど、村人って明らかに浸透するの早いよなぁ。



 リオンとビリーは初陣だけど、他の4人は既にスポットでの戦闘経験者だ。


 戦えない仲間をフォローするいい練習にもなるので、敵が10体までなら子供達だけで戦わせることにした。



 最初こそガチガチだったリオンとビリーも、2回、3回と戦闘を繰り返すうちに、自然に動けるようになってきたね。


 ダメージを受けても回復させてやれるし、装備のおかげで死ぬ心配もないのが分かってきたんだろう。



 最初の頃と比べてワンダやコテンも思い切りが良くなっているし、サウザーは全体を良く見て上手に連携しているようだ。

 

 そして初陣の2人を守るドレッドの安定感は素晴らしく、転職出来ればこの6人なら既にポイントフラッタ辺りでは戦えるかもしれないなぁ。


 流石にマーダーグリズリーはちょっと危ないか?



 リオンとビリーの動きにも硬さが無くなってきたので、相手取る魔物が4体を切ったら子供たちの傍を離れ、魔物を見つけて牽引していく。


 みんなまだまだ余裕がありそうなので、資金稼ぎを優先した、ちょっとだけスパルタ指導だ。



 複数の魔物相手にもみんな問題なく戦えていたけど、被弾が多くて回復魔法をかけてやる機会が増えた。


 戦士が3人になれば一気に安定するはずだし、今のうちにある程度被弾には慣れておいて欲しい。



 リオンとビリーの村人がLV10になる頃に、魔物狩りを切り上げてマグエルに帰還した。



「う、嘘だろっ!? たった……、たった半日で1400リーフも!?」


「凄い凄いっ! これなら確かに、1ヶ月6000リーフで装備を借りても、全然黒字になるよっ!」



 冒険者ギルドでドロップアイテムを売却した子供達は、歓喜の声をあげている。


 いや、普通に凄いな。俺がコイツらと初めて会った時って、1日500リーフも稼げてなかった気がするんだが。



「空魔玉の購入費用なんかもそこから捻出してくれよ? あとはリュックとか水筒とかな」



 ちなみにワンダ達もそれぞれ背嚢を準備してくれているけど、引率中は俺のインベントリを提供している。


 慣れないうちから楽させるのはあまり良くないと思うけれど、インベントリの有用性を知って欲しくもあるからね。



「サウザー、ビリー。パーティ資金の運用は大変だけど、頑張るんだよ」


「「うんっ」」



 大金を手にしたことで逆に表情を引き締めているサウザーとビリーが頼もしい。この様子なら変に調子に乗ったりする心配はないかな?



 換金が済んだら全員で我が家へ向かう。


 ムーリにはスペルディアから帰ったらうちに来るように言ってあるので、今日は教会に顔を出す意味がない。



 家に着いたら訓練を始める前に、また全員で軽食と休憩だ。


 庭の管理をしていた子供達は仲間たちの武勇伝を夢中で聞いているし、コットンは自分が売られなくて済む可能性が出てきたことに、少し希望を持ち始めているように見えた。


 まだ何が起こる分からないからコットンには税金を負担する話はしていないそうで、でも教会のほうで何とかなるかもしれないから自棄にならないでね、くらいに伝えてあるらしい。



 ワンダ達の収入も1日で1000リーフを超えてきている。そして転職すれば更に増える可能性は高い。


 何かが良い方向に向っている予感をコットンも感じているのだろう。以前よりも少し柔らかい雰囲気で花壇弄りを楽しんでいるようだ。



 そんな穏やかな雰囲気の休憩中に、我が家の愛しき妻達とも話をする。



「そう言えば修道士ギルドには事前予約が必要だって言われたんだ。他のギルドに予約は必要ないのかな?」


「戦士、旅人、商人ギルドでしたら予約は要らないはずです。少なくともマグエルでは、としか言えませんが」



 俺の疑問に、マグエルに詳しいティムルが答える。



「マグエルはスポットの間近ですからね、特に戦士ギルドなんて、24時間いつでも利用できるようになってますよー」



 そっか。これからスポットに入るためにと、村人からだけじゃなく別の職業から戦士になりたがる人もいるのか。



「そもそもギルドの転職ってどうやって職業を変えるのかな?」


「ああ、ダンは知らないのじゃったな。各種ギルドには転職用魔法陣があっての。その中に入ると魔方陣に対応した職業に転職が出来るのじゃ」



 へぇ。転職用魔法陣ねぇ。


 フラッタも何度も利用したんだもんなぁ。スラスラと説明してくれた。



「金貨3枚の料金は高いと思うかもしれないけど、実は転職用魔法陣を起動するのにも発光魔玉が使われているんだ。なので実際は赤字なんだよ? その差額は国で負担してるんだけどさ」



 リーチェの説明に少し驚いた。


 転職費用ってめちゃくちゃ高いと思ってたのに、逆に国から助成金まで出てるとは。



 しかも初回は無料なんだよな? 実は滅茶苦茶転職支援されてたってこと?



「私もギルドは利用したことが無いので、とても興味深いお話です。発光魔玉って、本当に私達の生活に根付いてたんですね」


「だねぇ。魔玉のことを教えてくれたフロイさんには感謝しておこう」



 感心しながらニーナとうんうんと頷きあう。


 指導依頼の最終日に、魔物の襲撃が終わってから魔玉に気づいたのは減点だけどね、フロイさん。



 休憩が終わって、まずは子供達に戦闘の個別指導を開始する。


 自分の使用武器の取り扱いをしっかりと復習して、教えてくれる先生たちと手合わせする。



 そして最後に6人全員で連携して俺との手合わせだ。


 俺は手加減に定評があるから、子供に怪我させることはないだろうという判断だ。



 うーん。1人1人ちゃんとした先生に教わってるし、スポットでの戦闘も経験してるからかなぁ。コイツら既に、マグエルに来たときの俺より強い気がするわ。


 ワンダ、コテンがイケイケで突っ込んでくるのを、サウザーとドレッドが良く見てフォローしている。リオンとビリーは1人で攻撃と防御が出来るので、遊撃としてちょいちょいと隙を窺っては切り込んでくる。



 うん。将来性を感じるパーティになってきたねぇ。






 なかなか帰ってこないムーリが少し心配になってきた頃、日没の前にちゃんとムーリは帰ってきてくれた。


 せっかくなので今日は子供たちも一緒に我が家で夕食を食べてもらって、ムーリに事の顛末を報告してもらった。



「昨日の夜明け前に教会兵の立ち入りがあって、逃亡準備していたガリアは逮捕されました。詐欺や姦淫など、ガリアの罪は非常に重く、ガリアは極刑となりました。年内に刑が執行される予定です」



 ああ、やっぱり極刑になっちゃったかぁ。ご愁傷様。


 ま、くっそ悪質だったから仕方ないね。勝手に死ねって感じ。



「14名のガリアの元妻たちはとても日常生活を送れる状態ではないという事で、教会で保護して異性とは隔離された環境で療養していく予定だそうです。ガリアに何をされていたのかは、詳しくは聞いていませんが……」



 詳しく聞いていなくても想像に難くない。


 だからか悔しそうな表情でムーリは俯いてしまった。



 んー。流石にこれは俺がどうこうできる問題じゃなかった。だから俺が責任を感じるのはお門違いのはずだ。勘違いはするな、俺。



「……ちょっと後味の悪い結果だけど、アイツから被害者を救出できたと思おう。あのエロジジイには極刑でも足りない気はするけどさぁ」


「全くですね。あの男が死んだからといって14名の女性達が救われるわけではありませんし。勿論生かしておく価値は無いので、極刑自体は必要なんですけど」



 おお、ムーリがガチギレしてる。


 ムーリ自身も当事者だし、前シスターも食い物にされてたんだもんな。心中穏やかではいられないか。



「1つ心配なのが、あの男のせいでスポットの東西南北に位置する4都市の教会が少し混乱しているということです」



 ああ、そう言えばガリアってスポットの周辺4都市の総括を任されていたんだっけ?


 孤児やシスターを食い物にしつつも、それを欺き続ける程度には仕事をしていたのかもしれないなぁ。



「もしかしたら年明けを待たずに、何人か孤児を受け入れることになるかもしれません。混乱という意味では、私達の教会が1番影響が小さかったのは間違いないですからね……」


「あ、孤児増えるの? なら更に稼げるようになりそうだね」



 ワンダ達が順調に稼ぎ始めているのを見て、最近は逆に子供の人手が足りないと感じていたんだよね。


 庭の管理を疎かにできないという理由で魔物狩りを始めたくても我慢している子もいるようだから、新たに子供が増えれば直ぐに魔物狩り志願者が出てくることだろう。



「いっそのこと、年明けで15歳になる孤児を全部引き受けちゃえば良いと思うよ。4都市だし、流石に10人は越えないでしょ? それなら多分、払えるし?」



 空魔玉を1000個買いつけたくらいだからな。それ全部光ったら5000万リーフだもん。余裕過ぎる。



 ここで引き受ける孤児が増えれば、その分他の教会の負担は減る。


 稼げるマグエルの教会が沢山の孤児の面倒を見れば、教会全体の負担も減るはずだ。



 ガリアなんてクソみたいな奴がのさばるのも、多分教会に余裕が無いからなんじゃないかな。



「ふふ。分かりましたっ。なるべく引き受けるように打診してみますねっ」



 数秒前まで引き締まった表情をしていたムーリが、弾んだ声と共に飛び切りの笑顔を見せてくれる。


 こんなに子供達の事を想っているのに、今まで納税の度に子供を見送ることしか出来なかったなんてなぁ……。



「ただ孤児を受け入れるとなると、マグエルの教会が少し手狭になるかもです。元々うちは、15人前後の孤児を引き受けることを想定した規模の教会ですからね」



 なるほど。建物的な意味で収納限界人数はあるかぁ。



「ならいっそ、教会の近くに宿舎みたいなの建てちゃう? 教会に寝具を追加すればいいだけなら俺が用意するけどさ」


「あ、あっさり言いますけどいいんですか? 建物が大きくなったら、その分限界まで送られてくると思いますよ? どこの教会もかなり余裕が無いはずなので」


「うちで一時的に預かって、スポットで戦う術を教えるのもいいかもしれないね。最終的な目標は、スポット周りの街の教会の経済的自立って感じで」



 なんとなくムーリと俺の認識が噛み合っていないような気がする。


 きっとムーリは孤児を受け入れる負担の事を心配していて、俺は孤児が増えることで新しく出来ることばかりに目を向けてしまっているからだろう。



 スポット自体は東西南北どこの都市からでも入れる。


 マグエルで訓練をした子供達の職業が2つくらい浸透すれば、恐らく1ヶ月で金貨10枚単位で稼げるようになるはず。納税なんて余裕過ぎるわ。


 自分たちで人頭税を稼げるようになれば、孤児からの奴隷落ちの流れを食い止められるようになる。孤児が増えることは負担どころかメリットにしか感じないね。



 ま、いずれにしても先の話だ。鬼が笑っちゃうか。






 夕食後は教会のみんなを送っていって、昨日の分までみんなの相手をしないとなっ。


 残念ながらムーリは教会の業務で忙しい為、今日はうちに泊まるわけにはいかないんだよなぁ。悲しい。



 昨日は入れなかったお風呂に入り、昨日持ち帰ったお酒をみんなに飲ませる。ただしリーチェ以外。


 リーチェが酔っ払うと勢い余って最後まで致しかねない。そう言うとリーチェも納得したのか、お酒を飲む気は無くなったようだ。


 リーチェって本当に、エロに忠実すぎるよね。



 お風呂でお酒を飲んで、ほろ酔いでいつも以上に甘えん坊になった3人をしっかり美味しくいただく。



 入浴後はほろ酔いのみんなを寝室に連れ込んで、昨日ムーリに試したゆっくりゆったりの愛し方を試して反応を見る。



 凄い。俺のことをほぼ無条件で受け入れてくれるニーナも、エロ参謀でありエロ教官でもあるティムルも、俺のことをいつも全力で愛してくれるフラッタも、あまりの気持ちよさに俺の腕から逃げようとするじゃないか。



 暴れるみんなの体を絶対に逃がさないために、強く抱きしめる。


 ニーナ大好きぃ! ティムル大好きぃ! フラッタ大好きぃ!



 もっともっと、俺の大好きな気持ちをみんなに届けるからねっ! わぁい!



「だ、ダンのお嫁さんになる日が、楽しみなような、怖いような、複雑な気持ちなんだけど……?」



 リーチェにはまだできないんだ。ごめんね。


 ああもうっ! リーチェの問題、早く解決しないとなぁっ。

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