29話『風邪と看病』
風邪を引いて学校を休むことになった。
母さんは朝に薬やご飯の準備をしてくれてそのまま仕事に出ていった。
ご飯と薬を飲んで、まだだるいので部屋に戻って寝ることにする。
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「ねぇ、蓮君、私、好きな人が出来たの、別れてくれない?」
待ってよ!なんでそんなこと言うんだよ
「うーん、ごめんね、やっぱり蓮君じゃない気がするんだ」
一緒にいたいって言ってくれたじゃないか⋯⋯
「うん、言ったね、でもその時はそうだっただけだよ⋯⋯今は別にそんなこと思ってないから」
嘘だ!嘘だ!嘘だ!
「蓮君⋯⋯いや相葉君ごめんね、さようなら」
あいり!待ってくれぇぇぇ!!!
「うわぁぁぁ!!」
天井に手を伸ばして目を覚ます。
今のは夢?
身体中から汗が流れ、息も荒れている。
悪夢を見た。体調が悪い時は悪いことばっかり考えて、悪夢を見ることがあるっていう。
さっきまで見てたのがそうだろう。
怖い⋯⋯あんなにリアルに見せられた夢、一瞬現実だと思ってしまった。いや、目が覚めるまでは現実だと思ってた。
─────ピンポーン
インターホンが鳴る。出ない訳にもいかずドアを開ける。
「あ、大丈夫?」
ドアの前にいたのはあいりだった。
「な、なんで⋯⋯」
「ごめんね、心配で来ちゃった⋯⋯」
「どうしてうちの場所が?」
「先生に聞いたの、午前中で早退してお見舞いに来たの」
「そう、なんだ、上がって」
あいりを家にあげる。そしてリビングに案内する。
「その様子だとご飯まだ食べてないよね?今から作るね」
そう言って帰りに買ってきたであろう買い物袋をもってキッチンに行く。
俺も手伝うべきだろうけど体が重くて何も出来そうない。
「部屋で寝てていいよ、ご飯作ったら呼びに行くから⋯⋯部屋どこ?」
「手前から2つ目」
「わかった、じゃああとは任せて」
あいりがキッチンで材料を切り出したのを見て自分の部屋に行く。
布団に入って休むことにした。
それからしばらくしてあいりがドアをノックして入ってきた。寝ているのか蓮君はそれには気づいていない。あいりもせっかく寝たばっかりなのに起こすのはまずいと思い、蓮君の近くに座って蓮君の寝顔を眺める。
しばらく見ていると蓮君の顔色が悪くなってきて額には汗がで始めている。嫌な夢でも見ているのだろう。うなされている蓮君に少しでも良くなれと蓮君の手を握ってあげる。
伝わったのか蓮君の様子が落ち着いてきた。そして目を開ける。
蓮君はまだぼーっとしていたが次第にはっきりしてきたのか、私が手を握っているのを知ると慌てだした。
「蓮君、嫌な夢でも見たの?うなされてたから手を握っちゃった」
「そうだったんだ、ありがとう」
「ご飯できてるけど食べる?」
「うん、食べるよ」
「わかった先に温めてるからゆっくり来てね」
あいりが出て行き俺も体を起こしてリビングに向かう。
リビングに行けばあいりの分のご飯と俺の分のご飯が準備されていた。
俺は雑炊らしく今温め直してるみたいだ。
あいりもまだ食べないでずっと着いていてくれたみたいだ。
椅子に座って待っていると雑炊が運ばれてきた。
「いただきます」
「いただきます」
あいりはサラダとサンドイッチ。俺にはネギと卵の雑炊みたいだ。塩味でさっぱりしていてご飯も進む。
ご飯を食べ終わり布団に戻る。あいりは片付けをしてくれている。わざわざ早退までして看病に来てくれて凄い嬉しい。でも申し訳ないという気持ちもある。
あいりはお湯とタオルを持ってきて部屋に入ってきた。
「汗拭こうか、結構汗かいたんじゃない?」
「うん、嫌な夢見て沢山汗出たからちょうど替えたかった」
「ならよかった、はいじゃあ上脱いで」
「え!?自分で拭けるよ?」
「背中とか届かないでしょ、病人は大人しく看病されてな」
仕方なく上を全部脱ぐ。背中側はあいりが全部拭いてくれた。
前は恥ずかしかったから自分で拭いた。
そしてあいりに少し出てもらって新しい寝巻きに着替える。
あいりはまた部屋に来てタオルなどを回収して洗いに行き、そのあとまた戻ってくる。
「あいり、もう大丈夫だから⋯⋯ここにいると風邪移っちゃうよ」
「大丈夫、なんなら移してくれてもいいよ、その方が早く治るって言うじゃん」
「もう、一回寝るから、これ鍵、もう大丈夫だからかけて帰ってくれる?」
「仕方ないなー、わかったよ、お大事に」
あいりが部屋を出て行ったのを確認して俺は眠りの世界に旅立って行った。
一方あいりはそのままキッチンに立ち夕飯の準備をする。
「ああは言ったけどせめてこれくらいはさせてよね、早く良くなって欲しいからさ⋯⋯」
そのまま夕飯の準備を進める。
ネギと生姜と鶏肉を使ったお粥を作った。温めても食べられるのでこれで大丈夫だろう。蓮君のお母さん用におかずを用意して私は蓮君の家を出る。しっかりと鍵を使い戸締りをして家に帰る。
まだ3時で今帰っても誰もいないしやることも無い。久しぶりにゆっくりとゲームをして過ごそうかな。
そう思いながら家に帰る。
夜。
俺は母さんが帰ってくるまで寝入ってたらしい。
リビングに行くと母さんがご飯の準備をしていた。
「おかえり」
「ただいま、蓮、もしかして彼女来た?」
「うん、お昼頃から来てくれてた⋯⋯」
「そうなのね、いい子なのね、蓮と私のご飯の準備までしてある」
「え?そうなの?」
「ええ、蓮にはお粥を、私にはおかずが作られているわよ、気が利いてていい子だね、温めるから椅子に座って待ってて」
そしてお粥がでてきた。夜だから肉も入ってて栄養とか考えられてる食事だった。
「なにこれ美味しい!料理の腕がいいとは聞いていたけどここまで美味しいのね、蓮が羨ましいわ」
母さんも絶賛だった。




