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天空の城を貰ったので異世界で楽しく遊びたい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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最強のドローン

申し訳ありません。少し短いです。

 突如として風が吹き荒れ、馬車を引く馬が驚きと共に嘶いた。


 砂を巻き上げながら空に一直線に伸びる細い竜巻は、胡座をかいて空に浮かぶ術師のすぐ目の前で激しい風と音を発生させている。


 その凄まじい風を眺め、術師は眉根を寄せて唸った。


「……や、やり過ぎたかな」


 術師がそんなことを呟きながら竜巻が勢いを失っていく様を眺めていると、薄っすらと風の柱の中から黒い影が姿を見せた。


 現れた黒い物体は、先ほどと変わらない姿だった。


 同じ場所に浮いているばかりか、傷一つないドローンに術師は目を見開く。


「え、どゆこと?」


 術師が呆然と呟く中、ドローンはゆっくりとその場で回転し、徐々に上昇し始めた。


 それを見て、術師はまた口を開く。


「……何アレ」


 追い掛ける気にもならなかったのか、術師が唯々ポカンとしていると、地上にいた兵達が声を上げた。


「術師殿! こちらからも攻撃致します! 離れて!」


「へ?」


 生返事を返しながら下に目を向ける術師の横を矢が飛んでいく。風を切る鋭い音を間近で聞き、術師は驚いて背中を反らした。


 矢は吸い込まれるようにドローンに向かっていったが、ドローンに当たる寸前で弾かれる。


 ドローンの周りに丸く白い波紋が広がり、球状の何かに守られていると知れた。


「射て! 術矢でも構わん!」


 ドローンの周りに浮かんだ白い波紋が消えていくのを呆気に取られて見ていた術師の耳に、兵士達の次の攻撃の声が飛び込んできた。


「ま、待った! ちょっと待って!」


 術師の制止も間に合わず、火や氷、風が矢じりに巻き付いた矢が何本も射られる。


 矢はどれも恐ろしいほどの精度でドローンに向かい、当たる直前で様々な効果を発揮した。


 炎が燃え上がり、風が吹き荒れ、最後には凍りつく。


 気がつけば、空中には風に巻かれた火の粉を纏う直径一メートルほどの大きな氷の塊が浮かんでいた。


 そんな戦場さながらの光景に住民達が大きくどよめく。


「あ、危なかった」


 一瞬早く離れることに成功していた術師がそう漏らすと、まるでそれを合図にしたように宙に浮かぶ氷の塊の表面がヒビ割れていく。


 そして、一際大きくバキリという音がした直後、氷が細かく砕け、中から無傷のドローンが姿を現した。


「ば、馬鹿な!?」


 兵士の誰かがそんな声を発した。


 今度こそ誰にも止められること無く空へ浮上していくドローンに、術師や兵士を含め住民達もポカンと口を開けて眺め続けたのだった。






【タイキ】


 ようやくスクリーンに映る映像が通常の状態に戻ったことを確認し、エイラを振り返る。


「いやぁ、ビックリしたね。ちょっと外に行って確認して来るよ」


 炎やら竜巻やら氷やらを受けたということもあるが、遠視カメラがどういう原理で外の景色を映しているのか知らなかったので、その確認もしたい。


 そう思って口にしたのだが、エイラは何故か妙にテンションを上げて頷いた。


「わ、私も見にいって良いですか?」


「え? カメラの確認をするだけだよ?」


「そのかめらという物を見てみたいのです!」


 どうやら好奇心らしい。アツール王国の問題が片付いてから妙に明るくなったエイラである。これまで気になっていても言い出せなかった事がたくさんあるのかもしれない。


「……なんか面白いものだと良いけど」


 そう呟き、無言で立つA1を横目で見る。手のひらの上に乗るくらい小さな小型A1とかだったら面白いけど、ただのデジカメみたいなのが飛んでたらガッカリしてしまうかもしれない。


 いや、ここは敢えて巨大なクリスタルとか、魔法の世界っぽいカメラだったら俺も楽しめる。


 色々想像を膨らませながらエイラとA1を引き連れて城の外に出て見ると、こちらに向かってくるメーアの姿があった。


「タイキ様! 何か向かって来てます!」


「何か?」


 メーアの言葉に首を傾げ、指し示す方向に目を向ける。すると、黒くて丸い物体がこちらへと飛んで来るのが見えた。


 城の正門を映し出すように指示をした遠視カメラだろう。


「メーア、多分大丈夫だよ」


 そう告げると、メーアはホッとしたように黒い物体を振り返った。


 だが、これで大きなクリスタルという説は無くなった。残念。


 皆が見守る中、遠視カメラは正門の全景が映るくらいの場所で止まる。


「あれが、地上の映像を映し出していたタイキ様の飛行ゴーレムですか?」


「飛行ゴーレム!」


 エイラの質問にメーアが反応した。目を輝かせて下から遠視カメラを見上げるメーア。


「いや、ドローンかな。でも、火を浴びても風を受けても壊れないのは助かった。本物のドローンなら一発で壊れてただろうし」


 黒い物体、ドローンを見上げてそう言うと、二人は顔を見合わせて首を傾げた。


 骨組みだけのスカスカのUFOっぽい見た目だが、中々格好良い。


「遠視カメラ、かなりの数があった気がするな……じゃあ、スクリーンを分割してフル活用したら、このドローンが大量に空に浮かぶのか」


 知らない人が見たら恐怖映像になる気がする。


「あの、このどろぉんという物は、ゴーレムでは無いのですか?」


「まぁ、似たような物かもしれないけどね。なんて言ったら良いんだろう?」


 エイラの質問に答えられず、頭を捻る。


 無人偵察機とか無人飛行機とかとも呼ぶ気がするけど、機械って言っても分からないだろうし。


「機械って種類のゴーレムってことにしとこうか」


「きかい」


「きかい?」


 いや、それ以上は俺も説明できないから。


 思わずそんな言葉を口にしそうになってしまった。



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