子供?子持ち?無職?そして家族の始まり
「リュウ、パパ起こしてきて」
リュウは
「ハ〜イ」
と言いながら、パパの寝室へ走った。
部屋に入るとすぐに、パパが眠ってるベットへダイブした。
「うっ」
とうめき声を出すと、敏也はゆっくり目を開ける
目の前にいる、可愛らしい息子を見て、にやけながら起き上がった。
リュウの頭を二回
「ポンポン」
と軽く叩くと、洗面所へと向かった。
顔を洗い終え、タオルで拭いていると、ふと、鏡を見て
「今日か…」
とつぶやいた。
また部屋に戻り、妻が用意していた服に着替えた
「パパお出かけ?」
声がする方に振り返ると、リュウと娘のミカが寂しそうに立っていた。
シャツに袖を通しながら、2人に
「ごめんな。今日は、パパにとって大切な日だからね」
と言い聞かせた。
「分かった。行ってらっしゃーい」
と、満面の笑みでミカは答えてくれた。
足早に、靴をはき家族に
「行って来るよ」
と言うと、駐車場へと向かった。
少し、息子達に対する罪悪感を持ちながら車を走らせた。
15分ぐらい走らせると、懐かしい景色が見えて来た。
すぐ行ける距離だけど、敏也は年に一度しか訪れないので、懐かしかった。
またしばらく、走っていると、本日の目的地の寺に着いた。
車を止め、ゆっくりと墓地へ向かった。
ふと前を見ると、女性が手を合わせていた。
「すがの?」
自分の名前を呼ぶ声がして、すがのは振り向いた。
「敏也…久しぶり」
2人は見つめ合うと、目の前の墓へ微笑んだ。
墓参りを終え、近くの喫茶店で、2人はお互いの
「今」
を語り始めた。
「すがの、今何やってんの?」
「へっへ〜、実は…」
にやけながら、ゆっくりと左手の指輪を見せびらかした。
指輪は、キラキラ光って、ダイヤモンドが付いていた。
「去年ね、宝石店の若社長と結婚しちゃった」
少し、恥ずかしそうに、すがのは話した。
「え〜!!じゃあ、夢叶ったんだ。おめでとう」
「ありがとう。敏也は何してんの?」
今度は、すがのが聞いた
「今は、パチンコ店で副主任になって、少し忙しくなったかな?」
「へ〜、よかったじゃん。子供や奥さんも元気なの?
またケンカとかしてないでしょうね〜?」
「子供とも奥さんともラブラブです」
二人は、昔のように笑い合った
「そうだ!これ見て。私の息子」
そう言うと、カバンから写真を取り出した。
「子供!!」
敏也はびっくりして席を立った。
「そんなに驚かなくても…」
「ゴメンゴメン。つい…よかったじゃん。無事出来て」
席に座りながら、敏也は言った
「ま〜ね。産まれた時は泣きながら喜んだよ」
幸せな顔をして、写真を見つめるすがの
「名前何て言うの?」
敏也が聞くと、すがのは少し黙ってゆっくり答えた
「フミヤって言うの」
「フミヤ…」
敏也は急に下を向いた
しばらく沈黙が続き、敏也がつぶやく様に話した。
「あれから三年だね」
「…うん」
二人は、そばにあったコーヒーを飲むとまた黙った
ふと敏也は、顔をあげ口を開いた
「すがの聞いた事ある?俺とフミヤの出会い」
微笑みながら聞くと、
「聞いた事ないよ。話して」
と、言った
三年前のあいつがいた時、そして、あっという間に過ぎていった半年間を語り出した。
三年前、7月の暑い日だった。
敏也の勤めるパチンコ会社の転勤で、前のお店から離れたお店に来ていた
転勤先は、来月のリニューアルオープンに向けて、慌ただしかった。
敏也は、誰に何を聞いていいか分からず、裏口の方でウロウロしていた
「どうかしましたか?」
急に聞こえた声で、驚きつつ、恐る恐る後ろを振り向くと、明らかに、学生だろうと思うぐらいの背の低い少年がいた
よく見ると、このお店の制服を着ていたので、とりあえず
「今度、ここへ配属になる者のですが」
と聞いてみた。
すると、少年は
「こちらへどうぞ」
と言いながらお店の奥へ誘導した
奥に行くと、事務所があり、誘導されるまま入った
中には、二人の大人が机に座ってた。
「異動で来たみたいなんですが…」
少年が、一人の男に話しかけると、敏也はすぐさま体を向け、
「朱道店から来ました、西城敏也と言います。よろしくお願いします」
と元気よく頭を下げた
奥に座ってた男の人が
「私が店長の特盛です」
と、あいさつした。すぐに、もうひとりの男の人も席を立ち
「主任の赤嶺です」
とあいさつした
軽く頭を下げると、敏也は、少年を見た。
「フミヤ、自己紹介しろ」
と赤嶺主任に言われると、思い出したかのように、姿勢を正し
「正社員の中城フミヤって言います。」
と元気よく言うと、右手を額に付け、兵隊の敬礼のマネをした
思わず、ふっと笑い敏也は、
「よろしくお願いします」
と、言った。
正直、敏也はフミヤを(可愛い年下だな)と思った。
一方、フミヤは敏也を(少し暗いな)と思ってた。
これが、フミヤと敏也の出会いだった。
2人は、事務所を出て、次はホールにいる、他の従業員の前に行った
ホールでは、二人の他に5人の従業員が、横一列で並んでおり、朝礼の準備をしていた。
フミヤと敏也も一緒に並び朝礼を済ました
そして、今日の仕事内容を一人ずつ指示されていると、
「フミヤと西城さんは、あそこにある風船を膨らませてください」
と言われた。
敏也は、無言で風船を膨らまし始めた。
ふと、フミヤに目をやると、小さな子供みたいに膨らませては、手でポンと上へはじき、遊んでいた。
それを見ていた、アルバイトのありささんが、
「フミヤ、遊んでないで働いてよ」
と、優しく言った
「ハ〜イ」
と言いつつも、まだ遊んでいた
(本当に子供みたいだな)と、敏也は思った
しばらく風船を膨らましていると、フミヤが
「西城さんって、いくつですか?」
と、聞いてきた。
「二十歳だよ」
と、小さな子供に話しかける様に、風船を渡しながら言った
「じゃあ、俺と一緒だね」
敏也は耳を疑った。
「二十歳なのか?」
恐る恐る聞くと、風船を膨らましながら、
「うん」
と笑顔でフミヤは答えた。
敏也はビックリしてフミヤを見つめた
(背も低くて、風船で遊んでるコイツが、同い年なのか)
風船を膨らまして遊んでる、フミヤを見て敏也は思った。
フミヤは、二十歳に見えないほど幼く見えた。
普通、十八の頃から大人っぽく落ち着いているわけで…
それなのに、フミヤはお菓子が大好きで、テレビの子供向け番組を真剣に見ていた。
わざと、そういう風に見せているんじゃなくて、フミヤにとっては普通だ。と周りは言う。
従って、お店では、みんなの弟的な存在で可愛がられていた。
リニューアルオープンも無事終え、お店も落ち着き始めた頃、休憩室でフミヤと敏也はテレビを見ていた。
テレビでは、近くの水族館がオープンしたというCMが流れていた。
「この水族館すごいみたいね」
同じく、一緒にテレビを見ていた、アルバイトのしょうこさんが言った。
隣にいたありささんも、
「カップルには新しいデートスポットらしいね」
と言った
フミヤは、二人に
「水族館って、カップルしか入れないの?」
と聞いてみた。
「別にカップルじゃなくても入れるよ。友達同士でも」
と答えた。
急に、フミヤは思い付いたように、座ってたイスに立ち上がると
「よし!みんなで行きましょう」
と叫んだ。
しかし、敏也以外のみんなは、耳を傾けようとせず
「帰ろう」
と席を立ち始めた
「行きましょうよ〜」
と、みんなを引き止めるが、早々と休憩室を出ていった
敏也も、イヤな予感がして席を立とうととすると
「敏也、水族館行こう?」
と、話しかけられた。
敏也は(成人にもなって、水族館って恥ずかしいじゃん。)と思い、断ろうとすると
「このとおり」
と頭を下げられた。
「そんなに行きたいの?」
と聞くと
「うん」
と満面な笑顔で返してきた。
どうやら、敏也は頼まれると断られないタイプのようだ
しかたなく、三日後の休みに行く事にした。
すると、帰ったはずのありささんとしょうこさんが来て、
「絶対に苦労するから、気合い入れてね」
「頑張って」
と、言ってまた帰った。
意味が分からず、敏也は、ぼうぜんとしていた
三日後、その意味が分かった。
水族館の前で待ち合わせしていた2人は、さっそくチケットを買い中へ入った。
中は、ガラス張りで様々な魚達が泳いでいる。
「お〜」
と、敏也は少し驚いた。
「スッゲ〜」
すぐ横にいたフミヤは、館内に響き渡る声で叫んだ。
その声でさらに驚いた敏也は、
「し〜!」
と思わず、フミヤを注意した
それを無視して、フミヤは
「早く行こうよ」
と、少し前に出て、敏也を呼んだ
周りは、やはりカップルや家族連れしかいなかった。
男(二十歳の)同士は全然いない。当たり前だ。
少し、恥ずかしいと思いつつ、フミヤの後をついて行った。
フミヤは、
「スッゲ〜、魚だらけだ〜」
とか言って、一人ではしゃぎまわってる。
「敏也〜次、あっち行こうよ〜」
またまた、大きな声で呼んでる
周りにいる人達が敏也を向き、クスクスと笑い出した。
敏也は改めて、しょうこさん達の言葉を思い出し、
「ハァ〜」
と深いため息をついた
少し、フミヤの後ろを歩きながら、フミヤのはしゃぎまわってる姿を見ると、不思議と敏也は笑顔になっていた。
子供を見てると同じで、ハラハラさせられたり癒されたり、楽しく思えて来た。
相変わらず、フミヤは魚を見るたびに、
「スッゲ〜スッゲ〜」
と叫んだり、ケータイで写メを取ったり、敏也を見ると
「敏也〜早く」
とか言ったり、本当に楽しそうだった。
そんなフミヤを見てると、自然に敏也もはしゃぎまわってた。
そして、あっという間に出口が見えて来て、
「あ〜楽しかった」
とフミヤは満足したように出た。
昼になり、2人は館内のレストランで食事を取る事にした。
そこでも、フミヤはずっと、魚の話をしていた。
急に静かになると、にこっと笑い、
「でもよかった。敏也も楽しめて」
と言った。
「ん?」
と不思議そうにフミヤを見ると、
「敏也、新しいお店に来て、ずっと笑わなかったじゃん。
だから今日は、笑わそうと決めてたんだ。どう?肩の力抜けた?」
と言った。
(そういえば、新しいお店に来てから、早く慣れようとしていたっけ?笑ったのも久々だな)
と、料理を食べながら考えていた。
そして、フミヤを見ると
「逆に疲れたよ。これで最後だからね」
と、舌を出しフミヤをからかった。
「えっ!まじゴメン!今度は、敏也の好きな所行くからさ」
ぷっと、笑うと、敏也はフミヤの頭をなでながら
「ウソだよ」
と言った。
2人は何故かおかしくなり、大声で笑い合った。
(周りから見たら、どんな風に見えるんだろう)
周りを気にしながらも、敏也は笑った。
水族館に行ってから、二週間が過ぎた。
敏也はフミヤのおかげで、徐々にお店の仲間と打ち解けていた。
その日、仕事を終え、着替え始めていると、突然、勢いよくフミヤが入って来た。
「敏也、飲みに行こう」
少し、戸惑いながら
「少しなら」
と承諾した。
相変わらず、誘いを断られない敏也だ。
今日は、バイトのじゅんさんの家で飲むみたいだ。
他に、町田さんとありささんも来た。
初めは、敏也以外は
「今日のお客さん、おもしろかったね」
とか言いながら、楽しく飲んでいた。
1人、おとなしくしている敏也に、町田さんが
「敏也、どう?ここのお店楽しい?」
と話しかけてきた。
「はい、楽しいですよ」
と、敏也は言った。
すると、フミヤが何かを思い出したかのように、
「あっ!」
と言いながら、ケータイを出した。
「あった」
と笑顔で、みんなにケータイを見せた。
そこには、笑顔でピースをする、敏也の写メがあった。
水族館の時のだ
敏也はとっさに、画面を隠し
「これは、その…」
と戸惑った。 「え〜、何で?いいじゃん」
と、フミヤはケータイを取った。
敏也がまた取り上げると、
「返せ〜」
と言って、2人でじゃれあっていた。
その様子を見ていた、じゅんさん達は、
「仲いいね〜」
とはやし立てた。
2人で一瞬、動きを止めると笑い合った。
それから、敏也はみんなに打ち解け、楽しく飲んでいた。
飲み会は、朝まで続き、さすがに帰ろうかと片付け始めた。そして、敏也はフミヤを送ると言い、部屋を出た。
車に乗るとすぐに、敏也はフミヤに向かって、
「少しだけ、静かにしてね」
と言って電話をかけだした。
すぐ横にいたフミヤには、電話の内容が丸聞こえだった
どうやら彼女らしい。しかも、めっちゃ怒ってる。
始めは、ひたすら謝っていた敏也も、だんだん口調が荒くなり、最後は
「じゃあいいよ」
と言って電話を切った。
「大丈夫なの?」
と聞くと、
「夕方まで、フミヤの家にいていい?」
と、聞いてきた
「彼女はいいの?」
心配しながら聞くと
「頭冷やしたいから」
と答え、
「まっいっか」
と、フミヤは納得して家へ向かった。
フミヤの家に着き、フミヤの案内で中に入った。
すると
「おかえり」
と女の声がした
部屋の真ん中に1人の女性がいた。
(彼女いたんだ)と思いながら、ゆっくり部屋に入ると、
「中学の同級生の藤間すがの」
と紹介された。
「おじゃまします」
と軽く頭を下げると、敏也は辺りを見回した。
中は何もなく、あるのはテレビとタンスしかなかった。
そして、しばらく三人の間に沈黙が流れていた時、フミヤがふと
「眠くならないし、遊びに行こう」
と言い出した
しょうがなく、3人でドライブに出かける事にした。
別に行くあてもなく、ひたすら車を走らせていた。
一時間ぐらいが過ぎても、ヒマはヒマだ。その裏、敏也は彼女の事が気がかりだった。
そんな敏也に気付いて、フミヤは
「そうだ!海に行こう」
と言った。
「もう10月だよ」
すがのが言うと、
「何月でも、行きたいから行くの」
と、海が見える方向へ指差した。
どうやら、フミヤは思い付くと行動するらしい。
しょうがなく、近くの海へ向かった海が近くになるにつれ、敏也は不安がいっぱいになった
(このまま帰らなくていいのかな)
海に着いた。砂浜が広がっていて、潮の匂いが漂ってくる
やはり誰もいない。
3人は近くの石に座ると、
「平和だね〜」
とフミヤが言った。すがのも、
「こうしていると、悩みとか忘れられるね」
と言った。
敏也は、下を向きケータイを見ていた。それに気付いたフミヤは、
「海って好きだな。全部受け止めてくれそうでさ」
と言った。
しばらく、海を見つめていた敏也は、自然と口を動かした
「オレさあ、たまに現実から逃げ出したくなるんだよな」
黙って2人は、敏也の話を聞いた
「驚かないで聞いてね。それと誰にも内緒だよ」
と2人を見ながら、敏也は言った。
「うん」
と返事の確認を取ると、またしゃべり出した。
「オレ、今の彼女との間に、一人子供がいるんだ。今年二歳になる。女の子でさ、めっちゃ可愛いんだ」
2人は驚いたが、静かに聞いていた「でも、まだ二十歳で収入も少ないからさ、籍は入れてない。
彼女も承諾している
母子家庭って、国から毎月お金をもらえるんだ。それで育てている。
子供が出来ても、周りからは、理想のカップルと呼ばれるって思ってた。
でも、いざ出来ると、早く収入を増やさなきゃとか、これまで以上に頑張るぞって思っていくうちにさ、何か疲れてさ。
彼女とは毎日ケンカだし、家族のためって思っても、どっかで、これでいいのかな?って思ってさ。
時々、現実から逃げて楽しく送りたいなって思うんだ。
ガマンしなきゃって思うけど…このまま気を張って行くのかな?と思うと、疲れちゃって。オレ変かな?」
少し波の音だけが聞こえた時、
「それで、いいんじゃない?」
フミヤが言った。
2人はフミヤを見た。
「親でも人間だし、彼氏も人間だし、何かに追われていたら、誰か助けてって思うもん。だから、どんな人間でも苦しい時、辛い時には休んでもいいと思う。現実ばっかり見ていたら、疲れるよ。現実から目をそらして、そこで休みながら見つめ直してもいいんじゃない?」
フミヤが言うと、
「でも、離れたいって思っても、どこへ?」
と、すがのが聞いた。
「ん〜、どこでもいいんじゃない?外国でも無人島でも、俺んちでもさ」
と少し、首を傾げながらフミヤは答えた。
そして、勢いよく立ち上がると、
「とにかく、自分の好きな所へ行けばいいよ。よ〜し、好きな所へ行って休むぞ〜」
と言いながら、砂浜を走り出した。
呆然と2人は見ていた。
「フミヤって、いつもあんな感じなの?」
と敏也がすがのに聞くと、
「そうだよ。子供っぽいけど、人の痛みとかに気付いてくれてさ。だから、いつの間にか、みんなフミヤの所へ自然と集まるんだ。私も、フミヤの所へ来るまでは死にたいとおもうほど、現実が辛かったけどさ、いつの間にか楽しくなって来たんだよね」
と言った。
「現実から離れるか…バカみたいだけど、いいね。いい彼氏じゃん」
と笑いながら言うと
「彼氏じゃないよ。家族だよ。そんな感情は芽生えない。今は大切な家族」
と嬉しそうに言った。
「家族か…」
とつぶやいて、フミヤを見つめる敏也。砂浜ではしゃぐフミヤ。それを見て、大笑いするすがの。
少し風が冷たい日の事だった。次の日の夕方、フミヤは仕事を終え、帰ろうとした時、突然ケータイが鳴った。着信:敏也
(今日休みなのに、どうしたかな?)と思いつつ、出た。
「フミヤ、仕事終わったか?」
と、敏也の声がした。
「今、終わったよ。どうしたの?」
と聞くと
「早く家に帰って来て」
と言われた。
(遊びに来てるのかな?)と思いつつ、急いで帰った。
家に着き、部屋を開けると、
「あっ!おかえり〜」
と、大きなカバンから洋服を取り出してる敏也がいた。
不思議そうに見つめていると、
「今日から、一緒に住みたいんだと、これからの事を考えるために」
と、すがのが説明した。
「フミヤの言う通り、少し肩の力を抜くために、ここでやっかいになります。今日から、お世話になりま〜す」
と、ピースをしながら敏也は言った。
少し、キョトンとしていたフミヤも、
「まっいっか!今日から、3人家族だ」
と言って、バンザイしながら喜んだ。
2人も、それを見て、同じ様にバンザイをした。
こうして、今日から、子供っぽい二十歳と子持ちの男と無職の女の、3人暮らしが始まった。