第70話 夢 《挿し絵あり》
「おれはどうしても女神様に会いたい
そしてお礼が言いたいんだよ、おれが拍の力に目覚めて律動師になって
普通の人とは違う特別な人生を送らせてもらってる…」
「全部女神様のおかげだからさ」
ライドンの傾倒ぶりは凄まじい。
でもすでにギルドのボスの様子を見ているシュンは、この世界の人たちの感覚が少しずつわかってきていた。
「シュン、君はその…女神様に会ったことはあるのか?」
「え…それは…あるけど」
ライドンの目の色が変わる。
一気にシュンとの距離を詰めてきた。
「シュン!教えてくれ!!
女神様はどんな方なんだ!?
やっぱり像の通り美しいのか?」
「そ、そうだな
像の通りの雰囲気だけど、実際は結構小さいよ
あ、君と髪の色が同じかも」
ふと自分の髪を触るライドン。
「そうなのか!?
なんてことだ、女神様の髪の色がわかるなんて!そしておれと一緒だって!?
なんて光栄なことだ!」
ちょっとおっちょこちょいなことは黙っておこう、とシュンは思った。
「シュン…いつか会わせてくれよ、おれにも
お前だけズルいとかそんな野暮なことは言わないよ
きっと女神様のお役に立つ人になるからさ!」
「はは…会えたらね」
当然確証はない。シュンもたまには会いたいのだ。
「なんかパワーが足りないんだってさ、おれも会えたときはサービスだとかなんとか言ってたし」
「そうか…なんか事情があるんだな」
「おれにできることはなんだってするよ、
強くなってほしいんだったよな?
まかしとけって、今日でまた嫌でもレベルが上がるしさ」
(確かに…)
昨日が濃い一日だっただけに、一体どんなことが起こるのか不安も拭えないシュンだった。
「テンポスに加入したばかりのお前に言うのもなんだけどさ、
おれはいずれクロニアに移籍したいんだよ」
「えっ、なんで?」
「テンポスとクロニアでは情報量が違いすぎる
もちろんテンポスは大好きな街さ、でも…
田舎すぎる」
「何より、現クロック王は女神様にお会いしたと言われている
おれにとっては一番夢に近い存在だからさ」
「そっか…」
「ま、お前が全部飛び越えて一番になっちゃったけどな」
笑いながら言うライドン。
ユウナは慕われていていいなとシュンは思った。
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馬足が緩む。
道が舗装され始めた。イーサップの街は近い。




