年下俺様婚約者の外交
兄上は憧れ
今日は隣国からブルーノ・ツー・ヴァルデック=ピルモント王太子殿下が外遊にきてくださっています。ブルーノ王太子殿下は昔から度々この国に訪れてくださっていて、リオ様にとって頼りになるお兄様のような存在でいらっしゃいます。
「ブルーノ殿下。この度は我が国に訪れてくださりありがとうございます」
「リオ、公式な場ではないのにそんなに硬くなる必要はないよ」
「はい、ブルーノ兄上」
「ふふ、そうそう。そのくらい力を抜いているくらいでちょうどいいんだよ」
ブルーノ殿下は砕けた口調でリオ様の緊張をほぐしてくださいました。リオ様は緊張から解放されるとブルーノ殿下を兄上とお呼びします。昔から非常に仲が良く、見ているだけでとても癒されます。
「アンナとは仲良く出来ている?」
「はい!もちろんです!ブルーノ兄上!」
「リオ様とはすっかりラブラブですわ」
「そうか、それはよかった」
うんうん、と頷くブルーノ殿下。その優しいお人柄で国内外でとても人気がある方なのです。
「女性一人守れないようでは国を守るなんて到底無理だからね。これからも頑張るんだよ」
「はい!ブルーノ兄上!」
そして、こうして度々王としての心構えをリオ様に教えてくださいます。ブルーノ殿下の前ではリオ様も俺様キャラを捨て去り、素直にブルーノ殿下のお言葉を聞き入れられます。
「しかし、王族というのも難儀なものだよねぇ」
「ええ。こうして仲良く話をしているだけでも外交になってしまいますから」
「僕とリオの間ではありえないけれど、もし喧嘩なんてした日には戦争に発展しかねないしね」
「そういったことが起こらないように日々努めるのが俺達王族の仕事ですからね」
「私もリオ様の妃としてしっかり励んでいきますわ」
「二人ともしばらく会えないうちに立派になったね」
僕は嬉しいよ、とブルーノ殿下はにこにこしていらっしゃいます。ブルーノ殿下に褒められてリオ様はとても嬉しそうに微笑みます。ああ、ブルーノ殿下の前でなければ頭を撫でて差し上げられるのに!残念ですわ!
「じゃあ、僕はちょっと街の様子を見させてもらおうかな」
「はい。案内します、ブルーノ兄上」
張り切ってブルーノ殿下を案内するリオ様。やっぱりリオ様はとても可愛らしいです。
そんなこんなで日々は過ぎ、ブルーノ殿下が帰る日になってしまいました。
「じゃあ、帰るよ。アンナ、リオをよろしくね」
「はい、ブルーノ殿下」
「…ブルーノ兄上、どうか息災で」
「ありがとう、リオ。リオも息災に過ごすんだよ」
馬車に乗り、帰ってしまうブルーノ殿下。リオ様は俯いてしまいます。よく見ると、目の端に涙が。そっとハンカチをお渡しします。
「正直、いつも…ブルーノ兄上と別れるのは寂しい」
「はい」
「だが、俺の側にはいつもアンがいてくれる!我が愛しの婚約者!これからも側で俺を支えてくれ」
「もちろんですわ、リオ様!」
寂しげな表情のリオ様をハグする。大好きなリオ様。これからもずっとずっとお側でリオ様を支えてみせますわ。
いつも仲良し