Step3. 現場案内
採用が決まると、職場に案内された。
「えーと、沢渡君の机はここね、後はジン君から教わってねー」
人事のジェシカ(もう呼び捨てでいいわ)は、言いたいことだけ伝えて去っていった。
「よろしくお願いします」
ジン先輩に挨拶をした。年齢は分からないが、ドワーフ族っぽい。
「よろしくな」
こちらを見ずに、野太い声で返事だけがあった。そして、本をどさっと渡された。
「これ見て勉強しとけ。魔導演算装置はそこにある。分からないことがあったら何でも聞け……」
初心者には、分からないことが、分からないから聞けないんだっつーのと思いつつもシステム開発にはよくあることで、慣れてしまっていた。
動揺することなく、本を手に取り読んでいく。
当たり前だが、魔法システムは、魔法の仕組みを利用して動作するらしい。ということは、魔法の仕組みを知るのが良さそうだ。
マナを操作するための原素の命令があり、これを組み合わせて作ったものが魔法陣で、それを魔力で再現すると、発動するとのこと。今度、練習してみようと思う。
原素の命令は、非常に難解で、辞書を引きながら1つ1つ書き起こすしかなく、非効率かつ投げる人が多かった。
そこで生まれたのが、精霊語というものらしい。ただ、これでも難解だったため、さらに分かりやすいものを作ったらしい。
例えば、ドワーフ族の作ったD言語、速度に定評があるが難しい。エルフ族の作ったE言語、汎用性が高く作りやすいが速度が出ない。
理解に間違いがないか、ジン先輩に確認を取ると目を丸くして驚かれた。あっているようで一安心だ。
「今日はもう帰っていいぞ」
ジン先輩に言って頂いたので、帰って休もう。
といっても住み込みなので、気乗りはしないが、ジェシカに宿泊場所を聞きに行く。