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年下俺様婚約者とデート

城下町でお忍びデート

「アン!これからデートに行くぞ!」


「はい、リオ様」


突然リオ様にお声を掛けられました。どうやらこの間約束した埋め合わせをするためのようです。あんな小さな約束のためにお忙しい中合間を縫って時間を作ってくださるなんて、なんて誠実なお方なのでしょう。


「とりあえずこれに着替えてくれ。平民風の服装だ。」


「平民風の服装…ですか?」


ということは多分城下町でのお忍びデートということでしょうか。もちろんリオ様とのデートならどこでも嬉しいですが、城下町デートは特に楽しみです!胸が踊ります!


「今日はお前が行きたがっていた城下町でお忍びデートをしようと思う。どうだ、嬉しいだろう!」


「はい!とっても!さすがリオ様ですわ!」


どうだ!と言いながらも自信無さげなリオ様をなでなでしつつ褒め称えると大輪の花が咲いたように笑うリオ様。とっても素敵ですわ。


「ほら、早く着替えて来い」


「はい、リオ様。ちょっとだけお待ちになってくださいね」


こうして私達のお忍びデートは始まりました。


「いらっしゃーい!安いよ安いよー!」


「ままー、これかってー!」


「ほら、あんた!おまけだよ!受け取りな!」


「お!サンキューなおばちゃん!」


「ここだけのオリジナルの装飾品だよー!安いよー!買った買った!」


「まあ、城下町はこんなに活気に溢れているのですね!」


「俺の国の城下町だからな!当然だ!」


胸を張るリオ様の頬にキスをすると、顔を赤くして黙り込んでしまう。俺の国とか不用意なことを言うと周りにばれてしまいますもの。このくらいは許してくださいませ。


「リオ様、あちらで装飾品が売られているようですわ」


「そ、そうか!よし、俺の愛しの婚約者に何かアクセサリーを買ってやろう!」


そう言って連れて行ってもらったのは装飾品店。といっても庶民向けのアクセサリーばかりなので安いものばかりです。ですが安いなりにとても素敵な物ばかりだと思います。


「アン、どれがいい?」


「リオ様が選んでくださったものがいいですわ」


「…そうだな、じゃあこれを」


リオ様が選んでくださったのはシルバーのブレスレット。とても可愛いらしいデザインのものでした。


「指輪はすでに贈っているしな。デザインが可愛らしいから、部屋にでも飾っておくといい」


私達貴族が身に付けるには安すぎるアクセサリーばかりですから、せめて部屋の片隅に置いておけるデザインのものを選んでくださったようです。


「リオ様、嬉しいですわ。ありがとうございます」


「ふっ、当然だ!」


「おーおー、なんか知らんがお熱いねぇお二人さん!おまけに坊ちゃんにもこれをあげよう!」


そうして店主さんが渡してくださったのは私とお揃いのブレスレットでした。


「ああ、すまんな。ありがとう」


「おう!また来てくれよ!」


また来てくれよ、という言葉には返事は返さず、手を振って別れを告げました。出来ない約束はしない、誠実なリオ様がとても可愛らしくて、人目があるというのについハグをしてしまいました。リオ様は固まってしまっています。そんな私達をみんな優しく見守ってくださいます。


「そうだ!何か買い食いでもしてみるか!」


「まあ!いいですわね。そういうのは平民の特権ですもの」


貴族はその生活は保証される代わりに、色んなしきたりに雁字搦めにされるもの。平民のふりをしている時くらいは自由になりたいものなのです。


「おばさん、メンチカツ二個ちょうだい」


「はい、まいどあり!見ない顔だけど最近引っ越してきたのかい?おまけにもう二個つけてあげるからね」


「嬉しいです、ありがとうございます」


「おやまあ、随分礼儀正しい子だね。さらにサービスで飴ちゃんもあげよう」


「ありがとうな、嬉しいぞ」


そうして生まれて初めて買い食いというのをしてみました。


「冷たくない暖かい出来立てのお料理!最高ですわ!」


「…これは癖になりそうだな」


「ええ、本当に!」


その後もいちゃいちゃしつつお忍びデートを楽しみ、気付けばもう夕暮れでした。


「こんな時間まで付き合わせて悪かったな」


「こちらこそお付き合いくださりありがとうございました」


「今日はもう帰ろう。馬車で送っていこう」


「あら、じゃあこの服もどこかで着替えなくてはいけませんね」


「…すまない、そこまで考えてなかった。目は瞑るから馬車の中ででもいいか?」


「ふふ。はい、大丈夫ですわ。それにリオ様になら見られても構いませんわ」


「そ、そうか」


お顔が真っ赤なリオ様はとても可愛いらしいです。今日は何度も真っ赤なお顔のリオ様を拝見出来てとっても満足ですわ。それに城下町の賑わいも見られましたし、最高でした。


「またいつかデートしましょうね、リオ様」


「今回のようにお忍びデートとはいかないかもしれないが、それで良ければまた連れてきてやる」


またリオ様と小さな約束をして、今日のデートはおしまいです。楽しかったので、またリオ様とデート出来る日が楽しみです。

城下町は今日も元気です

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