37話『クリスマス』
クリスマス。
あいりと一緒に過ごすことにした。ゲームには今日は参加せず2人でデートをする⋯⋯予定だった。でも今日はあいにくの雪。これが少しの雪ならホワイトクリスマスだぁ〜と思いながらデートができたかもしれないが残念ながら吹雪だ。
という訳で今日はあいりの家に行き、そちらの家族と少し過ごした後俺の家に移動して一緒に過ごすことにした。
「お邪魔します」
「いらっしゃい、蓮くん」
「麗花さん、お邪魔します」
「いいのよ、遠慮しなくて、蓮くんなら歓迎よ」
麗花さんと話してるうちにあいりがリビングからやってくる。
「ごめんね、ちょっと手が離せなくて⋯⋯」
「いいよ、何か作ってたの?」
「うん、シチューをね。寒いしちょうどいいかなって」
「確かに」
「あと少しで終わるから待ってて」
リビングまでそんな話をしながら進み、リビングに入る。今日は家族みんないるらしくリビングで寛いでいた。
「お、蓮くんいらっしゃい」
「お邪魔します」
「「お兄ちゃんだー!」」
真奈ちゃんと透君が俺に気づいて駆け寄ってきた。
たまに遊んであげているのでこの2人とも仲はいい。
剛さんがソファから首だけこっち向け挨拶をしてきた。
「今日はこっちでしばらく過ごして蓮くんの家に行ってくるから、夕飯は向こうで食べるから」
「あら?お泊まり?」
「なんだと!?」
「ち、違うから!」
麗花さんのぶっ込みにより剛さんが反応し、あいりは顔を真っ赤にしながら反対している。
さすがに俺もそれには苦笑いを返すしかない。
あいりとそういったことをしたい気持ちはある。でもお互い初めてだし、そういう雰囲気になることも無いので今まで意識していなかった。
あいりの家も俺の家もイチャイチャするには厳しい環境だから尚更だ。
昼まで真奈ちゃん透君とゲームで遊んで途中剛さんも混ざってきて一緒に楽しんでいた。
お昼はシチューにパンだった。パンをシチューにつけて食べるのがおいしい。
昼食が終わればあいりはその片付け。俺は下の子たちと遊んであいりが片付けなどを終わるのを待つ。
あいりが終わったので俺とあいりは今度は俺の家に行く。
今日うちの親は仕事だ。夜までは帰ってこない。だからお昼過ぎ俺の家は俺とあいりの二人きり。さっき麗花さんに言われたけど俺は少し期待している。あいりといい雰囲気になってクリスマスを過ごしてみたい。
「雪、だいぶ良くなってきたね」
「うん、でも積もってきてるし、これは雪かきが大変だな」
「そうだね、冬休みだし良かったよ」
あいりと雪道の中そんな会話をしながら歩いていく。
俺の家に着く頃には靴はもう雪が染み込んできてびしょびしょだった。
急いでリビングに行きこたつをつけて、脱衣所でタオルを持って玄関まで戻ってくる。
足を拭き、リビングに行ってこたつに入る。
「う〜寒いよぉ〜」
「もう少ししたら暖まるはずだよ」
「あ、いいこと思いついた」
あいりがこたつを出て俺の方に来る。俺の脇に手を入れて少し後ろに下げてからあいりは俺の前に背中を向けて座ってこたつに入った。
「ちょっ!あいり!?」
「こ、これなら暖かいでしょ!」
あいりが俺の前に来たことであいりはこたつと俺に挟まれて暖かいだろう。でも俺は暖かいのと寒いのが一緒くたに来ている。
前はあいりの背中によって暖かいが背中は何も無いので寒い。
でもそんなことよりあいりがこんな近くにいたことは無いのでやばい。主に俺の理性が⋯⋯。
まずあいりの体が柔らかくそれによって理性が揺さぶられ、さらに俺の前に座ってるあいりからいい匂いがしてくるのだ。女の子特有の同じシャンプーを使ってても絶対に違うだろっていう匂いが。
「んふふ〜ふふ〜ん」
あいりは機嫌がいいのか鼻歌まで歌い始めた。俺が1人で理性と戦ってるというのにあいりはそんなこと知ってから知らずか呑気なものだ。
あいりにも同じ気分を味わって欲しいので1度自分に気合を入れてあいりにそのまま抱きつく。首から出すあすなろ抱きというやつだ。
「え!?れ、蓮くん!?どうしたの?」
あいりはビクッとしてそのまま聞いてくる。
「いや、あいりだけのほほーんとしてるから意地悪したくなった⋯⋯」
「そ、そうなんだ、で、でもね蓮くんこれ⋯⋯意地悪じゃないよ、私は嬉しいよ?」
耳を真っ赤にしてあいりは言ってくる。恋人同士がやれば意地悪と言うより幸せな事になるだろう。
「これ幸せな気分になる⋯⋯」
「そうだな⋯⋯」
あいりが顔を横に目を閉じる。
俺はそれに近づき口付けをする。




