ゆきの花 揺れる様まで美しいのは 私がそうと決めたから
トウシューズを履いてつま先で立つ。
頭のてっぺんから足の指の先までが、一筋の真っ直ぐな線を描く。
呼吸が体の真ん中を通るのを感じる。
少しずつ上半身の重心を前に傾け、左足を後ろへ流れるように蹴り出した。
伸ばした手の指、一つにまとめた髪、まつ毛の先まで
美しくあるという意志を持って踊る。
白い部屋の中は、壁の一面が鏡に埋め尽くされ無機質だ。レッスンで使用するバーの木の質感にのみ、有機物の暖かみを感じる。
汗だくになり、息が切れているが、体を冷やしてはいけないと乾いたタオルを肩にかけた。
大好きだから夢中になる。でも自分を見失ったりはしない。
私の体は隅々まで、私の意志が通っている。そうあるように私は私を大事にしてきた。
今日のレッスンは終わった。
一人一人退出していくのを見送り、私一人になったレッスン場の中で、ぼんやりと立つ自分を鏡越しに見つめる。
「疲れたなぁ」
と、一言声に出してから、今度は姿勢を正して鏡に向き合った。
頭のてっぺんから足の指の先まで。
一筋の真っ直ぐな線を感じながら、つま先で立つ。
ポワント。
立とうと思って立つ。ただ、それだけ。
優しく静かに深呼吸をして、踵を下ろした。
ロッカールームで着替え、雪の花をモチーフにしたピアスとブレスレットを身につける。
正しく、美しく、自分らしく。
今日も私は私の意志で立ちたいと思って立つ。




