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第65話 カーク

「護りの光で戦うってどういうことなんですか?」


「まぁ、それについてはさぁ、よくわかってないんだよな

まだ研究対象というか…」


パイスにも知らないことがあるんだな、とシュンは思った。


「まだ拍の歴史もそんなに長くないからな

しかも、ここに30年で劇的な進化を遂げたんだ

そしてお前たち若者の台頭が今1番世間を騒がしてるんだぜ」


「そうなんですか?」


「そうだよ!この波に乗らないでいるわけにはいかないから、ボスも必死なんだよ」


(ユウナがやろうとしてることがなんとなく見えてきたな)


「多分クロニアにいるジルの方が圧倒的に情報は多いはずだよ

俺もクロニアにいた頃は、たくさん新しい研究結果が入ってきて、追いつくためにたいそう練習したもんだ」


「パイスさん、もともとクロニアなんですか?」


「いや、生まれはテンポスなんだよ

修行のためにクロニアに行ってたのだけど、35過ぎたくらいになって、若手の育成がしたくてな

そんな折、ディエル…テンポスのボスからラブコールがあってな」


そのおかげで、シュンはこうやって優しく指導を受けてもらえる。

パイスには感謝しかなかった。


そのとき。


グラッ。


馬車が大きく揺れた。


「モンスターだっ!」


御者のおじいさんの声だ。


シュンとパイスは急いで馬車から飛び降りる。

見ると、馬車の前方に牛のような形の魔物が1匹こちらを威嚇している。

大きさは1メートル位。

黒い毛色で、頭には大きい角が3本。小さいツノが4本ほど生えている。


フゥ、フゥ…。


大きく息を吐き、目を血走らせ、今にも向かってきそうな姿。

だが、そう簡単には飛び込めない。

目の前でカークがドゥンバを手に身構えているからだ。


訓練された馬たちも、魔物を前にして身じろぎもせず、前を見据えていた。


(この状況でも襲ってくるっていうのは、よほど凶暴だぞ)


シュンもスネアだけを出して身構える。


BPM140

ドンタンドドタドンドタンドドタド


鼓動が聴こえてくる。

難しい動きでは無さそうだが、そのタフそうな体から、そう簡単にやられそうには見えない。


「まぁ見てなって」


カークがすっと構えた。すると


彼の周りに4枚ほどシンバルが出現する。


「シュン、見ているんだ」


パイスが横から声をかけた。

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