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異世界でもプログラマは不足していた  作者: ベル
第一章 図書管理システム
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Step4. 魔力解放

「ここよー、ごゆっくりぃ♪いつまでも拗ねてないで、許してよ。ごめんね。(てへぺろ)」

 

 ジェシカは、ウインクしながら横ピースをして部屋に案内してくれた。少しイラッとしたが、気にしたら負けだ。


「これが部屋の鍵でもあり、社員証だよー。登録するから、ここに魔力を流してね」


 ジェシカは、社員証の青い部分を、指さしながら教えてくれた。


「……魔力、出し方分からないです。どうしたらいいでしょう?」


 正直に聞くことにした。これが大人の嗜みというものだ。


「ぷっ。たまに田舎者にいるのよねー。ちょっと待っててね」

軽く失笑されたが、どうにかなるらしい。


「これ飲んで、魔力が出せるようなるわ。大人でも飲んでない人いるのよね」


 そんなことで、簡単に魔力を出せるようになるのかと驚いた。対応してくれたジェシカに感謝しかない。


「ありがとう、助かったよ」


 ジェシカが、ビンを差し出してきたので受け取る。パッケージを見てみるとRed Blue(レッドブル―)……大丈夫かこれ? 翼を授けるとこから、訴えかねられない商品名だ。にしても赤なのか青なのかはっきりして欲しい。中身の色は紫色だ。


 見ていても仕方ないので、飲むことにした。味は炭酸の抜けたファ○タグレープだった。美味しい。


「どう?全身に力が(みなぎ)ってきた?」

 ジェシカが、両腕を胸のあたりでがんばれのポーズをして聞いてきた。


「そう言えば……なんだか……」

「嘘よ。そんな効果はないわ」


 ジェシカに手を出さなかったことは、称賛に値すると思う。見事にプラシーボ効果に騙された。ここで怒る訳にはいかない。まだ魔力の出し方が分からない。ぐっと堪える。


「それで、どうやって魔力を出したら?」

しれっと流した上で、横目で問いかける。


「お腹で呼吸して、指先に魔力でろ~って意識するの♪」

ジェシカも流して教えてくれた。


「そんな簡単に……? 出来た……」

 やってみると、指先に軽く熱が出るのを感じる。そのまま社員証に指を置く。


「これで登録完了ねー。部屋に入る時は、ドアノブにかざしたら入れるわよ。あとこれで買い物とか出来るから、それで生活は乗り切ってね。使った分は給料から引いておくわ。逃げたら地の果てまで追いかけるから、覚悟しておいてね!」


 前半は笑顔で、後半は恐喝された。


「わ、わかってるよ。逃げたりしないよ。色々とありがとう。本当に助かりました」


「どういたしまして、それじゃぁね~」

 ジェシカは笑顔で去っていった。


「やったぁぁああああああ」


 真の意味で、魔法使いになったんだ。内心めちゃめちゃ嬉しい。これぞ異世界って感じがする。人の前では言えない気持ちをようやく出せた。


 十分に感激に浸ったあと、部屋に入ってみる。部屋の広さは、四畳くらいの一部屋でベッドとタンスが1つずつあるだけだった。こんなもんか、寝るだけの部屋って感じだな。


 後日談だが、地球(テラ)では魔力が発動しなかった。機会があれば、理由を調べてみようと思う。

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