第69話 夜明け 《挿し絵あり》
夜が明けようとしている。
イーサップの街は近い。
4頭の馬は夜通し駆けてきた。時おり休みも入れつつだったが、そろそろ限界だ。
街に近づくにつれモンスターは増えた。
どれも牛が変形したような形のモンスターばかりだった。
モンスターが現れはするものの、その度に皆を起こすようなことはしない。
パイスはほとんど一人でモンスターの対処にあたり、徹夜で過ごしていた。
「パイス、おはよう」
「おう、早いなシュン
まだ薄暗いだろ」
「いや、もう十分です
見張りを変わります パイスさんも寝てください」
パイスの体を気遣うシュン。
「はは、ありがとう
ではお言葉に甘えるかな
シュン、何かあったらすぐ起こせよ
モンスターが増え始めてる」
「はい、わかりました」
「その必要はないぜ」
シュンが振り返るとライドンも起きていた。
「パイスありがとう、完全回復したよ
レベルも上がってる気がする…!」
(気がするけど調べはしないのね…)
「あと3時間くらい、寝させてもらうぞ」
パイスは荷台の寝室に消えて行った。
乗用席はシュンとライドンの二人だけになる。
ここ、ビートランドに来てからはほとんどの時間を二人で過ごしてきた。
そしてこれから大きな戦いにも二人で臨むのだ。
「ライドン、緊張しないかい?」
ライドンは窓に肘をかけ、景色を流し見ている。
銀髪が揺れて、相変わらずの端正な顔が同性のシュンからも美しく映る。
「緊張か、最近はあんまりしないかな
ボスとか師匠とか、やばい人たちを前にすると他のことがさほどでもない気がしちゃうかもな」
シュンはライドンを尊敬していた。
あのダンジョンでの罠の一幕、大蜘蛛との対峙のときも彼は常に冷静だった。
「ピンチのときほど冷静にならないとって、叩き込まれてきたしな」
ニヤリと微笑むライドン。彼はこの年で幾度の修羅場を乗り越えてきたのだろうか…?
シュンには想像もつかない。
朝日が差し込んでくる。
戦いの前でなければ気持ちのいい天気だ。
「シュンはさ、強くなりたいって以外に何か目的とかはあるのか?
成し遂げたいこととか、夢とか」
「えっ、そういえば…
何も言われてないな」
突然の質問に変な返しをしてしまうシュン。
「はは、変なやつだよなお前って本当に」
「おれはどうしても叶えたい夢があるんだけど」
ライドンは語るモードに入っていた。




