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【短編集】短い歌の恋  作者: 葛の葉


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5/9

ゆきの花 揺れる様まで美しいのは 私がそうと決めたから

トウシューズを履いてつま先で立つ。

頭のてっぺんから足の指の先までが、一筋の真っ直ぐな線を描く。


呼吸が体の真ん中を通るのを感じる。

少しずつ上半身の重心を前に傾け、左足を後ろへ流れるように蹴り出した。

伸ばした手の指、一つにまとめた髪、まつ毛の先まで

美しくあるという意志を持って踊る。


白い部屋の中は、壁の一面が鏡に埋め尽くされ無機質だ。レッスンで使用するバーの木の質感にのみ、有機物の暖かみを感じる。

汗だくになり、息が切れているが、体を冷やしてはいけないと乾いたタオルを肩にかけた。


大好きだから夢中になる。でも自分を見失ったりはしない。

私の体は隅々まで、私の意志が通っている。そうあるように私は私を大事にしてきた。


今日のレッスンは終わった。

一人一人退出していくのを見送り、私一人になったレッスン場の中で、ぼんやりと立つ自分を鏡越しに見つめる。


「疲れたなぁ」


と、一言声に出してから、今度は姿勢を正して鏡に向き合った。


頭のてっぺんから足の指の先まで。

一筋の真っ直ぐな線を感じながら、つま先で立つ。

ポワント。


立とうと思って立つ。ただ、それだけ。

優しく静かに深呼吸をして、踵を下ろした。


ロッカールームで着替え、雪の花をモチーフにしたピアスとブレスレットを身につける。


正しく、美しく、自分らしく。


今日も私は私の意志で立ちたいと思って立つ。

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