121 呪いについて
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
脱力しきったリーチェを抱き上げ、すっかり遅くなってしまったけれど、ようやく寝室に向かう俺。
「随分とお楽しみだったみたいねぇ~?」
寝室に入るなり、エロ参謀ティムル閣下よりお叱りを受ける。
時間もかかったし、リーチェは汗だくでぐったりしてるし、隠せる要素がない。バレバレだ。
「うん。めちゃくちゃ楽しかった。みんなを放っておいてごめん。楽しすぎて止まれなかった」
隠せないなら素直に謝る。隠してもどうせバレるなら、ノーガード戦法だ。
俺っていっつもノーガード戦法しか取ってなくね?
自分のやった事は隠さず伝え、評価は相手に任せるのが我が家限定で家庭円満の秘訣だと思う。
「謝らないでいいのっ。ダンに私たちを抱く事を義務みたいに思って欲しくないんだからっ。ダンは気の向くままに、好きな女を抱けばいいんだよ?」
ニーナ。義務感でみんなを愛せるはずがないでしょ?
俺がみんなを求めるのは、みんなが大好きだからと、ちょっとみんながエロ過ぎるからだよ。
でも俺をどこまでも甘やかすニーナに、やっぱり少し申し訳ない。
「あはっ。申し訳ないって感じるなら、その分いっぱい相手をしてもらおうかなぁ?」
はいっ。喜んでどこまでもお供させていただきますっ!
今まで人間族は外れ種族だとばかり思っていたけど、女性の方が身体的に優れている方が色々とありがたいことが分かる。色々というか、エロエロとありがたい。
俺が激しく動こうが体重をかけようが、みんなは全然ビクともしなかった。
おかげで俺はみんなの体を余すところなく堪能することが出来たのだ。
20日振りのみんなの感触に俺の体は歓喜して、まるでみんなを愛するほどに元気になっていくみたいだった。
しばらくみんなを愛していると、いつの間にか辺りが明るくなってきたことに気付く。
どうやら夜が明けたようだ。ちょうどリーチェを愛したところだし、今晩はこれで終わりかな?
リーチェから体を離し、毎回頑張ってくれたリーチェの頭を撫でて労う。
「ダン、終わりにするの?」
「そうしようかと思ってる。ニーナの番の前で悪いんだけどね」
「もう、悪くないって言ったでしょ? でも起きるんだったら、何か忘れてないかなぁ?」
両手を突き出しいつものポーズをとるニーナ。
おはようのちゅーをする為に正面からニーナに抱きつく。
ニーナと正面から抱き合って愛し合えるのが凄く嬉しい。
どんな形でもみんなを愛することに幸せしか感じないけど、その中でもやっぱり正面から抱き合うのが1番幸せを感じるんだ。
ニーナから離れると、待ってましたとばかりにティムルに押し倒される。
最近のティムルはエロいんだけど、なんだかフラッタみたいな好意も感じられる。
俺のことが好きで好きで堪らない、そんな感情が最近のティムルからは伝わってくる。
そんな感情に熟練の技とエロい思考を乗せてくるので、最近のティムルはエロいやら可愛いやらで、大変なことになっている。
何が大変って、ティムルの事が大好きすぎて大変だ。
あんまり可愛すぎて、年上なのが分かってるのによしよしなでなでしてしまう。
俺も大好きだよティムル。大好きだからそんなに頑張らなくても大丈夫なんだよ? 滅茶苦茶気持ちよかったのは否定出来ないけど?
名残惜しそうに離れていくティムルと入れ替わってフラッタがやってくる。
フラッタは小さいので、このままキスするためには俺が少し体を起こしてやる必要がある。
近付いてきた俺の顔に、嬉しそうにキスをしてくるフラッタ。
今回のフラッタはティムルの真似がしたいらしい。
例えるなら技術の無いティムルみたいだ……、ってティムルがおかしいんだよ。技術のあるフラッタ状態だからな、今のティムルって。
最近のフラッタはよく他の人の真似をしたがる。
ニーナを見ては真似して、ティムルを見ては真似して、リーチェを見ては真似して、自分でも試したがる。
好奇心旺盛なのは大変素晴らしい事なんだけど、他のみんなと比べて小さすぎる体のせいで、少し空回り気味かな?
人の真似なんてしなくていいんだよ。お前そのままで世界一可愛いんだから、そのままでいいんだよ。
素直なフラッタがティムルとリーチェというエロの2大巨頭に影響されるのは、惜しいような楽しみなような、複雑すぎる想いを抱いてしまうよ。
「もう、毎日が、幸せすぎるの、じゃ……。大好き、大好きなのじゃぁ……」
息も絶え絶えになりながら、それでも大好きだと伝えてくれるフラッタ。
そうそう。素直なフラッタが1番破壊力あるんだからね。よしよしなでなで。
フラッタを離してリーチェと愛し合う。
後ろからマッサージをして、昨日とても頑張ってくれたリーチェを存分に労う。
リーチェは最後の一線を越えられないので、俺に対して出来る事を一生懸命探して尽くそうとしてくれる。
だけど探せば探すほど、最後の一線が越えられない自分に絶望している節がある。
エロス大魔神だけあって、常にエロいことを考えるのは構わないけど、悲壮な想いをしてエロいことして欲しいとは思わない。
大丈夫。お前の体はどこもかしこも最高にエロいから。俺、普通に楽しんでるから。
だからお前も、素直に楽しんでくれ。
全員とたっぷりおはようのちゅーを交わして、いつも通り1人で寝室を出る。
もうこれ、おはようのちゅーでもなんでもないよね? 気持ちいいから指摘しないけどぉ?
朝ごはんを作りながら今後の予定を思案する。
まずは冒険者ギルドで各地のアウターの情報を確認したい。特にルイン型アウターの情報が必要だ。
呪いなんて、遺跡から受けたとしか思えないからな。
ルイン型アウターはヴァルハールにもあるそうだけど、竜人族優遇のあの街に獣人のニーナの両親が潜っていたとは考えにくい。
だから竜王のカタコンベの優先度は低めだ。
……呪いなぁ。呪いだけ、なぁんかおかしいんだよなぁ。
呪いは状態異常って表示されているから、宝飾職人のレシピから呪い耐性を上げるアクセサリーを探したけれど、当然のように見つからない。
転移ボーナスAには確か全状態異常耐性みたいなスキルがあったけど、それなら防げるものなんだろうか?
それになぁ……。なんで遺伝するのかが本当に分からない。
ステータスプレート上で関わりのある、パーティや婚姻契約を結んだ相手ではなく、ステータスプレート上での関わりがない子供にだけ受け継がれるってのはいったいなんでなんだ?
今までは余裕が無くて上げてなかったけれど、呪いを解除するといったらイメージ的には教会とか神社の関係者、簡単に言えば宗教関係の職業のイメージが強い。
放置してた修道士や、あとは慈善家なんかも浸透させてみる価値はありそうかも。
好事家の存在が知られてなかったり、熱視の解放条件の理解度を考えると、この世界では常識的な考えでもシステム的には間違っている、そんなことが普通に存在するように思える。
ニーナのお父さんは15年間くらい世界中を探して回っていたらしいけど、答えは案外自分の近くに……、具体的に言えばまだ見ぬ職業にこそ隠されている気がする。
アウターを巡る旅を中止するつもりはないけど、修道士、慈善家、あとは回復魔法士あたりも次回浸透させてしまうべきだな。
あとは生産職も全て浸透させないと。
浸透。そう、呪いはなんていうか、職業と同じように魂に定着する存在に感じるんだよな。
もしかして、母親の胎内にいる事で呪いが子供に浸透してしまった? そう考えると、男親からの呪いは遺伝しない可能性も出てくる。
呪いが魂に浸透するものだと仮定すると、長期間パーティを組んでいる俺たちも微妙に危険に思える。
思えるけれど、ニーナの父親は少なくとも15年は呪われていない。
ニーナの解呪に15年もかける気はないから、そこは問題ないでしょ。
ステイルークでニーナと契約した時、ゴールさんは確かに言っていた。専用のスキルか、魔法薬でもなければ解呪は難しいと。
確かに、難しいと言った筈。不可能、ではなく難しいと。
だったらそこには何か根拠が、恐らく解呪された人が過去にいる、つまり前例があるんじゃないだろうか。
専用のスキルを探す為に回復魔法系、宗教系の職業の浸透を進め、魔法薬の作成を目指して生産職を上げていく。今後の浸透の方針はこんな感じでいいだろう。
そう。村人、商人、豪商と、たった3つの浸透を済ませれば辿り着ける紳商という職業のことすら知られていないんだ。
解呪スキル持ちの職業って、意外とすぐ見つかったりするんじゃないか?
聖騎士のスキル、聖属性付与魔法。
聖属性。
これが凄く怪しい。
今にして思うと、フレイムロードから助けてもらった時に放たれた、白い雷ホーリースパーク。そう、ホーリー。あれは聖属性攻撃魔法だったと考えるのが自然だろう。
呪いの解除には、聖属性が鍵を握っている気がしてならない。
……なんだろうなぁ。
鑑定と職業設定があるからこそ聖属性を探せるわけだけど、その俺に転移直後に聖属性魔法を見せつけて、呪われたニーナを目の前に用意する?
本当に、何の作為も無いことなのかねぇ?
ティムルの存在だって、俺にとってあまりにも都合が良すぎる相手だった。
おかげでこの家を借りることが出来たし、……そう、教会の人間とも仲良くなることが出来たんだ。
そしてそのティムル繋がりで、本来俺とは一切の接点を持たなかったであろうリーチェと縁を繋ぐことが出来た。そしてそのリーチェもまた、なんらかの事情を抱えている……。
流石に、みんなの人生が俺のせいだったなんてもう思わない。
俺のおかげで彼女達を助けることが出来たんだと思うことにしているけれど、あまりにもできすぎじゃないのか? とは、どうしても思ってしまうなぁ。
そんなことを考えながら朝食を並べていく。
ちょうど並べ終わる頃にみんなが下りてきたので、賑やかな朝食が始まった。
ニコニコと楽しそうに朝食を取る4人の姿に思わず頬が緩んでしまう。
うん、重要なことは結局これだけだ。
俺の異世界転移に何らかの作為があったとしても、みんなが笑顔ならそれだけで充分で、他の事はどうでもいい。
もし俺の異世界転移に意味があったとして、それがこの4人を救うためだったのだとしたら。
今度の礼拝日の手伝いも、真面目にやらざるを得ないよなぁ。




