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第75話 治療院にて  《挿し絵あり》

四人はイーサップの治療院に着いた。

シュンが以前入院したテンポスの治療院よりずいぶん大きく、そこは傷を負った者たちでごった返していた。

看護師とおぼしき人たちがせかせかと歩きまわっている。


奥へ案内してもらうと、十人ほどの患者が寝起きする大部屋にジャコは寝かされていた。


「面目ないなぁ、こんな姿で…」


ジャコは両眼が見えない位顔面を包帯でぐるぐるにされていた。その痛々しい様子に、シュンはグッと胸が押さえつけられる。

それもそのはずだ。現在日本の高校生で戦いによる大怪我を負った人の姿を実際に見る経験があるものなどほぼいない。


弱々しくしているが、鍛えられた筋肉は健在で、やはり戦士として鍛錬されたものがあるように感じる。


パイスは少しここでジャコと話がしたいらしい。

シュン、ライドン、カーク、ダルフの四人は先に外で待っていることにした。


「来てもらって悪いが、手伝えることもそんなにないかもな」


ダルフが言った。

確かに、戦いが終わってさえしまえば、律動師より必要なのは看護師の方だ。


シュンは行き交う人の流れを眺めていた。

当然、異世界というだけで彼にとっては新鮮なものだらけ。

さらに初めての街となると、興味のあることだらけなのだ。


「シュン、そんなに珍しいのかよ?」


キョロキョロ目を動かすシュンに面白がって声をかけるライドン。


「そうだな、おれにとってはテンポスが一番の街だったから

ここまでの都会を初めて見て、人もたくさんいて面白いなと思って」


ニヤリと勝ち誇るライドン。


「はっ、ここでビビってるんだったら、クロニアを見たら腰抜かすぞ

あそこはここの5倍も人がいるからな

確か60,000人ぐらいか」 


(えっと、狛江市の人口が確か80,000人位だから…たいしたことないなぁ)


つい自分の出身地と比べてしまうシュン。


大きな戦闘のあとで、街をゆく人は皆早足だった。

家族や知人の安否を確認するもの、壊れた建物を直すため木材を運ぶ者。


その中で、ひときわ異彩を放つものがいた。


でかい。


この世界は日本よりわずかばかり身長が高い程度の印象。

180超えはあまりいない。


だが。

その影は人混みの中、頭ひとつ抜けていた。

存在自体が大きいような。


挿絵(By みてみん)


こっちに向かってくる。

治療院に用があるのか…?


ダルフが何か気づいたのか、声をかけた。


「おい!

アーネス!」


(……アーネス!?)


大柄の男はこちらに歩いてくる。

少し長めの澄んだ青髪は無造作に整えられていて、前髪が時折、視線を隠す。

その鋭い眼差しとは裏腹に、整った顔立ちはどこか中性的な美しさを感じさせた。


「ダルフ」


青年は軽く片手をあげた。

ニコリともせずに。


「紹介するよ、こちらはテンポスの律動連盟のメンバーだ」


青髪の青年は高い位置から三人をジロリと見た。


「テンポス最強の戦士を呼んだって聞いたけど、違った?」


ダルフは彼に気を使うように言う。


「パイスのことか?やつは今ジャコを見舞っている」


「ふぅん」


再び彼の目線はシュンとライドンへ動いた。


「ま、チビっこ二人の子守り付きじゃまともに戦えないか

間に合わなくて良かったな」







ブチッ。


ライドンの血管の切れる音がした。



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