119 バスロマン
※R18シーンに該当する表現をカットしております。
逸る気持ちを抑えつつ、5人揃ってまずは脱衣所へ。
元々は客室の1つだった脱衣所は、着替えの為の棚を設置しても広々としていて、10人くらい一緒に着替えしても余裕がありそうだ。
なお、お湯を準備した際に、浴室と脱衣所に設置してあるランタンには点灯済みだ。
「脱いだ衣装はこの籠にまとめておいてね。着替えもあるよね?」
ニーナは入浴自体が初体験だし、他のメンバーも他人と一緒に入浴した事はほぼない。なので説明と確認はしっかり行う。
本当なら1人1人自分の手でひん剥いてやりたいところだけど、今回のメインは入浴なので自重する。
「へぇ。服を脱ぐ部屋とお湯に浸かる部屋が別々なんだね?」
「うん。お湯って湯気が出ちゃうから、部屋を分けないと着替えが湿っちゃうんだよ」
興味津々な様子で脱衣所を見渡しているニーナ。
それに部屋を分けておかないと、浴室では盛大に水飛沫が上がっちゃいそうだしね?
「凄いわねぇ。複数人で一緒に入れる浴室なんて、貴族でもそうそう持ってないと思うわよ?」
「みんなと一緒に入りたくて作った浴室だからね、個人で楽しんでも仕方ないでしょ」
お風呂体験済みのティムルが、浴室の大きさに感心してくれている。
ふ、リーチェがまだ嫁になる前に、1人で入るのも悪くないとか思った俺のバーカ!
みんながいるのに1人で入ってどうするんだよぉっ!
「凄いのじゃー。みんなと一緒にお風呂に入れるなんて、凄く楽しみなのじゃっ」
「うんうん。俺もお風呂の話が出て以来、ずーっと楽しみにしてたんだ」
フラッタをよしよしなでなでしながら浸かる湯なんて、のぼせるまで長湯しちゃうよぉ。
「凄いねこれは。ぼくが世界樹の護りを盗られた宿の浴室より、間違いなく広いよ? あっと、今回はちゃんとインベントリに入れておくからね? 家の中でも何があるか分からないし」
「うん。そうしてくれると助かるよ。お風呂から上がってきた時に正気を保っていられるか自信ないしね」
盗難されるとは思わないけど、紛失はしてもおかしくない。お互いに記憶が曖昧になったりしそうだから。
最早見慣れてしまった3人の美しい体と、初めて見る姿のリーチェに目が眩む。
だけど既に11月。このまま裸でいたら風邪を引いてしまう。
種族的にみんなは病気にも強かったりするのかなぁ? 俺の事は好色家先生が守ってくださってるけど。
「みんな綺麗過ぎてこのままずっと見ていたいけど、今日のメインは入浴して疲れを取ることだからね。早速入ろうか。それじゃみんな、浴室にどうぞ」
俺が先頭になってみんなを浴室に招待する。
4隅の柱と4面の壁にそれぞれ1つずつ、8箇所の照明を設置してあるおかげで、窓もないわりにはまぁまぁの明るさだ。
「このまま直接お湯に入ると湯船が汚れちゃうからね。入る前に体を綺麗に洗ってね」
「あらぁ? ダンが洗ってくれないのぉ? 隅々まで余すところなく洗っていいのよぉ?」
エロ教官ティムルが魅力的過ぎる提案をしてくる。
けど今日の目的はお風呂の体験で、疲労の回復だ。初日から何でもかんでもやる必要はないんだっ。
「4人をそれぞれ洗うと時間かかっちゃうから、今日はやめておくよ。これからはいつでもお風呂に入れるわけだし、ね?」
「ふふ。今後に期待ってことね。じゃあ今日は大人しくしてるわ」
大人しく引き下がるエロ教官。
ちょっと惜しい気もするけど、多分これからは毎日入浴するだろう。
あ、焦らなくていいんだっ、俺!
この世界には石鹸はあるけど、シャンプーやボディソープはない。
この世界で売ってる石鹸を体や洗髪に用いていいのか俺には判断出来ないので、お湯で濡らしただけのタオルで体をゴシゴシする。
シャンプーや石鹸が欲しくなるけど、美容品を自作する知識なんて持ってるわけもないし。
あ、いや俺が知らないだけで、普通に美容系の商品も流通してたりするのか?
「ねぇねぇ。体を洗ったり髪を洗ったりする為の薬剤って売ってるかな?」
「売ってることは売ってるけど、超高級品ね。殆どの人は入浴なんてしないから、需要が無いの」
売ってるということだけでも朗報だ。
もしそれがスキルで作れる物であるならば、アイテム職人か調剤士で作れる可能性が大きいってことだからなぁっ!
「なるほどね。そういうのもおいおい揃えていくとして、今日はシンプルにお湯で流すだけにしておこうか。ニーナから1人ずつ来てくれる? 順番に頭を洗ってあげるね」
できることはお湯で雪ぐことだけなんだけどね。これも今後に期待だ。
「ふふ。ダンに頭を洗ってもらうの、とっても気持ちいいなぁ」
「あぁ~~……。これは肌に触れられるのとは違った気持ち良さがあるわねぇ……」
「くすぐったいけど気持ちいいのじゃっ。髪が長くてごめんなのじゃあ」
「はぁぁぁ……。こんなの、最高級宿でも体験出来ないよぅ……」
ニコニコと楽しそうに笑ってくれたり、はぁはぁとじれったそうに体をくねらせたり、みんながみんな違う反応を返してくれて楽しい。
大人組は反応がエロ過ぎて困る。もっと純粋に楽しんでください。
「よし、お待たせ。それじゃみんなでお湯を楽しもうか」
全員の頭を雪ぎ終わって、ここからは浴槽でのリラックスタイムだ。
お湯は適度に温めになっていて、長湯しても問題なさそう。
「あ、ごめんねダン。ちょっと待って」
と、リーチェから待ったがかかる。
俺を制止したリーチェは、先に浴槽内に座り込んで肩までお湯に使った。
なになに? 1番風呂に拘りでもあるの?
「今はぼくもダンも裸だから、万が一があると怖いからね。後ろから抱きしめてあげるから、ダン、ここに来て座ってくれるかな?」
そう言ってリーチェは俺を招く。
……でも俺はそれどころではない。
先に湯に浸かって俺を呼ぶリーチェの姿に、思わずごくりと生唾を飲み込んでしまう。
「あはーっ。でかしたわリーチェっ! この機を逃すわけにはいかないわねっ。さあダン。リーチェが待ってるしみんなも待ってるんだから、早く入って入って」
ティムルに急かされて、リーチェと背中越しに密着する。
その感触に反比例して固まる俺の両脇にティムルとフラッタが寄り添ってきて、むにゅっと体を密着させてくる。
最後にニーナが俺を椅子にして背中からもたれかかってきた。
「これは、確かに気持ちいいねぇ……。お湯に包まれて、全身の筋肉が解れていくみたいだよぅ」
ほうっと息を吐くニーナには悪いんだけど、みんなに包まれてるせいで俺は逆にリラックスできないんだよ?
「私、お風呂にもいい思い出がないのよねぇ。だからいっぱい、上書きして欲しいの……」
耳元で甘く囁くティムル。
「えっちなダンがやる気満々なのじゃ。今日もいっぱい可愛がって欲しいのじゃぁ」
これまた俺の耳元で甘く囁くフラッタ。
フラッタにこんなことを教えたのは、いったいどこのティムルなんだっ!
「ダンと裸で触れ合えて凄く嬉しいよ。まだ正面から抱き合うわけにはいかないけど、ぼくの体、沢山感じて欲しい……」
もう感じてるから。ド迫力のリーチェのエロい体、充分堪能してるから。
だからおっぱいを押し付けたりしなくてもいいんだってばっ。
「よし、ダンもやる気満々よっ。やっちゃえニーナちゃん!」
「うんっ、りょうかいだよっ。ダンは動かないでいいからねっ」
エロ教官からのゴーサインに、ニーナの攻撃が開始される。
思えばニーナとはもう半年も肌を合わせていたというのに、ワンパターンだったかもしれない。
これからはもっと様々な方法で、ニーナに愛を伝えるんだっ。
なのにそんな俺を、ティムルが優しく制止する。
「ダン、長湯ってあまり体に良くないんでしょ? ここではみんなに1度ずつで我慢してくれる? 続きはたっぷりベッドの上で、ね?」
俺を諭しながらも、ニーナと交代で俺を愛してくれるティムル。
なんか最近のティムルのエロにかける熱意は、俺を遥かに凌駕しているんじゃないかと思っちゃうんだけど?
ティムルの快感に酔いしれる俺に、よいしょ、と可愛く軽い重さが感じられる。
「おおお……。これは確かに、普段とは違う感覚なのじゃ……」
普段と違う体勢に思うように動けず、もどかしそうなフラッタ。
あんまり可愛いものだから、俺も少しだけ動いて、フラッタの動きをサポートする。
4人の美女と密着して、それぞれとエロい事を堪能しながら疲労回復効果もある。
お風呂文化って最高だ。そりゃ大昔から親しまれてきた文化なだけあるね。
これから毎日このお風呂が続くってマジ?
しかもティムルは色々仕掛けてくる気満々だし、これからのお風呂ライフには期待とロマンが溢れている。
さっさと上がってベッドで続きとしゃれ込みたいところだけれど、少しだけこのままみんなに包まれながら、最高の入浴体験の余韻に浸るのだった。




