第68話 タルネとイスト 2 《挿し絵あり》
イストの体はもう限界を超えていた。
足は疲労で動かない。
ドゥンバを叩く手も傷つき、出血も多かった。
(もうだめだわ、あと1分も持てば…)
そのとき。
「ルル〜ララ ルララ♪」
耳にしたことのないメロディーが突然聞こえ出す。
歌ってる…?タルネ?
耳に心地よく響くメロディー。これは一体…。
「メンダイコサイダラマネド♪トテクテマルド♪」
その瞬間、狼たちは何かを悟ったように、一斉に背中を丸め、戦闘体制を解いた。
(何が起きているの…?)
歌声が近づいてくるたびに、様子がおかしくなる。
ついには競うように、茂みに向かって走り出した。
「え?」
突然のピンチからの脱出に、安堵とともに戸惑いも隠せないイスト。
歌の主がヌっと姿を現した。
「タルネーー」
イストは涙が止まらない。
まるで女神様が来たかのような、そんな高揚感だった。
「タルネどうしたの?歌なんて歌って」
「うふふ」
「イスト大丈夫?」
「大丈夫だよ!あなたに会えたんだから」
そこへ、こちらへ向かってくる光が見えた。
ゆらゆら揺れながら、走ってくる。
「あなたたち、大丈夫?」
ステラだ。
「あなたたちにつけてた振動計が離れていくから、どうしちゃったのかと思って焦ったわよ」
「一人ひとりでバトルしようとしたの?さすがにそれは無謀よ」
「はは…一人でも行けるような気がしちゃったんですよね」
ボロボロになりながらも強がるイスト。
「あれ?
何があったの?あなたたち相当レベルが上がってるような…」
「ステラさんすごいです、この修行でだいぶいろいろわかりました」
「ありがとうございます」
二人の頬は涙で濡れていた。
でも、死地から今度は自分の力で生還できた。
それこそが人を強くする。
二人の絆は今まで以上に強くなっていた。




