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●逆心霊写真現象

作者: かや博史

●逆心霊写真現象



普通、心霊写真が撮れてしまって、

それから事故にあったり、気持ちが悪い事が起きたりする事が多い。


しかし、今回の話はその逆現象なのである。


それは岐阜県の方からの電話相談だった。





友人3人と、紅葉を見にドライブに出かけたという。


紅葉が一番栄える風景は、水がある場所で、

紅葉の赤と、水辺の青のコントラストが絶景をかもし出す。


彼女達は岐阜の紅葉でも屈指の茗渓、付知峡の紅葉を最初に見に出かけた。


山の紅葉が見える橋のたもとに車を停めると、

さっそく降りて、3人で写真を撮ったという。


その後3人は、滝を見に向った。



ところが、滝に向う車中で、3人の内の一人、

ミキが急にお腹が痛いと言い出したという。


まだ午前中で何か変な物を食べたという事も無い。



ただ、そんなに大騒ぎになる様な痛さでは無い様だったので、

せっかくもうすぐ滝に到着するという所だったのもあり、

ミキを車に残して、2人だけで滝を見に行った。


しかし、車に戻ってみると、ミキが結構汗をかいていて、

さっきよりも痛みが大きくなっているようだったので、

急きょドライブは中止して、車を町の方に走らせた。



しかし、日曜日だったので、普通の病院は休みで、

119番に電話しようかというと、ミキはそれほどでもないからと言い、

ドラッグストアーに寄って、腹イタの薬を買ったという。


ただ、薬を飲もうとしたのだが、

不思議と水を飲めないのだという。


普通、薬だけではなかなか飲めないので、

水と一緒に薬を飲むのだが、

ミキさんは、水を見ると吐き気がするというのだ。


そこで薬は買ったものの、飲めずに自宅に戻った。

そして、牛乳を温めて、それと一緒に薬を飲んだという。



翌日になっても、お腹の調子が悪いので、

念の為に病院に行った。


しかし、レントゲンや血液検査などをしても異常は無く、

とりあえず、熱も無かったので、薬だけ貰ったというのだが、

木曜日になる現在でも、まだお腹が痛いという。


そんな状況を私に相談してくれたのは、ミキさん本人ではなく、

当時一緒に紅葉を見にいった友人の一人だった。


彼女も彼女なりに、何かしらの責任を感じていて心配していたのだ。

そして、自分の相談の時に、ミキさんの事もついでに相談してきたのである。



私は、話を聞いていて、

やはり、一番気になるのは、

紅葉の橋である。


そこに行ってからお腹が痛くなったというのは偶然なのか、

それとも、そこに行ったのが原因だったのか。

気になる所である。


話を聞いただけでは、何も分からない。


そこで、彼女に、

その時に撮ったという紅葉の写真の中で、

ミキさんが写っている写真と、ミキさんが撮った写真を現像してみて、

その写真に心霊写真の様な気になる写真が無いかどうか調べる様に言った。




後日、再び彼女から電話があり、

ミキさん自身が撮った写真は無いので、

ミキさんが写っている写真3枚を現像してみたところ、

その内の1枚に、誰かの顔かもしれないと思われるものが写っているという。


私はそれが原因かもしれないと思った。



普通は、心霊写真が撮れてしまい、

それから悪い事が起きたりするのだが、

今回の様に、何かの現象が起きてから調べてみると、

心霊写真が撮れていたという事もある。


言わば、逆心霊写真現象である。


写真に撮れているから、「見て」という霊の訴えとも取れる。


こういう場合の対処法としては、

机の上などに、その写真を置き、お線香を1本点し、

可能なら、お花を一輪と、温かい飲み物を供えて、


「どうか成仏して下さいね。

 1週間供養しますから、どうか私から離れて下さいね。」

と合掌してあげる事である。


この時に注意するのは、普通、こういう場合、お水を供えるのだが、

この霊の場合は、温かい飲み物と、温かい色の花を供える事である。


なぜなら、

ミキさんが水を飲めないという現象が併発しているというのは、


私の推測からすると、

ミキさんに憑依した霊は、もしかしたら、

橋から川に、飛び降り自殺した霊かもしれない。


それで水を大量に飲んでしまい、お腹も痛くなり、溺れ死んだ。

そういう霊に憑依されると、お腹が痛くなり、

同時に、水も怖がるという現象が現れるのである。


そして、そういう場合、

冷たい水を供えるのは、良く無いのである。

温かい飲み物を供える事が、気遣いとなり喜ばれ、

体から離れやすくなるのである。



その後、一週間後には、

ミキさんの腹イタも治ったという事だった。

誠意の供養が効いたのかもしれない。




最後に、

実はこの話には、もう1つ気になる事があった。



それは、そもそも彼女達3人が、

紅葉を見にドライブに行ったのには、ある理由があったという。


それは、友人の一人、ミキさんが失恋して、

その傷心旅行でもあったのだ。


3年付き合っていた彼氏と別れてしまい、

家で塞ぎ込んでいた彼女を、なんとか励ましてあげたいと思い、

ドライブに誘ったのである。


私は直接現場に行った訳では無いので、

詳しい事は分からないが、もしかしたら、


そういう事情も今回の事に作用していたのかもしれない。と思った。



つまり、橋の側で憑依してきた霊は、

もしかしたら、失恋などの理由で命を落としたのかもしれない。


そういう場合、自分の気持ちを分かってくれそうな、

同じ思いを現在している人などに、頼ってくる事があるのである。


2人の友達を元気にしてあげようという行いは良かった。

しかし、自殺が過去に起きていてもおかしくない場所に、

連れて行くのは、余り良く無かったのである。


その可能性もあるかもしれないので、

ミキさんに、少なくともお腹の痛みが取れるまでは、

昔の彼氏の事は考えない事。失恋の事は考えない事。

それが憑依を取る事に繋がるので。


また、写真を供養する時に、

「今度生れてくる時は、幸せな恋愛をするんだよ。」

と一言いってあげる様にと。


その事を告げて、今回の相談は終了となった。

END

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