第96話 報酬 《挿し絵あり》
一週間、タスクが続いた。
1日のうち5時間は働いたと思う。
みるみるうちに畑が増えてゆき、
熟れた野菜たちは、ジルの雇った人足にもぎ取られていった。
農地として収穫の結果を出し、クロック王国が国営で運営する巨大な農園がここに誕生する。
ジルにとっては、まだ大きな功績が増えるのであった。
デコイは、大きな体の割には繊細な手の動きが得意で、音量を稼ぐことや、速いテンポが苦手だった。
スーノはシュンと同じでエイトビートが得意だったが、低音と高音を合わせるコンビネーションの動きはどうも苦手だった。
シュンも今回の課題で苦手なリズムが大きくあらわになった。
が、各々がどれもある程度解消できたと言っていい。
ジルの目的はそれだった。
ネリは驚くほどの吸収力で、すべてのリズムをマスターしていく。
だが、聞くとレベルはさほど高くないということだった。
(レベルってどうやって決まってるんだろう…?)
シュンは不思議だった。
アーネスが強いとは言っても、ジャコやマーシャの方が上のはずだ。
それでもアーネスは、さきの戦いで大きく結果を出した。
どんな特訓をしたか知らないが、タルネのあの異常とも言えるレベルの上がり方。
そしてネリはあれだけ色々とできるのに、レベルが高くないと言う。
(ステータス、見せてくれないかな…)
でも、そのプライベートには飛び込めないシュンだった。
「さて、皆の衆
この一週間よく頑張ったじゃない」
「はい、ありがとうございます」
「報酬は歩合制よ
あなたたちの苗の成長具合と本数に見合ったものにしたわ」
(あ…競争させてた割には特に優劣はつけないんだと思ってたら、そういうことだったのか)
「ネリ 300,000クラン
デコイ 170,000クラン
ライドン 160,000クラン
スーノ 135,000クラン
…シュン
75,000クラン」
「やっぱり…」
シュンはちょっとがっくりきている。
でも修行は十分できた、と自分を納得させる。
「シュンさん、大丈夫ですか?
わたしの分、いくらか分けましょうか?」
優しいネリはシュンが気になるようだ。
「いや!それはいらないよ!
大丈夫、そもそもお金が目的じゃないんだ」
シュンは慌てて断った。
「ネリ、そんなの気にしなくていいわ
あなたが一番頑張ったんだから、報酬はたくさんもらえばいいのよ
ところで」
「プリーストの連盟が嫌になったらいつでもうちの農園に来ていいのよ」
ウインクしてみせるジル。ネリはタジタジだ。
「ところでみんな、タスクはこれで終わりだけど、このあとどうするか予定はあるの?」
五人は顔を見合わせる。
それぞれに特に予定はないようだ。
「ふぅん、ちょうどよかったわ
ちょっと面白い募集があるのだけど」
チラリと茶色の紙を見せるジル。
『グレイグ火山にて、グレイグレッサードラゴンの討伐』
「これは五人組のタスクよ、やってみない?」
(ド、ドラゴン…)




