第98話 ネリ 2 《挿し絵あり》
「あ、そうです
だめですか?」
黙りこみ、ネリをじっと見つめるジル。
表情は険しいままだ。
「理由を知りたいわ
あれがどういうタスクかわかってるの?」
「あ、はい
幻妖バラを摘むんですよね
女の子にしかわからない、金色の薔薇があるって」
「それだけの知識ならやめなさい
あれはお花を摘みに行くのとは訳が違うのよ」
やや語気を強めるジル。
その様子にネリは少し冷や汗をかいていた。
「あの、1本で100,000クラン稼げるっていう話を聞きまして」
ジルはネリから視線を離さない。
「お金が目的なら、もう少し安全なタスクになさい
もちろんレッサードラゴンも危険ではあるけれど、バラのタスクは、そもそも1人で行うものではないわ」
「そうね、単独で助けもなくやりたいというのであれば…
レベル500は欲しいところね」
(500だって?)
突如イストが心配になってきたシュン。
ついこの間までレベル90だった。彼女にそのタスクがこなせるのか?
「そうですか、
ジルさんは他に何か身入りの良いタスクをご存知ですか?」
「ネリ、あなたまだ14よね?
大事なのは、自分の成長よ
お金なんて後からついてくるものだわ」
まるで説教だ。
あのガリ勉委員長のネリがそこまでお金を中心にものを考えていることが、シュンには意外だった。
「ジルさん、
プリーストは大きい都市ですが、私が生まれたのは、そこからだいぶ離れた農村です
特産物も観光資源も何もない
私は八人兄弟の一番上だから、今もひもじい思いをしている弟や妹たちに何とかお金を送りたいんです」
「……」
周りはシーンとなった。ネリの赤裸々な身の上話をまさかこんな形で聞かされるとは思わなかったからだ。
ただ、それでも嫌そうな顔を崩さないジル。
「そうねぇ…
マーシャがいればよかったのだけど」
シュンは会ったことがないが、ライドンの話だと確かにこのタスクではマーシャが頼りになりそうだ。
「ステラがやってくれるかしらね」
「その方を頼ればいいですか?
ぜひお願いしたいです
前まで景気が良かったイーサップが、何やら今はタスクがなくなってると聞いてましたので」
ジルは一転、困った顔している。
「ライドン、テンポスに着いたらステラを紹介してもらえるかしら?」
「え、おれが?
それはごめん被りますよ。
そもそもステラはつい最近おんなじお願いをされて、まあ大変だったんだから」
「初めて聞く話ね
でも、それなら言うことを聞いて誰かを連れてってくれたってことなの?
一人も二人も同じならネリも大丈夫そうね
任せたわよ」
「え、師匠、そんな…」
「ライドンさん、ありがとうございます
本当に恩に着ます」
ライドンは、天国から地獄といった表情で青ざめた。




