オレンジの空
君は また夕焼けの空を仰いで 綺麗だねと言っている。
僕は その綺麗な横顔を眺めて 綺麗だと言ってあげる。
君は気付かない。まだ気付いてくれない。そういうことにしてくれない。
急に君が さみしそうな顔をして いつものように帰ると言った。
さようなら。また明日。僕はいつものように 君の後ろ姿にあいさつした。言葉が続かない……あぁ、今日もまた失敗した。
君は また私の隙を見て 私の横顔を見ている。
空よりも 君のことが気になり始めたのは いつからだろう。いつのまにか ついてきて 気づいたら君は 私を見ていた。
そして空のことを 私が きれいだねと言うと、君はやっと私に言ってくれる。きれいだ、と。
でも面とむかって言ってくれない。君の気持ちは、そんなものなのかな。もしかして私の気のせいなのかな。急に不安になって さみしくなって、私は帰ると言ってしまう。
このときが一番好きなのに。君といるのが 幸せなのに。
君はいつもみたいにそっけなく別れのあいさつをする。
それでもうおしまいなの?なにか言うことはないの?
そんなこと、あんまり話さない君に言えたりしない。あぁ今日も失敗した。