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天空の城を貰ったので異世界で楽しく遊びたい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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出会い

 見たことの無い形状のゴーレムにディツェンは目を見張った。直立するゴーレムの周りをぐるぐると周り、観察する。


「お、おお……! 細く滑らかな体のゴーレム! こんなゴーレムは見たことが無い! 素材も不思議だ!」


 ディツェンが興奮してそう言うと、ヤヌアルが腕を組んで唸った。


「しかし、細過ぎないか? それに背も少し小さい。もっと岩を削り出して作ったストーンゴーレムのようなモノの方が強そうだぞ」


「武器も持ってないですね。でも、私が最初に作ったゴーレムに似ている気がして、ちょっと愛着が湧いてきますわ」


 ユーリはそんなことを言ってゴーレムを間近で見上げる。


 と、そのゴーレムが手を出し、ユーリの肩に触れた。


「むっ!? ユーリ、離れるのだ!」


 ヤヌアルが慌てて声を上げるが、当のヤヌアル本人もすでにゴーレムに抱え上げられている。


 脇の下から腕を入れられて後ろから抱き締められるようにして抱えられたヤヌアルに、ディツェンが鋭い目を向けて叫ぶ。


「ず、狡いぞ! どうやってゴーレムに捕まったんだ!?」


「知らんわ! 気付いたら後ろを取られていたのだ!」


 と、そんなやり取りをしている内に、ディツェンの背後にもゴーレムが立つ。


 すると、ディツェンは両手を広げてゴーレムに横顔を向けた。


「さぁ、私も抱え上げてくれ! 抵抗はしない! お、おお! なんと繊細な動きだろう! 優しく、確かな包容力……!」


「変態みたいだぞ、ディツェン」


 ゴーレムに抱えられて喜ぶディツェンにヤヌアルが冷めた目を向ける。


 そんな中、ユーリはまだゴーレムに抱えられていなかった。ユーリの前で背を向けて跪くゴーレムに、ディツェンとヤヌアルが首を傾げる。


「まぁ、背に乗せてくれるのですね? それでは、失礼致します」


 ユーリはニコニコと笑いながらゴーレムの背に乗り、首に両手を回した。


 ゴーレムはそれを確認すると、両手を椅子がわりにするように自らの背中に回す。一人だけ背負われる形となったユーリを半眼で眺め、ヤヌアルが口を尖らせた。


「おい、随分と扱いが違わないか!? 抗議するぞ!」


「ふふふ。婦女子は優しく扱うのが常ですわ、ヤヌアル兄様」


「私はゴーレムに抱かれるという稀少な体験は嬉しいけども」


「黙れ、変態」


 賑やかな三人が各々マイペースに意見を発していると、ふわりと、ゴーレムの足が地から離れた。


「お、おお! 浮いた!」


「くっ! 羽も無いのに何故飛ぶのか……分からない……!」


「まぁ、これは気持ちが良いですね」


 そうして、三人は空へと舞い上がっていった。






 その高度が雲と同等の高さにも差し掛かる頃、延々とゴーレムの飛行を分析していたディツェンがハッと顔を上げた。


「く、雲の中を見ろ!」


「な、何だ、急に……僕はもう気絶しそうなんだぞ。なんだ、この高さは……む!?」


「あら? あんな所に木が……なんと背の高い木なのでしょう。雲を突き抜けるなんて」


「違う! あれは、雲の中から生えているのだ! あの雲の中に何かがある!」


 ディツェンがそう叫ぶと、まるでそれを合図にしたかのように雲が横に流れて、島はその一部を露出させた。


 島の北部である庭園の一部と、東部である白い家々が並ぶ光景が目の前に広がり、三人は揃って目を丸くする。


「く、雲の中に、島が……!」


「あの見事な庭園……それに住居の数……これは中規模以上の町ほどの人口は必要だな!」


「まぁ、美しい庭園ですね。それに、白い家の可愛らしいこと……」


 三者三様の驚き方をしながら雲に隠れていく島に近づいていくディツェン達は、霧状になった雲を突き抜けて島の全容を目の前にした。


 庭園と白い住居群の他に、雲の上に頭を出していた巨木、更に丘の上に聳え立つ見事な城。


 その全てを見たディツェンは、白目を剥いて気を失った。


「な、なんと……我が皇都の皇城にも匹敵する見事な城ではないか……」


「嫌ですわ、ヤヌアル兄様。大きさは皇城の方が大きくても、あのお城の方がどう見ても豪華です。ねぇ、ディツェン様? あら? ディツェン様の目が真っ白に……」


「な、何!? おい、ディツェン! あの城の主に会う前に死ぬ気か!?」


「まぁ、ディツェン様が今度こそお逝きに……」


 ぎゃあぎゃあと騒がしい声をあげながら、三人を連れたゴーレムは城の前に降り立った。


 地面に寝かされたディツェンと、その横に片膝をついて声をかけるヤヌアル。そして、心配そうにディツェンを見るユーリ。


 その三人に、城の前で待っていたタイキとエイラ、メーアの三人は顔を見合わせて口を開いた。


「……し、死に掛かってる?」


「タイキ様……もしやゴーレムの力の調整をお間違えに……」


 こうして、フリーダー皇国の人間との初めての出会いは混沌に満ちたものとなったのだった。

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