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死生観4
3人目は女であった。
私が執行した8人の中で唯一の女であった。
あの女は則天武后だとか玉藻の前だとか心の奥底の汚れきった感情を美貌で隠すまさに悪女といった風体である。
8人の中で1番うるさかったのもあの女だ。
耳をつんざくほどの金切り声でわめきたてるので同僚は皆顔を顰めて運んで来るのだ。
あの穏やかな雰囲気を纏った神父でさえ嫌悪の感情が表に出るほどである。
輪を通すのにも苦労したように見える。
実際には見えるではなく苦労していた。
ひとりが後ろで女を拘束していたがいざもうひとりが輪に手をかけた瞬間、近づいてきた手を猛犬のごとく噛み付いたのだ。
女は結局口を手ぬぐいで縛られ、うーうー喚き立てながら輪を通された。
そんな声も音の後に来る静寂に比べれば下手くそなオーケストラ程度であった。




